■■翼の幼馴染み   作:語り部

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独白
■■翼の幼馴染


 俺の腐れ縁。幼馴染。正しくあろうとする愚者(せいじょ)

 

 ■■翼の話をしよう。

 

 ああ、いや、今は苗字が変わって羽川だったか。コロコロと名字が変わるもんだから、ずっと下の名前で呼んでいるが、家庭の事情で孤児のように両親の両方と血が繋がってないというのは、明らかな異常なのだろう。

 

 まあ、俺としては幼心にまあそんなもんかと思ったものだが。以来、俺は苗字呼びは面倒だからやめている。

 

 いつからの縁かといえば、小学生の頃である。あいつはよく本を読んでいた。

 トムソーヤーの冒険みたいな小説だったり、昆虫や動植物の図鑑だったり、図書室で借りられる本は借りて、借りられない図書は図書室内で読んでいた。

 後から知った言葉で本の虫というのがあるが、それは当時のあいつを的確に表した敬称であり、蔑称でもあった。

 本で得た知識が今のあいつを歩く百科事典足らしめているのだろう。まあ、関わりのある俺自身もあいつほどで無いにしろ幾らか物知りになったが。

 

 あいつは理想の優等生像を体現し続けていた。6年連続で学級委員長を勤めていたり、成績はずっと優秀だったし、先生とも級友とも恙無く接していた。

 俺はあいつに気になったことを聞いてみた。「何のためにそんな猫を被っているのか」と。

 多分、あいつは本心から好きでそうしていたんだろうが、俺には良い子ぶってるようにしか見えなかった。

 誰かに認められたくて、でも認めて欲しい相手が分からなくて手当たり次第に良い子を演じている。そんな風に見えていた。

 

 あいつは当然のように「みんなのためだよ、でも別に猫なんて被ってないけれどね」と答えた。何でもないようにそう言った。

 俺にはそんな誰かのためとか、自分のこと以外にリソースを割こうとは思わないし、自分の事で精一杯だ。小学生でお子様思考なら尚更そのはずだ。

 俺は誰か一人くらい彼女のことを認めて支えて、一緒に歩けるような奴が必要だと思った。幼心にそう思っていた。だって、そうでなければ。努力には報いがあってしかるべきだろう。

 

 ガキだった。大人になるにつれて──今はまだ高校生だが──報われない努力というものもあるのだと、思い知っている。

 

 俺はせいぜい彼女の散歩に付き合い、他愛のない掛け合いを交わすくらいのお友達から抜け出せないのだろう。だって、彼女の目がそう言っていた。彼女にとっては俺もなんでもない、ただ一人の気を遣うべき人間でしかないという事実は、しかして彼女と距離を置く理由にはならなかった。あきらめる理由には足りなかった。

 

 だって、少なくともこの幼馴染で友人というポジションは、彼女にとって確かな支えとなっているはずだから。

 

 常日頃から顔を合わせる(やつ)は心が空っぽのように見えて、少しずつ疲れ、怒り、嫉妬、悲しみ(かんじょう)を蓄積して、俺を通してそれを発散してくれているようなのだから。頼られている感じはさほどしないが、それでも彼女の助けになっているはずだ。

 

 だから俺は、翼の支柱にはなれなくとも、人柱として翼をつなぎ止め続けよう。翼がいずれ得るアイデンティティ(じぶん)を確立するまでの間の繋ぎだって構わない。そこに理由なんているものか。

 翼が自由に天を翔けられるようになるまで、支えであり続けたいが、支えとなれるのであればそれは俺でなくともいい。俺のこの愛は父性のようなものかもしれないし、この年頃特有の恋心であるのかもしれない。でも、それもどうだっていい。

 

 だって、あいつは、彼女は、翼はどこにでもいるようなただのさみしがりの女の子でしかないのだから。

 俺はただ、誇れる隣人であろうというだけのことだ。




ここで軽ーく拙作主人公の紹介文を箇条書きで失礼。

・名前は天野 翔(あまの しょう)。
・孤児院出身で現在はアパートで独り暮らしを謳歌してる。
・頭脳レベルと物知り力は原作羽川よりも一回り劣る。
・怪異に対して懐疑的ではあるが、協力は惜しまない。
・阿良々木暦とは2年生の夏から知り合って、親友と言えるような関係。
・羽川翼からは■■■■■■。(■の数は適当)
・異常か否か?羽川とずっと付き合える時点でお察しください。

続きは気が向き次第執筆するかもしれません。
しないかもしれません。

私も猫のように気まぐれなので、続きが欲しくとものんびりお待ちをば。

追記
感想がもらえないのはもどかしいので
何でもいいので感想を頂けると反応で作者のモチベーションに繋がります。
この作品好きでも、この主人公良いねでも、羽川変わりすぎぃとかでもモチベーションになりますので、何卒。何卒……。
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