ラタが駆け抜ける物語   作:ルスト

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オープニング部分。
もちろん、シリアスさんは……。


始まりは省略の

「さて、改めて周回することになったわけだが……」

「そうですね。思いっきりぶち壊していくのでしょう?」

「当たり前だ。やりたいようにやらせてもらう」

 

 はるか昔「以下省略!」

 

 始まった長くて面倒なオープニングにさっそくラタトスク様が以下省略の一撃を放ちます。

 まあ、めんどくさいだけですからね。

 ちなみに、モノローグは私テネブラエが務めさせていただきます。

 

 ある時、再生の神子が「だから以下省略! そんな長々としたものは要らねえんだよ!」

 

 長いだけでストレスが溜まりますよね。

 以下省略してしまいましょう。

 この長い話を読んでいた方がすごい剣幕で睨んでいますけど、ラタトスク様は完全スルーです。

 え? 出番を取るな? それは無理という物ですよ。長くて怠いですしね。

 

「貴様! 私の数少ない台詞を奪うつもりか!」

 

 パルマコスタに立ち並ぶ建物の陰からこんな叫びと共にクラトスさんが飛び出してきました。

 宇宙に行ったはずなのに、なんでこんなところに居るんでしょうね。

 

「黙れ! ロイド居るところに、常に私は存在する!」

「宇宙行けよ」

 

 ラタトスク様も呆れ顔です。

 というか、ロイド居るところに常に私は存在するって、クラトスさんはロイドのストーカーか何かでしょうか。

 

「黙れ! 私はストーカーではない! 父親が息子の心配をしていて何が悪い! うっかりロイドがやられてしまったときに飛び出して、ロイドを倒した不届き者にジャッジメントをぶち込んでロイドにライフボトルとエリクシールを与えたりしているが、それの何が悪いというのだ!」

 

 完全に親バカです。

 シンフォニア時代に息子相手には本気を出さなかっただけのことはあります。

 

「で、なんでこんなところに居るんだ?」

 

 ラタトスク様がこの親バカに尋ねました。もっともな疑問です。

 

「フ……知れた事! ロイドがヴァンガードを斬り倒す活躍を、この目で見にきたに決まっているだろう! もちろん、ディザイアンが使っていた記録装置もイセリアの牧場から回収、修理して持参している。ロイドの活躍をこの目だけでなく、記録装置にも焼き付けておくのだ!」

 

 駄目ですねこの人。早く何とかしなければ。

 

「む……この気配、ロイドが来る! 貴様の相手などしていられん!」

「お前が勝手に話しかけてきたんだろ……」

 

 そう言ってクラトスさんは通りに飛び出して走り去っていきました。その手にはしっかり記録装置が握られています。

 ここで今行われているのが運動会か何かだと勘違いしているのでしょうか。

 突然クラトスさんに眼前を横切られたマルタさまが「え!? なんでこの人居るの!? 出てきたら駄目だよね!?」とか叫んでいますが、気にしたら負けですね。

 

「さて、行くか。マルタを助けるのが俺の最初の仕事だ」

「ですね。ロイドの活躍を期待しているあの親バカには残念ですが、今回は運がなかったのです」

 

 そんな会話を交わしつつも、ラタトスク様は装備の確認をしています。

 エコートレイサー、フェンサーバンダナ、ソリチュード、スターブレイカー、そして親バカが使ってくるであろうジャッジメント対策のヴォ―ダンマント二つ。

 装備に問題はありません。なんせ最強装備まで引き継いだんですから。

 まあ、引き継がなくてもフェンサーバンダナくらいはすぐに調達できるんですけどね。

 

「さて、どのタイミングでマルタを助けるかな」

「助けて、助けて、ラタトスク! と言ったときでしょう」

「よし」

 

 準備ができたのか、ラタトスク様がマルタさまを追いかけて行ったヴァンガードの後ろについていきます。

 コアが光ってロイドが助けに来るのではなく、いきなりラタトスク様……いえ、ラタエミルが助けに来るとなったら、マルタさまがどんな反応をするのか楽しみですねえ。

 

「なあ、そういえばあのコア……」

「玩具ですよ。その辺のガーネットに細工しました。腕のいい職人に頼んで、作ってもらったんですよ」

 

 だから、いくら願ってもあのコアは光らないんですよねえ。

 まあ、実はすでにマルタさまの頭にレプリカが埋まっているというオチなんですけど。

 

