ラタが駆け抜ける物語   作:ルスト

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あらすじとタグの通り、色々と原作成分がおかしくなっています。
原作の雰囲気が好きな人は即座に回れ右。
それでも構わなければどうぞ。


一章
プロローグ


「はあ……飽きたな」

 

 ラタトスクの間の一番奥、センチュリオンのコアのマークが描かれた扉を見ながら、ラタトスク様が気だるげに呟きます。ちなみに外見は赤目エミルのままです。

 それにしても、一体何に飽きたと言うのでしょう。

 

「ラタトスク様、どうなされました?」

「テネブラエか。……いや、大したことじゃないんだが……」

「何か気になる事でもあるのですか。私でよければ、相談に乗りますよ?」

 

 というか、いきなり飽きたと言われましても何に飽きたのかは分かりません。

 説明していただかなくては。

 

「ああ、実はな……同じ展開をひたすら繰り返すのに飽きた」

「同じ展開……と言いますと?」

「分からないのか? 俺たちは、何度も何度も、同じ展開を繰り返しているんだ。同じ場所で同じ言葉をまるで台本か何かのように繰り返し……」

「ゲームですからね」

「同じ場所で同じ動作を繰り返し……」

「ゲームですからね」

「クエストでも同じ展開を延々と繰り返し……」

「内容が手抜きですからね」

 

 ……要するに、毎度毎度同じ展開と同じセリフばっかりやってて飽きてしまったと言う事でしょうか。

 まあ、すでに同じ展開を13回も繰り返しているわけですし、飽きても仕方ないでしょう。

 今回の周回なんて、完全に棒読み全開でしたからね。

 「開け、境界の扉~(棒)」とか「なあ、天罰って物を以下省略。とりあえずお前は俺に殴られろ!」とかやってしまった時点でもう飽きているのは明確です。

 

「そう言う事だ。それにな……」

「それに?」

 

 まだあるのでしょうか。

 

「これを見てくれ」

「……手紙のようですね。どうやったらここに届くんですか?」

 

 ここ一応ラタトスクの間なんですが……。

 

「ラタトスクの魔物ネットワークの力だ」

「こんなことに使わないでくださいよ……。その辺の鳩かレアバード宅急便で良いじゃないですか」

「何言ってるんだテネブラエ。レアバード宅急便は一回30000ガルドの暴利を取られるんだぞ? あの金の亡者め! どこまで値段を釣り上げるつもりだ! 酷い時には一回60000ガルドも取られたんだぞ!」

 

 ちなみにレアバード宅急便とは、カトレット・タトリン商会が運営しているレアバードを使った宅急便です。

 レアバードを使った配達なので早くて便利なのはいいんですが、いかんせん高いんですよね……。

 どこから押収したのかは知りませんがレアバードはこの会社しか持っていませんし、ライバル企業も存在しないので値段も釣り上げ放題ですからねえ……。

 ちなみにこの会社、下手に値切りを頼みこんだら逆にふっかけられてより多くのガルドを払わされることになったり、巨大化する人形に鉄拳制裁されるなど、値切り対策を徹底しています。

 恐ろしい会社ですよ、本当に。

 

「それならハーピーとチュンチュンを使った方がよほど安上がりだ」

「まあ、配下ですしね」

 

 そう考えると、多少時間がかかってもハーピーやチュンチュンを使って運んだ方が明らかにお得でしょうね。

 というか、これを使ってビジネスをするのはどうでしょうか?

 

「これを使ってビジネスを……いや、確かに良いアイデアだが、どのみちこの後すぐに次の周回に回される以上意味が無い。それに、今はそんな事よりこっちだ」

 

 そう言って手紙を広げ始めるラタトスク様。

 ……そんなに深刻な内容なのでしょうか?

