八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

78 / 244
第六十七話「八木雪花と腹パン」

 

 

 

 

「ウボォっ!!」

「「「雪花(さん·ちゃん)!!」」」

 

 教室でインターンについての座学だった筈の、今日のヒーロー基礎学。なのに何故、私が体育館γで雄英ビッグ3の一人、"ルミリオン"こと通形ミリオ先輩に、皆に見られながら腹パンされているのかというと、

 

 

「前途ーー!!!」

「···多難、て返せばいいんですか?ミリオ先輩」

「ありがとう、八木さん。ツカミを大失敗する所だったよね」

「···前二人の段階で、既に大失敗してますよ」

 

 相澤先生がインターンの説明で、現在インターンに行っている生徒を呼んだ。そのメンツが、まさかの雄英ビッグ3。雄英高校全生徒のトップに君臨する人達だ。

 どんな話が聞けるのかワクワクしてたけど、天喰環先輩は、「帰りたい······!」なんて言って黒板に向き合うし、波動ねじれ先輩は、インターンについて話に来た筈なのに、興味のままに皆に質問しまくっている。

 そして、安心してと言った大トリの通形ミリオ先輩はこれである。あのかっくんですらポカーンなのだから。

 

「雪花さん、お知り合いなのですか?」

「お父さん繋がりでちょっとね~」

 

 これが、あの人の教育の賜物なのか疑問である。

 

「まぁ、皆いきなり現れて何が何やらだよね。と言うわけで、八木さん、俺と戦ってみようよ!!」

「はいっ?!」

「口で説明するよりも、俺達の経験をその目で見てもらった方が合理的でしょう!?どうでしょうね、イレイザーヘッド!」

「好きにしな」

「私に拒否権は??!」

「ついでに、体育祭三年生優勝者と一年生優勝者で雌雄を決しようか」

「時間が惜しい、全員さっさと体育館γに移動しろ」

「無視??!?!」

 

 こんな感じで、私とミリオ先輩が一騎討ちする事に。

 

 

「頑張れー、雪花!」

「勝って、明日から雪花がビッグ3の一員だよ!!」

「三奈も透も、好き勝手言ってくれちゃって」

「···雪花、勝てんのか?」

 

 ジャージに着替えて柔軟をしながら、呑気な事を言っている三奈や透に苦笑してると、かっくんが真剣な顔で聞いてきた。

 

「去年の今頃、ミリオ先輩は私に手も足も出なかったよ」

「···どん位だ」

「殺さないと勝ち目無し」

「ど、どういう事ですの?」

「見てれば分かるよ。誰も彼もがって訳じゃないけど、これがインターンが秘める可能性だって事を。お待たせしました、ミリオ先輩」

「よし、じゃあやるとするんだよね」

「では、お手柔らかにっ!!」

 

 不意打ち気味に、ミリオ先輩の真上から巨大な雪玉を落とす。

 

「いきなりなんだよね」

「「「「「「キャーーーー!!!」」」」」」

「ああ、失敬。って、服の中に雪が入って冷たいんだよね!!」

 

 砕ける雪玉の中から現れたのは、衣服を全く身に付けていない全裸のミリオ先輩。女子陣から悲鳴が上がるけど、これで、ミリオ先輩の個性についてはある程度察しつくんじゃないかねぇ。

 

「次は、こっちの番なんだよね」

「···そこっ!そぉい!!」

 

 沈むように地面に消えるミリオ先輩。予想通り、私の真後ろへ地面から飛び出す様に現れた所へ雪拳を振り下ろす。その拳は、何の抵抗もなくミリオ先輩の体をすり抜け、地面を砕く。

 

「···透過の個性か」

「かっちゃんもそう思う?でも、今の、八木さんの後ろにワープしたのは、個性の応用なのかな。一体どんな原理で」

「俺みたいに、個性の複数持ちって訳じゃないのか?」

「だったら、地面潜って飛び出す何て無駄な動きをする必要がねぇよ。多分だが、透過してる時に個性解除したなら、埋まるんじゃなくて弾き出されるんだろうよ」

「こっちの攻撃は全部透かされて、あっちは縦横無尽に好きなとこに行けるのかよ、無敵じゃねぇか!」

「ちっ、黙ってろクソ髪」

 

 今のでそこまで察してくれるとは、流石は愛しのマイダーリン。切島君、注目する所はそこじゃないんだよなぁ。

 

「おりゃりゃりゃりゃ!!」

「ふんっ!」

「ウボォっ!!」

「「「雪花(さん·ちゃん)!!」」

 

 雪拳の連打や雪玉の連続投射で、時間切れを狙ったんだけど、その前に一瞬で詰められて、遠慮無しの腹パンが刺さりましたよ。服の下に雪固めておいたのに、それも透かして地肌に直かよ。ヤバ、お昼のカツ丼が飛び出そう。

 

「POWERRRRR!!」

 

 ポーズ決めんのはいいけど、取り敢えずズボン履いて。言っとくけど、かっくんの方が立派だかんな。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「···実践的次世代ヒーロー育成プロジェクト·····」

「はい、オールマイト、不世出であり絶対的な平和の象徴。彼のお陰で、私達は今、平和な世の中を生きられている。ですが、彼は長く君臨し過ぎてしまった。最早、彼無しでは立ち行かなくなる、そんな未来も遠くないかもしれません。故に、我々はオールマイトから卒業しなくては、とヒーロー公安委員会は考えております」

「それで、この計画の中身は?」

「先程映像で見てもらった、仮免取得試験での受験生の動き。アレが、今のヒーロー社会の現状です。強いヒーローに任せればいい、オールマイトが駆け付けて解決してくれる。そんな意識が、下位中位のプロヒーローに蔓延しております。

 故に、自分の、自分達の力で解決するという考えを身に付ける為に、プロとしてデビューする前の学生に、外部の助けが難しい離島等で、期間限定のヒーロー活動をして行ってもらい、オールマイト卒業の第一歩としたい。それのテストケースとして、雄英高校ヒーロー科一年AB両組に、プロジェクトへの参加をお願いしたいのです」

「分かりました。この場で判断は出来ませんので、校長や他の教師と話し合いの後、近日中にお返事させて頂きます」

「どうか、よろしくお願いします、アイスメ···いえ八木先生。では、我々はこれで」

 

 

 




評価と感想をよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。