ポケットモンスターSpecial 蒼き少年と冒険記   作:KAZ1421

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2024/11/14日にて、

本作品を投稿を始め、一年が経ちました。

ここまで続けて来られたのは皆様のおかげです。

ありがとうございました。




本編再開です。

『ポケモン協会編』

ついに始動。


未熟な身ですが、付き合って頂ければ幸いです。


ポケモン協会編
ジョウト地方へ


 

ロケット団、四天王との戦いが終わり、ヤマブキシティでオーキド博士たちと合流したレッドたち。

 

ヤマブキシティでダイゴがキクコから聞いた情報からオーキド博士は仮面の男の正体が状況証拠から『ヤナギ』である事は分かる。

 

 

しかし、決定的な証拠はない為に手は出せない。

 

警察に依頼しようも、ロケット団から警察の上層部とポケモン協会の一部の役員が繋がっており、サトシたちを排除しようとしている事が分かる。

 

 

このままでは仮面の男と戦おうとも、協力も期待出来ず、邪魔をしてくるのは明白だった。

 

 

その為、まずはポケモン協会内にいる敵対勢力に対処する事となった。

 

 

 

 

─── ハナダシティ ───

 

現在、レッドとイエローはハナダシティのカスミの家にいた。

 

理由はロケット団、そして四天王との戦いで傷付いたポケモンたちを回復させる為だ。

 

 

しかし、ここで問題があった。 

 

 

『回復させるポケモンがあまりにも多い』という事だ。ひとつのポケモンセンターでは当然限界はある。

 

 

特に合計11体のポケモンを回復させる必要があるグリーンは時間もかかり、仮に全員が一つの場所で回復するのは2日以上掛かるだろう。

 

 

そこでオーキド博士とダイゴは集合場所をクチバシティとし、レッドとイエローはハナダシティのカスミの家にある回復マシンで、グリーンはタマムシシティのポケモンセンター。ブルーはクチバシティのダイゴの家で、サトシはアンズと共にニドキングをサファリゾーンに戻すと同時に回復させる為、セキチクシティへと向かった。

 

そんな中、レッドは家で身体を休めていた。

 

 

「ふう、ようやく落ち着けたよ。」

 

 

レッドは今日の事を思い出す。

 

朝早くからヤマブキシティでロケット団との戦闘、そこでレッドはマチスと戦闘後、ナツメとサ・ファイ・ザーと戦闘、グリーン、ブルー、イエローと共に戦いサンダー、ファイヤー、フリーザーをロケット団から解放する事が出来た。

 

しかしすぐに四天王が襲来。

 

戦闘するもやはり手強く、襲って来た四天王配下のポケモンたちによって身動きが取れないその時、ホウエン地方のチャンピオンダイゴが現れ助力してもらった事で四天王の本拠地、スオウ島へ突入。

 

そこでイエローと共にワタルと戦闘。

 

ワタルはグレンタウンでサトシとの戦闘と四天王のポケモンを回復させた事で『トキワの力』が一切使えない状況という有利な状況ではあったが、純粋にワタルの実力がレッドとイエローを上回っていた。

 

それでも勝てたのはカツラさんとエンテイ、そしてイエローが今まで進化キャンセルした事で溜まっていたエネルギーが進化で発揮されたという理由があったからだ。

 

 

「…オレはまだまだだな、皆に支えられているからこうして今いるんだから。」

 

 

レッドが1人で勝ったのはマチスのみ、他は誰かの力を借りてようやくという事実が自身の未熟さを痛感させる。

 

 

「何がまだまだなのよ?」

 

「! カスミ、それにイエローも。」

 

 

その言葉に後ろを振り返るとそこにはカスミとイエローがいた。

 

 

 

「レッドさん、どうしたんですか? そんな思い詰めて。」

 

「いや、まだまだ先は長いなって」

 

 

レッドの言葉にカスミは気付く。

 

 

「『世界最高…いえ、最強のポケモントレーナー』の事?」

 

 

カスミの言葉にレッドは頷く。

 

 

「マサラタウンで初めてミュウと戦って負けて、そこから強くなりたいって一心でオーキド博士の所へ行ったのが全ての始まりだった。」

 

 

レッドはそう、この旅の始まりを話す。

 

 

「研究所でオーキド博士とサトシに出会って『最高のポケモントレーナー』になる為にポケモン図鑑を貰って、サトシと一緒に旅をする事になった。」

 

 

