ラタが駆け抜ける物語   作:ルスト

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傭兵ササキ

 マルタside

 

「さあ、行くぞおおおおおおおおっ!」

 

 雄たけびを上げ、突撃してくるササキ。

 エミルが引っ張り出した大量の壁モンスターが立ち塞がって私を守る。

 ……けど、何この嫌な予感?

 すぐに離れないと一瞬で倒されそうな気が

 

 

 

 

 

「邪魔だあああああああ!!! ジェノサイドブレイバー!」

 

 ササキの叫び声と共に、紫色の破壊光線が私の前に居た魔物の壁を吹き飛ばして迫ってきた。

 何とか避けたけど、私の背後にあった岩は一瞬で塵となって消えていた。

 最初から避ける前提で動いていなかったら今の一瞬で殺されてたと思う。

 

「というか、何でジェノサイドブレイバーなんて」

「魔神剣!」

 

 私の声を遮るようにササキが攻撃してきた。

 ササキの斧の振り上げと共に放たれる、地面を文字通りぶっ壊しながら進んでくる青い衝撃波。

 見当違いの方向に撃ったから幸い当たらなかったけど、海岸に地割れが出来ている時点でこれに掠っただけでも一撃KOされると思う。

 ……どうしてこんなハードモードなの!?

 

 

 

 

 

「うわ……壁が一発で吹き飛んだぞ。マルタ以外生き残ってない」

「使えませんねえ。やはり物理防御と術防御特化モンスターなんて役に立ちませんか」

 

 外野ではどこから取り出したのかシートを広げてのんびりお茶を啜るエミルとテネブラエの姿が。

 ……そんな呑気な事言ってる場合じゃないってば!

 私一人じゃこんなの……!

 

「貴様に俺と戦う資格はねええええええええええ!」

「私無理やり戦場に放り込まれただけだってば!」

 

 私の方に狙いを定めたササキが溜めなしの破壊光線をぶっ放してきた。

 回避したけど、背後で海が真っ二つに割れている。

 ……何でこんな世紀末モンスター相手に一騎打ちなの!?

 

「どっちが勝つか賭けないか?」

「ササキしかないでしょう?」

「だな。賭けにならん」

「ホント二人とも酷くない!?」

 

 私が負けることは二人の中ではほぼ確定事項なの!?

 こんな化け物に真っ向勝負挑んでも勝てる気しないけど!

 

「くたばれえ! 魔王・炎撃波!」

「っ! 隙が出来た! リヴァイブ!」

 

 ササキが力を溜め、斧から広範囲に灼熱の波動を放つ。

 万が一の被弾に備えてエーギルマントを手早く重ね着し、そのままリヴァイブを唱える。

 これで一度ぶっ殺されても大丈夫なはず!

 

「術なぞ使ってんじゃねえ! 鉄槌のメテオスウォーム!」

「とか言いながら術使ってるじゃない! プリズムソード!」

 

 上空から降ってくる無数の灼熱の大火球。

 だけど、火属性のメテオスウォームならマントを変えなくてもこのまま耐えられる。

 この隙にプリズムソードで反撃しないと!

 

「ぐぼおっ!? ぐあぐあぐあ! ぐはっ!?」

「って、それでも地平線の果てまで吹っ飛ばされそう……!」

 

 ササキが光の檻に閉じ込められたのを確認する間もなく、メテオスウォームの集中砲火に晒されて吹き飛ばされる。

 飛ばされた先で別のメテオスウォームにぶつけられ、はね飛ばされる悪夢のコンボ。

 エーギルマントが無かったら確実に即死だった……。

 

「き、貴様……よくもこの俺に傷を……! 咆哮のブラッディハウリング! 咆哮のブラッディハウリング!」

「何でこいつが詠唱破棄して魔術連発できるの……!?」

 

 急いでバルドルマント二枚に着替え、ブラッディハウリングから逃げる。

 背後では紫色の竜巻のような渦が二つ発生しているけど、気にしてられない。

 確かジェノサイドブレイバーも闇属性だったような気がするけど……光だったっけ?

