八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第八十一話「A組 VS B組 緑谷と心操と~大爆死」

 

 

 

 

「ぐうううう!!!!!」

「そんな隠し球、聞いてないよぉ!!緑谷君!!」

「避けろ!!物間!!」

 

「お父さん···何あれ」

「···アレも、OFAの力なのかよ」

「······あんなの、私知らない」

「「はぁーーー!!!」」

 

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「フッ、ハッ」

 

 耳朗さんや障子君みたいな索敵要因の居ないけど、メンツ的に、かっちゃん達と同じ戦略を取る事になる。故に、かっちゃん以上に派手に動き回って、僕がB組の注意を惹いて誘い出さないと。

 ただ、心操君の催眠とその個性をコピー出来る物間君が居る所為で、ただでさえ数的不利なのに、迂闊コミュニケーション取れないから、より慎重に動かないと。

 

「デク君!」

 

 お茶子さん···いや、今のはお茶子さんじゃない。声は一緒だけど言い方が微妙に違う、変成機を使った心操君の声。それよりも、

 

「あらら、見つかっちゃったね」

 

 隠れているつもりの感じられない物間君が、僕を見ている。指揮官であり、何をしてくるか分からない物間君を、序盤で倒す事が出来れば大きなアドバンテージになる。

 

「爆豪君の活躍を見た後で、君を警戒しないわけがない」

 

 煽る事で此方の動揺を誘うのが、物間君の常套手段だけと、心操君の個性をコピーしてる可能性もあるから、何を言われても平常心を保って聞き流せ。

 

「しかし、恋人に呼び掛けられて無反応なんて薄情だね。もしかして、違うって確信出来る何かがあったのかな?」

「きゃあ!」

「っ!」

 

 お茶子さん達がいる筈の辺りで、固い物同士がぶつかる音と粉塵、明らかに巨大なネジやナットが見えた。場所がバレた。でも、今の悲鳴もお茶子さんじゃない。あの程度で、お茶子さんを、お茶子さん達をどうにか出来ない。今は、一刻も早く物間君を。

 

「デク君、大好き」

「えっ?」

 

 余りにすっとんきょうで、でも、さっきまでと違って、ちゃんとお茶子さんの喋り方。頭の片隅で、こんな時そんな事言う筈無いって分かってても、口から声が出てしまっていた。

 

「今までのが、心操君だと思ってた?残念、あれは柳の声真似だよ、緑谷君」

「お前対策で、麗日のは完璧にしてきたからな、緑谷」

 

 不味い、洗のう···され······、

 

『やれやれ、世話の掛かる坊主さ。意識は取り戻してやるが、制御は何とかしてみせろ』

『大丈夫、君なら出来る。なんたって、あのトシノリが認めた子なんだから』

 

 

 瞬間、右腕のグローブが弾けた。

 

 

 

 

「ぐうううう!!!!!」

「緑谷!!?」

「何だよ、アレ」

 

 デク君の叫び声。そして、デク君の右腕から溢れ出る、今まで見た事のない黒い何か。

 

「麗日!!」

 

 別に、何か出来ると思ってた訳じゃない。ただ、君の側に居てあげたくて、一緒に居てあげたくて、デク君に向かって一直線だった。

 でも、何となく誰かに背中を押されたんだと思う。黄色いマントをした、引子さんに似た髪の女性に。

 

「デク君!!」

 

 大丈夫、私が来たよ。だから、泣かんでええよ。

 

 

 

    ▼▼▼

 

 

 

「無事か、物間」

「ああ、ありがとう。しかし、アレはいったい何なんだ?緑谷君の個性って、超パワーじゃなかったっけ?」

「その筈だけどな」

 

 洗脳が成功した瞬間、アイツの右腕から現れた黒い流体。四方八方に触手の様に伸びて、周囲を破壊したりくっついたりしたかと思えば、明確に此方を攻撃する様に伸びてきたり。緑谷の様子を見るに、アイツ自身も想定していない未知の現象なんだろう。

 

「兎に角、一旦距離を取って···麗日!?」

 

 バイザーを吹き飛ばされながら、荒れ狂う黒を掻い潜り、必死に抑えようとしている緑谷に抱きつく麗日の姿が見えた。すげぇな、あんな躊躇なくいけるって。

 

「···まさしく、愛の力って奴なのかな?ベタ過ぎると思わないかい?心操君」

「ああ、そうだな。俺の洗脳は、愛に弱いのか?」

「···あの二人のキスシーンを、二度も見せられるとはねぇ」

「···二度目なのか」

 

 抱きつき、緑谷の頬を両手で挟み込んで、ガッチリバッチリ口付けた麗日。それに伴い、暴れ狂っていた黒がシュルルルンと緑谷の腕に戻っていく。

 

「···これ、訓練続行でいいのか?」

「駄目なら、先生が止めに来るでしょ」

 

 

 

    ▼▼▼

 

 

 

「お茶子さん···」

「落ち着いた?デク君」

「え、あ、うん···」

「良かった、ホントに良かった」

 

 気付いたら、お茶子さんが目の前に居て、キスしてた。もう何が何だか分からないけれど、また、僕はお茶子さんに助けて貰った事だけは理解した。

 

「腕、何ともあらへん?」

「···うん、取り敢えず何ともない···と、思う」

「そか、後で診てもらわんとね」

「うん、そっ!危ない!!!」

 

