ラタが駆け抜ける物語   作:ルスト

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二章
アスカード


 遺跡の町アスカード。

 シルヴァラントの町の一つですね。

 ようやく到着しましたよ。

 

「町の至る所でサイクロンやタービュランスが発生していていかにもな突風の町ですね」

「なあマルタ。このアスカードを見てくれ。こいつをどう思う?」

「だからどうしてこんな世紀末な世界なの!?」

 

 我々の目の前に広がっていたのは、そこかしこでサイクロンやタービュランス、ウィンドカッターが発生し、街中をパーガーやシムルグ、インセインが飛び回り、はしゃぎまわっている光景でした。

 マルタさまは放心したような表情をしています。

 

「はーはっはっはっ! この圧倒的な風のフィールドなら、俺はあんな奴に負ける事など無い! お前たちも協力してくれ、共に奴を倒すぞ、レイシー、エルシー!」

(合点承知!)

(右に同じく!)

 

 そして、その暴風フィールドの中心で、見覚えのある人とウサギとオオカミが気合を入れていました。

 確か……。

 

「ホークとアリスのペット……。何でこんなことやってるの…………?」

「凄い勢いでグリッドが風一色に染まって行って何をやっても変えられそうにねえ……」

 

 マルタさまも覚えてましたか。

 こんな平凡な町中で何をやってるんでしょうねえ。

 

 

 

 

 

「……で、アリスちゃんを倒そうとこうやって反逆しようとしてた、と。タローとジローはいつの間にかヒュプノス壊してるし。…………ホーくんの仕業ね?」

「来たな年齢詐称ぶりっ子女! 今日こそ目に物みせてくれる! お前たちも出てこい! 時は来た! 今こそ恨みを晴らすとき!」

「「我らの悲願は打倒アリスただ一つ! 今までの積年の恨み、今こそ晴らすときなり!」」

 

 ホークの号令に従うように、町の至る所からヴァンガード兵が飛び出してきます。

 仮面に「アリス抹殺」と書かれており、かなり不気味ですね。

 

「ホントに何やってるの……?」

 

 言葉を失ったマルタさま。

 面白いのでこのまま見ておきましょうか。

 

「行くぞお前たち! ラタトスク様が俺たちに機会をくれたのだ! この機会、絶対に逃してはいけない!」

「運命を変える機会を頂けるとは! ラタトスク様万歳! ホーク様万歳!」

「この機会を逃してはいけない! 我ら一同、全力を挙げて憎きアリスを抹殺する!」

「ぶりっ子女に死を!」

(死を! 死を!)

 

 ヴァンガード部隊が、上空の魔物が、全てアリスを敵として雄たけびを上げます。

 我らの「運命を変える」力が良い方向に働きましたね。

 

「エミル本当に何やったの!? ねえ!?」

「シナリオなんて壊れちまえ! 運命なんて変えてやれ! 俺が消え去る理不尽な未来も、ヴァンガードのモブ兵が人間椅子にされる未来も、全部ぶっ壊して変えてやれ! 運命を切り開くのはシナリオなんかじゃない! 俺たち自身のあがきだ!」

「いきなり何言い出すの!? 元からおかしかったけどせめて正気に戻ってよ!?」

 

 大丈夫です。ラタトスク様はしょうきにもどっていますから。

 

「だいじょうぶだ……おれは しょうきに もどった!」

「それ大丈夫じゃないから!?」

 

 マルタさまが漫才やってる間にもヴァンガードの話は進んでいきます。

 聞き逃してしまいましたが、おびただしい数のヴァンガード兵士とホーク、アリスのペットがアリスを倒すために反逆を仕掛けたらしく、武器を構えてアリスに突撃していきます。

 一方、アリスは――――

 

 

 

 

 

「ペットちゃん4号、5号、行きなさい。期待してるわよ」

「「ウガアアアーーー!」」

「何でアリスがアルブム・アートルム使役してるの!? しかも二匹も!」

 

 どこからともなくアルブム・アートルムを二匹召喚して反逆したヴァンガードの集団と戦わせるつもりです。

 隠しボスを簡単に従えるとは、まさに化け物ですね。

 

