ただしキュゥべえが使うと、何故か『怪物』が出現する。
WALPURGIS NACHT:キュゥべえがドッペルを使った際に出現する『怪物』 通称『
その複製元はキュゥべえではなく、HOMULILLYという神代のインキュベーター。
HOMULILLY:現代語に直すと『ホムリリィ』 『感情』を持って産まれた最初のインキュベーター。
名の由来は、(彼女の特異性が判明したことで)同族から『個体識別名称』が与えられることが決まった際に『リリィ』という花を咥えていたことから。『ホム』という単語は存在せず、適当な擬音を当て嵌めたとのこと。
彼女は『
しかし、インキュベーターが心を理解することはなかった。
それでもインキュベーターは、魂を観測できるようになった。
結果彼らは、『新たな食糧として最適な生物は人間である』という結論に至った。
この当時は魔力量と寿命を
そうしてホムリリィは、エルフの赤子を攫った。
赤子は親が『ゼーリエ』と呼んでいたので、彼女もそう呼んだ。
ホムリリィはゼーリエに魔法の知識を授け、周囲の動物や植物についての詳細な情報・観天望気を始めとする自然の知識を授け、手塩にかけて育てた。その甲斐あって彼女は、計算通り『食べ応えのある食糧』に成長した。
……が、ホムリリィは『ただの食糧』だった筈のゼーリエに情が湧いてしまった。
ホムリリィは同族との思考共有を切断し、ゼーリエを連れて逃げることにした。
──この時点で彼女は、マギアレコードに生体情報を記録されている。
そして離反者である彼女の情報は『危険因子』として、同時に貴重な『
実のところ
キュゥべえがドッペルを使うと別個体が出現する理由はコレである。彼はそもそも、マギアレコードに情報が登録されていない。
そしてキュゥべえに魔法を教えたジュゥべえは、この隔離された別枠側のインキュベーターである。
──では何故『別枠側の中からホムリリィが選出されるのか』『ホムリリィが怪物として登録されているのはどうしてか』 それは、またの機会に。
*
これは余談だが、思考共有切断以降のホムリリィは心機一転。合理性の化身たる同族と決別したことを示すため、己の名前から『意味』を消し去ることにしたらしい。
『これからは〝リリィ〟ではなく〝ホム〟の部分を前面に押し出していこうと思う』
『……どうせなら全くの別物にしてしまえばいいだろうに』
『名前を変えても、私が〝ホムリリィ〟であった事実は変わらないからね。
『……フン。まぁ〝中途半端〟な方が、〝合理性〟との決別としてはいいのか?』
『うわ……いまそういう理屈っぽいコト言うのやめてくれないかな?』
『…………折角花のように綺麗な毛並みをしているんだ。私は〝リリー〟のままでも良いと思うが』
『んー、嬉しいこと言ってくれるねぇ。
──でも、それはそれとして新しい名前は考えるよ。
ほむ……ほむ、ほむ……ほー、むず?』
『男性名だろうソレは』
『ん〜〜、ほむ……ほむ……』
『そんなに〝ほむほむ〟言うなら、もうそれでいいだろう』
『…………流石に冗談だろう?』
『私はいつだって本気だぞ?
──安心しろ。お前が嫌なら、人前では変わらず〝リリー〟と呼んでやる』
『それじゃ
『そういうのとは決別したんじゃなかったのか?』
『ぐぬぬぬぬ…………もう好きにしてくれ……』