「ウボォっ!!」
「「「雪花(さん·ちゃん)!!」」」
教室でインターンについての座学だった筈の、今日のヒーロー基礎学。なのに何故、私が体育館γで雄英ビッグ3の一人、"ルミリオン"こと通形ミリオ先輩に、皆に見られながら腹パンされているのかというと、
「前途ーー!!!」
「···多難、て返せばいいんですか?ミリオ先輩」
「ありがとう、八木さん。ツカミを大失敗する所だったよね」
「···前二人の段階で、既に大失敗してますよ」
相澤先生がインターンの説明で、現在インターンに行っている生徒を呼んだ。そのメンツが、まさかの雄英ビッグ3。雄英高校全生徒のトップに君臨する人達だ。
どんな話が聞けるのかワクワクしてたけど、天喰環先輩は、「帰りたい······!」なんて言って黒板に向き合うし、波動ねじれ先輩は、インターンについて話に来た筈なのに、興味のままに皆に質問しまくっている。
そして、安心してと言った大トリの通形ミリオ先輩はこれである。あのかっくんですらポカーンなのだから。
「雪花さん、お知り合いなのですか?」
「お父さん繋がりでちょっとね~」
これが、あの人の教育の賜物なのか疑問である。
「まぁ、皆いきなり現れて何が何やらだよね。と言うわけで、八木さん、俺と戦ってみようよ!!」
「はいっ?!」
「口で説明するよりも、俺達の経験をその目で見てもらった方が合理的でしょう!?どうでしょうね、イレイザーヘッド!」
「好きにしな」
「私に拒否権は??!」
「ついでに、体育祭三年生優勝者と一年生優勝者で雌雄を決しようか」
「時間が惜しい、全員さっさと体育館γに移動しろ」
「無視??!?!」
こんな感じで、私とミリオ先輩が一騎討ちする事に。
「頑張れー、雪花!」
「勝って、明日から雪花がビッグ3の一員だよ!!」
「三奈も透も、好き勝手言ってくれちゃって」
「···雪花、勝てんのか?」
ジャージに着替えて柔軟をしながら、呑気な事を言っている三奈や透に苦笑してると、かっくんが真剣な顔で聞いてきた。
「去年の今頃、ミリオ先輩は私に手も足も出なかったよ」
「···どん位だ」
「殺さないと勝ち目無し」
「ど、どういう事ですの?」
「見てれば分かるよ。誰も彼もがって訳じゃないけど、これがインターンが秘める可能性だって事を。お待たせしました、ミリオ先輩」
「よし、じゃあやるとするんだよね」
「では、お手柔らかにっ!!」
不意打ち気味に、ミリオ先輩の真上から巨大な雪玉を落とす。
「いきなりなんだよね」
「「「「「「キャーーーー!!!」」」」」」
「ああ、失敬。って、服の中に雪が入って冷たいんだよね!!」
砕ける雪玉の中から現れたのは、衣服を全く身に付けていない全裸のミリオ先輩。女子陣から悲鳴が上がるけど、これで、ミリオ先輩の個性についてはある程度察しつくんじゃないかねぇ。
「次は、こっちの番なんだよね」
「···そこっ!そぉい!!」
沈むように地面に消えるミリオ先輩。予想通り、私の真後ろへ地面から飛び出す様に現れた所へ雪拳を振り下ろす。その拳は、何の抵抗もなくミリオ先輩の体をすり抜け、地面を砕く。
「···透過の個性か」
「かっちゃんもそう思う?でも、今の、八木さんの後ろにワープしたのは、個性の応用なのかな。一体どんな原理で」
「俺みたいに、個性の複数持ちって訳じゃないのか?」
「だったら、地面潜って飛び出す何て無駄な動きをする必要がねぇよ。多分だが、透過してる時に個性解除したなら、埋まるんじゃなくて弾き出されるんだろうよ」
「こっちの攻撃は全部透かされて、あっちは縦横無尽に好きなとこに行けるのかよ、無敵じゃねぇか!」
「ちっ、黙ってろクソ髪」
今のでそこまで察してくれるとは、流石は愛しのマイダーリン。切島君、注目する所はそこじゃないんだよなぁ。
「おりゃりゃりゃりゃ!!」
「ふんっ!」
「ウボォっ!!」
「「「雪花(さん·ちゃん)!!」」
雪拳の連打や雪玉の連続投射で、時間切れを狙ったんだけど、その前に一瞬で詰められて、遠慮無しの腹パンが刺さりましたよ。服の下に雪固めておいたのに、それも透かして地肌に直かよ。ヤバ、お昼のカツ丼が飛び出そう。
「POWERRRRR!!」
ポーズ決めんのはいいけど、取り敢えずズボン履いて。言っとくけど、かっくんの方が立派だかんな。
▼▼▼
「···実践的次世代ヒーロー育成プロジェクト·····」
「はい、オールマイト、不世出であり絶対的な平和の象徴。彼のお陰で、私達は今、平和な世の中を生きられている。ですが、彼は長く君臨し過ぎてしまった。最早、彼無しでは立ち行かなくなる、そんな未来も遠くないかもしれません。故に、我々はオールマイトから卒業しなくては、とヒーロー公安委員会は考えております」
「それで、この計画の中身は?」
「先程映像で見てもらった、仮免取得試験での受験生の動き。アレが、今のヒーロー社会の現状です。強いヒーローに任せればいい、オールマイトが駆け付けて解決してくれる。そんな意識が、下位中位のプロヒーローに蔓延しております。
故に、自分の、自分達の力で解決するという考えを身に付ける為に、プロとしてデビューする前の学生に、外部の助けが難しい離島等で、期間限定のヒーロー活動をして行ってもらい、オールマイト卒業の第一歩としたい。それのテストケースとして、雄英高校ヒーロー科一年AB両組に、プロジェクトへの参加をお願いしたいのです」
「分かりました。この場で判断は出来ませんので、校長や他の教師と話し合いの後、近日中にお返事させて頂きます」
「どうか、よろしくお願いします、アイスメ···いえ八木先生。では、我々はこれで」
評価と感想をよろしくお願いします。