……なんてこったい。
それはそうと、お待たせしました。
「ガトリングガンによる十字砲火を食らい、無様に死ぬがよい! レザレノの名において貴様らの亡骸を葬ってやろう!」
そう叫びながら空中に浮いたガトリングガンを乱射し始めるリーガルさん。
ガトリングガンの銃身は全てエミルに向けられていて、当たったら間違いなく蜂の巣になりそう。
それをエミルは……
「断空剣!」
「ぬっ!?」
どうやって覚えたのか、本来は使えないはずの断空剣で無理やり弾き返して応戦してる……。
というか、ガトリングガンの弾って弾き返せるんだ。
「甘い! 甘すぎるぞリーガル・ブライアン! その程度の攻撃で、一軍の椅子に座れるとでも思ったか!」
「無数のガトリングガンの乱射攻撃は十分驚異的だよね!?」
むしろ断空剣であっさり銃弾を弾き返せるエミルの方がおかしいよ!
「私の一軍の座のためにさっさとくたばるがいい! ロケットランチャー、装填! 目標、エミル・キャスタニエ・ラタトスク!」
今度はロケットランチャーをエミルに向けるリーガルさん。
空中に浮いたロケットランチャーは軽く数えただけでも30以上はあり、明らかに過剰戦力と言っていい。
ちなみに私は、リーガルさんのバリアに対する攻撃手段が無いから大人しく後方で様子を見ている。
……というか、下手に突っ込んだらロケットランチャーで爆殺されて、頭と腕が吹っ飛んだスプラッタになりそうだし……。
「これで最期だ! 撃てえ!」
リーガルさんの指示に反応したロケットランチャーが一斉に発射され、ロケット弾がエミル目がけて飛ぶ。
エミルはどうするのか――――と思ってたら、突然大ジャンプして飛んできたロケット弾を回避しようと試みる。
エミルの下で着弾したロケット弾が大爆発を起こし、牢獄の壁が瞬く間に破壊されていく。
リーガルさんはエミルが回避したことを即座に察知し、装填中のガトリングガンを強引にエミルに向ける。
「蜂の巣になるがいい!」
「だが断る! 崩蹴脚!」
再びガトリングガンが発射される――――前にエミルが動いた。
空中に設置されているガトリングガンの一つを、炎を纏った蹴りで強引に破壊する。
……って、炎!? まさかイグニス持ってるの!?
「しまった!」
「お前も終わりだ! この無限コンボで……」
「やられるわけにはいかん! 身代わり発動!」
着地した直後、再び飛び上がってリーガルさんを蹴りつけようとするエミル。
けど、リーガルさんは簡単には攻撃を受けない。
突然取り出した光り輝く球体の中から白い動物のような何かを取り出す。
リーガルさんに向けられたはずの攻撃が、何故かその白い動物の方へと方向転換して放たれ、リーガルさんがダメージを受けることは無かった。
「わけが分からないよ」
「ちっ、くそっ! 身代わりか!? やられた!」
白い動物をエミルが蹴り飛ばすと白い動物は「わけが分からないよ」とか呟いて消滅した。
わけが分からないのはこっちなんだけど……。
というか、この世紀末な戦いについていけないよ……。
「今度こそ朽ちるがいい!」
「させませんよ! 行きなさいアイスタイタン! あの二軍をサンドバッグにしてやるのです!」
白い動物に気を取られたエミル。
リーガルさんがその隙を逃すことはなく、今度は謎のリモコンを取り出して何やら操作し始める。
けど、テネブラエが氷でできた巨大なゴーレム――――アイスタイタンを召喚して殴り込ませたからそのリモコンを使う事は出来なかった。
「くそっ! 邪魔をするな! 私の一軍の椅子を! 奪い取らせはせぬ! マザーシップから放たれるジェノサイド砲で吹き飛ばしてくれるわ!」
「何する気か知らないけど、それって間違いなくアスカードの町ごと吹き飛ばしてしまいませんか!?」
アイスタイタンの攻撃を避けながら叫ぶリーガルさん。
というか、マザーシップってそもそも何!?
……それにしても今のリーガルさん、やっていることがおかしいからだろうけど異常に強くなってるし、素直に一軍に入れても良いんじゃないかな……?
少なくとも下手な魔物よりは強いよ。
「駄目だ! 俺たちの椅子を渡すわけにはいかない!」
「ええ! 我々のために用意された最高の資源ですよ!? なぜ渡す必要があるのです!?」
「一軍の椅子は資源じゃないよね!?」
というか、意固地になって守るほどの物かな……?
一軍になって戦えるのって確かに大きいかもしれないけど。
「俺とテネブラエにとっては、命よりも大事な椅子だ! この椅子を奪われたら、俺達は空気以下の存在に成り果ててしまう!」
「これだけ好き放題に暴れまわる人が空気以下に成り果てる未来なんて想像できないよ!」
いつもやりたい放題に暴れまわってるし!
今だって世紀末な戦闘を繰り広げてるし!
「殺してでも奪い取るしかないというのか……。やはり、持たざる者に残された道はこれしかない!」
直後、リーガルさんの体から光と揺らぎが発生する。
オーバーリミッツした!?