そう思い出しながらレッドは語る。

 

 

「旅で色んな人やポケモンと出会って色々な事を経験してここまで来たけど、オレとポケモンだけで出来たことって意外と少ない。ロケット団や四天王との戦いでもオレはみんなに仲間に支えられてここまで来た。」

 

 

そう言いながらレッドは回復マシンにいる自分の仲間(ポケモン)を見る。

 

 

「このまま支えられてばかりでサトシみたいなみんなを助けるトレーナーになれるかな…って、ちょっと考えててさ。ほら、サカキとの戦いでも何も出来なかったし、結局ルギアとの戦いでも助けてもらったからさ。」

 

 

レッドが考えているのは正にそこだ。 

 

自分はちゃんと夢に向かっているのか? 前に11番道路で言った『サトシの力になりたい』という言葉の通りに力になれているのか。

 

 

今までの戦いを振り返り、そう悩んでいたのだ。

 

 

「…レッドさん。」

 

 

同じく旅をしているイエローもその悩みに共感する。

 

最初はただ、助けてもらったレッドとサトシの隣に立てるようになりたいだけだった。

 

その為にオーキド研究所に行き、そこでブルーと出会い、レッドたちが四天王との戦いで行方不明になった事を知った。

 

2人を探す為に旅をし、クチバシティでの出来事があったが、2人を見つけた所からが本当の冒険だった。

 

サトシの事をタマムシシティで知り、巨石、ロケット団、四天王と共に旅をして来たが、果たして2人の力になれていたのだろうかと不安は常にあったのだから。

 

 

「…なるほど、確かに難しい悩みね。 その答えはレッド自身とサトシにしか答えられないと思う。 だからこれは私の思っている事だけど、レッドは…いえ、()()()()は確実に強くなっているわ。

 

 

故にカスミは自身の考えを言葉にする。

 

 

「最初にあった時に比べたら全くの別人よ。昔のあなた達に自分達は『カントー、引いては世界に関わる事件で最前線で戦う。』って言っても冗談にしか聞こえないでしょう?」

 

「…うん。」

 

「…はい。」

 

 

 

カスミの言葉にレッドとイエローは頷く。 

 

きっと、旅をする前の自分たちに今の状況になると言っても決して信じてはいないだろう。

 

 

「そりゃあ、世界チャンピオンのサトシと比べたら小さく見えるかもしれないけど、私は断言するわ。あなた達は間違いなく、

 

()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

カスミはそう断言する。 レッドとイエロー、そしてグリーンとブルーたちによって多くのポケモンと人間が救われたという事実を。

 

 

 

「だからレッド、あなたは間違いなく夢に向かって進んでいるって私は思う。 これまで通り、頑張ればいいじゃない。」

 

「…そっか、ありがとうカスミ。」

 

 

レッドはそうカスミに感謝する。

 

 

「失礼します。 皆様、食事のご用意が出来ました。」

 

 

その時、使用人が食事の準備が出来たと伝える。

 

 

「ありがとう。 さあ、2人共行きましょう。」

 

 

カスミの言葉に2人は頷き、食堂へと行く。

 

 

 

 

 

─── クチバシティ ダイゴの別荘前───

 

 

翌日の朝、レッドとイエローが集合場所の別荘前に到着すると、既にグリーンとブルー、そしてダイゴとマツバ、ミナキ、オーキド博士がいた。

 

 

「おはよう、みんな。」

 

「おはようございます!」

 

 

2人の挨拶に皆が返事し、イエローは質問する。

 

 

「サトシさんはもしかして…」

 

「ああ、さっき連絡があってな、()()()()

 

 

グリーンの言葉にレッドとイエローは“やっぱり”と笑う。

 

共に旅をして来た2人はサトシが朝に弱い事は分かっていたので相変わらずと思っていた。

 

 

「まあ、サトシは朝に弱いから、いつもオレかイエローが起こしていたんだ。」

 

「はい。 僕たちがいないから大丈夫かな、っと思っていましたが、遅刻しましたね。」

 

 

遅刻しているサトシは放っておいて、現在の状況を確認する。

 

 

「えっと、店員さんたちは?」

 

「彼らならポケモンたちを回復させた後、先にジョウト地方へ行ったよ。ポケモン協会は彼らの存在を()()()()()()。 協会の動きを監視する為、一足先にジョウト地方へ向かったよ。」

 

 

