ポケットモンスターSpecial 蒼き少年と冒険記 作:KAZ1421
クライマックスです。
ジョウトに向かうアクア号でサトシはスリバチ山の事を話す。
マツバとミナキと共に、ポケモンバトルをする為にスリバチ山ヘと向かった。 その時、スリバチ山から巨石のエネルギーを感じ取り……。
一方、クリスはスリバチ山での修行を終え、山を降ろうとするが、目の前にヨーギラスが現れる。
─── スリバチ山 ───
「ターゲット、再び移動しました。」
ロケット団員がそう現状を報告する。
「───! 本当に厄介ですわね。」
その報告を聞いたアテナはダメージを受けたアーボックをボールへ戻す。
「(まさか、あの鉱石のエネルギーを得たポケモンがあそこまで強いなんて…でもこれは良い誤算ね。)」
手に入れた鉱石のエネルギーを利用すればロケット団として大きな戦力となると確信した瞬間だ。
仮にこの作戦が完全に失敗しても、先程のデータはこれからの実験等の参考となるからだ。
「急いで追いかけますわよ。」
『は!』
ロケット団はターゲットを追いかける。
そのポケモン、ヨーギラスが現れてからウインぴょんの様子が可笑しい。
いつも以上に警戒をし、常に戦闘警戒の状態だ。
その瞬間、ヨーギラスはウインぴょんに迫り、攻撃する。
「え!?」
クリスはその光景に驚く。 ウインぴょんはかつて右目に怪我をした事で暴れていたのだ。
(その時にクリスは両腕を怪我し、その結果足技を習得したのだが。)
先程ヨーギラスが攻撃したのはそのウインぴょんの弱点である
最初は偶然と思ったが、ヨーギラスは正確にウインぴょんの右側から攻撃している。 ここまで来れば分かるだろう。
「まさか、2年前ウインぴょんの右目を傷付けた相手!?」
ウインぴょんが暴れる原因であった右目の怪我。 その原因があのヨーギラスであった事に驚く。
そうでなければ“しんそく”も使え、パワーも強いウインぴょんを捉え、攻撃するという芸当は出来ない。
「! エビぴょん、“マッハパンチ”!!」
ウインぴょんを援護する為、エビワラーの『ウインぴょん』に攻撃を指示。 攻撃は正確にヨーギラスへ命中する。
その攻撃を受けてヨーギラスが地面に伏す。
ヨーギラスはすぐに立ち上がり、再び攻撃をして来る。
「どうして急にヨーギラスは私たちを?」
クリスは何故ヨーギラスが自分たちを攻撃するのか分からなかった。だが一つだけ分かる事がある。
「あの子、
最初はイタズラしに来たと考えたがヨーギラスの様子を見る限り、その様な理由では無いと確信する。
こちらはウインぴょんだけでなく、多くのポケモンがいる。
真正面からではヨーギラスの実力では部が悪い。にも関わらず、どうあっても自分たちという障害を排除しようとしている。
まるで…
自分たちという障害をどうにかしなければいけないと真剣に思っている様に。
だが、ヨーギラスが攻撃してくるのであれば対処しなければならない。 そう考え、攻撃する。
「カラぴょん、“みねうち”!」
カラぴょんの攻撃で徐々にヨーギラスは傷ついていく。
「(どんな理由で攻撃して来るのか分からないけど、あの子は
そうクリスがガンテツ製のボールを使おうとした瞬間、怒りが込められた大きな叫び声が聞こえる。
「うっ!? 何、この声?」
クリスがその声の方向へ向くと大きなポケモンがいた。
「!? アレは、バンギラス…なの?」
クリスの前には一目でバンギラスと分かるポケモンがいた。
だが、それでも疑問に思わずには居られない。 何故なら…
「姿が少し違う?」
そのバンギラスには本来ならない頭の上に大きなツノがあり、背中から左右対称になるよう6つのトゲ、尻尾もまるで鍵爪のように3つのトゲが生えていたのだ。
「…そんな危険な物がこのスリバチ山にあるのか!?」
マツバはサトシから巨石について説明を受け、驚愕する。
特に巨石によって世界が滅びかけたという事実にマツバとミナキは驚愕していた。
「はい! 俺はそのエネルギーを感じ取る事ができるんです。 巨石がこのスリバチ山で、暴れているのを感じます!! このままじゃ…。」
「大きな被害になるという事か! ならば向かおう!」
そう言い、サトシの案内で巨石の所へ向かった。
ある程度進むとピカチュウが気付く。
「ピカ、 ピカピ!!」
「! 避けてください!!」
ピカチュウの言葉にサトシは攻撃が来る事を知り、マツバとミナキに話す。
三人はその攻撃“どくばり”を回避する。
