ポケットモンスターSpecial 蒼き少年と冒険記 作:KAZ1421
ではどうぞ。
─── ロケット団 飛空艇内 ───
ワタルのメガカイリューとサカキのメガスピアーが共に倒れ、デオキシスがレッド、イエロー、サトシによってミュウツーをスプーンを利用して胸の水晶体を貫く光景をモニターを通してゴールド達は見ていた。
「よっしゃ! さすが先輩達!!」
レッド達先輩とサトシ、そして四天王のワタルの戦いを見てゴールドが喜ぶ。
「我々ロケット団を壊滅寸前まで追い詰めただけはありますね。 それに、」
サキは倒れたデオキシスを観察し、倒れているのは弱点の胸を貫かれただけではないと悟る。
「……どうやら、彼らの仲間にしてやられたみたいですね。」
倒れたデオキシスは苦しみ悶えながらフォルムチェンジを繰り返していた。
「! これは、
しかし、デオキシスが変化しているのはアタックフォルムとディフェンスフォルムの2つの形態のみだった。 これはつまり、
「苦しみ悶えているのは
この事実が示している事はつまり、巨石によってホウエンの風土を再現していたのだが、その巨石のエネルギーが消えた事を意味する。
「く、おのれ。 誰かが取り除けたのだ!! 5の島の増幅機から巨石を!! 誰かが!!」
─── 5の島 ───
5の島のあるロケット団の基地。 そこでマサキは目的の巨石を見つけ、設置されていた機械から取り出した。
「…やった…。 ついに見つけたで、巨石。」
「マサキさん!!巨石から出ていたエネルギー波が消えましたよ!! これでカントーに再現されたホウエンの風土はなくなりました!!」
ニシキの言葉にマサキは頷く。 これでデオキシスのフォルムチェンジは制限されたはずだ。
「トウキさん、本当にありがとうございます。」
「いや、礼ならナナシマまで連れてきてくれた友、シバに言ってくれ。 オレはジムリーダーとして当然の事をしただけさ。」
トウキによって戦闘不能となったロケット団達を背景にトウキはそう言う。
─── ロケット団飛空艇 ───
「…ここまで追い詰められるとはな。 だが、まだ余力はある。 そしてミュウツーもまだ健在!! ここからだ。」
サカキの言葉に全員が臨戦態勢をとったその時、
「? 今、僕に話しかけたの…、もしかして!」
そんな中、イエローはふとデオキシスが何かを伝えようとしている事に気付く。
「…やっぱり、デオキシスは何かを伝えようとしています。」
「伝える!? 何を伝えようとしているんだ!? デオキシスは!!」
ミュウツーとサカキを警戒しつつ、レッドはイエローに聞く。
「伝えようとしているのは自分の正体についてのようです。 ……デオキシスの心を読み取ったままそのまま伝えます。」
イエローはそうデオキシスの心を伝える。
「
イエローから伝えられたデオキシスの心の声。 その言葉にレッドとサトシは混乱する。
「オレは…、俺たちだって?」
「どういう意味だよ。 デオキシス。」
その言葉の意味を2人は理解できない。 故にデオキシスのその意味を理解したく質問する。
「……それは、オレが説明しよう。」
その疑問に答えたのはデオキシスではなく、サカキだった。
「デオキシスのその言葉の意味を話す前に、まずはデオキシスの誕生について話そう。 デオキシスについては既にそのポケモン図鑑で少しは理解しているだろう?」
デオキシスは隕石に 付着していた 宇宙ウイルスの DNAが レーザーを 浴びて変異して 生まれた ポケモン。
と図鑑には描かれていた。
当然、サトシのポケモン図鑑データを入手したロケット団もその情報を知っている。
「この世界も宇宙ウイルスが変異し、誕生。 その後ある隕石に付着する事でデオキシスはこの星にやって来た。 その隕石は【グラン・メテオ】。」
「……グラン・メテオ。」
聞いたこともない隕石だったが、その隕石に乗ってデオキシス達はやって来たのだと理解する。
「グラン・メテオはホウエン地方に落ち、隕石はソライシという学者の手に渡り、2体のデオキシスはトクサネ宇宙センターに改修された。」
(! ソライシ博士って、俺の世界でえんとつやまで会った。)
