ポケットモンスターSpecial 蒼き少年と冒険記 作:KAZ1421
─── ロケット団飛空挺 ───
メガシンカしたカイリューと同じくメガシンカしたスピアーの攻撃がぶつかり合う。 ワタルのカイリューとサカキのスピアーのパワーの押し合いは徐々にカイリューが押されていく。
「バウ!」
しかし、これはワタルとカイリューにとっては想定内。これはメガシンカしたカイリューの特徴──否、デメリットを考えれば当然だ。
カイリューはメガシンカする事で、特攻が急激に上がるが、
その為、ワタルとカイリューはスピアーの様な相手との戦いで正面から力で対処するのではなく、逸らす事で対応する様、訓練してきた。
その成果のおかげか、メガスピアーの攻撃を受け流す事で対応している。
そんな2人の戦いをサトシは見て、ある行動を起こす。
「ミュウ! サカキとワタルさんをバリアーで閉じ込めるんだ!!」
サトシはそうミュウに指示し、ミュウは中央で戦闘しているワタル、サカキ、メガスピアー、メガカイリューをバリアーで包む。 その広さこのスタジアムの約1/3程の大きさだ。
「……なるほど、考えたな。」
「礼を言うサトシ。」
サカキとワタルはサトシの行動の意図に気付き、そのまま戦いを続ける。
「サトシ? どうして2人を。」
「ワタルさんのためさ。」
サトシはそうレッドとイエローに話す。
「これで、サカキとワタルさんの戦いを俺達の戦いで邪魔する事はないし、範囲が小さくなった事でスピアーの行動範囲が狭くなった。 これならワタルさんのカイリューでもスピアーを捉らえやすくなった筈。 そして、それは俺たちもだ。」
その言葉にレッドとイエローは気付き、ミュウツーとデオキシスを見て呟く。
「ミュウツーとデオキシスがどんなに早くても、このスタジアムを包んでいるバリアーとさっきの行動のお陰で移動が制限されている以上──」
「勝機はある、ですね。」
サトシの説明で2人は理解する。 ミュウが2人をバリアーで隔離している間、こっちでの戦いの影響を受けない。 しかし、これはミュウツーとデオキシスとの戦いでミュウの力を借りる事が出来ない事を意味する。
つまり、
「レッド、イエロー。 デオキシスとミュウツーは俺たち3人で倒すぜ。」
「ああ。」
「はい。」
3人はデオキシスとミュウツーに立ち向かっていく。
スピアーの攻撃をどうにか捌いていくカイリューだったが、すばやさ、攻撃力共にメガカイリューを上回るメガスピアーの猛攻に徐々に対応出来なくなってくる。 そしてスピアーの“どくづき”がカイリューに命中する。
「カイリュー “ぼうふう”!!」
「何?」
しかし、メガシンカしたスピアーの攻撃を受けたにもかかわらず、カイリューはすぐに反撃する。
メガシンカしたスピアーの特性は『てきおうりょく』。
自分と同じタイプの技の威力が上がるという特性で、これがメガシンカしたスピアーの上昇した攻撃力を更に上昇させる。 これほどの威力ならば、たとえ“こうかばつぐん”ではなかったとしても相当なダメージの筈。
だが、その攻撃を受けたメガカイリューのダメージは想像以上に少なかった。 そしてそれはサカキにとって想定外の事。 故に隙が生まれた。
ワタルはメガスピアーとの距離を作る為、“ぼうふう”を周囲に放つ。 その風でスピアーは体勢を崩し、距離が開く。
「“はかいこうせん”!!」
そして、その距離はメガシンカし、特攻が上がったカイリューにとっては有利な距離。 間髪入れず“はかいこうせん”をカイリューは放ち、スピアーへと向かっていく。そのスピードはメガシンカしたスピアーと互角──否、少し上回るかもしれない。
体勢が崩れた事で動き出すのに少し遅れたが、メガスピアーは自慢のスピードで回避を試みる。 一般的な“はかいこうせん”ならば、回避できただろう。
しかし、この“はかいこうせん”はワタルのカイリューが放つ“はかいこうせん”。 軌道を操作し追跡が可能な唯一無二の“はかいこうせん”。 故にスピアーが回避をしようとも、“はかいこうせん”はスピアーを追跡し、命中する。
