キュップぃ、ボクわるい魔獣じゃないよ   作:しやぶ

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第二話:名前は?

 

「──フランメ。そうか、キミが」

「白々しいな。何をさも『初対面です』って(ツラ)で話してやがんだ?」

「……? 初対面、だろう?」

 

「テメェとは、な。だが()()()()()()()()()()()()()()。そうだろ?」

 

「それはもしかして、『同族間で思考を共有する魔法』のことを言っているのかい? だとしたらご生憎様。()()()()()()()()()()()()()()()。そしてその父とも、先日死に別れたところさ」

 

「──ハッ。テメェらも嘘を学習したんだな。()()()()()()()()()()()()()()くせに」

 

「…………魔族?」

 

 ──どうやら彼女は、本当に以前ボクの同族に会ったことがあるらしい。父の言っていた『我々の特性』をよく知っている。

 

 でも、

 

「訂正してくれ。()()()()()()()()()()。父は死ぬまで、真っ当にボクを育ててくれた。あんな連中と一緒にするな」

 

 コレに関しては、『勘違いも甚だしい』としか言いようがない。『羽が生えてるヤツは全部鳥。だから(ドラゴン)も鳥』って理屈と同じくらい酷いこじつけだろう。

 

「あり得ないな。お前ら魔族に『親子の情』なんてものは存在しない。特に()()()()()()()()()()()()()()のテメェらは」

「…………らしいね。でも残念。それが()()んだよ、少なくともボクにはさ」

 

 

 ボクは()()()()()()()()()()尻尾で掴み、フランメに()()()()()()()()

 

 彼女はそれを危なげなく受け止め、一瞥し──目を剥いた。

 流石に『大魔法使い』を自称するだけあって、彼女はこの一瞬で『石』の正体に気付いたらしい。

 

 

「────そんな、まさか。お前、本当に……」

 

「──フランメ。ボクはキミの『憎しみ』が、『殺意』が、痛いほどよく解るよ。ボクの父を殺したのは、魔族だからね」

 

「……ッ」

 

「これでもまだボクが信用できないなら、ボクを魔族の同類だと言うのなら、その宝石を砕くといい。キミ一人説得できないなら、ここで生き残ってもどうせ先は長くない」

 

「…………お前といい、そこのエルフといい、『正々堂々真っ向勝負』が好きな奴の気持ちは分からんね」

 

 

 そう言うと彼女は、ボクの(宝石)を山なりに放って……返してくれた。

 

 

「──邪魔したな。どこへなりと、二人で好きなとこへ行けばいいさ」

 

「…………うん。さようならだ、フランメ」

 

「おう、じゃあな──」

 

 ──と、そこまで言ったところで……彼女は何かに気付いたのか、不意に立ち止まった。

 

「そういやお前達、名前は?」

 

 …………そういえば、名乗っていなかったか。

 

「フリーレン」

「…………キュゥべえ」

 

「「──なんて??」」

 

「〜〜っ。だから、『キュゥべえ』だよ! 種族名の『インキュベーター』をそのままもじった『キュゥべえ』が、ボクの名前さ!!」

 

 キュップぃ、この羞恥心だけで明日までお腹一杯だね!!!

 

 …………こればかりは、本気で父をうらめしく思っている。

 

「あー……その、なんだ。強く生きろよ、キュゥべえ」

「うるさい噛むぞひっかくぞ」

「ハッハッハ、それは恐ろしいな! ひ弱な人間はさっさと退散することにしよう!!」

 

 

 そうしてフランメは、朗らかに笑って背を向けて──。

 

 

「……ひ弱? 何を言ってるんだ、フランメ。()()()()()()()()()()()()

 

 

「────何?」

 

 

 去り際にフリーレンが発した言葉に反応して、フランメは振り返った。

 

 

「どうしてそう思った、フリーレン」

「……? なんとなく」

「…………予定変更」

 

 

 彼女はそのまま、ボク達の方へ戻ってきて──宣言した。

 

 

「フリーレン。()()()()()()()()()()

 

 

 コレが、ボクとフリーレンの──長過ぎる旅の始まり。その記憶。

 

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