「これは…“どくばり”か!? ゴース、“ナイトヘッ…”」
「“ふいうち”。」
マツバがポケモンを繰り出そうとするも、ヤミカラスの“ふいうち”でゴースは倒れる。
「! 強い。」
「誰だ!!」
「ピカチュウ!」
サトシの声に反応する様にロケット団が現れる。
「…まさか、エンジュシティのジムリーダーが此処に来るなんて、想定外ですわ。 まあいいでしょう。 私は邪魔者を排除する担当。 ここであなたたちを倒すとしましょうか。」
「その格好…ロケット団!?」
サトシは自身の世界と同じ姿であった為、その組織名を言う。その組織名にミナキは驚く。
「! ロケット団と言えば、カントー地方で大きく活動している犯罪集団! なぜこのジョウトに!?」
「へえ? 私達の事を知っているんですの。 でも残念。 見られたからには生きて返すつもりは無くってよ! クサイハナ、“ようかいえき”、アーボック、“かみくだく”。」
アテナはそう言い、3人に攻撃する。
「マルマイン、“ソニックブーム”!」
「ゴースト、“ものまね”!」
マツバとミナキが攻撃を相殺する。
「ピカチュウ! “10万…”」
「待て! サトシ君!! 此処はオレたちに任せて君は先にあの先に行け!!」
「え!?」
サトシはピカチュウで攻撃しようとするもマツバに止められる。
「君の話が本当ならこのまま野放しにして仕舞えば大変な事になる。 早く向かうんだ。」
「! は、はい!!」
「ピカ!」
その言葉に従い、サトシは巨石の元へと向かう。
「! あの先…まさか目的はターゲットの『
アテナはサトシが一直線に『ターゲット』のバンギラスへと向かっている事で目的がバンギラスである事を悟り、部下にサトシを追いかける事を指示する。
「マルマイン、“ころがる”!」
そんなロケット団に立ち塞がる様にミナキはマルマインで道を塞ぐ。
「おっと、此処は通す訳にはいかないな。
「ああ。」
マツバはアテネとミナキは5人以上のロケット団員と戦闘する。
突然現れた姿が違うバンギラスにクリスは驚く。
「あのバンギラス…突然変異? でもこのタイミングで現れたって事はもしかしてこの子の親!?」
ヨーギラスを傷付けた事で怒っている事から、現れた姿が変わっているバンギラスはこのヨーギラスの親である事が分かる。
バンギラスが動いた瞬間、砂嵐がクリスたちを襲う。
「!? これは、すなあらし!」
バンギラスの特性『すなおこし』。
バンギラスが戦闘する際、すなあらしを引き起こす特性だ。
“すなあらし”はじめん、はがね、いわタイプ以外のポケモンに少しずつダメージを与えるだけでなく、いわタイプの特防をあげるという効果がある天候だ。
バンギラスはいわ、あくタイプ。
すなあらしの恩恵をすべて受ける事ができるポケモンだ。
バンギラスはそのまま、岩のなだれを繰り出しクリスたちに攻撃する。
「きゃっ!」
クリスとポケモンたちはバンギラスの“いわなだれ”に巻き込まれる。
だがクリスは巻き込まれたにも関わらず、大きな怪我をしていない事に気付く。
「! ウインぴょん、ありがとう。」
クリスはウインぴょんが庇った事で大きな怪我をせずに済んだのだ。
しかし、ほのおタイプのウインぴょんにとっていわタイプの攻撃は効果抜群。 相当なダメージだ。
「ウインぴょん、戻って。 みんなは…。」
クリスはウインぴょんをボールに戻し、周囲を見ると
「! そんな…。」
クリスのポケモンはエビぴょんとパラぴょんを除いて全員が戦闘不能となっていた。
生き残っている2体もダメージは大きい。
そんなクリスたちにお構い無く、バンギラスは襲い掛かってくる。
「! エビぴょん、“メガトンパンチ”!」
バンギラスの腕での攻撃をエビぴょんが攻撃する事で逸らす。
しかし逸らしたバンギラスの攻撃はスリバチ山の一部を砕く。
「!? なんて威力なの! あんなの直撃したらひとたまりも無い。」
バンギラスは片腕を 動かしただけで 山を崩し 地響きを 起こす とてつもないパワーを持っている。これ程のパワーは当然だ。
「眠らせれば良いけど、このすなあらしの状態じゃ…。」
“キノコのほうし”や“あまいかおり”をばら撒こうにも、このすなあらしが激しい状態では自分や関係ないポケモンたちにまで影響がでるだろう。
故に攻撃を繰り出す事は出来ない。
クリスはどの様にバンギラスに対処しようと考えていた。
だから、ヨーギラスの事を忘れていた。
正に後ろからヨーギラスがクリスに向かって攻撃を繰り出していた!