「……ッ! 倒れないか。」
が、スピアーはまだそこにいた。 体力が削れている様だがカイリューの“はかいこうせん”を受けてなお、耐えたのだ。
「(いや、あれは“はかいこうせん”を耐えた訳じゃないな。 ならばなんだ? どうやって“はかいこうせん”を凌いだ?)」
メガシンカで防御力が上がった? 否、その可能性は低い。 あのメガスピアーは間違いなく攻撃力、すばやさが大きく上がるメガシンカ。 仮に防御なども上がっていてもそこまで大した事はない筈。
では特性か? それも考え辛い。 何故ならカイリューがスピアーの攻撃に耐え、すぐに反撃した事にサカキは驚いていた。
つまり、攻撃を受けて大きなダメージが入ると確信があった証明だ。 メガシンカしたスピアーの特性は攻撃系と考えられる。 ならば──、
「…何か技を使ったか?」
今のスピアーの状態は間違いなく、何か技を繰り出した事で防いだと考える方が可能性が高い。
防御できるが、体力を削る技。 一つ心当たりがある。
「……“みがわり”か?」
攻撃が当たる瞬間、“みがわり”で“はかいこうせん”を防いだとすればこの状況は納得する。
「(“みがわり”が使えるというなら厄介だな。 ミュウが放ったこのバリアーを通る事ができる可能性がある。)」
ヤマブキシティでの戦いで、ナツメのバリヤードが街全体に発動させていたバリアーをレッドのピカが“みがわり”でバリアーをすり抜けたという事実がある以上、後ろにも警戒する必要かある。
一方でサカキも目の前のカイリューの状態を把握し始める。
「(あのカイリューのダメージ、何かカラクリがある筈。 そうじゃなければあの程度のダメージに抑える事は出来ない筈だ。)」
スピアーが放った“どくづき”はカイリューには『こうかばつぐん』でも『こうかいまひとつ』でもない。
しかし、それでも大きな攻撃力を持つ。 故にカイリューがあの程度のダメージになった理由が不明。 メガシンカで防御力などが上がった?その可能性もあるが、もっと疑うべきことがある。
「(……特性か?)」
メガシンカしたポケモンは特性も変わる。 自身のメガスピアーが『てきおうりょく』になった様にメガシンカしたカイリューも特性が変わっているのは間違いない。 だとすればメガシンカしたカイリューの特性はダメージを軽減する特性という事。
例えば、今は特性が変わっているがレッドが所持しているカビゴンの特性『あついしぼう』は“ほのおタイプとこおりタイプ”の技でのダメージを軽減する特性。 これの様な特性ならば納得がいく。 だが、
「(だとすれば、あのワタルの戦術はなんだ? アレはカウンターを狙った攻撃だった。 スピアーのことをレッドから聞いた可能性もあるが、どんなタイプの攻撃が来るか分からない筈。 にもかかわらずワタルは
メガシンカしたカイリューの特性は間違いなくダメージを軽減するタイプの特性。 ワタルの動きからの推測だが、『あついしぼう』の様な特定のタイプで発動するという可能性は低い。 だとすれば、
「(──どんな技だろうとダメージを軽減する特性の可能性が高いという事か? そんな特性があると?)」
メガシンカしたカイリューの特性に一瞬戦慄するが、再度攻める事を決める。
「スピアー、“こうそくいどう”!」
サカキのスピアーは素早い動きでカイリューを翻弄する。
「カイリュー、“ぼうふう”で迎え撃て。」
その素早い動きに対応はほぼ不可能と判断したワタルは全方位に“ぼうふう”を繰り出す。 しかし、全体に放ったことで威力が弱まり、大したダメージにもならず、
「“どくづき”!」
スピアーは再度カイリューを攻撃、命中する。
「“ドラゴンクロー”!」
攻撃を受けたカイリューに大きなダメージが入ったことで怯んだ事で、反撃の“ドラゴンクロー”は命中する事はなかった。
そしてサカキは気付く。
