八木雪花とほのぼの轟一家ヒーロー録   作:あならなあ

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第八十四話「ヴィラン襲撃!狙われた雄英高校ヒーロー科!!」

 

 

 

 

「はい、こちらホークス」

『ホークス、太平洋沖で大型クルーザーが二隻行方不明だそうだ』

「···捜索の依頼ですか?」

『ああ、何やらそのクルーザーは船籍不明なんだそうだ。セルキーが言うには、例のトリガー原料密輸グループと関わりがあるらしい。追跡の際、急な嵐に見舞われて、見失ってしまったと』

「それで、自分はどうすれば?」

『リューキュウ達と協力して、その船の行方を追ってくれ』

「分かりました、また追加情報があればよろしくお願いします」

『沖縄の離島では、学生が例のプロジェクトに参加中だ、くれぐれもよろしく頼む』

「それ、先に言ってくださいよ」

 

 

 

「クルーザーの突入と共に、スライスは船舶の破壊を。キメラ、マミー、陽動と通信設備の破壊を頼む。俺はまず、スライスと共に目標の子供を確保する。その後、標的の討伐に移る」

「···無理はするなよ、ナイン。お前が居なきゃ、俺らは何も出来ねぇからな」

「ああ、俺達の夢を叶える為には、こんな所で終わる訳にはいかないからな」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「よいしょー」

「おお~、ありがとうヒーロー」

「運転する時は、周りに気を付けて下さいよ」

 

 市役所近くで、側溝にタイヤが嵌まった軽トラを救出した私。パトロールしてたら、困ってたのでお助けした次第。そろそろ夕暮れだから、ぼつぼつ事務所戻りましょうかね。

 

「大変だ!ヴ、ヴィランが!!!」

「っ!!ヒーローです!ヴィランはどこに?!」

 

 観光客らしき男性が、大慌てで市役所に駆け込んできた。そして、爆発音や破砕音が聞こえてくる。

 

「しょ、商店街の方だ!!建物を破壊しながら、こっちに向かってきてる!!」

「ヒーロー事務所に通報と、全島民や観光客に避難を促して下さい!!それまでは、私がそのヴィランを食い止めます!!」

 

 町長さんへお願いをし、音のする方へ一直線に飛ぶ。確か、商店街で透と峰田君が落とし物探しをしていた筈。直接的な攻撃力に乏しい二人だ、無事で居てくれれば。

 

 

 

「ヴ、ヴィランが出た!!商店街で、ヒーローが戦ってる!!」

「報告!海岸にヴィランが出現!!至急応援を乞う!!」

 

 その報告に、アンテナの立たなくなった携帯を訝しんでいた僕達は、少なくない衝撃を受けたと同時に、やはりかと思った。

 

「委員長!商店街には俺が行く!!」

「待て、爆豪君!!くっ、切島君、上鳴君!爆豪君を追ってくれ!!」

「おう!」「任せろ!!」

 

 飛び出して行ってしまった爆豪君を追うよう二人に指示を出し、残ったメンツを見て瞬時に編成を考える。

 

「八百万君、芦戸君、耳朗君は、雄英に緊急連絡後、商店街方面の避難誘導を。残りの者は、海岸でヴィラン対処と救助及び誘導を。常闇君は砂藤君を、俺が轟君を背負って先行する。雄英高校ヒーロー科一年A組、出動!!」

「「「おー!!」」」

 

 

 

 爆豪勝己には、嫌な予感があった。

 彼自身も、ヴィランが来たらどうするんだと口にしつつも、自分が出張るような事件は起きないと思っていた。こんな、事件を起こした所で旨味の無い島で、一体何をするんだと。

 と言うことは、今回襲撃してきたヴィランには、今このタイミングで、島を襲う明確な理由があると言うこと。つまり、狙いは俺達A組全体かA組の誰か。この中で、一番狙われる理由があるのは、平和の象徴にして、世界で最もヴィランから恨まれている人物、オールマイト。その娘である最愛の女性しかない。

 

「見えた!!」

 

 最愛の女性、八木雪花の操る雪像。それが、赤い包帯の様な物に包まれた人型の異形と戦っているのが。しかも、防戦一方で押されている。あの程度の敵に、あり得ない。

 

「っ!そういう事かよ!!クソッタレがぁあ!!」

 

 雪像が、異形から一本後ろに伸びる包帯を切ると、中から観光客らしき人間が解放されて出てきた。

 

「舐めてんじゃねぇぞ、クソヴィラン!!!」

「ダイナマイト!?本体には!!」

「分かっとるわ!!A.Pショット!!」

「ちっ、新手か!!」

 

 狙うのは、ミイラの様に赤い包帯を体中に巻いたヴィランの手元。異形に繋がる包帯の大元。ヴィランも、爆豪に気付いて対処しようとするが、一手遅かった。

 包帯が全て弾け飛び、傀儡とされていた人々が解放される。その中には、クラスメートである葉隠と峰田の姿もあった。

 

