八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第七十二話「八木雪花と演し物決めとお化け談義」

 

 

 

 

「おっパブ!!!!」

「最低よ、峰田ちゃん」

 

 文化祭の演し物について話し合っている私達A組。

 ある意味、平常運転な提案をして、梅雨ちゃんに天井吊りされる峰田君。例え実現したとしても君、スタッフ側だから、他人が触ったりなんだりしてる所を眺めるだけだよ。

 

「はいはーい、俺メイっ!!」

「それ以上口を開いたら、分かってるよね、バ上鳴」

「ひゃっ、ひゃい、耳朗様」

 

 目にも止まらぬ早さで、イヤホンジャックを伸ばして上鳴君を締め付け、眼前にジャックを突き付ける響香。エロバカ二号は奥さんに任せて、放っておきましょう。

 

「気、気を取り直して、案を出していって下さい」

「うむ、やれそうかどうかは、案が出きってから考える事としよう」

「だから、おっ」

「はいはい、黙っていようね~。私は、オールマイト展が良い!!」

 

 実の娘である私と、自称"オールマイト名誉ファン一号"なサーナイトアイさんの所に、インターンに行ってるオールマイトフリークな緑谷君が居るんだから、良いものが出来る筈。

 

「私、お化け屋敷!」

「お餅屋!」

「蕎麦屋」

「ど、動物喫茶なんてどうかな···」

「脱出ゲームとかどうかな?」

「皆で踊りたーい!!」

 

 皆、思い思いの案を出していく。しかし、お茶子と焦凍は自分が食べたいだけでしょうに。

 

「案も出揃いましたので、不可能な物や実施の難しい物を削っていきましょう」

「じゃあ、取り敢えず喫茶系は無しじゃない?多分、砂藤君におんぶにだっこだよ?砂藤君と私らじゃ、確実にクオリティに差が出るだろうし。口田君の動物喫茶も、口田君頼みだし、衛生面とかを考えると難しいと思う。それに、何かヒーロー科は飲食系を避けるのが暗黙の了解らしいよ」

「そういえば、燈矢兄や萌義姉さんがそんな事言ってたな」

「うん、後お化け屋敷も無しで。心操君のクラスがお化け屋敷やるらしいから、ヒーロー科以外の科が主役の文化祭で、態々被らせるのもちょっとね」

「となると、脱出ゲームも外しといた方が無難じゃね?どっかのクラスがやるって聞いたような気がするし」

「ふむ、では残っているのは展示系とダンスという所か」

「私考えたのだけど、展示系だと私達のアピールに繋がらないと思うの」

「うむ、梅雨の言う通りだな。幾ら他科が主役と言えど、俺達がひっそりとしていなければならない理由にはならない筈だ」

「インターンの事とか考えると、私達もインパクト残したいもんね」

 

 やんややんやと意見が飛び交い、皆の案にどんどん斜線が引かれていく。そして、

 

「残ったのは、芦戸君のダンスか」

「やったー!皆をバリバリ指導しちゃうよー!!」

「ん~、でも何か物足りねぇよな~。あ、そうだ耳朗!バンドやろうぜ!!生バンドでダンスとか超良くね?!」

「はっ?!?なに言ってんの、刺すよ?!」

「良いじゃん良いじゃん!キラキラーとかドカーンとか、色々演出したりしたら凄そう!!」

「じゃあ、ダンス班とバンド班に演出班の三グループに別れる感じかな。ダンス班リーダーは三奈、バンド班リーダーは響香で決まりとして、演出班は誰がリーダーやる?」

「ちょっ!ウチまだやるなんて···趣味でやってるだけだし、そんな人前で見せられる様なもんじゃ」

「んな事ねぇって!!前、お前ん家で聞いた演奏、俺めっちゃ感動したんだぜ!!それに、教えるのも上手なのは、俺が保証するって!!」

「うえっ!?!」

 

 何やら、とっても興味深い事を口走りながら、純粋無垢な褒め言葉を、ズイッと顔を近付けて響香に言い放つ上鳴君。おっほっほっほっ、響香が乙女の顔をしておられる。

 