 背筋に嫌な予感を感じて、お茶子さんを抱き上げてその場を飛び去る。さっきまで居た場所に、パイプやら何やらが降ってきた。今度は、背後から嫌な気配。横にズレる。

 

「今、こっちが攻撃する前から気付いてなかったかい?緑谷君。もしかして、未来視の個性でも目覚めた?」

「···お茶子さん、ここは僕に任せて。峰田君達の援護に」

「···もう、大丈夫なんやね?嘘やったら、グッズ廃棄やからね」

「うん、僕を信じて」

「じゃあ、絶対勝ってね」

「そういうのは、二人っきりの時にしてほしいねえ!!」

 

 何となく、物間君の攻撃タイミングが分かる。それに、さっきのこれも、どう扱えばいいのか何となく分かった。

 

「もう使いこなしてんのかよ、その黒いの何なんだよ」

 

 心操君が、捕縛布を使って落としてきた瓦礫やパイプを、右腕から出した黒いエネルギー、"黒鞭"で薙ぐ。

 

「使い勝手よさそうだから、僕にも使わせてよね!!」

 

 殴り掛かってきた物間君の胴体に、黒鞭を巻き付けて心操君に向かって投げる。

 

「そういうのは、俺の方が鍛えてんだよ、緑谷ぁあ!!」

「っ!!」

 

 物間君を受け止め、入れ替りで心操君が突っ込んでくる。黒鞭と捕縛布が、時に絡めとり、時に弾き合い、僕らの間で生き物のように争う。心操君の言う通り、少しずつ押されている。攻めれていない。

 

「ナイスだよ、心操君!」

「ぐっ!」

 

 物間君の攻撃を、腕でガードしてしまった。OFAがコピーされる!何も考えずに100%で使ったら、物間君の体が。

 

「チッ、スカか。でも、それも想定内だよ!」

「ぐあっ!!」

 

 ガードして、勢いは完全に止まってた筈なのに、更に衝撃が。庄田君の個性か。でも、OFAが使えないのは一安心だ。これで、触られても問題ない。

 

「しっかり、身構えておいてね、二人とも。OFAフルカウル50%!!DETROIT SMAAASH!!!」

「くおおお!!緑谷ぁあああ!!!」

「ぎにゃああああ!!!」

 

 拳を振り切り、その衝撃波で二人を吹き飛ばす。フルガントレットは無事で良かった。後は、地面に倒れる二人を黒鞭で縛って檻にっ!

 

「心操君!!物間!」

「柳さん!!」

 

 巨大化したナットを掴んで、突撃してきた柳さん。何でインナーだけになっているのか分からないけど、まさかお茶子さん達が···いや、それなら柳さんが突撃してくる必要はない。お茶子さん達は大丈夫だ。

 落ち着いて、柳さんの突撃を避けて後ろ首にチョップを決める。

 

「がっ!」

 

 力を失い、勢いのまま跳ね転がっていく柳さん。柱にぶつかりそうになった所を、心操君が捕縛布を伸ばして自身の胸に引き寄せた。やっぱり、狸寝入りしてたね。

 

「うう、しん···そう······」

「無茶しすぎだよ、柳さん」

 

 柳さんの髪を優しく撫で、そっと地面に寝かせる。もうボロボロな筈なのに、凄い威圧感を感じる。

 

「なぁ、緑谷。体育祭で、お前が俺に言った言葉を覚えてるか?」

「(コクッ)」

 

 返事は出来ないから、首を振って答える。記憶には無いけど、ネットで切り抜き動画とかあったから、知ってはいる。

 

「そうかよ。俺の大事な人を傷付けた落とし前、地面這いつくばってつけろや!!」

 

 避けようと思ったら、簡単に避けれた。でも、何だかあの拳は、避けちゃいけない気がした。

 

 

 

「デク君!!」

 

 峰田君のモギモギで拘束してた柳ちゃんが、コスチューム脱いで逃げてた事に気付いて、慌てて追いかけたら、互いの頬に拳を突き刺したデク君と心操君の姿があった。

 

「···ホント、お前が羨ましいよ」

 

 ズルりと崩れ落ちる心操君。

 不謹慎やけど、さっきの心操君の言葉、誰か録音しとらんかなぁ。柳ちゃんが目を覚ましたら、いの一番に聞かせてあげんと。

 

 

『第五セット、A組の勝利よ!!!』

 

 あれ?実況ってブラド先生やなかった?何でミッドナイト先生?

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「んん···」

「あ、心操君、目が覚めた?」

「や···なぎ···さん?」

「目が覚めたなら、体起こしてもらっていい?流石に、足痺れてきたから」

 

 朧気な意識が、柳さんの声に呼び起こされる。左側頭部と左頬に感じる、硬い床とは違う柔らかい感触。首を捻って上を見上げた先に映る、二つの丘と柳さんの顔上半分。

 俺はつまり、柳さんに膝枕して貰っているのか。そう理解した瞬間、寝返りを打って柳さんのお腹に顔を埋める。

 

「柔らかくていい匂いだ」

「っ!!!!降りろ変態!!!!」

「どへっ」

 

 

「···心操君、図太い」

「···デク君とは大違いやね」

「離せーー!!!アイツぶっ殺ーす!!」

 

 

 

 




悩みに悩んで、体育祭の焼き直し的な感じになった。麗柳の中の人一緒だし、後悔も反省もせん。
あ、タイトルの~は当然、柳が入りますですよ。

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