ラタが駆け抜ける物語   作:ルスト

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カオスギャグ、一度躓いたら一気に書けなくなるんですよね……。
本当にお待たせしました。


会長捕縛

 アリスの作戦通り、リーガルさんとヴァンガードは巨大な氷の下敷きになってピクリとも動かない。

 氷柱の雨と氷の塊で追撃したのにまだ平然と動けてたらそれこそ怖いけど。

 

「ぐ……おの、れ……!」

「って、まだ動けるんですかリーガルさん!?」

 

 ロケットランチャーを支えに立ち上がるリーガルさん。

 全身に氷柱が突き刺さっており、頭には巨大なたんこぶまで出来ている。

 ……もう諦めて降参した方が良いと思うんですけど……。

 

 

 

「だ が 断 る !」

「はあ……やっぱり……」

 

 というか、こんな簡単な方法で屈服させられたらそもそも苦労しないよね……。

 次はどうしよう?

 

「お、おのれマルタ・ルアルディ! 私の野望を、よくもっ……!」

「くそっ、貴様さえ、貴様さえ居なければ! 俺は、俺達は、アリスを……っ!」

 

 血を吐いて倒れるホークとヴァンガードには気の毒だけど、仮に私がやらなくてもアリスの持ってきたアルブム・アートルムがやったと思う。

 ……それにしても、これ、どうしようか?

 

「決まってるじゃない。二度とアリスちゃんに逆らえないように魂まで教育して……」

「そうは……させぬ!」

 

 再び銃を構えるリーガルさん。

 ……どうやったら屈服させられるかな?

 せめて前衛が居たら……。

 

「奴らが居ない以上、恐れる物など無いわ! 今度こそ貴様らを抹殺」

「決め台詞の最中に空気が読めなくて悪いが、上空から邪魔するぜ!」

 

 リーガルさんが台詞を言い切る寸前、上空からエミルが降って来てそのままリーガルさんに急降下。

 文字通り頭を踏みつぶした……って、ちょっと!?

 殺しちゃったら色々不味いよ!?

 

「ゴハッ……!」

「よくもやってくれたなあ、リーガルさんよお。俺の存在を空気にしてくれるとは……」

「グッ……なぜ、何故貴様が生きて……」

 

 驚愕したような顔をエミルに向けるリーガルさん。

 ……自分でそんな感じの事を言っちゃったからじゃないかな?

 死亡確認とか。

 

「たかが二軍のベンチ要員でありながら、主人公であり勇者であるこの俺に反逆を仕掛けたその罪、裁かないわけにはいかないな……」

「貴様……!」

 

 傷だらけのリーガルさんを持ち上げて邪悪な笑みを浮かべるエミル。

 ……どこをどう見ても勇者には見えない。

 不良によるオヤジ狩りなら分かる気がする。

 

「勇者の名において、お前に裁きを与えてやろう。二軍ごときが主人公のこの俺に裁きを直接与えられる幸運、思い知るがいい」

「というか、エミル途中から吹き飛んじゃって何もしてないような……」

 

 最終的にリーガルさんを倒したのって実質的にアリスだし……。

 そのアリスは……。

 

「さて、お仕置きの時間よ。せいぜいマーテル様に祈るのね。楽に死ねますようにってね!」

 

 エミルみたいなことを言ってヴァンガードを氷漬けにしてる……。

 ヴァンガードの氷像が幾つも並んでいる光景は不気味と言うしかない。

 自業自得なのが何とも言えないけど……。

 

「全く、主人公相手に破壊兵器を何のためらいも無く使いやがって! この屑野郎は!」

「同感です! この大馬鹿者は、今すぐ全財産を没収して簀巻きにしてフラノールの海に投げ込んでやりましょう!」

 

 乱雑にリーガルさんを投げ捨て、そう吐き捨てるエミルに同調するテネブラエ。

 さすがに、フラノールの海は止めておこうよ……。

 

「無事に会長を捕まえる事が出来たみたいだにゃ! お疲れ様なのにゃ!」

「というか、これがクエストってどうなの……」

 

 上から聞こえてきたおしごとにんの声を聞き、自分が今受けていたのがクエストだったと思い出す。

 ……こんなクエスト、二度と受けたくないよ……。

 

「グ……しかしまだだ! 今度こそジェノサイド砲を……」

「こんな物騒な物使わないでください!」

 

 リーガルさんの手がリモコンに伸びたので、すぐさまリモコンを取り上げる。

 ……こんな物騒な物どこから持ってきたんだろう……。

 

「さ、会長。二軍の椅子に座りましょう」

「大人しくイズールドの牢屋に入っていてください。これで十五回目の脱獄ですよ?」

「十五回も脱獄したの!? ホントに何やってるんですかリーガルさん!?」

「会長確保! 総員、警戒しながら撤収!」

 

 リモコンを取り上げた直後、上からテセアラの王立軍が次々に入って来てリーガルさんを連行していった。

 リーガルさんは「何をする! 離せ! 私はまだ諦めていない! 戦いは終わっていないのだ! 私は、必ず、戻ってくるぞぉぉぉぉぉぉ!!!」と叫びながらどこかに連れて行かれてしまったけど……。

 

「ああ全く、よくも俺を空気にしてくれたな! あの二軍め!」

「我々を空気にするとは言語道断ですよ、全く!」

 

 本当の空気ってむしろ私のような気がするんだけど、気のせいなのかな……?

 好き放題やってるエミルとテネブラエに存在感が無いって言う方がおかしいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って事で、お疲れ様にゃ。報酬が届いてるにゃ」

「今度は……何これ?」

 

 おしごとにんから渡されたのは火炎放射器だった。

 丁度リーガルさんがヴァンガードに渡して使っていた物と似てるけど……。

 

「汚物は消毒にゃ!」

「モヒカンになれって言うつもり!? 要らないよこんなの!」

 

 そんな物渡されてもそもそも誰も使えないと思うし!