「ナイス、流石はマイダーリン」

「ふざけとる場合か!そいつら連れて、さっさと下がれや!!」

「いや、コイツを二人でぶっ倒した方が早いってばね!」

「くっ、標的を前に口惜しいが、ここは一旦退くべきか」

「誰が逃がすかよ!エレキショット!!」

「烈怒頼雄斗、参上!!」

「ぐあっ!ナ···イン」

 

 追い付いてきた上鳴電気が、シューターをヴィランにくっ付け電気を浴びせ、切島鋭児郎が渾身の右ストレートで昏倒させた。

 

「遅ぇんだよ、クソモブ共!!」

「お前が先走り過ぎなんだよ、爆豪」

「そうそう、それにナイスタイミングだったっしょ」

「ちっ、テメェらはそいつらを安全な所に運んどけ。俺は、他のヴィランを探す」

「ちょ、ダイナマイト!!」

「いいか、雪花!テメェは絶対、一人で行動すんじゃねぇぞ!!俺が戻るまで、他の奴ら一緒に居やがれ!!」

「あ、もう、かっくんこそ一人で突っ走ってんじゃないってば!!」

 

 彼女が戦いに出る前に、自分が全てのヴィランをぶっ倒す。そう胸に抱いて、爆豪勝己は空を駆ける。

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「相澤だ、何があった」

『那歩島にヴィラン襲撃。ヴィランの総数は不明ですが、最低でも二人以上。通信設備を破壊された様で、他の通信手段は使えなくされました。恐らく、綿密に計画された犯行だと思われます。現在、A組総員で、対処と救助及び避難に当たっておりますわ』

「っ!分かった、直ぐに救援を送る。···決して無理はするな。最優先は命を守る事だ、そこにはお前達も含まれている、いいな!!」

『はい、救援が来るまで、私達で持ちこたえてみせますわ!』

 

 鳴って欲しくなかった電話が鳴り、八百万からの焦ってはいるが落ち着いた声で報告を聴いた。起こって欲しくない事の中で最も最悪な報告だったが、直ぐ様頭を切り替えて、対応を考えながら八百万に指示を送る。

 しかし、悪い事は立て続けに起こる様で、

 

「大変だ、イレイザー!B組の担当している島に、ヴィランの襲撃が!」

「ちっ!こっちもだ、ブラド。校長に連絡を、俺は公安に連絡する。急げ、時間は無い!!」

「ああ、何が狙いか知らないが、好きなようにはさせんぞ、ヴィラン共!」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「まさか、緑谷君と爆豪君がこんなになるなんて」

「敵の親玉、多分天候を操る個性を持ってるんだと思う。あんなピンポイントで、嵐や落雷が起きるなんて、個性以外じゃ考えられないから」

「しかし、何故追撃をして来なかったのでしょうか」

「仲間が一人捕まったとはいえ、妙にあっさり退いたのも気になる」

 

 避難場所に指定した工場の一室で、今後の対応策を話し合っている私達A組。夕方の襲撃、敵が撤退したお陰で乗り切れはしたけど、敵の親玉にやられて、最大戦力の一角であるかっくんと緑谷君が重傷。診療所の人が診てくれてるけど、次の襲撃まで間に合うかどうか。

 

「それに、敵の目的も気になるわね。無差別と言うより、何かを狙っている感じがしたわ」

「少なくとも、民間人に重大な被害が及ぶのを避けていた風だった」

「捕まえたヴィランから、何か情報は?」

「···何も、黙りを決め込んでる」

「先生達の救援は?」

「···早くても、明日、日が昇って以降になるそうですわ」

「それまで、ヴィラン達が大人しくしてくれれば···」

「希望的観測は止めて、少なくとも昼まで、ヴィランから皆を守る策を考えよう」

「でもよう、やっぱり敵の目的が分からなきゃ、対策の立てようが無いぜ?」

 

 

「ヴィランの狙いは、この子の個性だよ」

「それと、テメェの命だ、雪花」

 

 

 入り口に、幼い姉弟を連れたかっくんと緑谷君が立っていた。

 

「デク君!もう大丈夫なん?!」

「うん、活真君のお陰でこの通り」

「それで、私狙いって?」

「コイツが聞いたんだとよ。弟を捕まえて、テメェを殺しておさらばするってな」

「···はぁ、有名人は辛いねぇ。でも、方策は決まったかな」

「うん、籠城戦だ」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「人員、揃いました!」

「よし、では打ち合わせ通りに」

「全く、おっさんを働かせ過ぎじゃないかい?」

「頼りにしてますよ、ミスター」

「ふっ、美人にお願いされちゃ、張り切らないといけないじゃないの。あ、ご褒美に、お洒落なレストランでディナーでも?」

「全てが無事に終われば、喜んで」

「おい、羽トカゲ!乳繰りあってねぇでさっさとしろや!!ヴィラン共を蹴り倒したくてウズウズしてんだ、こっちは!!」

「ミスター、急げ」

「はいはい、所長。じゃあ皆さん、窮屈でしょうが、しばしの間我慢してくださいねっ!!」

 

 

 

 




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