「あ、」
直前で気付くももう遅い。 ヨーギラスの攻撃を回避する時間も咄嗟に身構える時間も無かった。
ただ、その攻撃が襲ってくるのを見ることしかできない。
「ピカチュウ! “アイアンテール”!!」
「ピカ! チュウ…ピカ!!」
そんなヨーギラスの攻撃をサトシのピカチュウの“アイアンテール”が防ぐ。
「君! 大丈夫か!!」
クリスは突然現れたピカチュウとそのトレーナーによって命を救われたと認識するのに時間が掛かったが、
「う、うん。 あ、ありがとうございます。」
助かったと認識して、涙を浮かべながら感謝を言う。
サトシは女の子が無事である事を確認して安堵し、『巨石』のエネルギーを纏っているポケモンを見て驚く。
「!? バンギラスが
そのバンギラスの姿はメガシンカしたバンギラスの姿だった。
「おまえだけで充分だと? 舐めるからそうなんだよ。」
5人のロケット団は疲労しているミナキにそう言う。
彼等はアテナの親衛隊。 通常の団員であれば勝っていただろうが、実力は当然団員の中でも上だ。
そんな中、ミナキは
「フッ、この程度でわたしの動きを封じたつもりか?」
「…なんだと?」
そう言うミナキの反応にロケット団は奇怪に思う。
これほどこちらに有利な状況にも関わらず、何故その様な言葉が出るのか。 不思議でならないからだ。
「フフフ、 この際だから私のポケモン
そう言いながらミナキはボールを繰り出す。
「ただし、
そう言い、ミナキはポケモンを繰り出す。
「! そのポケモンは…、」
ミナキが繰り出したポケモンは3つの綿があるポケモン、『ワタッコ』だった。
「フッフハハハハ! どんなポケモンかと思えば、そんなポケモンで何が出来る!」
「フッ、お静かに。 ミナキのポケモン
ミナキがそう言うと同時に『3、2、1、』と指を数えていき、
「ハイ!!」
と言うと同時にワタッコから多くの綿が出てきてロケット団員たちに纏わりつく。
「こ、これは!」
「大量の綿…いや、綿に似た胞子か!?」
この技は“わたほうし”という技で綿のような フワフワの 胞子を まとわり つかせて 相手の 素早さを がくっと さげる技だ。
「所詮は目眩し! 単なる時間稼ぎだ!! ラッタ、 “ひっさつまえば!”」
ロケット団員は影のみしか見えないが、その場から移動していないワタッコに攻撃する。だが、
「!? な、なんだと!?」
ラッタが攻撃したのは自らの大きな綿で自身の身体を包んでいたワタッコだった。
「フッ、無駄だ。 ワタッコの“コットンガード”はその程度の攻撃ではビクともせんさ。 “マジカルリーフ”!」
そのままワタッコは目の前のラッタにゼロ距離で“マジカルリーフ”を放ち、ラッタはダメージを受けて倒れる。
「! やるな、だがボロボロの貴様ではオレたち全員は…」
「やはり、君たち程度では私で充分だったな。 まだ分からないとは。」
「何だと?」
ミナキの言葉に疑問を抱くがその答えはすぐに分かる。
「既に勝負は
その瞬間、ロケット団員とポケモンたちからツタが生えて来て全員を拘束する。
「こ、これは!?」
「“やどりぎのタネ”さ。 あの“わたほうし”の中に紛れさせていたのさ。後はそれが成長するまで時間稼ぎという訳さ。」
ミナキとロケット団員たちの戦いはミナキの勝利で幕を閉じた。
「君たちが“わたほうし”を翻弄する為の目眩しと考えた時点で私の勝利は確定していたのさ。 まあ、その為にわざと姿を見せたり、攻撃していたから気付かなかったのも無理はないか。」
「ゴースト、“シャドーボール”! ムウマ、“サイコウェーブ”!」
「クサイハナ、“ようかいえき” ヤミカラス、受け止めなさい。」
