キュップぃ、ボクわるい魔獣じゃないよ   作:しやぶ

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 ここからは短編集のような形式になります。
 


第四話:昔話をしようか

 

 中央諸国、某所。ある農村の畦道(あぜみち)にて。

 魔法使いの女性冒険者が二人、並んで歩いていた。

 

「──フリーレン様。今日の報酬は何だったのですか?」

「民間魔法。『熱々の紅茶を出す魔法』が書かれてる」

 

「……? フリーレン様、()()()()()()()()()()()()()では」

 

「あー。こないだ見せた『アレ』ね……あっちは民間魔法じゃないっていうか、そもそもが『異なる魔法体系』の技術を使ってるから……誰にでも使えるワケじゃないんだよ。実際()()()()()()()()()()()

 

 『こっちはフェルンでも使えるヤツ』『使い勝手もそうだし、何より味が変わると思う』と続けるフリーレンの言葉に頷きつつ、フェルンは疑問を口にする。

 

「『異なる魔法体系』というのは何なのですか? フリーレン様でも模倣が精一杯だなんて……女神様の魔法、とはまた別なのですよね?」

「別だねぇ」

「…………具体的には」

「ん〜〜、まだ秘密」

「どうしてですか?」

 

「コレはなんていうか……『触れても火傷しない炎』みたいなものでさ。本来存在自体があり得ないんだ。だからフェルンが『炎は触れても熱くない』なんて勘違いをしないように、まだ秘密」

 

「……火傷なんてしなくても、炎の熱さくらい分かります」

 

()()()()()()。……分からなかったんだよ、少なくとも私は」

 

「…………すみません。では、おとなしく待つことにします」

 

「悪いね。

 ──代わりに一つ、『昔話』をしようか。とびきりマヌケで……ヒンメル風に言うと、『くだらない』って笑い飛ばせるような……私の明るい思い出話を」

 

 

 

 *

 

 

 

 アレはそう、大体千年くらい前のこと。

 私の師匠が、まだ生きていた頃のこと。

 

 私には、弟弟子がいた。私が先生に拾われた時、偶然(たまたま)私と一緒に居たヤツでね……。

 

 

「フリーレン。起きて」

「…………ぅん……? まだ夜じゃん……」

「夜と言っても、もう明け方だよ。起きてフリーレン」

「あと五分……」

「それで五分後起きた(ためし)は無いよね? 起きるんだフリーレン」

「〜〜ーー────……」

「せめて意味のある言語を発してくれないかな?」

「むり……」

 

「…………はぁ、しょうがない。

 ──『特製紅茶を出す魔法(テ・ロット・モーゲン)』」

 

「ん……? いいにおい……」

「いま起きられたら、この熱々の紅茶に高級品のハチミツもつけて飲ませてあげるよ」

 

「むむむむ……」

 

「いま起きないと、この紅茶で強制的に鼻うがいさせるよ?」*1

 

「…………冗談だよね?」

 

「────」

 

「あ、ちょっ、起きる! 起きるから顔掴まないで!? 紅茶をジリジリ近付けるのもやめて!?」*2

 

 

 結局私は鼻から紅茶を流し込まれて、口から吐き出すハメになった。

 

 ──そう。実を言うと『紅茶を出す魔法(テ・ポメリアーノ)』は、ソイツが作った()()()()()()()なんだよ。

 フェルンにも近い内に、『どうしても起こして欲しい時』は頼むと思うから、よろしくね。

 

 

 『無駄に高度な技術を使って何をやってるんだ』って? 全くだね。

 

 ──()()()()()()、本人に言ってやってくれ。

 

*1
※鼻うがいをする際は専用の洗浄水か、煮沸消毒した湯冷ましを使用しましょう。また、淹れたての紅茶には殺菌作用があるため『()()()うがい』をする際には効果的とされていますが、鼻うがいに使用した場合の影響は不明。通常のうがいに用いる場合も、常用すると常在菌まで殺してしまうため、悪影響すら出かねない点には注意。

*2
耳で顔を掴んで、尻尾の先に紅茶を浮かせている。




 
 尚新年祭の初日の出を見るために、フェルンはフリーレンに紅茶をぶっかけた模様。(服を溶かす薬もぶっかけた彼女ならやってくれると信じている)
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