「そうだ! 野生化したヴァンガード共、自警団! その遺伝子を回収し、私は人の限界を超えた! もう私はただのリーガルではないのだ!」
「たかがオーバーリミッツで調子乗ってんじゃねえ!」
「アイスタイタン、グローリーの本当の恐ろしさを示しなさい!」
リーガルさんのオーバーリミッツに対抗するようにエミルもオーバーリミッツし、テネブラエはアイスタイタンのグローリーの力でゴリ押しを仕掛けるように指示を出した。
一切守りを気にせずに相手を攻撃するエミルとアイスタイタン、そしてリーガルさん。
ロケットランチャーやガトリングガンの弾が飛び交う中をエミルとアイスタイタンが強行突破し、リーガルさんに襲い掛かる。
リーガルさんは接近してくるエミルとアイスタイタンにガトリングガンやロケットランチャーで応戦しつつ、再びリモコンを弄りはじめた。
その戦闘風景はどこをどう見てもこの世界の物じゃない。
「マルタ! 貴様も働け!」
「無理だよ! そんなところに突っ込んだら死んじゃうし、魔術はバリアで通用しないじゃない!」
エミルが私の方を見て怒鳴ってくるけど、出来ないものは出来ないよ!
「一軍の椅子をあいつに取られるんだぞ!? 空気以下の存在に成り果てるんだぞ!? お前それでもいいのか!?」
「そもそも一軍の椅子とか無いから! そんなありもしない物を持ってこないでよ!」
それに、一軍なんて本来ただの志願制だよ!
「ちっ! 役に立たないヒロインだ!」
「何で!?」
「仕方ありません。役立たずは放っておいて、我々だけで何とかしましょう。力のある我々だけで!」
「一々嫌味な言い方しないでよ!」
というか、力のある我々だけって言うけど、ササキ相手に何も出来ずに一瞬で昇天させられたじゃない!
「あんなのノーカンだノーカン! あんな卑怯な戦法認められるか!」
「同感です! 控えメンバーを直接攻撃するなどという畜生にも劣る下劣な行為! あれは我々の敗北にはあたりません!」
「私を無視して喋るな下郎が! 近代兵器の力を思い知るがいい! その堅物な頭に、近代兵器の実力を刻み込んでくれよう! ジェノサイド砲、発射せよ!」
意地でもあんな敗北は認めるつもりが無いみたいだけど……結局それってササキと同じような……。
それはそうと、リーガルさんがジェノサイド砲? のスイッチを押しちゃった。
念のためにリヴァイブだけはかけておこう。
『いかん! マザーシップが動き始めたぞ!』
『ブラーイアンがアスカード上空にマザーシップを! ジェノサイド砲展開しました!』
『総員退避! 退避――――!』
そんな声がどこかから聞こえてきた。
直後、アスカードの牢獄の天井が崩壊し、空から極太の赤い光が戦場に降り注いだ。
光が牢獄に着弾した瞬間に牢獄内で大爆発が生じ、私の視界は一瞬で赤一色に。
薙ぎ払うように放たれた光の出所を探して顔を上に向けると、空の果てに銀色の巨大な丸い物体が浮いているのが見て取れた。
その丸い物体の下部に巨大砲がついていて、光線を射出し終えたのかゆっくりと球体内部に収納されていく。
……リーガルさんはどこからあんなの連れて来たんだろ。
「ふ……フハハハハ! これがジェノサイド砲の威力だ! 一軍といえどもひとたまりもあるまい!」
「明らかにやりすぎですよね!? これってアスカードの町完全崩壊していませんか!?」
見事に木端微塵になった目の前の光景を見て満足そうに高笑いをするリーガルさん。
やりすぎだよどう考えても!
「ククク……次は貴様だマルタ・ルアルディ! 貴様を蹴落とし、エミルとテネブラエを抹殺する。こうすれば、誰も私を二軍に落とそうなどと思えまい! そして邪魔者の居なくなった世界で、この私が、永久に一軍の椅子を占領するのだ! 誰もが使用したキャラとして私の名前が記録される日も近い!」
「ホントどうして一軍の椅子なんかに皆そんなに執着できるの!?」
私の方を睨みつけ、物騒な野望を告白するリーガルさん。
そのためだけにアスカードの町を吹き飛ばすなんて正気の沙汰とは思えないよ!
「大丈夫だ。わたしは しょうきに もどっている!」
「そんな信用できない正気はさっさと解消されちゃってください! フォトン!」
もう遅いけど、こんなの放っておいたら間違いなく世界中滅茶苦茶になっちゃう。
反射されるかもしれないけど、とりあえず攻撃だけは……!
最悪リモコンだけでも――――
「ふっ、無駄だ!」
「っ! やっぱり駄目……!」
けど、やっぱり私じゃリーガルさんのバリアはどうにもできない。
当たったフォトンがそのまま反射されて私の方に放たれる。
そのおかげで私はリーガルさんにまともな反撃が出来ない。
「さあ、覚悟してもらおうマルタ・ルアルディ! ジェノサイド砲で地球から完全に消えるか、巨大蜘蛛の糸に巻かれて死んでいくか、私のロケットランチャーで黒焦げの首と片腕が消失した死体へと変わるか、気に言った処刑方法をどれか一つ選ばせてやろう!」
リーガルさんの言葉は、ある意味では本当に死刑宣告だった。
リーガル「不可能など存在しないのだ!」
マルタ「限度って物がありますよね!?」
会長はフォーリナーと手を組んだようです。