店員さんたち…ロケット団3人組(?)はポケモン協会の動きを、情報を入手する為、一足先にジョウト地方へと向かった。

 

彼らの存在はポケモン協会には知られていない。 故に動向を調査するのに適任という事だ。

 

 

「ジムリーダーの皆はカントーでの作業で来れないけど、マサキとあの警官は何処に?」

 

 

カントーのジムリーダーたちは町の復興などの業務があるのも理由だが、動けばポケモン協会に察知されやすいという問題点がある。

 

その為、ジムリーダーたちは動く事が厳しいと判断し、助力は出来ない。

 

(マツバはジョウト地方のジムリーダーであり、且つスオウ島へ行く際、ロケット団がポケモン協会に把握されない様、隠密に動いた為、エンジュシティからカントーにいる事をまだ知らない。)

 

 

そしてマサキとハヤトは…。

 

 

「マサキ君はポケモンの治療後、ロケット団に所属していたカントーのジムリーダーについてポケモン協会で報告する為にポケモン協会へ行ったよ。」

 

「? でも決定的は証拠はないんじゃ?」

 

 

イエローの言葉にオーキド博士は頷く。

 

 

「ああ。 証明する事は出来ないし、捕える事は出来ないだろう。 だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

マサキが此処にいないのはポケモン協会へ進言しているからだ。

 

内容は『ロケット団に協力しているジムリーダーがいる。』という証言をマサキがポケモン協会へする予定だ。

 

ジムリーダーはポケモン協会が試験を通じて任命している。故にジムリーダーが犯罪組織、『ロケット団』に協力、及び所属しているならば、ポケモン協会の責任問題となる。故に本来ならば決定的な証拠が無ければ相手にもされないだろう。

 

だが、今回は違う。 

 

 

 

 

何故ならマサキはヤマブキシティでの戦いに参加したのだ。

 

故に直接会った彼の証言には一定の信頼があるのだ。

 

例え証拠が無くとも、無視する事は決して出来ない。

 

 

 

つまり、ただでさえ復興などで人材を派遣している協会側は更に多くの人材がその件に対して対応しなければならないという事だ。

 

 

そしてそれがこちらの狙いでもあった。

 

それらの対応によってこちらの動きを監視などを行う労力が裂かれる事を意味するからだ。

 

少なくとも今日1日はポケモン協会側はこちらに対しては満足に出来ないだろう。

 

 

 

「被害が少なかったハヤト君は先にワカバタウンに向かったよ。既にキキョウジムのジムリーダー、ハヤテにクリス君の家族を守る様に伝えたそうだ。」

 

 

ハヤトは自身の父親でジムリーダーでもあるハヤテにクリスタルの家族を守る様に保護を頼んだとの事。

 

可能性だが、ポケモン協会側は何をするのかが不明な為、ジムリーダーのハヤテに依頼したのだ。

 

当然だが、電話ではそれは話せない為、ジョウト地方のエンジュシティの事件で報道された仮面の男と対立した事を理由に保護をする様に言ったのだ。

 

(その際、仮面の男がジムリーダーであり、ポケモン協会や警察にも繋がっている可能性を言った。)

 

ハヤトが向かったのはワカバタウンにいるゴールドの家族を保護する為に向かったのだ。

 

 

 

「そうですか、分かりました。このままクチバシティの船でジョウト地方に向かうんですか?」

 

 

 

ジョウト地方に向かう理由は大きく分けて3つ。

 

 

1つ目はウツギ研究所にある機材でキクコから受け取ったデータメモリーを解読する為。

 

専用の機械はオーキド研究所にもあったが、以前のロケット団の襲撃によって破壊されてしまっている状況だ。

 

その為、その機械があるウツギ研究所へと向かう必要がある。

 

 

 

2人目はヒワダタウンにいるゴールドとクリスとの合流。

 

念の為、ダイゴが此処に来る前に仮面の男が再度襲う可能性を考え、ジムリーダーのツクシに2人の護衛を任せているが、可能性ではあるが相手はポケモン協会、何をするか分からないので合流する必要がある。

 

 

 

3つ目はジムリーダー承認試験がジョウト地方で行われる為だ。

 

今回ジムリーダー承認試験を受けるセンリは何処で試験を受けるのかはまだ不明だが、試験を受ける場所がジョウト地方である事は判明している。

 

上記3つの理由でジョウト地方へ向かう事としたのだ。

 

 

船で行くのかとイエローの質問にダイゴは答える。

 

 