サカキの言葉にサトシはえんとつやまでソライシ博士と出会い、マグマ団とアクア団の事件に巻き込まれた事を一瞬思い出すが、すぐに切り替える。
「ホウエンに張り巡らせた情報網から経緯を知り、さらにサトシのポケモン図鑑の情報からそれがデオキシスという強力なポケモンである事を確信した。」
「そして1ヶ月前のポケモン協会の事件。 その情報が世界中で公開された事で、トクサネ宇宙センターも無傷では無かった。」
サカキの言葉にワタルは察する。
「そうか、詳細こそ公開されていないがトクサネ宇宙センターはレックウザの件で協力している。 その対応で警戒が緩んだのか!!」
「まさか、トクサネ宇宙センターからデオキシスが奪われた原因って──」
レッドの考えに同意する様にサカキは答える。
「そうだ。 サトシに負けた責任でホウエン地方に配置されていたアポロ達ロケット団4将軍の存在が大きいとはいえ、あのポケモン協会の事件がなければトクサネ宇宙センターからデオキシスを奪うことは不可能だった。」
「それで、あのデオキシスってポケモンを奪ったって事か!?」
「ええ。」
同じく、サキから説明されていたゴールド達もデオキシスの経緯等を聞いていた。
「奪ったデオキシスの能力は強力で、その能力の中に【念視能力】を備えていたのです。 遠く離れた場所にある存在も明確に感知出来る程のね。」
「! まさか、お前たちがトキワシティに来たのは!!」
シルバーの言葉にサキ達は頷く。
「ええ。サカキ様はその能力でこのトキワシティへ来たのです。シルバー様、あなたを迎える為にね。」
その言葉にゴールド達はロケット団がこのトキワシティに来た理由を理解する。
「話を戻しましょう。デオキシスをナナシマまで運ぶ途中でデオキシスの姿が変わり、この世界のデオキシスはサトシの世界とは違い、まだ完全に成長仕切れていないのか、地域の風土によってフォルムチェンジが出来る種類に制限がある事に気付いた。」
「カントーではアタックフォルムとディフェンスフォルム。 ホウエンではノーマルフォルムとスピードフォルムの2つに変化出来ると判明した。」
「……土地や風土で変化。」
クリスはデオキシスのその特性に驚きつつ、サキの言葉を聞く。
「しかし、2体の内1体がナナシマの基地から逃走してしまった。」
サキは管理をしていたリョウ、ケン、ハリーの3人を想像しながらそう語る。
「その個体が今、倒れているあのデオキシス、【個体・弍】だ。」
「その逃げたデオキシスがこいつか。」
サカキの話を聞いて、今倒れているデオキシスがその個体と知る。
「そうだ。より強い【念視能力】を開花させる為、【個体・弍】はあえて放しておいた。 その分、当然再捕獲は困難になる。」
「そこで…、使ったのが、【個体・壱】だ。」
「【個体・壱】。 オーキド研究所で戦ったあのデオキシスか。」
レッド達はオーキド研究所で初めて戦闘したデオキシスがその【個体・壱】だったと理解する。
「【個体・壱】でお前たちを襲撃する。 オーキド博士の誘拐やナナシマの人々を襲う。
「…挑発…! 俺を怒らせる事が目的だって!?」
今までのロケット団の行動全てが自分を怒らせるためだけに行なったと知り、怒りが込み上げていくサトシ。
「ちょっと待て! お前たちは逃げたデオキシスを再び捕獲したかったんだろう!? サトシを怒らせることとどう関係がある!?」
レッドは湧き出た疑問をサカキにぶつける。
「わからないか? 仲間思いのサトシは友人やポケモン達を襲う脅威に当然怒る。 自分のこと以上に激しく。 そのサトシの怒りに呼応して【個体・弍】がサトシの所へやって来る──
サカキの答えに一瞬頭が真っ白になる。そして、複数の疑問が浮かび上がる。
「──おまえの言葉通りなら、デオキシスはオレ達5人じゃなくて、サトシと引かれ合っているって話だったよな? なら、
そう、仮にデオキシスがサトシと引かれ合っているならば、レッドとイエローがいる5の島ではなく、サトシがいた7の島に現れた筈。 にも関わらず、デオキシスはレッドとイエローがいる5の島に現れた。
そもそもなぜ、サトシとデオキシスが引かれ合っているのか?
引かれ合っていたならばなぜ、サトシの所ではなくレッドがいた5の島にやって来たのか?
そしてその為に利用された【個体・壱】は?
