ラタが駆け抜ける物語   作:ルスト

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うわ……かなり日が開いた。
なかなか上手く展開が進まなくてこんなことに……。


ルイン出発

「マーグナー団長がやられた!?」

「馬鹿な!」

「に、逃げるしかない……襲われたら勝ち目がない!」

「……ウウウ…………マラソン、続キ……」

 

 マーグナーが倒されたことで、街中で暴れていた教会騎士団と自警団が立ち去って行きます。

 ついでに町を破壊していたジャスコニアスもシノア湖の中に帰って行きました。

 水は無いですが、水中の代わりに空中を泳いでいるので問題ないでしょう。

 

「ちょっと待って! この町の湖の中にはジャスコニアスが生息してるの!? 危険すぎないかな!?」

「何言ってるんだ? この町の名物の一つはジャスコニアスの刺身だぞ?」

「もうやだよこの世紀末世界!」

 

 シノア湖の空中を泳ぎ回っているジャスコニアスを見て嘆くマルタさま。

 こんな光景日常茶飯事ですよ。

 

「町中に凶悪な魔物が生息してる時点で明らかに非日常の光景だよ!」

「まあそれは良いだろ。さっさとこんな町出ていくぞ」

 

 仕事は終わったとばかりに踵を返して町を出ていこうとするラタトスク様。

 まあ、我々にはもう用は無いですからね。

 

「ちょっと待って! この町の人の安全とか」

「興味ないね」

「町長に報告は……」

「興味ないね」

 

 ぶっちゃけどうでもいい話ですよ。

 ロイドを探せとか言っていますが、追放することでルインの狂信者から守ろうとしてくれるだけの話です。

 ルインのモブの方が魔物よりも恐ろしいですからね。

 

 

 

 

 

「ってなわけで、アスカード目指して……」

「駄目だってば! 興味ないねとか言ってないで、さっさと行く!」

 

 アスカード目指して出発しようとしたのですが、空気を読まないマルタさまに邪魔される羽目に。

 ……面倒ですねえ。

 仕方ないのでやります?

 

「ああ、面倒だな。仕方ないからやるか。おい! そこのモブ!」

 

 一応やる気になったラタトスク様が、とりあえず原作通りにジダとモルとか言う狂信者に声をかけます。

 

「ひっ!? エミル……」

「お、俺たち……今、い、い、忙しくってさ……ははは……」

 

 ラタトスク様を見た途端に逃げ腰になるモブ二人。

 いつでも斬りかかれるようにエコートレイサーを握っているだけなのに何を怯えているのやら。

 

「べ、べべべべべべ別に、その無限コンボが……恐ろしい訳じゃないぞ?」

「く、首をへし折られたこととかかかかか……気にして、気にしてなんか……ないんだから、な……?」

 

 みるみる青ざめた表情に変わり、ガタガタ震えながら喋るモブ二人の姿は滑稽そのものです。

 恐怖に耐えかねて逃げ出すときの表情など記録しておきたいくらいですから。

 後者の発言を聞いたマルタさまの表情がまた呆れ顔に変わりましたが。

 

「ホント何やってるの……頭が痛くなるよ…………」

「俺は正当防衛をしただけだ」

「首をへし折ることの何処が正当防衛なの!?」

 

 しかし、いつものことながら叫び続けますねえ。

 

「誰がさせてるの……」

「はいイベント終わり。じゃあアスカードに」

「町長の所に行く!」

 

 力ずくで引っ張られていきます。

 まあ、化け物発言はこのゲームの名物の一つですし、入れてもいいのでは?