「いや、正式な船では時間は掛かるし、何より僕たちが此処からジョウトに向かったという証拠が残る。 その手はこれから説明する『手段』が失敗した場合にしよう。」

 

「? 手段って──、」

 

 

レッドがダイゴの言葉に質問をしようとするその時、

 

強い風が上空から来る。

 

 

「ごめんみんな! 寝坊しちゃった。」

 

「ピカピカチュウ。」

 

 

カイリューに乗ったサトシがクチバシティへ到着したのだ。

 

 

「サトシ、おはよう!」

 

「サトシさん おはようございます。」

 

 

レッドとイエローはそうサトシに言う。

 

 

「ごめんごめん。 ニドキングたちと夜まで話してて、すっかり寝過ごしちゃった。」

 

「…まあ、無事回復してよかった。 カンナの氷もエンテイの炎で治療は完了した様だな。」

 

「ああ!」

 

 

グリーンの言葉の通り、戦いが終わった後、エンテイの炎でカンナの氷の後遺症を回復させたのだ。

 

あの時グリーン、ブルー、マサキから四天王の攻撃を庇った怪我は完全に回復したという事だ。

(ちなみに全員ポケモンの攻撃を受けたのに何故か直ぐに回復したサトシに驚いてはいたが、)

 

 

「これからジョウト地方に行くんだろう? さっさと行こうぜ!」

 

「ちょっとサトシ! 今その移動方法でダイゴさんから話しがあるのよ。」

 

 

ブルーはさっさと行こうとするサトシを止める。

 

 

「? 話しって?」

 

 

サトシはダイゴに質問する。

 

 

「ああ、実は君の世界のロケット団から教えて貰った情報の中にはもう一つあったんだ。」

 

 

そう言いダイゴは説明する。

 

 

「彼らはこの世界のロケット団に干渉しない為にこの世界のロケット団についても調べていた様でね、実はこのクチバシティでロケット団の技術を使った極秘の船が作られていたそうだ。」

 

「極秘の船?」

 

「サントアンヌ号のような船ですか?」

 

 

 

イエローはそう質問すると、

 

 

「大きさは正にサントアンヌ号とほぼ同じだけど、特徴はその速さだ。通常は半日以上掛かる移動がその船なら1()()2()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

その言葉に皆が驚く。 それと同時にロケット団の技術力の高さを再認識したのだった。

 

 

 

「もしかしてその船がこのクチバシティにあるって事ですか?」

 

「ああ、そしてそれは誰が管理しているか…分かるんじゃないかな?」

 

 

 

その言葉にグリーン、ブルー等の察しがいいメンバーは気付く。

 

 

「…マチスか。」

 

「!」

 

 

 

そう、ロケット団3幹部の1人、マチスだ。

 

 

 

 

 

 

─── クチバジム───

 

 

クチバジム。

 

ここはクチバシティのジムリーダーマチスがいるジムだ。

 

そのジムリーダーマチスはロケット団幹部という裏の顔があり、サントアンヌ号ではイエローが、ロケット団アジトではレッドが戦った人物である。

 

現在、クチバジムはジムリーダーの都合により、一時的に閉鎖している状況だ。

 

 

そんな中、クチバジムの周りの地面から“ボコッ”っとポケモン“ボスゴトラ”が地面を掘って現れた。

 

 

「よし。皆、出てきていいよ。」

 

 

そうダイゴが言うとレッド達が穴から出てくる。

 

 

「ふう、誰にも見られない様に動かなきゃいけないなんて、まるで犯罪者になったみたいだよ。 大丈夫か、イエロー。」

 

「はい、大丈夫です。」

 

 

屋敷前で話し、いざ向かおうとしたのだが、ロケット団から通信が入る。

 

どうやら、ポケモン協会から四天王との戦いが終わった後、自分たちを監視する為に人員が派遣されているとの状況が入ったのだ。

 

その為、一度別荘の中へ入り、ボスゴトラの“あなをほる”でこのクチバジム前に到着したという訳だ。

 

 

「“そらをとぶ”で向かっては目立つと思って船で向かおうとしたけど、これじゃあマチスが管理している船に乗る事が出来なければその手を使う必要があるかな。」

 

「サントアンヌ号で行っても結局監視されているから?」

 

「ああ。」

 

 

 

ブルーの質問にダイゴは答える。そんな中、やはりロケット団の力を借りるという事に不服な状態のレッド…いや不服なのは実際のところ図鑑所有者やサトシと全員だが、オーキド博士とダイゴの言葉で理解はしているがレッドは文句を口にする。