 

「よし、マルタ。今度からお前前線な。火炎放射器片手に目の前の敵全部燃やせ」

「何で私!?」

 

 嫌だよモヒカンなんて!

 というか、ヒロインにやらせる事じゃないよそれ!

 

「何言ってるんですかマルタさま? 最近のヒロインはスカイバイクに乗って上空から火炎放射器の炎をまき散らす物だと決まっていますよ?」

「そんなヒロイン嫌だよ!」

 

 物騒すぎるし、見た目的にも大問題だよそんなの!

 

「気にするな。半裸に覆面マント、ビキニパンツ姿で斧を振り回すヒロインよりはずっとましだ」

「それもうヒロインでもなんでも無いただの不審者だよね!?」

 

 というか、そんな姿のヒロイン嫌だよ!

 ヒロインじゃなくても嫌だけど!

 

「全く、文句ばっかりですねえ。少しは受け入れるという事を覚えてください」

「明らかにおかしなことを受け入れろって方が無理だよ!」

 

 火炎放射器とかこの世界に無いのに!

 ……まあ、滅茶苦茶に改造されちゃったから仕方ないのかもしれないけど。

 

「次はどの依頼を受けるにゃ?」

「次は――――」

「却下! せめてコレット連れてこようよ!」

 

 というか、私達だけじゃ無理だよ!

 せめてもう一人、いや、出来たらもっとたくさんほしいけど……。

 

「人柱ですね、分かります」

「何でそうなるの!?」

 

 別に私、コレットを生贄にしようとか考えてないよ!?

 後方でライフボトル投げてもらうだけでも十分活躍できるだろうから仲間にしようと思っただけで……!

 

「一人増えようが減ろうが問題ないだろ」

「大問題だよ!」

 

 私一人でササキとデスマッチさせられたんだよ!?

 あんな恐ろしい体験もうたくさんだよ!

 

「弱音を吐くな! もっと熱くなれよ! マルタ! お前それでもヒロインか!?」

「ヒロインとかそういう問題じゃないってば!」

 

 そもそも推奨レベルが狂ってる依頼に突撃する方がおかしいよ!

 どうやったらこんな滅茶苦茶なレベルに届くの!?

 

「ネザートレイターにレベルの上限を外すように祈るか?」

「いえ、ラタトスク様。このガラクタ剣では何の効果も無いでしょう。やはりここは神剣エコートレイサーに祈った方が良いと思いますよ? 量産できるとはいえ、世界最強の剣ですから」

「どう考えても立場逆だよその二つ! 合成で作った剣の方を神剣って言ってるのにネザートレイターがガラクタっておかしいよ!」

 

 普通量産品のエコートレイサーの方がガラクタになるよね!?

 ネザートレイターは、世界に一本しかないんだよ!?

 

「マルタ。この世で一番強い剣はエコートレイサーだ。こんなガラクタじゃない」

「たかだか300ダメージ増えたところで役に立つわけがありません。そんなガラクタでは実戦に用いることは出来ないでしょう」

「お前の感覚はずれているんだ。分かったな、マルタ?」

「世界に一本しかない最強武器がガラクタ呼ばわりされてる時点で二人の感覚を疑うよ!」

 

 というか、テネブラエが呼んだ魔物が地面に変な模様描きはじめてるけど……まさか本当にエコートレイサーに祈るの!?

 ただの量産品だよそれ!?

 材料あったらいくらでも作れるよ!?

 

「エコートレイサーは神剣だ。きっと祈りも聞き届けてくれるさ」

「ええ、最強の剣ですし。この世界最強の神剣ですから、全ての願いを叶えてくれるはずですよ」

 

 それだけ言うとエミルとテネブラエは変な模様を描いた地面の中心にエコートレイサーを突き刺し、本当に祈りをささげはじめた。

 ……いやいや、ちょっと待って!

 

「どこまでエコートレイサーの扱い飛躍してるの!? エコートレイサーはルミエルやカルディアじゃないんだよ!?」

 

 というか、エコートレイサーに祈るだけで全ての願いが叶っちゃうなら、エコートレイサー一本あったらこの世界征服できるよね!?

 そんな物騒な代物が量産されてる時点でこの世界怖すぎるよ!

 

「問題ありません。力を引き出す儀式が出来るのは我々だけです」

「というか、妙な儀式は止めようよ! 傍から見てると地面に突き刺したエコートレイサーに祈りをささげる痛い人にしか見えないよ!?」

 

 ロイドの像に祈りをささげるルインの人の方がまだマシに見えてくるよ!

 量産品のエコートレイサーに祈りをささげるなんて馬鹿な真似今すぐ止めて!

 通行人の視線が痛すぎるよ!

 

「馬鹿な奴らだ。この儀式を妙な目で見るとはな」

「全くです。我々にしか分からないんでしょうかねえ? エコートレイサーから伝わるこの力の波動は」

「そんな物何処にもないから! というか何でそんな馬鹿にしたような目を周囲に向けられるのか逆に知りたいよ!」

 

 祈りをささげ続けるエミルとテネブラエが遠目にこちらを見ている人を憐れむような言葉を呟く。

 どう考えても馬鹿なことやってるのは二人なのに……。

 

「……常識は何処に行っちゃったの……?」

 

 エミルとテネブラエが何も起きない儀式を終えるまでどこかに行くわけにもいかないし……。

 頭が痛いを通り越して、頭が痛すぎるよ……。

 今ならロイドに手を焼くリフィルさんの気持ちが分かるかも……。




ネザートレイターは不憫。
仕方ないね。
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