様々な疑問が溢れて来る。
「まずは、サトシとなぜ引かれ合っているのか話そう。」
サトシとデオキシスが何故引かれ合っているのか? サキは話す。
「サカキ様は悪を極める為、より強力な戦力を得る為に様々な細胞サンプルやエネルギー源を集めていたのですが、【個体・弍】がロケット団から逃げた際、奴は研究サンプルを何個か破壊してしまった。」
そうサキはデオキシスが逃げた際の出来事を語る。
「そしてその中にヤマブキシティでの戦いでサカキ様が手に入れたサンプル。世界チャンピオンのサトシの血液を手に入れ、保管していた。」
「「「!?」」」
サキの言葉にゴールド達は驚愕する。
「保存していたその血液は【個体・弍】が脱走する際、偶然吸収したのです。 その結果、【個体・弍】は本能的にサトシを【自身のルーツ】とらえ、サトシに接触すると我々は確信したのです。」
サトシはヤマブキシティでスピアーの攻撃で掠め、血を流したことを思い出しながら情報を整理する。
「……あの絆現象に近い感覚は、デオキシスの中にあって俺の血に反応した結果って事か? でも……、」
そうサトシはレッドを見る。
「なら、どうしてオレとも引かれ合っているんだ!! オレの血も手に入れていたのか!?」
サトシとデオキシスが引かれ合っているのは分かったが、なぜ血を奪われた覚えがないレッドとも引かれ合っているのか? その疑問をサカキに問う。
「いや、手に入れたのはサトシの血。 レッドの血は手に入れていない。 デオキシスは間違いなく取り込んだサトシの血に反応している。故に
「──はっ? 何意味が分からないことを──。」
サカキの言葉にレッド達3人は困惑する。 そんな中、ワタルは驚愕の表情を見せる。
「馬鹿な…、
「ワタル?」
ワタルの様子にイエローは問う様にワタルの名を言う。 イエローのその様子を見て、ワタルは自身が思い至った事を説明する為にある質問をする。
「レッド、イエロー。 サトシは何処からやってきた?」
「何処からって…、」
「平行世界からだけど。」
レッドとイエローは質問の意図が分からないが、答えた。
「そうだ、平行世界。無数にある、ありえた可能性の世界からサトシはやって来た。 そしてサトシの世界にもカントーのジムリーダーやオレ達カントー四天王も存在する。 いわばその世界のオレ達自身と言ってもいい。」
ワタルはそうレッド達に平行世界について改めて説明する。
「ならば、この世界にもサトシに該当する人物は存在するはずだ。
ワタルの言葉に3人はようやく理解する。 つまり──、
「そうだ、レッド。 おまえにとってサトシは
「サトシさんとレッド先輩が、同じ遺伝子を持った存在だって!?」
サキが言った情報にゴールド達は驚きを隠せなかった。
「ええ。 あまりに奇跡的な偶然。 平行世界の自分と出会い、更に共に旅をし、我々ロケット団と戦うなど天文学的確率ですよ。」
確かにそうだろう。 平行世界にたどり着くという事自体滅多に起こる事がない出来事だと想像できるのに、その中でその世界の自分と出会い、仲良くなり、共に旅をするなど一体どれ程の確率になるのか。
そのような奇跡によって、7の島に現れると考えていたデオキシスは5の島に出現するという事になってしまい。 結果的にサトシの排除は出来ず、5の島でサカキ自らミュウツーを連れて行かねばならない事態となったのだから。
「それも驚きだが、他にも聞くことはあるぜ。 あのデオキシスっていうポケモンはもう一体いるんだったよな? そいつはどうしたんだ!!」
ゴールドの質問にサキは答える。
「捨てたさ。 不安定な状態で酷使したからか、すっかり使いものにならなくなってね。」
「〰︎〰︎テメェ!!」
「ゴールド! 気持ちは分かるけど、此処で暴れたら何が起こるか分からないわ。 此処は落ち着いて。」
ゴールドが怒りのまま戦おうとしていたのでクリスはゴールドを抑える。
「なんで止め……ッ!」
止められた事でクリスに文句を言おうとしたのだが、クリスがロケット団の悪行に怒りつつ、耐えている表情を見てゴールドも冷静になる。
「さて、そろそろ話は終わりにしましょう。 まだ戦いは終わっていません。」
そうだ。 メガスピアーとデオキシスは無力化されたが、サカキはまだ充分に余力はあり、ミュウツーというポケモンもまだ戦闘不能になっていない。
まだ戦いが終わったわけではないと思ったその時、
「? あのミュウツーってポケモン。 なんか…様子がおかしいわ。」
モニターのミュウツーの様子がおかしいとクリスは気付く。
デオキシスについて話し終わり、戦いの再開と身構えたその時。
「……何?」
ミュウツーが身に纏っている鎧の様な物が機能を停止する。 それと同時、ミュウツーは身につけていたそれをサイコパワーで全力で引き剥がす!!