 

 

「幾ら()()()()()()()()()()()()()()()()、マチスの…ロケット団の力を借りるなんて…」

 

「ああ、納得は出来ない。」

 

 

この手段を選んだ理由はこれだ。

 

サトシの世界のロケット団の情報が無ければその様な船がある事は知る事は無かった事から、ポケモン協会や警察はこの事は掴んでいない情報だ。

 

しかもロケット団として活動していたマチスならば、警察やポケモン協会の人間に気付かれる事も無く目的地に行く事が出来るルートを知っている可能性が高い。

 

現在マチスはあの戦いが終わった後、何とクチバジムにいるとの情報が入ったのだ。

 

まだ現在マサキの進言がポケモン協会へとしていないこの状況ならば監視も無い状態だ。

 

 

皮肉な状態だが、多くの事件を解決し、ポケモンや人を助けたレッドやサトシ達が監視を受け、犯罪行為を行ったマチスには監視が一切ない状態なのだ。

 

 

 

「まだ力を貸してくれるかは分からないよ。 だけど、やりようはあるさ。」

 

 

そうダイゴは言い、彼らはクチバジムへと入る。

 

 

 

 

 

 

 

レッド達が入った途端、高速でボールが飛んでくる。

 

「! あぶない!」

 

「! マツバさん!!」

 

共にいたマツバがレッドを庇い、ボールから出て来たコイルが金属壁に腕を固定する。

 

 

「大丈夫だ。攻撃して隠れているつもりだろうが、オレの前では無意味! ムウマージ、“サイケこうせん”!!」

 

 

マツバは千里眼でマチスの場所を探り、その方向へ攻撃する。

 

 

「…こりゃあ驚いたぜ。 エンジュジムのマツバ、噂にたがわねえ能力(ちから)だ。」

 

 

そうマチスがエレキブルとジムトレーナーと共に現れた。

 

「フッ、 ほめる前にコイツを外してくれないか?」

 

「…ふん。」

 

数は有利だが、実力では劣る為、 コイルでの拘束を解く。

 

 

「…まさか、四天王を倒した後で此処に来るとはな。 何をしに来た?」

 

 

その言葉と共にマチスたちは戦闘の準備をする。

 

 

「待て、オレたちは戦闘をしに来たんじゃあない。」 

 

「お主らを借りに来たのじゃ。」

 

 

そうマツバとオーキド博士が話すとマチスは一瞬虚を突かれた表情を見せ、笑い始める。

 

 

「はっはっはっは! 力を借りにだと? お前たちが何をしたか分かっているのか?」

 

 

マチスはヤマブキシティでは正義のジムリーダーたちを助けてくれたとはいえ、ロケット団だ。 そのロケット団のアジトはレッドたちによって崩壊した。 

 

故に“力を貸す訳がない”と笑う。

 

 

「ダイゴさん、オーキド博士、やっぱりマチスの力を借りるのは無理だ。オレ自身も信用出来ない。」

 

 

マチスの状況を見てレッドは2人にそう言う。

 

 

「当然難しい事は分かっているよ。 クチバシティジムリーダーマチス。 それでもどうか話を聞いて欲しい。 僕たちはあなたが所持している『最新鋭の船』でジョウト地方まで送って欲しいんだ。」

 

 

その言葉にマチスとジムトレーナーは頭に驚愕の文字が浮かぶ。

 

 

「おまえ…何故その事を知って!?」

 

 

マチスが管理している『船』は最新の技術を使った機密の船、その情報を彼らが知っているという事実に驚愕していたのだ。

 

 

「情報元については教えられないけど、安心していい。仮にこの交渉が失敗しても『船』については話すつもりは無いよ。『僕』はね。」

 

「……ちっ! いいだろう。 交渉の内容だけは聞いてやるよ。」

 

こちらが機密としている情報を彼らが入手している。

 

この事実は大きい。 どこから漏れ、なぜ知っているのか。 いや、どこまで知っているのか。 

 

それを知る為、交渉に応じる事にする。

 

当然、マチス側も要求がある。

 

 

 

「だが、その前にこちらも提案がある。 お前たちの中で誰でもいい。『人質』としてこっちに来い。」

 

「な!? そんな事出来る訳が…。」

 

「ならこの話は無しだ。 交渉は対等でなきゃいけねえだろうが。」

 

