八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第八十三話「こちら、雄英高校ヒーロー科事務所」

 

 

 

 

「海だーーー!!!」

「はしゃいでねぇで、さっさと行くぞ」

「ええ~、少し位付き合ってくれてもいいじゃ~ん」

「だあああ!!いちいち纏わりつくな、落ちたら危ねぇだろうが!!」

「そん時は、浮き輪投げてあげる」

「てめぇも一緒に落ちんだよ!!」

 

 私ら一年A組は今、本州から遠く南に離れた離島"那歩島"に、船で向かっています。

 何故かと言うと、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』を見てみよう!!ってのは冗談で、"実践的次世代ヒーロー育成プロジェクト"って奴の一環で、学生だけで事務所構えてヒーロー活動やってみろって感じの奴らしい。

 まぁ十何年も、大きな犯罪の起こってない平和な所らしいから、ヒーローというより便利屋的な感じで終わる二週間になりそう。かっくんのフラストレーションを、どうやって解消させてやるかねぇ。

 

 

 

「そろそろ、皆は島に到着した頃かな、相澤君」

「ええ、そうでしょうね」

「何事もなく、元気に帰ってきてくれればいいけど」

「ですね。緊急連絡用の衛星通信機を持たせてますが、それが使われない事を祈ってますよ」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「うっし、事務所の設営はこんな感じかな?」

「ええ、電話やパソコンも全台異常無しですわ」

「此方も、配置及び勤務時間の割り振りが決まった。幾ら実習と言えど、労働基準法は守らなければいけないからな」

 

 事務所兼宿として提供されたいおぎ荘で、事務仕事用のデスクにPC、応対用の電話だったりを設置し終え、事務所としての体裁を整えた私達。飯田君が、各々のタイムスケジュールや担当区域、主に担当する依頼内容の書かれた紙をバーンと壁に張る。

 

「B組や、他の参加校の人達に負けないように、俺達も立派にヒーローを務めあげよう。雄英高校ヒーロー科那歩島事務所、始動だ!!」

「「「おおーー!!!」」」

 

 

 

「ほらかっくん、パトロールの時間だよ」

「ちっ、おいモブ共!ヴィランが出てきたらすぐに連絡しろよ!」

「はいはい、今日は漁港方面だからね~」

 

 那歩島でヒーロー活動を始めて早三日。

 依頼の傾向も掴めてきて、効率よく回せる様になってきた。因みに、海水浴場や観光客向け商店街に、梅雨ちゃん以外の女子は基本行かない事が、一番最初に決まった。

 これでも、平均より見た目とかスタイルの優れた私達である。当然、海水浴に来た観光客にナンパされましたよ。一番人気は、勿論百。せめて、あわよくばそこいらの物陰に連れ込んでイケナイ事をと、その欲まみれな顔を隠してこいと。お陰で、従兄弟をヴィランとして捕まえなくちゃならんかもしれんかったぞ。

 私?かっくんがべったりで周りを威嚇してたもんだから、かっくんが居ない時を見計らうフニャチン共に声掛けられる程度でしたよ。

 

「あ、ついでに、三奈ちゃんと切島君にお弁当持ってって~」

「はいは~い、透」

「···今日は、寄り道しないでね」

「······鋭意努力します」

 

 今日は、まだご機嫌斜めじゃないので、多分大丈夫な筈。愛されてるのは嬉しいけど、嫉妬深い彼氏持つと色々大変だよねぇ、百。

 

「じゃ、行ってきま~す」

「商店街で迷子!手の空いてるヒーローは一緒に」

「迷子探しなら、ウチの出番だよね」

「お茶子さん、僕も行くよ」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「本当に、ナインの体を治してくれるんだろうな」

「お前達が、しっかりと役目を果たせば、な」

「フンッ、本当か怪しいものだ」

「頼ってきたのはそちらの方だ。別に、我々にはお前達を助ける義理は無いのだからな」

「マミー、私達はやるしかないのよ」

「こちらが用意できた、お前の個性使用の代償を抑制する薬は二本だ、大事に使え」

「···いずれ、貴様らも我らの作る新世界の礎となってもらう」

「フッ、その日を楽しみにしてるよ、ナイン」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「それでは、雪花さん、爆豪さん、宿直をお願いしますね」

「···二人きりだからといって、風紀を乱すような事はしないように」

「は~い」「けっ」

 

 一日の仕事を終えて、島の人達からの差し入れを堪能し、お腹の膨れた私達。銭湯に向かう皆を見送って、私とかっくんは夜番の準備に入る。

 大丈夫だって、委員長。そういうのは、ちゃんと休日か休憩時間だけの約束だから。

 

「···雪花」

「ちょっ!もう、早いってば」

 

 皆が出て行ったと思ったら、私の太股を枕にして横になるかっくん。全く、筋肉質で硬くなり過ぎないように気を付けてる、恋人の影ながらの努力に感謝しなさいよ~。

 因みに、かっくんの一番のお気に入りは、当然かっくんが手ずから育てた胸枕です。

 

「最近、甘えん坊さん度上がってきてない?具体的には仮免試験以降。恋人としては嬉しいけど、溺れすぎると緑谷君達に置いてかれるぞ~」

「···お前は、俺のもんだ」

「···そ~ですよ~、私の全てはかっくんのものですよ~」

「···お前を守るのは、俺だ」

「私、守られるだけの存在になる気ないよ?」

「お前がボロボロになるのを、もう二度と見る気はねぇからな······zzz」

「···ねぇかっくん。それで、代わりにボロボロになるのは無しだからね。だから、一緒に、ね」

 

 かっくんの唇に自分の唇を落とし、トレードマークのツンツン髪を撫でながら、時間が過ぎるのを待つ。島から戻ったら、存分に可愛がってね。

 

 

 

「へ~、嘘のヴィラン通報ね~。それで、かっくんはあんな不機嫌なのか」

「···うん」

「ま、詳しくは明日聞くから、かっくんは私に任せて、緑谷君はもう休みなよ」

「うん、お願いするね」

 

 不貞腐れて寝転がってるかっくんの顔を、胸に埋めさせて横になる。ヒーロー嫌いなお姉ちゃん···か。もう一回やったら、説教案件かなぁ。

 

 

 

 




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