 気になるけど、確かめたら間違いなく死ぬから出来ないよ……。

 せっかく使えたリヴァイブ勿体ないし……。

 

「ちょろちょろと目障りなんだよ! 連水のスプラッシュ! 連水のスプラッシュ!」

「避けきれない! ポイズンチェック二つで……!」

 

 ポイズンチェックを持った直後、上空から滝のような勢いで水が落ちてきて避ける間もなく飲み込まれる。

 ……どうやっても避けられないからこうするしかないよね……。

 

 

 

「ば……馬鹿な! なぜ死なん!?」

 

 私がほとんどダメージを受けてないからか、驚きを露わにするササキ。

 そんなふうに驚くって事は、耐性100%じゃなかったら一瞬で塵になるんだろうな……。

 

「おい、マルタがやけに粘るな」

「おかしいですね。これササキの負けイベントでしたっけ?」

「私の負けイベントか何かだって言うの!?」

 

 

 

 というか、私じゃなくてササキ側の負けイベントでしたっけ? ってどういう事!?

 やっぱり最初の一撃で吹っ飛ばされて即全滅とかそういう展開だったのこれ!?

 

「当たり前だろ。ヒロインが足手纏や置物と共にササキに吹っ飛ばされるのはお約束だったぞ?」

「なんでただの傭兵に吹っ飛ばされるのがお約束なの……?」

 

 目の前の怪物はどう見たってただの傭兵の力量を越えているけど。

 エルフの血が入っているわけでもないのに上級魔術連発してくるし……。

 

「ちなみに記録によるとその周回のマルタのHPはデータ的にはたったの3だ。防御面は300000はあったと思うが」

「私はメタルスライムか何かなの!? すでに数字がおかしいよ!」

 

 というか、虚弱体質にもほどがあるよね!?

 三回殴られたら倒れるって滅茶苦茶だよ!

 

「雑談なぞしてんじゃねえええええええええええええええええ!!!」

「当然待ってはくれないよn」

「豪渦のメイルシュトローム!」

 

 外野に気を取られてたらササキの攻撃が発動して、激流が襲い掛かった。

 ――――エミルとテネブラエに。

 

「「ぎょええええええええええええええええええ!?」」

「控えメンバーへの直接攻撃!? いくらなんでも理不尽過ぎない!?」

 

 ミンチ肉にでもなりそうな勢いで吹っ飛んでいったエミルとテネブラエ。

 確かに余裕かまして雑談してたけど、いくらなんでもルール違反だよねこれ!?

 

「ルール? そんな物は必要ない。俺が、このササキが、ルールなのだからな!」

「理不尽通り越してただの横暴だよそれ!」

 

 俺ルール宣言をするササキ。

 確か何度倒したって敗北を認めず蘇ってくる辺り元からそんな雰囲気だったけど……。

 

「この場に立っているのは貴様だけだな! 弱い、弱すぎる!」

「って、そう言えば控えまで攻撃されたから……」

 

 辺りを見ると、前衛要員だった壁モンスターが、控えメンバー宣言して呑気にお茶を啜っていたエミルとテネブラエが、文字通り残骸になって周囲に転がっている。

 私以外の戦力、全滅しちゃってない……?

 

「貴様に俺と戦う資格はねえええええええええええええええええええ!」

「けど一応、最後まで抵抗だけはしてやる! フォトン!」

 

 ササキの斧から発射された破壊光線を側面に走ることで避け、即座にフォトンで反撃。

 連発したいけど、深追いはせずに一撃だけにとどめる。

 魔術が発動し、ササキの周囲に光が収束する。

 

「術なぞ使ってんじゃねえ! 殺戮のイービルスフィア!」

「スリープチェック二つで……!」

 

 そもそもそんな魔術無かったと思うけど、紫色の球体に飲まれる前に装備を変えて対処する。

 避けきることが出来ない魔術で怯まされてそのまま別の属性の攻撃で追撃されたら不味いかも……!

 

「断罪のエクセキューション!」

「隙が出来た! もう一度フォトン!」

 

 ササキが放ったのは紫色の光線と雷による攻撃を繰り出す未知の攻撃。

 だけど、闇属性ならそのまま対処できるし回避できたから隙も出来た!

 

「こんな光など……ぐばっ!?」

「怯んだ! もう一度フォトン!」

 

 一度でも怯んでしまえば、この攻撃を防ぐことは出来ない。

 追撃のフォトンでササキの動きを封じ、そのままフォトンの連打で封殺する。

 戦い方としてあんまりな戦法だけど、でも!