「な、何だ!?」
「ミュウツーが身につけていた鎧が?」
突然のミュウツーの行動にレッド達は混乱する。 それは、
「ミュウツーをコントロールする為の拘束具が剥がされただと!?」
ミュウツーをコントロールしていたはずのサカキも驚いていた。
ミュウツーが身につけていた鎧はミュウツーの力を思い通りにコントロールする為だけではなく、巨石で強化されたその圧倒的なサイコパワーを抑制する役目があったのだ。
その鎧が突然機能を停止し、ミュウツーによって強制的に剥がされた。 自由の身となったミュウツーの表情には、圧倒的な怒りがあった。
「馬鹿な、あの拘束具が剥がされたんだな!?」
オウカはその光景に驚きを隠せなかった。 サキも驚いていたが、その理由を考察し、すぐに理解する!!
「ジュペッタ、“シャドーボール”!!」
故にその原因に対して攻撃するが、
「フォレトス、“まもる”!!」
既に手遅れだった。
「攻撃してくれて感謝するじゃんサキ。」
「気絶した振りですか。 どうやってペルシアンの“パワージェム”の直撃を……」
サキの疑問にチャクラはペンダントの様な物を取り出す。
「この道具には“ひかりのかべ”と“リフレクター”の効果がある。 これで防いで気絶したふりをしたって訳じゃん。サキに攻撃させる為に挑発して良かった。」
そうチャクラは自分が無事だった理由を話す。
「気絶している振りをしていたのは、ミュウツーを解放する為か!!」
「正解!! ミュウツーはロケット団に怒りがある。 その怒りと憎しみをこのタイミングで発揮できるようになれば、ミュウツーはサカキを、そしてここにいる奴全員を倒そうとする!」
同時に今いる部屋の一部が大きな爆発を起こす。
「うわぁ!?」
「きゃあ!?」
「クッ!」
そこより少し離れた場所にいたゴールド、クリス、シルバーはどうにか被害に遭わずに済んだが、
「うおおおお!?」
「…が。」
入口近くにいたサキとオウカはその爆発でダメージを。 そしてそのままその爆発で開いた外へ続く穴から外へ落ちて行ったのだった。
「きひひ、此処で気絶している振りをしていた間にフォレトスの入ったボールを入口に転がして良かったじゃん。」
チャクラは笑いながらエアームドを繰り出す。
「ミュウツーの攻撃が来る前に逃げるじゃん。」
「! ま、待ちやがれ!!」
そう言いチャクラを引き止めようとするが、ゴールドを無視してそのまま飛空艇を脱出する。
「これは、チャクラの仕業か!」
解放されたミュウツーを見てサカキは察するが既に遅い。 怒りのままミュウツーは“テレポート”で周囲を覆うバリアーより上空へ飛び、サイコパワー全力の球体を生み出し、飛空艇に放つ。
「! ミュウ!」
瞬時にミュウが“テレポート”し、ミュウツーの攻撃にサイコパワーで対抗するが、少し逸らしただけだった。
ミュウツーの攻撃が飛空艇に命中する。
以上如何でしたでしょうか?
オリジナル設定として、サトシとレッドは平行世界の同一存在としております。
故に、ヤマブキシティでサトシの血がロケット団に取られてもレッドがいた5の島にやって来ました。
後の伏線はサトシがおつきみやまでシバとの戦いの場所に走って向かったにも関わらず、レッドが正確にサトシの後をついて行けた時もそうです。
おつきみやまでレッドが自分よりも速いサトシの後をついていけたのもデオキシスとの共鳴に近い現象で何となくレッドがサトシの居場所を察したからです。
ちなみにチャクラがフォレトスの入ったボールをいつ入口に転がしたのか……、 それは前話でチャクラが気絶した際に繰り出そうとしたボールがそのまま転がったからです。 サキもチャクラが気絶したと思っていたので違和感を感じませんでした。
ちなみにこの描写を書くのを忘れていた事に気づきましたのでチャクラが倒れる所で追加しております。
ではまたの機会に。