八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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3月5日お昼のワイ

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25位:八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録
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皆様、これからもどうか本作をよろしくお願いします。



第七十六話「雄英文化祭 その2」

 

 

 

「プッ!コレとか上鳴っぽくない?」

「いやいや、俺もっと格好いいって、響香さんよぉ」

 

 何となく足を向けたフリマエリアで、変な顔した猿の人形を俺の前に掲げて笑う耳朗。

 

「いやいや、ウェイした時のアンタそっくりだってwww」

「いやいや笑いすぎだから」

 

 まだ、バンドの興奮が冷めないのか、いつもよりハイテンションで、いつも以上に可愛く見える。

 

「あ~おっかし、おじさんコレ幾らですか?」

「ソイツは500円だな。まいど」

「はい、今日まで頑張ったご褒美に、ウチからのプレゼント」

 

 店の人に五百円玉を支払い、その猿の人形をポンと俺の手に乗っけてきた。

 

「俺の頑張りは五百円ですか」

「調子に乗って、本番で変なアドリブ入れた分減額」

「耳朗だって、アレンジ入れてたじゃんか」

「ウチは、皆に影響が出ない様にやったから」

「何だよそれ~」

「ほら、次どこ行く?ウチ、何か甘い物が食べたい気分なんだけど」

「···はいはい、分かりましたよ。指導やらなんやら頑張った耳朗様に、私めから甘味をご馳走させていただきます」

「やった」

「あ、言っとくけど、一個までだかんな!」

「え~、ケチ臭い」

「ケチで結構。売り切れで店畳み始める前に、さっさと行こうぜ」

「あ、ちょっ、手ぇ!」

「気にしない気にしない」

 

 

「若いっていいねぇ。帰りに、母ちゃんに何か旨いもんでも買って帰るか」

 

 手を繋いで去っていく二人の背中を見ながら、家にいる妻の事を思い浮かべる店主であった。

 

 

「あ、びっくりハウス行こうぜ」

「絶対ヤダ!!!」

「いや、行こう!響香ちゃん!!」

「うわ!どっから出てきたの透!!」

「上鳴君、ジャックは私が持っとくから、響香ちゃん抱えてレッツゴーだよ!!」

「おっしゃ任せろ!!」

「ヤダヤダヤダーー!!!尾白!見てないで止めてよ!!」

「えぇっと、うん、ごめん。俺、今日は葉隠さんの言いなりだから」

「いやだーーーー!!!」

 

 

 

「「うおおおおお!!!!」」

「頑張れ、切島ー!!」

「負けないでください!徹鐵さん!!」

『さあ!試合も大詰め!!相手より先に風船を破裂させ、愛する彼女を守れるのはどっちだーー!!』

 

 檻の中で声援を送る芦戸三奈と塩崎茨。その頭上で、大きく膨らむ巨大風船。膨らますのは、切島鋭次郎(茨風船)と鉄哲徹鐵(三奈風船)。

 

「茨ーー!!お前が大好きだーーー!!!」

 パァン!!

『勝者、鉄哲徹鐵ぅぅうう!!!!』

「茨、待たせたな」

「徹鐵さん、勝つと信じておりました」

「茨!」

「徹鐵さん!」

「ちくしょう!またアイツに負けた!!俺とアイツの差はなんなんだ!!」

「守りたい誰か、それが明確な俺と、曖昧なお前の差だよ」

「俺が···曖昧」

「誰かを守れるヒーローになる。それと同時に、茨を守れる俺でありてぇ。これが、俺の芯だ。テメェはまだ、守りたい誰かが見えてねぇんだよ!立てよ、お前は俺のライバルだろうが!!」

「鉄哲!!」

「意味分かんないやり取りで盛り上がってないで、私助けろーー!!!」

 

 

 

「常闇兄上、いつ姉上と交際を始められるので?」

「ブッ!···突然何を言う、五月雨」

 

