いつまでも更新しないワケにはいかないので、少し唐突ながら書きやすい部分からスタートしております。お待たせしておいて正直完成度はあまり高くないです。すみません……。
「──勝てなかった……!? フリーレン様が、四人がかりでですか!?」
「うん」
彼女が敗北すること自体は、そこまで珍しくもない。千年の人生の中で、彼女は何度となく『逃走』を選択してきたし……
しかし今回の相手は、その中でも殊更特殊な相手であることは確かだ。
腐敗の賢老クヴァール。
大魔法使いフリーレンをして、掛け値なしに『強過ぎた』と評する魔族。
「あ、あの……では何故、私達二人だけで挑もうと?」
「大丈夫だよフェルン。『今の私達』には防御魔法があるからね。勝算は充分にある」
「いや『防御魔法』って、
「…………やっぱりフェルン、歴史書全く読んでないでしょ」
「い、今その話をしますか」
「実際に戦えば、どうして『今』この話をしたのか分かるよ。
……いや、やっぱり今の内に話しとくか。『余裕は持てるだけ持っておけ』って、アイツもよく言ってたからね」
「はぁ……?」
「フェルン。現代の防御魔法はね、クヴァールの魔法を防ぐために開発された魔法なんだよ。そしてその研究には、私も携わっていた。……というか一応、主導者」
「えっ」
「クヴァールの魔法は強過ぎたからね。大陸全土でこぞって研究が行われたワケだけど……アレを直接見て生還した魔法使いは少ない。
しかもクヴァールは、当たり前だけど優秀な奴から始末していった。生還した数少ない魔法使いの大半は、自力じゃアレを再現できない未熟者だったんだ。
──だからまぁ、私が頼られるのは当然の流れだよね? 至極当然で、自然なこと。ここまではオッケー?」
「あ、はい」
謎の圧を発し始めたフリーレンに気圧されつつ、フェルンは首肯する。
「それで私は
そうしたら、何が起こったと思う……?」
「……??? フリーレン様の銅像が増えた、とかですかね?」
「いや──ウッ、思い出しただけで吐き気が……!!」
「大丈夫ですか……?」
顔を青くしてガクガク震えている師の背中を、フェルンは優しく撫で……少し落ち着いたところで続きを促す。
──そしてフリーレンから『答え』を聞き出した彼女は、冷たい目で『うっわ』と口にした。
「フリーレン様、よくそれで愛想を尽かされませんでしたね」
「……やっぱり私が悪い? これ」
「当たり前じゃないですか。十割フリーレン様が悪いですよ。
「…………まぁ、私達は始まりからして『奇跡』だったからね」
「……奇跡、ですか?」
「うん。或いは運命ってヤツなのかな? アレは過去の出来事であり──同時に、未来の物語でもあるから」
*
『──誓いのキスを』
荘厳な式場に、厳かな声が静かに通る。
目を閉じれば、世界は花嫁たる私と、夫となるヒンメルだけ。
とても、幸せな空間だった。
唇に、人肌の感触。
目を開けると、遠くに困ったようなヒンメルの顔。
私の唇に触れていたのは、彼の指だった。
『フリーレン、僕は何をすればいい?』
口が開いた時には、凛々しい戦士の
改めて見ると、やはり彼は自称するだけあってイケメンだ。私の旦那は世界一格好いい。
『──誓いのキス。してくれないの?』
『…………フリーレン。僕達は今、魔族の攻撃を受けている。これは現実じゃない』
『
『え……?』
声と感触がするまでの
──したいなら、『操られていた』ことを口実に……してしまえばよかったものを。
だけど、そういう誠実なところも好きだ。
『いま私達が戦っている相手は七崩賢 『奇跡』のグラオザーム。これは奴が見せている、〝叶わないと諦めた夢〟
……ヒンメルはずっと、私と添い遂げることを望んでくれていて……でも私は、それに気付けなくて……いつしか
『────キミは、誰だ?』
『フリーレンだよ。本物の。──ただし
『未来から……?』
『うん、そういう約束だったからね。──鶏が先か卵が先か。それは分からないけれど……私はここで、
『──何?』
『名残惜しいけど、そろそろ終わる頃かな。
──さよならヒンメル。久しぶりに会えて嬉しかったよ』
『待ってくれ、キミは何を──』
「こんのヘタレエセ勇者がァァァ!!!」
幻覚さえぶち抜いて響く声と共に、魔法の夢は終わりを告げた。