「八百万とは、一回決着付けときたいなぁって思ってたけど、何で雪花までいるかなぁ」
「そこは、チーム分けした先生に文句言ってちょうだいな」
二回戦、B組は私、拳藤一佳·小森希乃子·黒色支配·吹出漫我。A組は、八木雪花·八百万百·葉隠透·常闇踏陰。正直言わせて、何故雪花と八百万を同じチームにした!?
状況に合わせて、何でも用意出来て指揮能力も高い八百万。ガチガチのオールラウンダー処か、文字通り一人軍隊で一騎当千な雪花。それに加えて、ダークシャドウと常闇の強力なコンビに、透明な葉隠を警戒しながらとか。
そして、何よりも厄介なのは、一緒に放課後自主連してるから、私らの手の内が全部雪花に筒抜けって事。
「だからって、白旗上げて降参なんて出来ない。みんな、やるよ!!」
「え、えげつねぇ」
「流石に、相手が悪すぎだぁな」
「お前の彼女、容赦無さすぎ」
「けっ、訓練で容赦してどうすんだよ、雑魚モブが」
「雪花を相手にするってそういう事だからな」
巨大スクリーンに映る光景に、数人を除いてドン引きしている。それは何故か、画面の向こうの景色が"真っ白"だからである。
「雪像を禁止しただけでは足りなかったか」
「後、人質や民間人も居る設定もいるな」
「娘が申し訳ない」
「担任の想定不足ですから、謝る事じゃないですよ」
スクリーンの向こう、戦場となっている運動場を見やる。ここからでも分かる位、荒れに荒れた猛吹雪。積雪1m越え、かの八甲田もかくやである。
「ゆ~きやこんこん、あ~られやこんこん、降っても降ってもずんずん積もる~」
「「「「···」」」」ガクガクブルブル
「あの···雪花さんがすみません」
「黒色、今度は一対一で雌雄を決しよう」
「降参···する?」
「「「「」」」」コクコクコクコク
▼▼▼
「······」
「何さ、焦凍。かっくんの出番何だから、言いたい事あるなら早くして」
「···お前がやり過ぎたせいで、引き分けだった」
「知らんがな」
毎回それでは、他の者の訓練にならんとお叱りを受けた私。三回戦を引き分けで終えて戻ってきた焦凍が、私に不満げな表情を向けてきた。
希乃子と黒色君を無力化出来るし、寒さで凍えりゃ声出せんし満足に動けん。戦わずしてヴィラン確保出来りゃ上等でしょうが。それで、焦凍が広範囲氷ぶっぱとか禁止になった所で、私の知ったこっちゃない。つか、鉄哲君とガチンコ殴り合いで負けてたろうが。近接鍛え直してこい、だわ。
「さぁやっちゃえ、かっくん!!もし負けたら、当分無しだかんなー!!」
「···何を?」
「お茶子~、そりゃ当然、セッンブっ」
「まだ昼間よ、雪花ちゃん。大人しく、応援していましょうね」
「···はい、梅雨ちゃんママ」
梅雨ちゃんの大きな掌で口を塞がれ座らされた。負けたら、胸も使わせてやんないからな、かっくん。
「ぶえっくし!!」
「···風邪か?爆豪」
「ちげぇよ(また、雪花が変な事考えてんだろ)」ズズッ
▼▼▼
「あの口悪嫉妬激重爆発男が···素晴らしいじゃないか」
「お疲れ様、切奈」
「爆豪達に完璧にやられちゃった、柔造。物間~~ごめんなァ、引き分けにも持ち込めなくなっちゃった」
一分けを挟んで四連敗。一回戦は、俺の初見殺しが嵌まったからだけど、それ以降は、突出した個の力に圧し負けたという印象。一分けも、轟が全力を発揮出来なかった上でと考えると、実質負けみたいなもんか。
「やっぱ、緑谷がうらめしいよね。パワーはピカ一だし、小回りの効くスピードもある。何なら、最近遠距離攻撃も編み出したって聞くし」
「緑谷を優先的に潰す、問題はどうやってだけど···俺の洗脳は、前に自力で解かれた事を考えると、余り期待は出来ないかもしれない」
