魔法科高校の剣製師   作:ハサウェイ

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まさか、こんな見ていただけるとは思っていませんでした……


皆様ありがとうございます



そんな訳(←どんな訳?)で、二話です


二話 ¨ボク¨と¨私¨

「何故……ボクにそれを……」

 

¨知られてる¨

 

直感が警鐘を鳴らす。

¨あの日¨の風景が、釜の蓋から漏れ出す……

 

止めて……これ以上は¨オモイダサセルナ¨……

そう分かっていても、暗い記憶が…感情が…湧き上がる……

 

駄目、思考を切断《カット》しろ……

 

そう考えれば、考える程に深みに沈む思考の輪環が、¨私¨の心傷をえぐる……

 

「衛宮さん、大丈夫?気分が悪いのなら……」

 

七草先輩の一言で微かに理性を取り戻すが、次に口から発した言葉は思いとは裏腹に、泥濘の深淵に引きずり墜とす呪詛《コトバ》だった……

「答えて下さい……何で、¨それ¨を……」

 

そう口した瞬間、湧き上がる黒い感情に¨心¨が軋む……

 

考えるなと……深入りするなと、分かっていたはずなのに……

 

震えの止まらない身体…加速する動悸……乱れる呼吸……

 

そんな¨私¨を見て、逡巡する七草先輩だったが、少しの躊躇いを見せ意を決したように口を開いた……

 

「昔、会った事があるからよ……あなたのお父様と……」

 

その瞬間、¨あの日¨の父と……その最後が意識を染め上げ……

 

-ブツッ

 

という何かが切れる音を聞きながら、ボクは意識を手放した……

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

あれから、どれだけ時間が経ったか……

 

 

ボクには、小学4年以前の¨記憶¨が無い……

 

ある日を境に、¨記憶¨は¨記録¨になってしまっていた……

 

何が有ったか…何をしたかは認識できても、感情や具体的な内容が消えてしまっていた。

だから、まるで文字だけになってしまった¨記録¨……

 

 

風景や人の顔が抜け落ちて、文字だけになってしまった¨記録¨……

 

そして、紅い月が照らす夜に始まる¨記憶¨……

 

どっちが、本当のボク《私》何だろう……

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

朦朧とする意識に、朱い光が眩しく突き刺さる。

少しずつ覚醒する感覚の中、自分が気絶したのだと自覚するのに、たっぷり三十秒は必要だった。

 

「……ここ……は」

 

「良かった、目が覚めたみたいね……」

 

「七草……先輩?」

 

聞こえて来た声は、先程まで話していた七草 真由美の声だった。

意識がハッキリするまで自分を落ち着かせる。

そうしてから身体を起こし、七草先輩の方に顔を向ける。

 

「気分はどう?」

 

「良くは……無いです……」

 

あんな話をして……トラウマをほじくり返されて気分が良い人間は居ない。

でなければ、こんな場所で寝てる事も無いのだから。

 

「そう……なら家まで送るけど……?」

「帰るくらいなら……心配ないです……」

 

そう応え立ち上がろうとしたが、ふいに力が抜けて尻餅を着いてしまった。

 

「そんな状態じゃ無理でしょう?今は甘えておきなさい」

 

「すみません……」

 

先輩の補助を借りて立ち上がる。

確かに、今襲われればアウトだ……

 

仕方無く自力で帰る事を諦めて、七草先輩の¨ご好意¨に甘える事にした……

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

事の顛末を言えば、その後は何もなかった。

私の住むマンションまで送り届け、そのまま帰って行った七草先輩を見送り、自室へ向かう。何もなかった事が逆に怖いが、今は考え無い用にしよう……

 

「あぁ……夕飯、どうしよう……」

 

ふと、今日は冷蔵庫内が空に近い事を思い出した。

買い出しは行かなきゃ、夕飯無しはきつ過ぎる。

そんな事を考えながら、マンションを出て街に足を向ける。

 

 

そして、今日も夜が来る……

 

 

 

 

 

 

ボクの暮らすマンションの一室……そこにボクの工房が有る。

魔術使い(決して魔術師では無い)故……というより、魔術を扱う人間の殆どが持つ工房……

そんな工房を、ボクの場合は物置の用に使っている。

 

確かに、魔術関連の書籍や聖遺物の断片など無い訳では無いが……他人が見ればガラクタ……という用な物すら置いてあるのだから、物置と言われて仕方無い……

 

ともあれ、そんな工房で今日も坐禅を組む。

丹田でマナをオドへ、精神を波打たぬ水面がごとく静に、深く、広く……

 

精神を安定させ、日課になった強化の魔術を紙に付加させる。

繰り返すこと20回、最近ではボクの中を流れる127の魔術回路も安定してきている。

 

それから、使い慣れた陰陽の夫婦剣……¨莫也・干将¨を投影し、素振りを行う。

それから、脱力し仮想敵を思い浮かべ相対する……

今日の仮想敵は槍使い……ボクが知る最速の使い手程では無いが、リーチ差を埋める為の動きを、何より技術を磨くにはもってこいの相手である。

だが、今日は雑念が混じり剣捌きに精彩を欠く。

仮想敵である槍兵に剣を砕かれること三回、たたき落とされること七回……ついに投影の合間を掻い潜り、その切っ先が私の胸を貫いた……

 

どうも、今日は身に入らない……

 

投影を破棄しながら仰向けになると、睡魔が襲って来た……

 

一瞬「マズい」とは思ったが、心地よい微睡みに勝てる筈も無く、ボクはそのまま意識を手放すのであった……

 




前回の続きからでしたが……

伏線が多い回です、ハイ……

ちなみに、次回もまだ入学初日の話です……

では、また次回で会いましょう
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