 

「ああ、名言だな」

「それ全然名言じゃないよ!?」

 

 名言でしょうに。

 酷い意味で。

 

「そう言ってる時点で名言じゃないよね!? ……行くように言ったの私だけどさ」

「面倒だからさっさと行くぞ~」

(なの~)

 

 やる気のない顔で町長の屋敷の方に向かいます。

 そこにはもちろん例の二人が居るのですが、さてどうなるのか。

 

 

 

 

 

「……エミル……」

「ドーモ、フロルサン。セイレイ=ニンジャデス」

「いきなり何言い出すのエミル!? というかどこのニンジャ語!?」

 

 唐突なボケでも即対応するマルタさまはヒロインの鏡です。

 

「ドーモ、セイレイニンジャサン。モブ=ニンジャデス……じゃない! 近づくな!!! 化け物!!!」

「何で対応してるの!? 言い直したけど最初の言葉で色々台無しだよ!」

「アイサツは大事だ」

「ラタトスクの世界に変な常識持ちこまないでよ!」

 

 何をいまさら。

 エターニアのフェイクが混ざった時点で常識の壁なんてありません。

 全てフリーダムですよ。

 

「大体、ロイド像の首をエレンピオスの火炎放射器とどこぞの金属板で溶接しようとした奴が何を」

「さ、町長の家に行こう! ほら早く!」

 

 自分の過失を責められると弱いんですね。

 ヒロインなのに。

 

「わ、私の記憶には何もないよ!? ホントだからね!?」

「こっち見て喋れ」

 

 目を逸らして喋る辺り、どう考えても気にしていますね。

 まあ、明らかに過失はマルタさまにあるので当然ですけど。

 とはいえ、そんなこと関係ありません。

 全部敵が悪い事にすればいいんですよ。我々は主人公ですし。

 

「そんな主人公嫌だよ……」

 

 叫ぶ気力も無くなったのか項垂れるマルタさまは放っておいて、町長の所に行きましょう。

 

 

 

 

 

「来てやったぞ。話って何だ?」

「……呼んでなかったはずなんだが、まあいいや。話そう。ロイドさんを探すという名目でルインを出て行ってくれないか?」

「直球!? いくらなんでも酷くないですか町長!?」

 

 まあ、ロイドの銅像をぶっ壊しましたからね。

 そこのヒロインが。

 

 

 

 

 

「このままじゃ、私はロイド様に顔向けできないんだよ。もしこの状態で君が町に住んでいて、そこにロイド様が帰ってきたら「ルインは反逆組織を扇動し、マーテル教会とロイド教、そして、ロイド教のシンボルであるこのロイド様を蔑ろにした。その罪、万死に値する」と殴り込みに来るんだよ……。そんなことになったらこの町は……」

「それ明らかに偽物ですよね!? 本物のロイド絶対そんなこと言わないですし言えないです!」

 

 マルタさまは何を言っているのやら。

 この世界のロイドってそんなロイドですよ?

 

「違うから!? 明らかに不憫キャラとしてサンドバッグにされたりお手玉にされてるようなポジションだよ!? そもそもセレスティアからフェイク呼び出してディストーションで永久お手玉やってたの二人だし!」

「あんな弱いロイドが本物のわけないだろ。本物のロイドなら、左手の小指一本で剣を振り回すことができるし、二刀流どころか、十二刀流できるからな」

「どうやってそんなにたくさんの剣を装備するの!? 物理的に無理だよ!」

「指と指の間に一本ずつ、口に四本装備するんだ。そうすれば十二刀流が出来るだろ?」

「そんなに持てるわけないでしょ!? どれだけハイスペックなのそのロイド!」

 

 世界再生の英雄ですし、これくらいやってくれないとねえ。

 それも出来ない奴に用はありません。

 

「人間じゃないよそれ! どう考えても異世界のモンスターだよ!」

「世界再生の英雄のくせにこんな事も出来ないのか? ゴミだな」

「ゴミですね」

「そんな理不尽を要求してゴミ扱いってあんまりだよ! 出来ないこと要求する時点であんまりだけど!」

「頼む! さっさとこの町を出て行ってくれ! ロイド様に見つかったら、私がロイド様に粛清されてしまう!」

 

 マルタさまが雑談しようとしているのを強引に遮り、町長が我々を追い出しにかかります。

 町の救世主相手にこの扱い。あんまりですねえ。

 

「全くだ。こんな町二度と助けるか。俺の家以外全部ジャスコニアスに叩き壊されちまえ」

「メテオスウォームがどこからともなくこの町に降って来てくれることを願いますよ」

「そもそも出ていけって言われてるのに堂々と雑談してる私たちが悪いんだし、大目に見てあげようよ!」

 