ゴーストの攻撃をクサイハナが、ムウマの攻撃をヤミカラスが受け止める。
「! ヤミカラスにダメージがない? ! (そうか、話に聞いたあくタイプか!!)」
ムウマの“サイコウェーブ”はエスパータイプの技。 あくタイプには効果は無いのだ。 アテナはヤミカラスがあくタイプである事はまだ知らないが、ヤミカラスがエスパータイプの技には無傷である事は理解していたため、受け止めたのだ。
「“かみくだく”」
そのままアーボックがムウマに対して攻撃する。
「! やはり強い。 ロケット団の噂は聞いていたが、ここまで強いとは!!」
マツバは目の前のアテナという女性の実力に戦慄する。
「当然ですわ。 ワタクシは邪魔者を排除する専門です。 当然、
「…なるほど、手強い訳だ。」
彼女はジムリーダーを排除できる実力があるとロケット団から信頼されているという事だ。
「確かに君は強い。 『今までのオレ』なら勝つ事は出来なかったかも知れない。 でも、今は少し違う!」
マツバはそう言うと同時に岩の裂け目からゲンガーが現れる!
「! “ふいうち”」
そんなゲンガーに冷静にヤミカラスの攻撃を繰り出す様指示する。
だが、
「!? 攻撃が出ない!?」
「“マジカルシャイン”!」
“ふいうち”を繰り出す事が出来なかった事でゲンガーの攻撃を許してしまい、“マジカルシャイン”がアーボック、ヤミカラス、クサイハナに命中する。
攻撃が繰り出せなかった理由はゴースだ。
“ナイトヘッド”を切り出そうとするも間に合わず攻撃を受け、倒れる寸前に“うらみ”を発動。 “ふいうち”を放つ力が無くなったのだ。
「な、なんですの! この攻撃は!?」
アテナは見た事がない攻撃に驚き、ヤミカラスはあくとひこうタイプ。
フェアリータイプの攻撃は効果抜群だった為、大きなダメージを受け、ダメージは少ないものの、アテナが初めて見る技に動揺した事で同じく動揺したクサイハナとアーボックにマツバは追撃をする。
「ゲンガー、“れいとうパンチ” ムウマ、“サイコウェーブ”! ゴースト、“10万ボルト”!」
ゲンガーはクサイハナ、ムウマはアーボック、ゴーストはヤミカラスに攻撃を放ち、命中させる。
どんな強者でも初めて見る技術や技には僅かだが隙ができる。
“マジカルシャイン”は未だ未確認のタイプ『フェアリー』の技。 故にアテナはその技によって生じた隙を突かれた形となった。
その攻撃でヤミカラスは戦闘不能となる。
「! 忌々しいわ、本当に!」
「上手く行ったか。 (サトシ君のおかげだな。)」
マツバは以前サトシのゲンガーの戦いを見て、“マジカルシャイン”などの攻撃を始めて理解し、今その鍛えた成果が出た形だ。
「バンギラスとの戦闘で弱っていなければ、これ以上は危険ですね。 アーボック!」
アテナの指示でアーボックは動けなくなっていた部下を噛み付き、彼女と共に離脱した。
「…逃げたか。 ロケット団、これ程の実力者が居たとは。」
「ああ、これ程の実力者が組織で動いているんだ。 彼らには注意が必要だな。」
そう2人はロケット団に対して警戒を強める。
「…全く、本当はバトルと此処にいるであろう『シルバー』という少年に会いに来ただけなんだけど、そうも言ってられない様だ。」
このスリバチ山に来た理由は二つ。
サトシとのバトルと
一応再び探ってみるが、
「…既にスリバチ山にはいないか、この戦いに気づいて離れたか。」
サトシと共に行けば接触してくると考えていたが、 サトシから巨石の事を聞いた以上、無視は出来ない。
「だが、今はサトシ君の所に向かおう!」
「ああ。」
2人はサトシの所へ向かう。
サトシはバンギラスがメガシンカしている状況に驚き、女の子に聞く。
「俺はサトシ。 君、名前は?」