 

実力を考えれば間違いなくサトシやダイゴがいるこちら側が有利だ。

 

戦力差を考えれば確かに『人質』の様な有利に運ぶ物が無ければ蹂躙されるだけだ。

 

マチスの提案は至極真っ当と言えよう。

 

 

「…分かった。 ならばワシがなろう。」

 

「!? おじいちゃん!? どうして…。」

 

 

オーキド博士の言葉にグリーンは驚き、問い詰めようとするも、

 

 

「グリーン、これはあの馬鹿を止め為には一刻も早くこの問題を解決しなければならない必要な事じゃ。ワシはこの命を賭けてでも止めなければならない。必ずな。」

 

 

その覚悟を見て、グリーンは引き下がる。

 

 

「じいさんが人質になるんだな? こっちに来い!」

 

 

オーキド博士はその言葉の通りにジムトレーナーの所へと向かい、人質となる。

 

 

「よし、いいだろう。 此処じゃ話すには広い。奥の部屋で話を聞こうじゃねえか?」

 

「…ああ。 皆、此処は僕と『サトシ君』に任せてくれないか?」

 

「…え? 俺?」

 

 

その言葉にサトシは驚く。 てっきりダイゴだけが話すと考えていたからだ。

 

 

「ああ、 頼めるかな?」

 

「は、はい。」

 

「ピカチュウ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥の部屋に案内されたダイゴとサトシはその部屋を見て驚く。

 

 

「この部屋…、周りが電気で覆われている!」

 

 

此処にレッドがいれば直ぐに分かっただろう。 この部屋はシルフカンパニーでマチスと戦った部屋にそっくりだと。

 

 

「(此処は…そうか、マチスが有利に戦う事が出来る様になっているフィールドという事か。)」

 

 

ダイゴはこの部屋がマチスを有利にする場所だと言う事を悟る。

 

 

「此処ならいいだろう。 それで? 何故『あの船』の事を知っている。そして何故力を借りたいんだ?」

 

 

マチスの言葉にダイゴは答える。

 

 

「まず、情報元についてだけど、これはポケモンからの情報提供だよ」

 

「…ポケモンだと? なるほど、トキワの力か?」

 

 

マチスはイエローの力であの船の事を知ったと推測するが、

 

 

「いや、僕たちにはポケモンの言葉が分かる『手段』があってね、試運転している所を見ていた野生のポケモンたちから話を聞いて知ったんだよ。」

 

 

そう、サトシの世界のロケット団のニャースがポケモンを通じて知る事ができた情報だったのだ。 

 

その言葉にマチスは驚く。

 

 

「…ポケモンの言葉を? 信じられねえが本当に出来るのなら納得だ。」

 

 

ロケット団は情報が漏れない様、最善の注意を払っていたがそれは『人間』に対してだ。 ポケモンの言葉は人間には分からずその様な注意は一切しなかった。 だが彼らの言う通りポケモンの言葉が分かるのならば情報が漏れるのは必然だ。

 

 

「そして2つ目の質問は僕たちはいま、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「! お前達がポケモン協会と敵対しているだと?」

 

 

ダイゴの言葉にマチスは驚く。 ロケット団の自分ならば分かるが、ダイゴやレッドたちが何故ポケモン協会と対立しているのか不明だったからだ。

 

 

「ああ、説明する前に質問がある。 君たちが使っていたあの鉱石、『巨石』について何処まで知っているかな?」

 

「…巨大なエネルギーの塊だ。 それでポケモンを操ったり、強化したりと様々な事に使えるな。」

 

 

 

マチスの言葉にサトシは否定する。

 

 

 

「マチスさん、違います! 『巨石』は危険な物なんです!!」

 

 

「…何?」

 

 

 

サトシはかつてタマムシジムで話した内容をマチスにも話す。

かつて『巨石』が自分の世界で暴走した事で世界中の人間とポケモンが絶滅の危機に瀕した事や、今現在もカロス地方で根をはり、多くの破壊を引き起こしている事を。

 

 

 

「…あの鉱石がそれほど危険な物だったとはな。」

 

 

マチスは今まで利用して来た巨石が想像以上に危険なエネルギーである事に驚いていた。

 

 

「そしてその巨石をポケモン協会が利用しようとしている。それも人間に対して()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