 

 

 

 

 全く、助けてやったというのに追い出すなんて、あんまりな町でしたよ。ルインは。

 町長にも家を放り出されてしまいましたし、この町でやることはもうありません。

 アスカードがまともな世界であることを祈りましょう。

 ルインの入り口まで来ましたし、さっさと出ていきますよ。

 

「テネブラエとエミルの言う「まとも」が既に私の中の「まとも」と全然違いそうな気がするんだけど……」

「そんなはずないだろ?」

「ですよねえ?」

 

 町中でサイクロンが発生していたり、葉っぱや埃の代わりにマンドセロが飛んでいるような世界その辺にあるでしょう?

 

「そんな世界どこにも無いから! 変な世界作らないで!?」

「町中をアルブム・アートルムが群れで徘徊している町なんて珍しくも無いだろ?」

「隠しボスの集団が町中を平然とうろつくとか世紀末すぎるから! それグラズヘイムより酷いよ!」

 

 あんな犬別に珍しくないでしょうに。

 

「どこをどう見たらアレが犬に見えるの!? どう見たって二足歩行の化け物だよ! ベヒモスやオリウェイルやジャバウォックのコンパチだよ!?」

「マルタが何を言ってるのか分からん……」

「そんな未知の魔物の事言い出されても困ります」

 

 何処に生息してるんですかその猛獣。

 未知の魔物の事を言われても返事に困ってしまいます。

 アレは二足歩行の犬じゃないですか。

 無限フォトンをくれてやったら喜びますよ。

 

「それ苦しんでるだけだよ間違いなく……。はあ、話も進まないし、さっさと町を出ていこう」

「おや、話を自発的に打ち切るとは珍しい」

 

 明日は岩の雨でも降ってきますかね?

 それともマルタさまの顔の形の饅頭か能面でも降ってきますか?

 

「だからどんな世紀末なの……。二人の頭を解剖したら絶対未知の世界が広がってるよ……」

「怖いこと言うな……このヒロイン」

「我々を何だと思ってるんでしょうか?」

 

 こんなに常識的で紳士的なキャラなのに。

 

「世紀末でカオスで非常識の間違いだよね!?」

「はいはい。さっさと行くぞー」

 

 マルタさまの会話を聞き流して歩き出したラタトスク様。

 ようやくこの辛気臭い町ともお別れです。

 ロイド像のある方向から「誰がロイドの像をこんなことに……許さん! 許さんぞマーテル教会! 貴様ら全員根絶やしにしてくれる!」という叫びも聞こえていますし、急いで離れましょうか。

 

「はあ……このパーティで本当に大丈夫なのかな……?」

「全くだ。常識人の中に一人非常識が居るだけでこんなことに……嘆かわしい」

「私以外全員非常識だらけのパーティの間違いじゃないかな!?」




シノア湖…空中をジャスコニアスが泳ぎ回る至って普通の湖。

フロルとアルバ…原作ではパルマコスタから出てきたエミルの引き取り手。
後半のイベントは割と良い話なのだが、このラタじゃシリアスさん息してないので……。

ルイン町長…原作ではエミルを町から追放することで守ろうとしてくれる人。
ボイスもあるのに出番は最初だけで、実際にロイドを連れて行っても何のイベントも無い。

ロイド(本物)…指の間に剣を持つことで驚異の八刀流を、更に口に四本の剣を装備することで驚異の十二刀流ができる世界再生の英雄。
その手数は本編で活躍している偽物とは比べ物にならず、圧倒的な強さ故、出会ったら死を覚悟しなければいけないほどのスペックなのだが、このロイドがゲーム本編で目撃されたという話は聞かない。

ベヒモス、オリウェイル、ジャバウォック…全部アビス出身のボスと雑魚。マイソロにも出てくる使い回し代表種。
ちなみにアルブム・アートルムの動きは目からのレーザーや顔回転、テラホーミング以外本当にこれの動きの使い回しである。仮にも隠しボスなのにこの手抜き……。
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