「アリスちゃんに逆らったらどうなるか……ちゃんと理解させてあげた方が良いみたいね」

「怯むな! 相手は所詮サンドバッグ二匹とアリスだけだ! 俺たちの圧倒的アドバンテージがあれば負けるはずがない!」

「俺たちの自由のために!」

「アリスを倒せ! アリスを倒せ!」

 

 一歩も引くつもりが無い両者。

 そしてアスカードの町は戦場と化しました。

 

「どうしてこうなったの……」

「自業自得だな。さて、クエスト受けるぞ」

 

 今まで見たことも無い光景に言葉を失うマルタさま。

 しかし、我々には関係ありません。

 戦場を避けるように階段を駆け上がり、ねこにんの方に向かいます。

 一方、道具屋の前ではアリスのアブソリュートやスプラッシュ、アルブム・アートルムの攻撃で次々に倒されるヴァンガード兵を上空のパーガーが空中から投下するライフボトルとヒールウィンドの連発で強引に回復しつつ、シムルグやインセインとヴァンガードがタイミングを合わせて攻撃しているようですが。

 なかなかの激戦ですし、闘技場よりは楽しめますかねえ?

 

「そしてその光景をどうしてスルーできるの……?」

「関係ないからだ」

 

 マルタさまが当たり前の事を聞いてきましたが、そもそも無関係の事に首を突っ込んだらロクなことになりませんからね。

 放っておきましょう。

 

「二人の神経はどうなってるの……。絶対おかしいよ」

「だから正気だって言ってるだろ? 俺は同じ展開に疲れ果て、運命を変えるために立ち上がったんだ」

「異種格闘技に出られなかった青い人も言っていますよ。――――運命を変える! と」

 

 そんな会話をしながらねこにんの所に来ました。

 突風で目にゴミが入っていたいとか嘆いていますが仕事はしてくれます。

 

「さて、ねこにん。魔物の整理からしたいんだが」

「了解にゃ。で、どうするにゃ?」

 

 とりあえず、使えそうな魔物を引っ張り出したいですね。

 鋼鉄のグローリー軍団で固めましょうか?

 

「壁戦法だな? 分かった。マルタ、しっかり働けよ」

(お休みなの~)

 

 主力にしていたジャスコニアスやベルウィルリングなどの高火力集団を預け、代わりにマンドセロ、アイスタイタン、ソリテアー、ブレイドレックスとその変化種族を主力にした部隊を編成します。

 今回引き出したのはどいつも身体の大きさに定評のある連中ですよ。

 マルタさまが安心して戦えるように壁を作るわけです。

 そして……

 

「マルタと今引き出した壁に今後の戦いを丸投げして、俺たちは後方でお茶でも飲みながらくつろぐか」

「ちょっと!?」

 

 戦いを押し付けられたマルタさまが驚いたような表情でこちらを見ますが、何をそんなに驚いているんでしょう?

 ちゃんとライラも一匹動員しましたし、万が一倒れても場外からレイズデッドしますよ?

 

「そう言う問題じゃないよね!? 壁の後ろから私がフォトンやプリズムソードを乱発するのはまあ分からなくもないけど……一応主人公なのに、私だけに戦い押し付けないでよ!?」

「頑張れ。お前なら出来る。もっと熱くなって来い。あ、このクエスト受けるわ。参加はマルタと壁部隊な」

「了解にゃ!」

「話聞いて! というか、その依頼表、何かおかしくない!?」

 

 置いてきぼりにされたまま話が進みますが、その時にマルタさまが依頼表に何か違和感を感じたようですね。

 どれどれ……

 

 

 

 

 

「悪名高い道場破り、傭兵ササキの討伐。難易度は……SSSって何これ!? 推奨レベル一体いくつになってるの!? こんなの見たことないんだけど!?」

 

 依頼表を見て慌てるマルタさま。

 こんなの普通の依頼じゃないですか。

 