先ほどのサトシの説明とダイゴの言葉から、巨石の力でそのポケモンが暴れる事は最早ほぼ確定だと話を聞いたばかりのマチスでも容易に想像出来る。 にも関わらずポケモン協会はそれを強行しようとしているというのだ。

 

 

「…理解はしたが、それだけでホウエン地方チャンピオンであるお前が動くとは思えない。いや、正確には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? 例えば、『伝説のポケモン』とかか?」

 

 

その言葉にダイゴとサトシは驚くが、ダイゴは直ぐに答える。

 

「…流石は元軍人、そしてロケット団の幹部だね。 詳しい事は言えないけど、もしそのポケモンが暴れれば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「! 何だと?」

 

 

その言葉に流石のマチスもそれほどの被害になる可能性に驚いていた。

 

 

「それを止める為には『巨石』の情報をポケモン協会の会長に直接伝えなければならない。だが、これらを考えている一派は自身の保身ばかり考えていて、サトシ君たちに対して妨害行為、そして今も僕の屋敷で監視していた事が分かっている。

今はそんな彼らを上手く巻いて此処にいる状態だ。 そこで、ロケット団幹部として活動していたあなたの力を借りたいんだ。 ポケモン協会に気付かれない様、ジョウト地方に向かう為に。」

 

「…なるほど、それで『あの船』でジョウト地方まで送って欲しいって訳か。確かに監視などを巻いたこの状態ならば気付かれずに向かう事は出来るだろう。」

 

 

マチスはダイゴたちが助力を求めて来た理由を聞き答えを言う。

 

 

 

 

「だが断る。」

 

「!」

 

「…君たちはヤマブキシティでは助けてくれたと聞く。理由を聞いても?」

 

 

 

ダイゴの言葉にマチスは言う。

 

 

「ああ、ここまで話してくれたんだ。 理由ぐらいはな、確かにこの件は穏便に済むならいいだろう。 だがオレたちロケット団にとっちゃ、お前らが争った方が都合が良いのさ。 お前たちはロケット団は解散したと考えているようだが、オレたちはまだ復活の時を待っているのさ。 それに無理矢理犠牲が出る前提ならやろうと思えばテメェらの力で解決出来るだろう?」

 

 

「ッ!」

 

 

マチスの言葉にサトシは怒りの感情を露わにする。

ポケモンや人間が酷いことになろうとも関係ないという内容に怒りを抱いたのだ。

 

 

「(…そんな人間なら、ヤマブキシティで四天王と戦ったりしない…。 そうか、こちらの意図を探ろうとしているのか。)」

 

 

対してダイゴはマチスの意図を理解する。

 

どこまでこちらに協力して欲しいのか。そしてその度合いによって有利な交渉をしようとしているのだろうと。

 

 

 

「そういう訳だ。てめぇらに協力はしねぇって事だ。」

 

 

マチスはそう協力はしないと言うが、

 

「…やっぱり同じマチスさんでも全然違うんですね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

『その言葉』にマチスは息が詰まる。

 

 

 

「…『ビスケス』だと? あいつを知っているのか?」

 

 

その様子にサトシたちは驚くが素直に答える。

 

 

「ああ、世界一のポケモントレーナーを決める大会、ポケモンWCSの最初の対戦相手だったんだ。」

 

「……そうか。」

 

 

その言葉を聞いたマチスはその場で顔を俯いて考え込む。

 

 

「(平行世界、あいつが生きている可能性もあったという事か。)」

 

 

マチスはその後、サトシに質問する。

 

 

「…一つ答えろ。 あいつは強かったか?」

 

 

その言葉にサトシは頷く。

 

「パワーのライチュウにスピードのマルマイン、いいバトルでした。それに俺の世界では武者修行の旅に出ているマチスさんの代わりにクチバシティの代理のジムリーダーとしてやっているんだ。 マチスさんの事を教官って慕っていて、ジムリーダーとしても軍人としても立派にやっていました。」

 

「……軍人でジムリーダー代理か…。」

 

 

マチスはサトシの話を聞き、そして決意するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レッドたちはマチスのジムトレーナーたちを前に警戒をしながらサトシたちを待っていた。

 

 

「…レッド、もし奴らが攻撃して来たら、」

 

「ああ、オーキド博士を助けてこの場所から離れるだろう?」

 

 

ここはクチバジム、当然マチスに有利な状況にしているに違いないと以前マチスと戦ったレッドは考えていた。

 

そうお互いに警戒していたその時、

 

 

 

「お前ら、人質を解放しろ。」

 