「なっ!!お前の音楽を、来てくれる奴全員にぶつけてやろうぜ!!」

「···ぅぅ、あーーもう!!」

 

 髪をわしゃしゃして、地面に向かって大声を出す響香。

 

「ここまで言われてやらないのも、ロックじゃないよね。でも、やるからには生半可な物じゃ許さないからね」

「おっしゃーー!!」

「···たくっ」

 

 頭の後ろで手を組んで、照れ顔浮かべながら覚悟を決めた言葉を口にする響香。無邪気にはしゃぐ上鳴君を見る目は、とても女の子でした。後で現像しとこ。

 

「よし、では我らA組は生演奏とダンスで決まりだ!皆、素晴らしいものを提供しよう!!」

「「「「おーーー!!!!」」」」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「へー、A組はバンドとダンスなんだ、楽しそう」

「B組は何するの?」

「私らは演劇。物間が気合い入れて台本書いてるよ。何でも、完全オリジナル超ファンタジースペクタクル感動巨編に仕上げるんだってさ」

「それで、そんな物間君の為に、演劇の資料を探しに図書室へ向かう一佳ちゃんなのですね~、愛されてますな~」

「違う違う、そんなんじゃないって。クラス皆で作り上げるんだから、物間一人に任せてちゃダメってだけだから」

「ヌルフフフフ、そういう事にしておいてあげましょう」

 

 昼休憩、借りてた本を返しに図書室に向かってると、同じく図書室に用事のある一佳と出会したので、情報交換しつつ一緒に歩いている。一佳も、健気よのぅ。

 

「ん?あの二人って···よっす、お二人さん」

 

 図書室に入ると、奥の読書スペースで隣合って座る、見知った男女の背中があった。

 

「ん?ああ、八木さんか」

「一佳もお疲れ」

「やっぱ、心操君にレイ子だ。珍しい組み合わせ」

「雪花に同意。えっ?二人ってそういう関係?」

「何を想像してるか推測出来るけど、違うから」

「文化祭の件で、柳さんにアドバイス貰ってるだけだ」

「ああ~、ホラーならレイ子の独壇場だもんね」

 

 机の上に広げられた、妖怪やら怖い系の伝承やらが書かれた本を指差しながら言う心操君。レイ子、ホラーには煩いからねぇ~、相談するにはうってつけの相手か。

 

「うむうむ、B組女子も順調にフラグを立てて、善きかな善きかな」

「だから、違うって。ほら、邪魔だからどっか行って、シッシッ」

「ええ、後はお若い二人に任せて、行きましょうか一佳さん」

「あはは、じゃあ、また後でね」

 

 レイ子のジト目を背中に受けながら、用事を済ませて図書室を後にする。良いネタ仕入れちゃった、響香の事情聴取のついでに共有しなきゃね。

 

 

「悪いな、俺が頼んだばかりに」

「気にしないで。あの浮かれポンチは、何でもかんでも恋愛に結びつけたがるのが癖だから。それに、私みたいな根暗なんかと噂になったら、それこそ、こっちがごめんなさいしなきゃ」

「柳さんと噂になるなら光栄だけどな」

「はっ??···アンタって、そんなキャラだったの?」

「そんなってどんなキャラだよ。別におかしな事は言ってないと思うけど。柳さんみたいな可愛い子と噂なるなら、誰だって嬉しいだろ」

「ッ~~!!」

「じゃあ、続き頼む」

「···う、うん」

 

 

 

  ▼▼▼

 

 

 

「あれ?レイ子、顔真っ赤だけどどうしたの?」

「······一佳、私にはまだ早いみたい」

「え?レイ子?レイ子ー!?!」

 

 

「さて、キリキリと吐いて貰おうか」

「隠し事は、響香ちゃんの為にならないよ」

「カツ丼、食べる?」

「ヤオモモー!お茶子ー!助けてー!!」

 

 

 




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