八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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閑話「父親」

 

 

 

「いつも、娘の面倒を見てもらってすまないね」

「その言葉は妻に言え」

「でも、訓練とかに付き合ってくれてるんだろ?娘が言ってたよ、僕より君の方が教え方が上手いって」

 

 後片付けを終え皆が寝静まった頃、屋敷の縁側にオールマイトとエンデヴァーの姿があった。二人の間には、ビール瓶二本とBBQの残りで嫁が作った酒の当てがある。

 

「教師になるのは、やはり、衰えが進んだからか」

「···ああ。流石にこの歳になると、顕著になってきたよ。昔なら、5秒で行けていた距離が20秒もかかる様になってしまった。一発で十分だったのが、五発も必要になってしまった。奥さんや根津校長に話を貰ったのは、そんな時だった。そろそろ、後進を育てる方にシフトしてもいいんじゃないかってね」

「···15年前のあの日、AFOを打倒して以降、敵犯罪の質は確実に下がった。大規模犯罪を計画実行するような組織は、殆ど残っていない。時折、残党共が少人数集まって何かする程度だ」

「うん、AFOの息がかかってそうな所は重点的に潰したしね。それに、荼毘やホークス、トムラといった力のある若手も台頭してきた。僕もそろそろ、バトンタッチをする時が来たって事さ」

 

 そう言って、コップに入ったビールを一息に飲み干すオールマイト。かつては憧れ、妬み、憎み、巨大に見えていたその背中が、肉体が、今は自分と同じ位に見えた。

 

「後の事は君に託すよ、No.2」

「黙れ、No.1。俺はお前から託されるんじゃない、俺が貴様から奪い取るんだ」

「HAHAHA!それでこそ、炎熱ヒーロー"エンデヴァー"だ。で~、ちょっと話は変わるんだけど······」

 

 さっきと打って変わってモジモジしだすオールマイト。大の男がすると、気色悪くて目も当てられん。

 

「···何だ」

「年頃の女の子と一緒に暮らす上で、注意する事ってあるかな?校長の計らいでさ、教員専用マンションの1フロアぶち抜いてさ、家族で生活出来る様にしてくれてさ、漸く雪花と一つ屋根の下で暮らす事が出来るんだけどさ···思春期の女の子を持つ父親って大変だってよく聞くじゃないか。だから、その方面では先輩である君にアドバイスして欲しいんだ」

「······俺は、余り参考にならんぞ。冬美はそういうのは無かったからな。それに、妻が上手くやってくれていた」

「そっか···デイブもそう言ってたなぁ」

「···洗濯物は、出来れば妻や娘とは分けてやれ。女性物の下着は洗うのに色々あるらしい。消臭スプレーも常備しておけ。取り敢えず、脱いだらスプレーしておけ。仕方のない事だがな、加齢臭は···」

「···やっぱり、言われるのかい」

「妻や子供らは言わんが···バーニンがよく、な。自分ではよく分からん。香水で誤魔化すのは悪手だ、よりひどくなるらしい」

「なるほど」

「大の大人二人が、真剣に何を話しているのかと思ったら」

「オールマイトも、親としては新米って事ね」

 

 互いの愛するパートナーが、追加のおつまみとお酒、自分達のコップを持って、呆れ顔で立っていた。

 

「とても重大な事だと思うけどね、義兄さん」

「貴様に義兄と呼ばれる筋合いはない!!」

「妹の旦那なんだから、筋合いはあるわよ?」

「流石に、一回り以上離れた年上の義弟とか嫌だと思うわよ。特に相手がこの人だったら」

「冬花さん、ひどくない!!」

 

 翌日から、ホームセンターで熱心に消臭スプレーを物色するNo.1の姿が目撃される様になったとかならなかったとか。

 

 

 

 

「じゃあ、私達は先に出るから、戸締まりとかはお願いね」

「遅刻せずに来るんだよ」

「は~い、行ってらっしゃい」

 

 合格発表から一月ちょい。引っ越しやら、提出書類やら、訓練やら、卒業式やらであっという間に雄英入学式の日を迎えました。

 ここから始まる雪花伝説に好御期待!!

 

 




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