キュップぃ、ボクわるい魔獣じゃないよ   作:しやぶ

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間話:『全知』の戦い

 

「──やはり生き残りが出るか」

 

 『インキュベーターとエルフを皆殺しにしろ』

 

 王は魔族と人類の共存を願っている。

 これは私が未来視の結果から導き出した、王の願いにとって必要不可欠な殲滅である。

 

 ──その結果、王が崩御するのだとしても。

 

「キュゥべえ。そしてフリーレン……」

 

 単体戦力としては『最強』に至る素質を持った特異個体に、いずれ王を殺すことになる少女。

 そのどちらも、魔族(こちら)から手を出さなければ本来脅威にはならない存在だった。

 その場合キュゥべえは勝手に同族のインキュベーターが処理してくれるし、フリーレンはただの『ちょっと強いだけ』な村娘として一生を終えていただろう。

 

 だが、それでは駄目だった。

 

 特にキュゥべえ。奴の処遇は面倒だった。

 『インキュベーター』という『群体』もまた、私同様未来視の使い手。奴らもタダでは退場してくれない。

 

 ──『インキュベーター』は、我々に二択を突き付けた。

 

『〝円環の理(マギアレコード)〟か、〝究極の一(ヴァルプルギスナハト)〟 ──どちらかは残させてもらうよ』

 

 マギアレコード。『インキュベーター』の『本体』とも言うべき、奴らの全生体情報・研究してきた魔法が記録されている──『生きた魔法』

 ヴァルプルギスナハト。『マギアレコード』に登録されていない、最早『新種』と言うべき──『最強の魔獣』 即ちキュゥべえの真名である。

 

 『インキュベーター』は私に、ヴァルプルギスナハトの誕生日を分岐点として提示した。

 

 この時『刺客を送った場合』『全力でヴァルプルギスナハトを生存させる』

 この時『刺客を送らなかった場合』『ヴァルプルギスナハトをマギアレコードに取り込み、種族全体を強化する』

 

 それが奴らの『二択』だった。

 しかしこれは実質『一択』だ。

 

 『インキュベーター』は危険過ぎた。千年後の魔族と人類のために、王は『ヴァルプルギスナハト』という新種を見逃し──『インキュベーター』を滅ぼすという選択をした。

 そして、自らの死さえ『良し』とした。

 

 残る障害は、南の勇者。

 アレとキュゥべえの接触は、避けなければならない。接触された場合、あの怪物を排除できなくなる。

 

 しかし幸い、奴はまだ産まれていない。分断するだけなら簡単だった。

 

 キュゥべえとフリーレンは、必ず巡り合う。

 フリーレンと南の勇者は、必ず巡り合う。

 

 両者の因果は、フリーレンを中継点に繋がっている。つまりそこを断てばいい。

 

 

 ────断ち切り鋏は、『黄金郷のマハト』

 

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