「推奨レベル3800の依頼にゃ。まあ、頑張ってくると良いにゃ」

「ちょっと待って! 推奨レベルが明らかに桁一つ間違ってるよね!? 私のレベルたった200だよ!? レベル3800ってどんな世紀末の世界なの!? 少なくともテイルズじゃありえないよそのレベル!?」

 

 錯乱してしまったのか、また意味不明な事を口走っていますね。

 まあ、放っておきましょう。

 

「私の話を」

「さあ行ってくるにゃ~」

 

 我々全員ねこにんの術でササキの所に飛ばされてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 飛ばされた先の海岸。

 そこには、蹲る一人の斧使いが。

 この世界最強の傭兵、ササキです。

 

「来てやったぞ。ササキ、この壁共とマルタが相手だ」

「本当に私に押し付ける気!?」

 

 ラタトスク様の言葉を聞き、ササキは即座に立ち上がります。

 その身体からはバルバトスのようなオーラが漂っています。

 

「フフフフフフ……待っていたぞムサシ! さあ、私の挑戦を受けるのだ!」

「良いだろう。ただし……戦うのはこいつらだ!」

「だからエミルも戦ってよ!」

 

 マルタさまの言葉は誰も聞きません。

 聞いてたら時間の無駄ですし。

 

「酷い!?」

「ククク……雑魚の集団と小娘一人、前座と言う事だな? よかろう! このササキの剣捌き、存分に味わえ!」

 

 斧を振りかぶるササキはまさに気合十分といった様子です。

 これは我々では分が悪いですね。

 ラタトスク様の作戦は良い判断だと思います。

 

「いくら魔物の壁に守らせるって言っても、ヒロインだけ戦わせるなんてあんまりだと思わないの!?」

「フォトンとプリズムソードで数多の敵を葬り去った死神が何を言う」

「死神なんて物騒な呼び名止めてよ! 私そんな酷いことしてないよ!?」

「うおおおお! ムサシ! 行くぞおおおおお!」

 

 マルタさまの叫びをかき消すようにササキが雄たけびを上げ、襲い掛かってきました。

 さあ、死神マルタさま、壁も用意したのでやっつけてくださいね。

 

「だから死神なんて呼び名つけないで!」




アスカード…竜巻と暴風が有名な遺跡の町。原作より強化してます。

サイクロン…風の上級魔術。シンフォニアから続投。

タービュランス…エアスラストに取って代わったアビスの譜術。エアスラストェ…。

ウィンドカッター…シンフォニアの魔術。ちゃんと出てます。

パーガー…アビスのウィンドスピリッツのコンパチ。移動速度に優れ、固有術のサイクロンとウィンドカッターを扱える。エレメンタル系の魔物ではかなり優秀な部類。ちなみに契約したい場合、ギンヌンガ・ガップで契約しないと非常に契約困難なので要注意。

シムルグ…ノイシュカラーの大きな鳥。燃費の悪さに定評のある詠唱無しサイクロンの使い手で、唯一のクリティカル率50%を狙えるチュンチュン系統の最上位の一匹。マーテル教会にギンヌンガ・ガップに黄昏の宮殿にと、出会う機会は多い。

インセイン…出張ってきたボス。被膜がある限り無敵で、飛竜の子供を自爆させないと倒せない。

ホーク…ヴァンガードの一員で、アリスに敗れるまでは戦闘部隊の隊長。表面上はアリスに従っているが、実際は毛嫌いしており、反省会と言う反アリス集会を開いている。部下には慕われているらしく、良い上司なのだろう。

アリス…ヴァンガード戦闘部隊隊長のハーフエルフ。年齢詐称はしていない。戦闘部隊隊長だけあって非常に強く、離れればアブソリュートやセイントバブルなどの上級魔術で、近づけば一撃必殺級の威力を誇る電撃鞭で攻撃してくる。詠唱の無いレイズデッドやリザレクションまで使いこなすため、はっきり言って焼き豚より強い。のだが、物語的には人間椅子や理不尽な暴力の影響でデクス、マーグナー以外の人望は皆無。戦闘能力だけでまとめ上げている感じである。実際ヴァンガードはギンヌンガ・ガップに居ない。
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