 俺は、梅雨と文化祭に来ていた梅雨の弟妹、五月雨とさつきと共に回っている。丁度、梅雨がさつきのトイレに付き添って離れ、五月雨と二人きりになった時に、唐突に先の言葉を言われた。リンゴジュースを、思い切り吹き出してしまった。

 

「常闇兄上、姉上は僕達にとって姉であり親です。仕事で忙しい両親の代わりに、昔から僕達の面倒をみてくれていました。その所為で、友達と遊ぶ処か、友達すら殆どいませんでした。そんな姉上が、雄英に入学してから、嬉しそうに友達の話を聞かせてくれるのです。特に、常闇兄上、貴方の事を」

「···そうなのか」

「はい、そうなのです。ですので、是非常闇兄上には、姉上と添い遂げていただきたいと、妹共々願っているのです。常闇兄上は、姉上をどう思っておいでですか?」

「俺は······」

「おまたせしたわ、常闇ちゃん。五月雨、常闇ちゃんに迷惑かけてないかしら?」

「いえ姉上、常闇兄上と楽しくお話しておりました、ねぇ」

「ああ、安心しろ、梅雨。お前の弟なだけはあったぞ」

「そう、それは良かったわ。じゃあ行きましょうか」

 

 嬉しそうに微笑んで、さつきの手を引いて歩き出す梅雨。あんな話をされた直後だったからか、その笑顔がいつも以上に輝いて見えた。

 

「次まみえる時は、姉上の恋人としてお会い出来る事を、願っております」

「···努力はしよう。未熟な俺には、それ以外の言葉は紡げん」

「それで、僕達は満足です、兄上。今は、ですけど」

 

「おにいちゃんたちは、なにおはなししてるのでしょう」

「さあ、後で聞いてみましょうか、ケロケロ」

 

 

 

『ふむ、つまり、"ヒーロー"という制度を撤廃し、新たな仕組みを作りたい。議員はそうお考えでよろしいかな?』

『大枠はその様なものです。まずは、都市部に一極集中化している現状を打破するため、都市で手持ちぶさたなヒーロー達を、手の足りていない地方へ、政府の権限で配置出来るようにしたい。

 次に、ヒーローという個人事業主ではなく、各々特性や希望で、警察官や消防士等の公的機関の職員に。これで、歩合制の格差ある収入と無用な縄張り争い、落ちぶれてヴィランになる事をなくしたい。

 そして、最終的には、ヒーローという物を職業ではなく偶像に戻してしまいたい。

 個性黎明期の動乱期において、貴方はまさしく希望でした。貴方のご活躍のお陰で、今日の平和があります。貴方でなければどうしようもない事件が多々あったでしょう。しかし、昨今のヴィラン犯罪や災害救助等、貴方でなければならない事象は殆どありません』

『平和の象徴は、もう不要という事かい?』

『象徴に依存する社会からは、卒業しなければならない時が来ている、そう思っています。それは、貴方がこの世を去るという強制ではなく、我々の意思でしなければならないとも』

『私からの卒業···か』

『我々は、貴方に言わなければならないのです。"もう頑張らなくていい、休んでいい"と。貴方が築きあげ、支えてきた物を、我々皆で支えるから、と』

『···なるほど。私の立場では、支持も不支持も示す事は出来ない。だが、良い話を聞かせて貰ったよ。今日はありがとう、赤黒議員』

『いえ、貴方が居たからこそ、私はここに居るのです』

 

 壇上で握手をする二人を、大きな拍手が包んだ。この日、人々の意識は微かにでも、確かに変化したのだった。

 

 

「オールマイトからの卒業か~、柔造はどう思う?」

「···遅かれ早かれ、そういう日が来るんだろうなってのは思ってたよ。でも、議員の話を聞いて、やっぱり"もう大丈夫、何故って?俺達が居るから!"って送り出してあげたいよな」

「···そうだね」

「いっそ、全世界に呼び掛けて、オールマイトの卒業式でもやってしまうか?なぁ、切奈」

「それ、すっごい良いと思う」

 

 

 

 




ステインじゃない赤黒さんのキャラは難しい。自分の表現力の限界ががが。

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