ここからは短編集のような形式になります。
中央諸国、某所。ある農村の
魔法使いの女性冒険者が二人、並んで歩いていた。
「──フリーレン様。今日の報酬は何だったのですか?」
「民間魔法。『熱々の紅茶を出す魔法』が書かれてる」
「……? フリーレン様、
「あー。こないだ見せた『アレ』ね……あっちは民間魔法じゃないっていうか、そもそもが『異なる魔法体系』の技術を使ってるから……誰にでも使えるワケじゃないんだよ。実際
『こっちはフェルンでも使えるヤツ』『使い勝手もそうだし、何より味が変わると思う』と続けるフリーレンの言葉に頷きつつ、フェルンは疑問を口にする。
「『異なる魔法体系』というのは何なのですか? フリーレン様でも模倣が精一杯だなんて……女神様の魔法、とはまた別なのですよね?」
「別だねぇ」
「…………具体的には」
「ん〜〜、まだ秘密」
「どうしてですか?」
「コレはなんていうか……『触れても火傷しない炎』みたいなものでさ。本来存在自体があり得ないんだ。だからフェルンが『炎は触れても熱くない』なんて勘違いをしないように、まだ秘密」
「……火傷なんてしなくても、炎の熱さくらい分かります」
「
「…………すみません。では、おとなしく待つことにします」
「悪いね。
──代わりに一つ、『昔話』をしようか。とびきりマヌケで……ヒンメル風に言うと、『くだらない』って笑い飛ばせるような……私の明るい思い出話を」
*
アレはそう、大体千年くらい前のこと。
私の師匠が、まだ生きていた頃のこと。
私には、弟弟子がいた。私が先生に拾われた時、
「フリーレン。起きて」
「…………ぅん……? まだ夜じゃん……」
「夜と言っても、もう明け方だよ。起きてフリーレン」
「あと五分……」
「それで五分後起きた
「〜〜ーー────……」
「せめて意味のある言語を発してくれないかな?」
「むり……」
「…………はぁ、しょうがない。
──『
「ん……? いいにおい……」
「いま起きられたら、この熱々の紅茶に高級品のハチミツもつけて飲ませてあげるよ」
「むむむむ……」
「いま起きないと、この紅茶で強制的に鼻うがいさせるよ?」*1
「…………冗談だよね?」
「────」
「あ、ちょっ、起きる! 起きるから顔掴まないで!? 紅茶をジリジリ近付けるのもやめて!?」*2
結局私は鼻から紅茶を流し込まれて、口から吐き出すハメになった。
──そう。実を言うと『
フェルンにも近い内に、『どうしても起こして欲しい時』は頼むと思うから、よろしくね。
『無駄に高度な技術を使って何をやってるんだ』って? 全くだね。
──
尚新年祭の初日の出を見るために、フェルンはフリーレンに紅茶をぶっかけた模様。(服を溶かす薬もぶっかけた彼女ならやってくれると信じている)