 

「まず一通目。読むぞ」

「はい」

「――――何故私達は倒されても倒されても懲りずに同じことを繰り返す必要があるのでしょうか。学習能力皆無なお馬鹿さん扱いされ、最近はクエストの名前が出ただけでも疎ましがられる始末。本当にどうすればいいのでしょうか。このままだと頭が――――後は全部愚痴だらけだから省略する。ちなみに差出人はメリッサだ」

「相当荒れていますね。その手紙の半分以上は愚痴で構成されているんじゃないですか?」

 

 紙自体は普通のノートの1ページだと言うのに、文字が異常に細かくて一行に二段の文字が書かれています。最後の方なんて一行に三段の文字が。

 どれだけストレスを溜めこんでいるのでしょうね。

 

「次の手紙だ。――――俺がモテないのはどう考えてもシナリオが悪い! 俺がモテないのはどう考えてもクエストの展開が悪い! 俺がモテないのはどう考えてもロイド一行が悪い! 俺がモテないのはどう考えてもあの二軍が悪い! 俺がモテないのはどう考えてもお前らが――――」

「……もう読む気力も無くなってきますね」

「差出人はフルースだ。あの剣士、とうとう頭の一部が狂戦士と化してきている」

「その内秘奥義とか使ってくるんじゃないですかね……」

 

 と言うか、時折「リア充爆殺!」「俺の前でいちゃついてんじゃねええええええ!」とか言っているみたいですし、最近は男女が戦闘中に助け合うだけでそいつらにものすごい形相で襲い掛かるとか。

 完全に人格が壊れていますね。もう手遅れかもしれません。

 

「次の手紙だ。――――フハハハハ、ムサシよ! 私は死なぬ! 私は蘇る! 何度でも、何度でもだ! 差出人は――――」

「言わなくても分かりますよ」

 

 ササキですね。分かります。

 

「次の手紙だ。――――どうやったら固定二軍から脱却できますか? どうすれば僕はプレセアに必要としてもらえますか? どうすれば僕は一軍の座に収まることができますか? どうすれば僕は魔物より活躍することができますか? どうすれば――――」

「もう読まないでください。悲しくなってきます……」

 

 差出人は永遠に二軍固定の天才ですね。

 ……どうしてこうなってしまったのでしょうか。

 

「ロイドがプレセアを奪ったからだな」

「プレセアルートですか。どうやっても報われませんよねえ……」

 

 まあ、運命ですね、こればかりは……。

 

「で、これが一応最後の手紙だ」

「あれ? 思ったより少ないですね」

 

 これなら、別に大したことはないのでは?

 

「……いや、何度もやっているとな、他の方面からも手紙が届くんだ。前の周回は特に酷かった。100通を超える手紙のほとんどが今の手紙のような内容で、もう胃に穴が開くかと……」

「ご愁傷様です……」

 

 心なしか、ラタトスク様の表情も疲れ切った中年男性のように見えますよ……。

 毎度毎度、送られてくる大量の手紙をそうやって人知れず処分しているのですね……。

 

「それで、最後の手紙の内容は?」

「ああ――――読むぞ」

「はい」

「――――あの無限コンボをなんとかしてください。光に取り込まれて死ぬまで甚振られるのは嫌です。苦しいです。永久に蹴られて死ぬことほど屈辱的なことはありません。何とかしてください。これでも隠しボスなのに隠しボス(笑)扱いされているのをなんとかしてください。お供の方が本体とか言われて馬鹿にされて最近はもうまともに眠れません。というか、最近は眠ると夢の中でもあの栗毛の悪魔が出てきて無限フォトンで甚振られて――――」

「もう止めてあげてください……」

「俺に言うな……」

 

 せっかくの鋼体も詠唱完了直後に叩かれて無意味になり、HP以外は全部横の緑色のドラゴンの方が強いせいでザコ扱いされてるんですよね……。

 

「……こんな手紙が周回の度に送られてきてな……。ちなみに、他にもまだあるぞ? 「リヒターの見せ場として狩られるだけなのは納得いかない」「ラタエミルの噛ませ役になるのはもう嫌だ! 自由をくれ! 勝利をくれ!」「あんな二軍に設定上能力が負けているなんて悔しい!でも(ry」とかな。……もう頭が痛くなるような内容が盛りだくさんだ」

 

 それはもう頭が痛くなるとかそう言う次元ではないような気がします……。

 

「……な。俺以外ももう今の待遇に我慢の限界なんだ……。だから……」

「思いっきりシナリオをぶち壊して楽しむ、と?」

「不味いか?」

 

 ……普通なら不味いと言うのでしょうけど、こんな手紙を見せられるともう何も言えませんよね……。

 精神を崩壊させている人がもう何人も出ていますし、ここには無かったものの恐らくヴァンガードの手紙もあったのでは?