「…クリスです。」
「クリス、あのバンギラスは誰のなのか分かるかい?」
メガシンカはキーストーンと専用の石、ナイトが必要だ。故に質問するが。
「ううん、あのバンギラスは誰かのじゃないと思う。 野生だと思うわ。」
クリスの言葉にサトシは驚愕し、悟る。
「まさか、
クリスの言葉を信じるとメガシンカしている理由は『巨石』であるという事になる。 それに驚いたが、
「確か、巨石はメガシンカエネルギーだった。 メガシンカ可能なポケモンならエネルギーを浴びれば可能なのか?」
巨石は元々メガシンカエネルギーの塊だ。故にメガシンカ可能なバンギラスにはキーストーンなどが無い状態でも可能となったのだろう。
そう考えながらバンギラスとヨーギラスを観察していると気付く。
「! あのバンギラス、『どく』状態になってる!! どうして…。」
そこでサトシは思い出す。 バンギラスに会う直前に会ったロケット団の手持ちにアーボックがいた事を。
「そうか! あのバンギラスとヨーギラス、ロケット団に追われていたのか!!」
サトシはあの親子が女の子と戦う前にロケット団と戦っていた事に気付く。
そう考えているとバンギラスはエビぴょんを腕で吹き飛ばし、再び“いわなだれ”を繰り出してくる。
「! “エレキネット”! ルカリオ、“バレットパンチ”!」
ピカチュウの“エレキネット”が多くの岩を受け止め、ルカリオがその“エレキネット”ごと殴る事で此方にくる岩の殆どを吹き飛ばす。
「す、すごい。 あの攻撃をこんなに簡単に…! あ、あの。 さっき追われていたって…どういう事ですか!?」
クリスは先程のサトシの言葉にクリスは質問する。
「あのポケモンたちは此処に来る前に悪い人達に攻撃されて弱っていたんだ。 多分、君もその仲間だと思って攻撃しているじゃないかな?」
「!? もしかして、わたしが攻撃したから…それで。」
クリスはヨーギラスが何故あそこまで此方を攻撃したのか理解する。
ロケット団によって攻撃され、逃げた先に自分達がいた。 攻撃した人間と目の前の人間の自分。 その違いはヨーギラスからすれば違いは全く分からなかったのだろう。
故に自分達に攻撃したのだ。
「ただ、わたしは…傷付いたあの子を捕獲してポケモンセンターに連れて行こうとしてバトルしただけだったけど、それがこんな事を引き起こしたんだ。」
例え、バトルした理由が助ける為だったとしても、そんな自分の判断で自身のポケモンたちが大きな怪我をした。その事実は決して変わらない。
その事実がクリスの心に重く突き刺さる。
「あの時、私が…あの子の気持ちを分かってあげられなかったからこんな事に…」
クリスはサトシからあの子の状況を聞き、自身の行いを恥じていた。
もし、ヨーギラスと戦わずにいたら、こんな事にはならなかったのではないかと後悔したのだ。
そんなクリスにサトシは言う。
「クリスのせいじゃない。悪いのはロケット団だよ。クリスはただ、あの子を助けようとしたんだろう?」
サトシはそう言い、クリスに話しかける。クリスはただ頷く。
「うん。」
「なら力を貸して欲しい。一緒にあの子を助けよう。」
クリスはそう言いながら出されたサトシの手を掴み、助ける事を決意する。
「でもサトシさん。 今のこの状況じゃパラぴょんには何も出来ません。 この天候じゃボールを使おうにも…」
「あのパラセクトの事か? 何が出来るんだ?」
クリスはパラぴょんには体内の胞子を調合して“ねむり”、“どく”、“しびれ”、“かいふく”の効果を持つ粉を作る事が出来るという。
「かいふく! クリス、その効果の粉をありったけばら撒いて欲しい!!」
「え? 良く分からないけど、分かった! パラぴょん、“かいふくの粉”を大量にばら撒いて!!」