 

先ほど入った場所からマチスとサトシ、ダイゴの3人が現れた。

 

 

「マチス様? それは一体どういう…。」

 

 

ジムトレーナーもレッドたちも次の言葉に驚く事となる。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()船の用意をしろ。 こいつらをジョウト地方に運ぶぞ。」

 

 

マチスが協力するとは思っていなかったので全員が度肝を抜かれる。

 

 

「な、何故「コイツらに協力する事がオレたちにとってもメリットになると判断した。」!?」

 

 

そしてマチスは語る。

 

 

「それに今更だが、『あいつ』の事を思い出してな。 今だけは元とはいえ、軍人としてコイツらの力になりたいと思っただけさ。」

 

 

「…そうですか。」

 

 

ジムトレーナーたちはマチスの判断理由を聞き、

 

 

「…オレたちは地獄の底まで『少佐』に着いて行くって決めてます。 そう判断したなら従いましょう。」

 

 

そうレッドたちに協力する事を承諾するのだった。

 

そんなやり取りを見て唖然としているレッドたちにマチスは言う。

 

 

「何を惚けているんだ? 来い。 これから船に向かうぞ。」

 

「え! いや、その…協力してくれるとは思って無かったから…」

 

 

そんなレッドの言葉にマチスは言う。

 

 

「お前たちの状況は聞いた。 最悪ポケモン協会と一戦交えるんだろう? ジョウトとカントーを守る為にな。」

 

 

そうため息を付く。

 

 

「なら協力してやる。 いずれロケット団の物になるんだ。 その前に勝手な真似をする協会の奴らをどうにかしようってんだ。それに、」

 

 

後ろを振り返り、レッド、イエロー、そしてサトシを見る。

 

 

「…いや、何でもねえ。 ホラ、さっさと来い。」

 

 

自身が力を求めた理由、そして失った気持ちを思い出させてくれた3人に借りを返す。

 

という理由もあったからだ。 故にたった一度だが助力する事を決めたのだ。

 

 

「(…思った通り、サトシ君を連れてきて良かった。)」

 

 

そんなマチスを見て、ダイゴはそう思うのだった。

 

─── ???? ───

 

 

マチスの案内クチバジムの地下に行くと、潜水艦が複数あり、その潜水艦を使ってクチバシティ湾のある岩へと到着する。

 

 

「少し待ってろ。」

 

 

そうマチスが言うと手元からある機械を取り出し、岩へと向けてボタンを押す。

 

すると岩の一部が徐々に開いて行き、入口が出来る。

 

 

 

「おお!? こんな岩が秘密基地になっていたなんて、科学の力ってすげー!!」

 

「ピカ!」

 

 

サトシは如何にもな秘密基地に興奮しているがそれはマチスを警戒していたレッドも興奮する気持ちを抑えられなかった。

 

 

「スゲー!! こんな基地があるなんて!!」

 

「…この岩が基地なんて驚きです。」

 

 

そのようなやり取り後、マチスたちの後を着いて行くと『ある船』が見えてくる。

 

 

「! これがその船か!」

 

「なんて大きさ。 確かにサントアンヌ号と同じぐらいの大きさね。」

 

 

グリーン、ブルーはその船の大きさに驚く。

 

 

「ああ、今回使うオレの船。 名は──────

()()()()()()()!」

 

 

サントアンヌ号の様に客船という役割がありながら、スピードはそれ以上、正に高速船。

 

 

「さあ、乗りな! 腐っても少佐と呼ばれているんだ。 一度決めた事は責任もってやるさ! お前たちをオレの誇りに賭けてジョウト地方へ送ってやる。」

 

 

 

 

 

 

 

─── アクア号 ───

 

 

 

「少佐! 人員の配置、及び発進準備完了しました。」

 

「分かった。」

 

 

部下の報告を聞き、マチスは船内通信を繋げる。

 

 

《おまえら! これよりお客人達をジョウト地方に安全に送る! 普段通り…いや、今まで以上に気を締めていくぞ!!》

 

《ラジャー!》

 

 

 

そう言い船を出航させる。

 

 

《目標、ジョウト地方!》

 

《ヨーソロー!》

 

 

 

そのままアクア号はレッドたちを乗せて、ジョウト地方へと向かうのだった。

 

 




以上、いかがでしょうか?


ダイゴが何故、交渉の場にサトシを連れて来たのかは次回。




次回はアクア号にて語るサトシの物語。
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