 

「ああ……。どうやったらアリスちゃんが振り向いてくれますか? なんて物からテセアラを魔導砲で吹き飛ばすための資金援助をお願いします! と言った物まで、もうたくさん……」

「……聞いて申し訳ありませんでした」

 

 しかし、もう大部分の人達が今の待遇に不満たらたらじゃないですか。

 こんな調子で大丈夫なんですか?

 

「大丈夫じゃない、問題だ」

「ですよね」

 

 というか、そもそも毎回同じことをやると言う事がおかしなことのような気がしますよね。

 ……いっそ、やってしまいます? シナリオ壊し。

 

「……構わないのか?」

「精神崩壊させた人たちが勝手に暴走するよりはマシでしょう」

 

 それに、もう何度同じ展開を繰り返しているんだ~って思いますしね。13回もやると。

 

「よし、じゃあ……」

 

 シナリオ壊しを決行することを決めたらしく、大急ぎで何かを書きはじめたラタトスク様。

 横から見る限り手紙のようです。

 待たせたな! 今回は思う存分好き勝手しても構わない! と書いてあるようですね。

 これだけで伝わるのでしょうか? ……伝わってしまうんでしょうね。

 

「俺に手紙を送ってきた奴ら全員に返事を出して……次は……」

 

 ハーピーやチュンチュンを総動員して手紙を運ばせたラタトスク様。

 今度は巨大なノートに何か書きはじめました。

 

「……ここもアドリブ、ここは自由、ここは……ああ、そうだ。難易度も最近の流行に乗ってカオスで良い。アンノウンの上に固定難易度でつけておくか。ついでに、ジーニアスの成長制限も解除してやって……」

 

 やっていることが完全に改造行為なんですがまあ構わないでしょう。

 ……しかし、二軍で手紙を出してきたのはジーニアスだけなんですか?

 

「後は……コレットだけだが「他の要素を取り入れてくるよ!」とか言って消えてしまってそれ以来音信不通だ。手紙は一応出したが多分届かん」

「他の要素って何なんでしょうね……」

「知らん」

 

 まあ、コレットさんは時折何を考えているのか分からない時がありますからね。

 話がずれていくときとか。

 

「さて、準備は出来たな。じゃあ、行くか」

「おや、そう言えば、マルタさまと他数名には手紙は出さないのですか?」

 

 特に他数名の部分など、ジーニアスと同じなんですから、手紙の一通くらい来ていてもおかしくないはずなのですが……。

 

「来るわけないだろう……。俺の所に送られてくるのは不満だらけの手紙ばっかりだ」

「尚更胃が痛くなりますね……」

 

 どこぞの機械を使った通信のような軽い感覚で不満を訴える手紙や待遇改善を求める手紙ばっかり送られても、困りますよね……。

 そのくせ、他の人達からは何一つ手紙が来ていないとは……。

 

「まあ、普段充実している分不遇な奴らの立場を見せてやればいい」

「ですよね」

 

 まあ、実際には他数名の人達はマルタさま除いていつも二軍に居る気がしますが、気にしないでおきましょう。

 シナリオで大活躍している人達ばっかりですからね。

 

「さて、行くぞ! これからは俺たちの時代だ!」

 

 ラタトスク様の声が響き、さっき書き換えたノートから光が放たれます。

 いよいよ新時代の幕が上がります!




以降も確実にこんな感じの雰囲気と展開でお送りします。
それでも構わなければ、次話をお待ちください。
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