「(……どうやら、カイリューの特性には何か条件がある様だ。)」
1度目の“どくつき”と2度目の“どくづき”でダメージが違うという事実を。
ダメージ量は2度目の攻撃が大きい。 故に
「(一度きりの特性という事か? だとすればもうその防御力はないと考えた方がいいか。)」
そうサカキは判断し、再び指示をしようとしたその時、
「カイリュー!」
ワタルはその状態を見て、『切り札の戦術』を使うことを決め、
「……トレーナー自ら危険に飛び込むとは、いや、トキワの力で回復か? ならばカイリューごと貫く! “つるぎのまい”!」
カイリューの体力を回復しているワタルごと貫く為、威力を上げてカイリューへと向かう。
「“どくづき”!」
そしてその攻撃とスピアーの圧倒的な素早さ。 如何にカイリューが“ドラゴンクロー”で対応しようとしても不可能だ。
圧倒的な威力の“どくづき”がカイリューを捉える。
「ニョロ、“れいとうビーム”!」
「オムすけ、“ふぶき”!」
「ピカチュウ、“エレキネット”! ルカリオ、“はどうだん”!」
レッドのニョロの“れいとうビーム”、オムすけの“ふぶき”、そしてサトシのピカチュウとメガシンカしたメガルカリオの“はどうだん”が繰り出される。
しかし、3人の攻撃は命中する事は無かった。 デオキシスはディフェンスフォルムとなり防御し、ミュウツーはミュウと同じバリアーで攻撃を防ぐ。
「……やっぱりあのバリアー。 思った通りだ。ヤマブキシティの時のバリアーとほとんど同じ性質を持っているかもしれない。」
サトシはスマホロトムの機能で解析。 その結果、ミュウツーとデオキシスが張り巡らせているバリアーには“ひかりのかべ”や“リフレクター”の性質が合わさったものだと分かる。
「とすると、ヤマブキシティの時と同じ、“かわらわり”で破れる可能性が高いか!!」
3人はこの情報を基に、防御させる事で生まれるバリアーを破り、相手を攻撃する事を決める。
「……まずは弱点がわかっているデオキシスから倒そう。 流石にこのままじゃこっちが持たない。」
「そうですね。 サトシさんのポケモンたちも限界が近いですし、まずはデオキシスから狙いましょう。」
既にサトシを中心に戦っていった結果、何度かデオキシスとミュウツーにダメージを与えているが、“じこさいせい”で回復されており、戦いの過程でウオノラゴン、カイリュー、ゲンガーは既に戦闘不能。
イエローはゴロすけ、ぴーすけ共に戦闘不能。 そしてレッドはゴンとギャラが戦闘不能な状態。
しかし、ようやく攻略の糸口が見えてきた。
「レッド。 最後はレッドに任せる。 俺とイエローがデオキシスまでの道を作る。」
「ミュウツーにも邪魔させません。 お願いします。」
「……分かった。 任せろ!!」
サトシとイエローのに託され、レッドは決意を固めるのだった。
一方、チャクラの案内(無理やりやっている)の通りに進み、ある部屋へと辿り着く。
「シルバーがいる場所が分かるって部屋はここか?」
「ああ。 この部屋にはこの飛空挺中の様子を監視カメラで見る事ができるじゃん。」
チャクラはそうゴールドとクリスの2人に説明する。 この部屋には飛空挺中を監視しているカメラの映像を映すモニターがあり、ここからならシルバーの居場所が分かると言ったのだ。
「(シルバーの居場所が分かり次第、すぐに始末してやるじゃん。 それにオレならモニターに映らないようにする事だって──)」
そうチャクラが考えながら扉を開けると、3人は驚く。 そこには1人の少年が寝かされていたからだ。
「「シルバー!!」」
そう、この部屋はサキとオウカがモニター越しでゴールド達を目撃した部屋。 この部屋にシルバーを置いて2人はどこかへ行っているようだ。
「大丈夫か、シルバー!!」
「返事して!」
2人はシルバーの下へ走りだし、身体を揺らす。
「……う…ん。 ! ゴールド? クリス? ここは一体──。」
一瞬シルバーはどうしてここにいるのか分からず記憶を辿り、すぐに気付く。