あの頃よりも、洗脳の精度や強度は上がっているとはいえ、緑谷には何らかの洗脳耐性的なものがあると考えていた方がいい。少なくとも、緑谷と追いかけっこする奴が必要か。
「この中で一番機動力があるのは、捕縛布で立体起動出来る心操君ね」
「そうなるか。俺が出来る限り緑谷を引き付けて、その間に数の利を生かして残りの三人を捕獲する。これが、このメンバーでのベターか?」
「いや、最初の緑谷君への囮は僕がするよ。心操君には、他にやって貰いたい事があるからね、ゴニョゴニョ」
「···分かった、必ず成し遂げる」
「お疲れ、かっちゃん!」
「次はテメェの番だ、出久。あの人から、でっけぇもん貰っといて、無様な戦い方すんじゃねぇぞ」
「···うん、分かってる。オールマイトに、安心して引退して貰えるように」
「···けっ、負けんじゃねぇぞ」
僕の胸を軽くどついて、八木さん所に向かうかっちゃん。オールマイトが引退宣言をした日、かっちゃんは僕に言った。
『俺は、誰にも負けねぇNo.1になって、オールマイトの平和を越えた平和を作ってやる』
いつだって、かっちゃんは越えていく事を目標にしている。僕だって、もうオールマイトみたいになりたいだけじゃ駄目なんだ。よく言ってるじゃないか、"更に向こうへ、Plus Ultra"だって。
「デク君、もう行くよー!」
「あ、うん、お茶子さん」
見ていて下さい、オールマイト。僕がいるって、胸を張って貴方に言える自分になりますから。そう気合いを入れた時に、グローブの下で、OFAが怪しく光を放っていた事に、僕は気付かなかった。
▼▼▼
小話「二回戦後の拳藤」
「ごめん、手も足も出なかった」
「何を言ってるんだい、拳藤。君はこの手で、皆を守っていたじゃないか」
八百万に出して貰った、超絶暖か毛布を被った一佳が、物間の前に戻ってきた。物間は優しい口調で、個性で大きくして、三人を吹雪から守っていた一佳の手をそっと、自身の手で包み込んだ。
「こんなになっても、仲間を意地でも守り通そうとする君の気高さに、僕は尊敬の意を表するよ。でも、次からは君自身も大切にしてほしい。君が傷ついていくのを、ただ見ているしか出来なかった事が、とても苦しかったよ」
「うひっ!え、あ、あ、え···」
「さぁ、宍田君!!健闘してきた我らが仲間を、存分に暖めてあげるのだ!!」
「任されましたぞ!物間氏!!今の私の毛は、羽毛よりも暖かですぞーー!!」
「宍田、暖か~」
「溶けちゃいそうノコ~」
「(こ、こ、小森さんのが、あ、あ、当たってる)」
「···」ブシュー
「柔造審査員、何点でしょうか」
「宍田を呼ぶ前にもう一押し欲しかった、八点。切奈評論家の評価点は?」
「物間の言葉が、B組の仲間としてじゃなくなったら、一発で陥落かな。もう、グラッグラのボロッボロだと思う」
「何やってるの、あんたら」
「恥ずかしくて心操君と目を合わせられない柳さん、もう復活した?」
「あんたも、同じ位グラッグラのボロッボロだものね。シンパシー感じちゃった?」
「感じてないし、グラッグラでもボロッボロでもない!」
「さっき、俺の事呼んだ?」
「呼んでないから!!ほら、作戦会議するよ!!」
「···グラッグラのボロッボロというか、後は心操君に食べられるの待ち?」
「···多分、今は心操君好みに味付けられ中なんじゃない?こう、注文の多い料理店的な」
「今どこら辺?」
「そろそろ、塩を揉み込むんじゃない?」
「猟犬は?」
「扉の向こうに押し込むのしか居ません」
「ありゃりゃ」
···自分で作っておいて何だけど、こういうシチュだと雪花さんチートや~。
早く対抗戦終わらせて、那歩島で(恋愛的な意味で)ライジングさせたり、クリスマスで性夜させたりしたいんじゃあ~。
因みに、歴代継承者の扱いに困って筆が鈍り中。
評価と感想をよろしくお願いします。