クリスはパラぴょんに回復の粉を大量にばら撒く様に指示して実行する。
すると粉がすなあらしに巻き込まれてそのすなあらしはヨーギラスや、バンギラスを回復させるだけでなく、
「! みんな!!」
倒れていたクリスのポケモンたちもそのばら撒かれた粉でダメージより回復が上回り、倒れているポケモンたちは皆回復する。
「そっか! パラぴょんの粉が砂より多くなった事でこのすなあらしは逆に私たちを回復させるあらしにしたのね!!」
サトシの目的はこれだった。 この状況でクリスもポケモンたちを全員助けるのは厳しい。 ならば、このすなあらしを利用してパラぴょんの“かいふく”の粉を砂より多くばら撒く事でダメージを与えるすなあらしを
そして効果はそれだけではない。
「…ヨー?」
クリスと敵対していたヨーギラスもこの行動で目の前の人間がロケット団とは違うポケモンだと認識し出したのだ。
「ヨーギラス! 俺たちはおまえたちに酷いことは絶対にしない! おまえの親は必ず俺たちが助ける! だから力を貸して欲しい!! おまえもバンギラスが苦しみながら暴れているのを知っているだろう!!」
「ピカチュウ!!」
サトシとクリスは知らないが、実は巨石はヨーギラスが見つけたのだった。
それは珍しい物だったので親のバンギラスがいる棲家に持って行ったのだが、ロケット団がそれを確保しようとしてヨーギラスが止めようとし、攻撃して傷付けた事でバンギラスは怒り、巨石の力がその怒りに反応してバンギラスに取り憑つき、メガシンカしたのだ。
ヨーギラスはバンギラスが暴れるたびに苦しんでいた事に気付くもどうにも出来ず、ロケット団にも攻撃されるという状況で逃げる事しか出来なかった。
その先にクリスという人間とかつてイタズラをしたウインディが敵意を見せているのを見て彼らもその人間の仲間だと思うと同時に逃げ場が無いとクリスたちをどうにか排除しようとしていたのだ。
しかし今、自分とバンギラスを回復させた事とサトシとピカチュウの言葉で目の前の人間たちが自分とバンギラスを助けようとしている事に気付いたのだ。
「…ヨギ!」
ヨーギラスはそんなサトシとクリスの行動で彼らと共にバンギラスを助ける事を決意する。
「ヨーギラス、分かってくれたか!」
「ピカチュウ!」
そんな彼らを見てクリスは驚く。
「(すごい! あんなに敵対心を見せていたのに、こんな簡単にあのヨーギラスを落ち着かせただけでなく、味方にした! サトシさんはこれを狙ってあの指示をしたのね!)」
クリスはサトシの行動の意味を知り、そのポケモンの気持ちを簡単に汲み取り、理解して話すサトシに驚く。
「…私はまだまだだ。 こんな事も思い付かなかったなんて。」
クリスは自らの未熟さをより強く痛感させられた。
「クリス、あのバンギラスは今まで毒や傷の痛みと怒りで我を忘れて暴れ回っていたけど、今は傷はないし、ヨーギラスが話しかけてる。 そのパラぴょんの粉で解毒は出来ないか! そうすればヨーギラスの声も聞こえて、怒りも収まるかもしれない!」
「う、うん! パラぴょん、出来る?」
クリスの言葉にパラぴょんは頷く。
「出来るけど、時間が掛かるわ! だから、」
「ああ! みんな!! バンギラスに攻撃せず、パラぴょんを守りながら時間を稼ぐ! 行くぜ!」
パラぴょんが解毒の粉の調合を終えるまで、バンギラスの注意を引く為、バトルをする。
「ムーぴょん、“くろいまなざし”!」
クリスの指示でムーぴょんの“くろいまなざし”でここから逃げられない様にする。
先程サトシが言った様にバンギラスは我を忘れている状態。
万が一逃げる事も考え、その手を封じる。
