八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第七十七話「雄英文化祭 プロムナード」

 

 

 

 

「一曲、よろしいですか?」

「ええ、喜んで」

 

 

 有名オーケストラの演奏に合わせて、お父さんとお母さんを中心に、教職員によるダンスをオープニングセレモニーとして、プロムナードの開催宣言が行われた。

 校長とリカ婆のキレッキレなダンスに驚愕したり、ミッドナイトと踊るマイク先生に嫉妬の視線を向ける男子生徒諸君を嗤ったり、我らが相澤先生と踊る13号先生の、隠してるつもりで隠しきれていない乙女な顔にニヤニヤしたりと、初っ端から楽しませてくれますねぇ。

 

「雪花、アンタまたろくでもない事考えてるでしょ」

「失敬な、13号先生の恋をどういじゴホンゴホン、応援していこうか考えてるだけですよ、流子さん」

「まぁ、程々にね。消太は手強いから」

「その時は、協力よろしくお願いします、白雲さん」

 

 バーテンダー的な感じで、ドリンク(アルコール皆無)の提供をしている白雲さんとお手伝いの流子さん。ドヤ顔で寝ている白雲さんの頬っぺに、チューしながらの自撮り写真(恐らく二人とも全裸)が送られてきた時は、度肝を抜かれたけど、目出度い事なので超高級マタタビをプレゼントしておいた。何故か、マンダレイとかラグドールの方がゴロニャンしたらしい。

 

「ここにいやがったか、雪花」

「お帰り~、緑谷君はバッチし決まった?」

「いい加減、ネクタイぐれぇ綺麗に巻けるようになれや、クソデクの野郎」

 

 不格好なネクタイの巻き方をした緑谷君を見兼ねて、恐喝指導してた白スーツに赤シャツ姿のかっくんが戻ってきた。うん、どう見てもヤの付く自営業の人にしか見えん。

 因みに、私は薄水色のマーメイドラインのレンタルドレス。ただし、どこかの誰かさんのせいで、胸元とか首元、背中がしっかり布で覆われた完全防備タイプでござんす。

 

「おい、行くぞ」

「···もっと相応しい言葉があるんじゃない?」

「···チッ、Shall we dance?」

「苦しゅうない、とく案内せよ」

「おいテメェ!!」

「あっはっはっはっ!!」

 

 差し出された右手に手を乗せ、お父さん達が捌けたダンスフロアに向かって進む。さぁ、皆に見せつけてやろうかねぇ。

 

 

 

「凄いな」

 

 それは、まさしく圧巻であった。

 沢山のペアで溢れているフロアで、一際目を引く三組のペア。

 荒々しくも情熱的に、互いに自分が上だと争う様に踊る爆豪八木ペア。

 優雅で洗練され、互いを引き立てあいながら高みへと昇っていく轟八百万ペア。

 そんな二組に負けず劣らず、されど相手を、周りを楽しませようという余裕に溢れた通形メリッサペア。途中、近くで踊っていた、ガッチガチの緑谷麗日ペアと、踊りながらパートナーを入れ換えて、緊張をほぐしながら指導する場面もあった位だ。

 

「···妻にも、見せてあげたかったよ」

「デイヴ···」

「なら、貴方が語って聞かせてあげなければいけませんね、デイヴさん」

「ああ、そうだな」

 

 通形君と楽しそうに踊るメリッサ。時々イタズラを仕掛けて、通形君を困らせようとするのは妻そっくりだ。カップル偽装をしていると説明を受けたが、娘も満更ではないのかもしれない。もしかしたら、もっと良い話を、亡き妻にしてあげられるかもしれないな。

 音楽が鳴りやみ、一礼をして、通形君にエスコートされながら此方に向かってくる愛娘を見ながら、そんな事を思った。

 

「どうだった、パパ」

「ああ、凄かったよ。ママの若い頃そっくりだ」

「本当!」

「通形君も、娘の相手をしてくれてありがとう。今後も、娘の事をよろしく頼むよ」

「はい、お任せくださいなんだよね!」

「パパ、私と踊りましょ!その次はマイトおじさま!」

「ああ、いいよ。じゃあ通形君、少し間、パートナーをお借りするよ」

「ええ、楽しんできてくださいなんだよね」

 

 同じ様に娘に手を引かれてフロアに向かうトシと共に、娘とフロアへ歩みを進める。昔みたいに競うかい?なんて、ダンスなんて久しぶりなんだから、手加減してくれよ、親友。

 そうして、娘の腰をホールドして、ゆっくりとステップを踏む。かつて、愛する妻とそうしたように。

 

 

 

「やっぱり、練習とは別の意味で緊張したな。もう、足ガクガクだ」

「ん」

 

 一通り踊って、一息つくのと火照った体を冷ます為、会場外の、中庭風に花やらベンチやらが設置されたエリアに来ている俺と小大。ここ、変に照明が少ないのは、多分ミッドナイト先生の趣味だと思う。

 

「ん?」

「何でもねぇ。···それよか、その格好じゃ冷えるだろ。これ羽織ってろ」

「ん」

 

 ホルターネック?だっけか、それの真っ赤なドレスを着た小大。肩とか谷間とか背中とかガッツリ見えてるし、何なら横乳もチラッと。通りすぎる度にチラ見してくる野郎共を目で威嚇しつつ、然り気無くスーツのジャケットを小大に掛ける。

 

「文化祭も終わっちまったなぁ」

「ん」

「楽しい時間はあっという間。明日からテスト勉強、次は赤点取らねぇようにしねぇと」

「んん~、ん!」

「はいはい、現実に戻す様な事言ってすみませんでした」

「ん!」

 

 コテンと、俺の肩に頭を預けてくる小大。風に乗って、俺好みの香水の匂いが鼻を擽る。

 

「なぁ、小大。何で俺なんだ?正直、見た目はお世辞にも良い訳じゃねぇし、個性も言っちまえば緑谷の下位互換みたい奴だし、お菓子作りも趣味みたいなもんで、ヒーロー目指すにゃあんま関係ねぇ。自惚れだったら恥ずいけどよ、お前が好意を抱いてくれてる理由が、分からねぇんだ」

 

 最初は、ただ好物を使ったスイーツを作った男でしかなかった筈だ。なのに、何で俺が、

 

「·········私、にも···分からない。でも、貴方といると、こう胸の中がポカポカして。貴方の手は、とても力強くて、でもとっても優しくて。貴方の背中は、とても大きくて、とても安心できて。理由とか、上手く説明出来ない、けど、

 私、小大唯は、砂藤力道さんが、好きです」

「小大···ああ~、クソッタレ!女の子に言わせるなんて、やっぱカッコ悪いな、俺。···俺からも言わせてくれ、お菓子作りしか取り柄のない情けない俺だけど、

 小大唯さん、俺と、お付き合いしてください!」

「···はい」

 

 

 

「よ゛がっだね゛ーーゆ゛い゛ーーー」ズビー

「皆の者、祝杯じゃーーー!!!」

「「「YEAH!!!!」」」

「お前ら···」

「まぁまぁ、良いじゃないですか先輩。あ、次はチークだそうですよ、どうですか?先輩」

「···まぁ、今位は俺も羽目を外してやるか。行くぞ、亜南」

「···え?今なんと?」

「どうした?踊らないのか?亜南」

「は、はい!!」

 

 

 




ミリオ、お父さんに認知される
祝!砂唯成立
13号、名前で呼ばれる の三本でお送りしました。
次話で、もう何組か描写して、文化祭を終わりたいと思います。

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