「1·2·3、1·2·3、1·2·3」
中央で、リズムに合わせて優雅にステップを踏む二組のペア。
「はい、これがクローズドチェンジ及びボックスという動きになります。ありがとうございました、轟君、八百万さん、宍田君、八木さん」
プロムに向けてのAB合同ダンスレッスン。
焦凍が百と、私が宍田君と組んで、見本として踊った。こら、"んなの、俺でも出来るわ!"って顔で宍田君睨むな。見様見真似でお手本になるか、馬鹿。
「では、皆さんもやっていきましょうか。ああ、既にパートナー登録をされている、する予定の人はペアになって下さい。そうでない人は、此方で指示しますので」
申し込み済みなのは、私·かっくん、百·焦凍、お茶子·緑谷君、唯·砂藤君、一佳·物間君、茨ちゃん·鉄哲君、切奈·骨抜君の計七組か。さて、私らの要望はどの様になったのだろうか。
「では、芦戸さん·切島君、蛙吹さん·常闇君、葉隠さん·尾白君、耳朗さん·上鳴君、小森さん·黒色君、角取さん·鎌切君、柳さん·飯田君、香山先生·凡戸君、黒瀬先生·障子君でペアになって下さい。残りの男子は、順次ローテーションしますので待っていて下さい」
「くぅーー!!オイラは誰と踊れるんだ?!授業だから触れ合っても文句は言われねぇし、ダンスレッスン万歳だぜぇ」ジュルリ
「ああ、峰田君のパートナーはこの子です」
ドンっと、お母さんの氷拳で運ばれてきた金属製の箱。その中には、峰田実専用という文字の書かれたロボが鎮座していた。
「···八木先生、これは······」
「女子全員からの要望です。サポート科に依頼して作成して貰った、初心者からプロにかけて幅広いレベルに対応した社交ダンス練習ロボです。これを機に、自分の言動と行動を省みなさい。抗議は受け付けませんので」
「ちくしょーーーーー!!!!!」
ふっ、悪は滅びた。
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「流石に、お前のキャラデザじゃ手が届かねぇだろ、峰田」
「ちくしょーーーーー!!!!!」
本日二度目となる峰田君の絶叫。
学校から楽器を借りて、バンドメンバーの選出をしている私達。編成としては、ギター2、ベース1、シンセ1、ドラム1との事。
そして、女子にモテるのはギターだろって真っ先に立候補した峰田君。案の定、弦に手が届いてないので論外であった。そんな峰田君を放っておいて、メンバーを決めていく。
ベース兼ボーカル響香、ギター1上鳴君、シンセ百まではすんなり決まった。ドラムは、一度も触った事ない癖に完璧な8ビートを刻んだかっくんを、宥めて煽てて上目遣いして後で私の体を差し出す事を条件に漸く承諾させた。この爆発エロ小僧め。
「そういえば、昔ギターをやっていたって、常闇ちゃん言ってなかったかしら?」
「···ああ、Fコードで一度手放した身だがな」
「これを機に、もう一度挑戦してみるのはどうかしら?常闇ちゃんがギターを弾いている所、私見てみたいわ」
「···そこまで言われてはな。耳朗、一度投げ出した軟弱者だ、指導を頼む」
ナイス梅雨ちゃん。
これで、バンド班は決まった。次は、ダンス班と演出班。まぁ、人数的にダンス班演出班を兼ねる人もいるだろうし、最後は絶対皆で踊る事にすると、ダンス班リーダーが言うので、取り敢えず、演出班のリーダーとサブ二人を決める事に。
「じゃあ、俺が演出班のリーダーやるわ。その方が、芦戸と連携も取りやすいだろうしな」
「俺も、演出班で」
「ぼ、僕も」
ほう、それは男子の中で一番三奈と仲が良いという牽制かな?切島君。まぁ、んな事はないだろうけど、リーダー切島君、サブに焦凍·口田君で決定。
「陣容は決まったな。では、予定通り、来週までにリーダー同士で話し合って曲等を決めて貰い、来週から本格的に練習開始だ!」
「「「おおーー!!!」」」
「けっ、勝手にやってろ···」
「ダンスの途中に、峰田君のハーレムタイム用意してもらうって言ったら、やる気でる?」
「オイラやるぜぇーー!早く文化祭来ねぇかな!!」
いじける峰田君にそっと耳打ちする。性癖はともかく、身体的特徴でってのは可哀想だからね、こん位の飴はあげても良いでしょ。
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「たく、あんなクソブドウ放っときゃいいだろうが」
「何?私が峰田君に鞍替えすると思った?」
「違ぇよ、んな事微塵も思うかよ」
手を頭の後ろで組んで枕にしてるかっくんの、ちょっとムスッとした頬っぺたを指先でツンツンする。
え?ここが何処かって?私の家の私の部屋の私のベッドの上ですが何か?当然、私もかっくんも素っ裸ですが何か?戦い終えてピロートーク中ですが何か?!
「···何かあった?」
「何もねぇよ」
「···ドラム、本当はやりたくなかった?」
「んなら、端からやってねぇわ」
「···私と一緒にダンスしたかった?」
「プロムので十分だわ」
「そこは、うんと言って欲しかったなぁ」
「知るか」
「···もしかして、私が皆の前で踊って愛想振り撒くのがイヤ、とか?」
「······」
「え?ガチ?大当たり?!アッハッハッハッ!!ちょっとご機嫌斜めな理由がそれぇ!?!」
「笑ってんじゃねぇ!!」
「だって、だってぇ!!インターンで、何も出来ずに打ちのめされて落ち込んでるのかなぁとか内心思ってたのにプックックッ!」
枕をバンバン叩きながら、腹が捩れる位大爆笑する。私の彼氏可愛すぎかよ。
「チッ、また仮免試験時みてぇなバカな連中が増えんのが面倒ってだけだ」
「はいはい、そういう事にしといたげるブフッ!」
「いい加減笑いやめや!」
「んな事言ったって無理だってイッヒッヒッヒッ、ってこらっ!何しようとしてんの!?平日は三回までって約束でしょ!!?いつの間に着けて臨戦態勢なったのよ!んんっ?!?!この···エロかっくんあっ!!」
その後、かっくんの気が済んで解放されるまでに、ゴミ箱にあるかっくんの分身が貯まったゴム製品が三つ程追加されたのでした。
取り敢えず、一週間本番禁止令出す。えっ?Hな事自体禁止にしないのかって?解禁後に私に死ねと?
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「なぁ、耳朗。ここの部分て、どうすりゃスムーズに弾けっかなぁ」
「どれ?ああ、ここね。貸して、ウチはこういう感じでやってるけど」
「おお、なるほど!サンキュー」
「ん、後は数こなしな。お待たせ、常闇」
「いや、いいんだが······お前はいつも、そういう風に教えているのか?」
「え?そういう風って?」
「上鳴の足の上に座って、だ」
「ああ、コイツ正面でやって見せても全然理解しないからさ、アレが一番手っ取り早かっただけ」
「···そうなのか」
何でもない風に言う耳朗。無邪気に反復練習する上鳴。 次から休日練習には、梅雨に同席を頼むか。
耳朗は、上鳴の足の上に座ってギターを構え、上鳴の手を自分の手に重ねさせて実演していています。それを、目の前で見せられた常闇君の内心やいかに。
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