「ピカチュウ、“でんこうせっか”! ルカリオ、“かげぶんしん”でバンギラスを翻弄しろ!」
ピカチュウとルカリオの動きにバンギラスは攻撃するも回避、又は偽物のルカリオに命中する等でその場に釘付けとなる。
その状況にバンギラスは“いわなだれ”を繰り出す。
「! ゲンガー! “マジカルシャイン”! ネギガナイト、“ぶんまわし”!」
「カラぴょん、“ボーンラッシュ”! エビぴょん、“マッハパンチ”!」
そんな岩の攻撃にサトシはゲンガーとネギガナイト、クリスはカラぴょんとエビぴょんで岩を破壊していく。
その時パラぴょんがクリスを見る。
「! サトシさん!! 調合が終わりました! でもさっきの回復の粉で使い過ぎて少ししか…、」
更にこのすなあらしだ。
少量の粉ではばら撒いても意味がない。
「…でも出来ているだよな、なら先ずはこの天候をどうにかする! カイリュー、全力で周りに“ぼうふう”!!」
サトシはカイリューを繰り出し、“ぼうふう”を指示。
その威力によって『すなあらし』は乱れ、天候が正常に戻る。
「ウオノラゴン!」
そしてサトシはクリスに作戦を伝える。
「クリス、ウオノラゴンの“みずでっぽう”に合わせてその粉を“みずでっぽう”に入れてくれ! それをバンギラスに飲ませる!!」
「! そっか、粉を“みずでっぽう”に混ぜて飲ませるって事ね! 確かにそれならこの量でも効果がある。 分かりました!」
そして当然、その為に行う事を2人は実行する。
「カイリュー!、ルカリオ! バンギラスを抑えろ!!」
「エビぴょん、みんな! お願い!!」
カイリュー、ルカリオそしてエビぴょん等の力の強いポケモンたちがバンギラスを抑える。
そしてゲンガーとネギガナイトはバンギラスの口を開ける。
「よし! クリス行くぜ!」
「はい!」
2人はタイミングを合わせて放つ。
「“みずでっぽう”!」
「パラぴょん! 今よ!!」
ウオノラゴンの“みずでっぽう”に調合したパラぴょんの粉を含ませ、バンギラスの口の中へと入れる。
すると、バンギラスは“どく”の苦しみから解放される。
「ヨーギー!!」
痛みが全て消え、ようやくバンギラスは子供のヨーギラスの声が聞こえる。
その方向を見ると傷が無く、元気なその姿を見る。
ヨーギラスには傷一つ無いという事実にバンギラスの怒りは引いていく。
巨石のメガシンカエネルギーで怒りの感情が暴走していたバンギラスはようやく落ち着きを取り戻したのだった。
それと同時にバンギラスに纏っていた巨石のメガシンカエネルギーは少なくなった事で、メガシンカは解除された。
─── アクア号 ───
「巨石の力でメガシンカをしたんですか!?」
イエローはスリバチ山の事件の事を聞いて、驚愕していた。
「ああ。 巨石は元々
「その時にウルトラホールがカントーにもあった事で巨石がカントーにもある可能性をオーキド博士に連絡したのさ。 事実、マサラタウンにも巨石はあった。 既にオーキド博士が回収し、サトシ君が破壊したそうだがね。」
「巨石を破壊したその日にレッドと会ったんだぜ。」
「! そっか、あの時オーキド博士やサトシがチャイムを鳴らしても中々来なかったのは巨石を破壊していたからだったんだ。」
レッドはオーキド研究所で2人がすぐに来なかった理由を知る。
「…最悪戦闘になる場合、相手はメガシンカする可能性があるという事か。」
グリーンの言葉にブルーも同意する。
「厄介ね。 私たちもメガシンカが出来れば良いんだけど、そのキーストーンだっけ? それを持っているのがサトシだけだから難しいわね。」
会話の最中、レッドが気になった事を質問する。
「そういえば、さっきすなあらし中に回復の粉を蒔いたって言っていたけど、すなあらしを解いてからじゃ駄目だったのか?」