 

「これしかない! このまま押し切って倒す!」

「ぐがばばばばばばばばばばばば……!」

 

 レイズデッドやライフボトルを使うという選択肢なんて最初から無い。

 復活させても即座に倒されそうだし……。

 

 

 

 

 

「スペル・エンハンス! そして……」

 

 念のためにスペル・エンハンスを使い、その上でフォトンやプリズムソードを連発。

 ササキの行動を封殺しながら戦場のマナ(エレメントグリッド)を光一色で埋め尽くす。

 準備は全て出来た! これなら……!

 

 

 

 

 

「この化け物でも倒せる! ……癒しの神よ! 立ち上がりし者達に祝福を!」

 

 額のコアから放たれる光が強まり、周囲に光の花びらが舞う。

 ササキは光の牢獄に囚われ、身動きできない。

 

「邪悪を退ける正義の力を与えたまえ! レイディアント・ロアー!」

 

 直後、天から注ぐ光。コアの力が解放され、戦場全体に光を放つ。

 光に飲まれ、大きく吹き飛ぶササキ。

 戦場全体に満ちた光のマナも合わさり、コアの光は本来以上の破壊力を生み出す。

 

 

 

 

 

「ごっはあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」

 

 

 

 

 

 斧を落とし、そのまま地面に崩れ落ちるササキ。

 そして癒しの光が私の体力を回復する。

 しばらく待ってもササキが立ち上がってくる気配はない。

 ……何とか、勝てた?




ササキ…ラタトスクの世界におけるアナゴ族。何度倒されても挑戦状を送り付け、直接対決の際にも「だ、黙れこわっぱ共。自ら敗北を認めぬ限り、剣士に敗北は無いのだ!」という恐ろしい名言を残した男。今作ではDSのFF4すら裸足で逃げ出すほどの超強化を受けている。ちなみに、原作でも「斧」使いで、そもそも剣士ですらない。

イービルスフィア…闇属性の攻撃。ラタにはありません。

エクセキューション…闇属性の攻撃。作品次第でルナシェイドに派生する。ルナシェイドは逆再生が腹筋的に危険。

ジェノサイドブレイバー…バルバトスの攻撃手段。大体の作品で「当たったら死ぬ」を体現する恐怖。

貴様に俺と戦う資格はねえ!…チープエリミネイトの事。溜めの無いジェノサイドブレイバーを発射する恐怖の技。

魔神剣…テイルズの基本技。しかし、案外覚えない主人公が多い。発展系が連携に使いやすいのもお約束。マイソロ双剣の魔神剣→双牙→連牙の魔神剣6連射とか。

魔王炎撃波…前方に炎を放つ奥義。コンボにすらならないアビス以外では使える部類。

リヴァイブ…自動復活効果。リコールと違って確率100%の使い捨て。ラタでは一応ミカーサが使えるが、基本的にマルタ専用のような技。

エーギルマント…火耐性50%、水耐性20%。単独ではあれだが、マルタみたいに重ね着したら耐性100%になって使える。

バルドルマント…闇耐性50%、光耐性20%。上に同じ。

ポイズンチェック…水耐性50%、毒防御。マントと違い、魔物も使えるという最大の利点がある。毒の耐性は空気。

メタルスライム…銀色のアレ。最初こそプレイヤーに血相を変えて襲われるが、途中からは見向きもされなくなる可哀想な存在。

スリープチェック…闇耐性50%、睡眠防御。睡眠は洒落にならない被害を出すので、かなり重要。ちなみにこれを固定装備しているコレットは防具との効果で闇耐性100%。

スペル・エンハンス…術攻撃を3割引き上げる強力な支援効果の魔術。マルタとごく一部の魔物専用で、マルタがこの話のような使い方をすると非常に活きる。

レイディアント・ロアー…マルタの秘奥義で、全体に術判定大ダメージ(スペル・エンハンスで自発的に強化できる)を与える光属性(フォトン連打やプリズムソード乱射でグリッドが染まることが多い)の秘奥義。追加効果で生存している味方全員のHPを50%回復する。ちなみに敵マルタは絶対に使わない。
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