「…そうだ! オレはトキワの森でロケット団と戦い…そして…!!」
サキから聞いた事実を思い出す。
「…そうか…。 …そういう事だったのか…。」
「シルバー?」
シルバーが突然そう呟いているのを見てゴールド達は疑問に思う。
「……知っていた。」
「え?」
「
なぜ自分達がマスク・ド・チルドレンに選ばれたのか? ブルーが一度
一つは性別。 男女はそれぞれ3人ずつ。
二つ目は年齢。若いうちから鍛える事が目的であったが、同年代では結束する危険があるため17歳から3歳刻み幼い年齢で選んだという。
三つ目は出身地と天賦の才で選び、その中でも自分は生まれついてのエリートと評されていたとブルーは言った。
「…ロケット団のボスの息子って分かっていたからあのヤローはホウオウでシルバーを誘拐したってことか?」
「ああ。 そしてサカキはオレを探していた。こんな服まで…。オレを組織の後継者のでもするつもりか…!」
シルバーは忌々しく自身が着ている服を握り締める。
「…フ…フフフフ。 なるほど、姉さんがオレに話さなかった訳だ。 こんな現実、知って欲しく無かったんだ。」
「「………。」」
そう笑った後その場に座り込み、シルバーはゴールドとクリスに話す。
「ゴールド、クリス。 恥ずかしい話だが…何度も夢に見てきた。 いつか両親に再会し、本当の家に帰る事を。」
そうシルバーは夢を語る。
「そこはあたたかく、太陽の光に包まれて、よく懐いたポケモンたちが気ままに…楽しそうに遊び、笑い声が響いているんだ。 ゴールド、お前の家がそうだったように…。」
「……シルバー。」
「…しかし、それは所詮「夢」だったんだ。 どれほど強く外の光の世界を望もうとも…、闇は容赦なくオレを離さない。 どう足掻いてもオレが表の世界で生きることを許さない!!」
そうシルバーが自身の思いを2人に話す。
「……だったら、
「…何?」
ゴールドのその言葉にシルバーは一瞬驚く。
「どうせあの
そしてゴールドはシルバーに話す。
「それにシルバー。 おめえはその可能性を知っている筈だぜ? 思い出せよ。 サトシさんの世界のロケット団の事をさ。」
「!」
その言葉にシルバーはあの3人組の事を思い出す。
「あいつら、ロケット団に忠誠を誓っているにもかかわらず良い奴らじゃねえか。 それにサトシさんはロケット団が正義の味方って世界もあったって言ってたぜ。」
カロス地方をサトシが旅している時、あべこべ世界に迷い込んだ事をジョウト地方でゴールド達に話した事があった。 それを伝えたのにも理由はある。
「つまり、おめえの夢は終わったなんてオレは思っちゃいねえ。 もしかしたらオレ達で止めれば改心する可能性もあるかもしれない。 だってサトシさんは平行世界の人。 平行世界は
「……うん。 そうだよシルバー。 私はシルバーが言う表の世界で生きることが出来ないなんて全く思ってないわ。 きっとみんなもそう思っていると思う。」
「………。」
2人の言葉にシルバーはただ俯いているだけだが、雰囲気は変わったと分かる。
「じゃあ、動こうぜ。 サトシさんも言ってたろ? こういう時はとにかく動く! そうすりゃ何かが残るってよ。」
「……フッ、そうだな。」
その言葉にシルバーは立ち上がる。 その顔には決意に満ちた表情を浮かべていた。
「(チャンスじゃん。 今持ってるエアームドで襲えば──、)」
そうチャクラが隠し持っていたボールでゴールド達を襲おうとしたその時、 チャクラの上にあった宝石の様な物が“チカ”っと光る。
「! ス、スタ」
突然スターミーがチャクラを攻撃する。
「ガッ!!」
「「「!」」」
突然現れたポケモンに3人は咄嗟に警戒する。
「全く、油断も隙もないですね、チャクラ。」
その言葉と共に現れたのは三獣士のサキとオウカだった。
以上如何でしたでしょうか?
次回はサカキ、デオキシス、ミュウツーとの決着……予定です。
出来たら良いな。