「ああ、あの時はヨーギラスは敵意が凄かったから、そんな時にすなあらしを解いちゃ敵対しているって思われるだろう? クリスを助ける時に“アイアンテール”しちゃったしさ。」
すなあらし中に回復させた事に意味があるとサトシは言う。
「そっか、確かに自分に有利な状況を解いたら戦闘の意思があるって思われるわね。」
「それですなあらし中で回復させる必要があったんですね。」
そう話していると、ダイゴが話しかけて来た。
「君たち、少し良いかな?」
「? ダイゴさん。 どうかしましたか?」
サトシの言葉にダイゴは言う。
「ああ、もう少しでジョウト地方へ入るんだけど、少し相談したくてね。」
「相談? どう言うことですか?」
イエローがそう質問すると
「ああ、ジムリーダー試験まであと3日だ。 時間が限られている以上、手分けして向かうと思う。 一つはワカバタウンへ向かう班。
これは僕とウツギ博士とゴールドの母親の護衛の為、君たち5人の中から2人欲しい。」
「? マツバさんとミナキさんは?」
サトシの質問にミナキは答える。
「オレたちはキキョウシティに行って、ハヤテと共にクリス君の母親を護衛するつもりだ。 相手はポケモン協会。流石に1人では不安だからね。」
ポケモン協会が何をするかわからないし、ジムリーダーという立場があるハヤテとマツバはその他の対応もする必要がある。ミナキならばその様な心配はない為、共にいくことにしたのだ。
「もう一つはゴールド君とクリス君のいるヒワダタウンに向かう班だ。 これはサトシ君を含めて3人で行って欲しい。」
「ダイゴさんが行かないんですか? ゴールドと旅をしていたって聞いていましたけど。」
レッドの質問にダイゴは答える。
「すまない。 キクコから暗証番号を教えられていてね。 僕が直接記入する必要があるから2人と面識があるサトシ君に任せようと思っていたんだ。」
「分かりました。 じゃあ、どうするか?」
そう悩んでいると、グリーンは言う。
「なら、オレはワカバタウンに向かいたい。 キクコが持っていた情報
、それに興味がある。」
「なら私も。 もしかしたらあいつに関する情報もあるかもしれないから向かうわ。」
グリーンとブルーは自らワカバタウンに向かう事を希望する。
「ならヒワダタウンには、」
「僕とレッドさんとサトシさんですか。」
「いつもの旅のメンバーに戻ったな。」
レッド、イエロー、サトシはヒワダタウンに向かう事を決めた。
「メンバーが決まった様だね。 後少しでワカバタウンとキキョウシティに向かうメンバーは潜水艦で降りて、その後別の場所でヒワダタウンの3人も潜水艦で近くまで行って降りて向かう。 準備をして持っていてくれ。」
ダイゴの言葉に頷き、アクア号を降りる準備を始める。
─── ヒワダタウン ───
「ゴールド、もう身体は大丈夫なの?」
立ち上がったゴールドにクリスはそう質問する。
「ああ! ずっと寝てたから身体が鈍っちまった。 それに、ダイゴとサトシさんは無事だったし、
クチバシティから連絡を受け、無事に事態を解決した事を聞いたゴールドはずっと横になっていた事で体を動かしたくなった。
「そう、なら私も付き合っていい?」
「ん? 別に良いけどよ、どうしてだ?」
ゴールドの質問にクリスは答える。
「私、ウバメの森での事でバトルの腕も上手くなる必要があるって改めて分かった。 だから強くなりたくて、あの巨石で事件が起こるのは嫌だから。」
「…だな! そうだ、シルバーのリングマがいたあの山なら身体を動かすのに良いぜ。」
そう話しながら2人は山へと入って行く。
以上、いかがでしたでしょうか?
また次回。