「一体いつ仕込んだんだ?」

「メタなことを言うと、前の周回で外していないのでそのままです」

 

 そもそもリヒターからして、奈落の底にさようならでしたからねえ……。

 コレットさんが転んで、ラタトスク様が仕掛けたタイダルウェイブ発生装置が動いて……突如開いた落とし穴にリヒターが……。

 

「実は前の周回からすでに崩壊していたような気がしなくもない」

「時折ラタトスク様が死人のような表情でラタトスクの間に妙なトラップを仕掛けていた時点で、既に崩壊していたのでしょう」

 

 まあ、もう限界だったのでしょう。

 疲れ果ててしまったというべきか。

 

「そうなんだろうな……さて、マルタが追い詰められたみたいだな」

 

 ラタトスク様の言葉の通り、マルタさまの方を見てみると、ヴァンガードに町の端までマルタさまが追い詰められています。

 ちなみに建物の陰をよく観察すると先ほど走って行った親バカが記録装置を持ってスタンバイしています。

 どれだけ楽しみにしているんでしょうか。

 

「アホだな……」

「ですが、その計画は残念ながらここで潰えます」

 

 だってラタトスク様自らマルタさまを助けるわけですしね。

 どこかの赤い男には出番など無いのです。

 

「……助けて。助けて、ラタトスク!」

 

 コアを持って助けを願うマルタさま。しかし……。

 

「あ、あれ!? 何で光らないの!? あれ!?」

 

 コアが光らない異常事態にパニックになってしまっています。

 マルタさまの額のレプリカが光っているんですが、光が弱すぎて誰も気づきません。

 

「な、何も起きないな……?」

「な、なんだか知らんがチャンスだ! 今度こそマルタさまを捕まえて」

「え!? 何で光らないの!? ちょっと! 助けてラタトスク!」

 

 パニックに陥ったマルタさまにこれ幸いと襲い掛かるヴァンガードの兵士。

 しかし、黙って見過ごすラタトスク様ではありません。

 

「良いだろう。助けてやる。――魔神剣!」

「ぎゃああ!?」

 

 マルタさまに迫るヴァンガードの一人を地を這う衝撃波で攻撃、昏倒させます。

 いきなり背後から攻撃されたヴァンガードが慌ててこちらを振り返りますがもう遅い!

 

「え!? 何でここにエミルが……えええ!?」

 

 まさかラタエミルに助けられるなどとは思ってもいなかったマルタさまの表情は驚愕そのものですが、気にしないでおきましょう。

 

「空牙衝!」

 

 振り返ったヴァンガード二人の目に飛び込んできたのは、自分に迫る無数の閃光のような衝撃波でした。

 その辺の雑魚では耐えられるわけも無くあえなく昏倒。

 二体まとめて巻き込めたのはラッキーでしたね。

 

「さーて、終わった終わった。さっさと帰――」

「貴様! よくもロイドの活躍シーンを! ジャッジメント!」

「――るわけにもいかないか」

 

 親バカが突如攻撃を仕掛けてきました。

 これから何かある度に襲ってきそうで恐ろしいですね。

 

「そんなこと言ってる場合じゃないよ! 何でここにエミルが」

「逃げるぞ、テネブラエ」

「承知!」

 

 マルタさまを助けた以上ここにはもう用はありません!

 急いで脱出しましょう!

 

「逃がすと思っているのか、貴様! ロイドの活躍を奪ったこと、万死に値するぞ!」

「ね、ねえ! 待ってよ! 出て来たら駄目な人が居る気がするんだけど!? 何でここにクラトスさんが居るの!? ねえ!」

 

 剣を抜いて全力疾走して追いかけてきた親バカ・アウリオンからはとっとと逃げます。

 こんな姿息子に見られたらどうするんでしょうね。

 後ろで置いてきぼりになったマルタさまが何か叫んでいますが、そんなの後回しです。

 

 

「え!? 何でエミルが……って、父さん!?」

「なっ!? ロイド! い、いや、これは……」

「良いところに来た。後は任せる。じゃあな!」

「え……っておい! わけが分からねえよ! というか、何でここにクラトスが居るんだよ!」

 

 ちょうどいいところにロイドが居たので利用しない手はありません。

 後ろの親バカを押し付けて我々はさっさと逃げます。

 

「ま、待て! 貴様ら、逃げられると思うな! ジャッジ……」

「というか、宇宙に行ったんじゃなかったのかよ! デリス・カーラーンに行ったはずなのに何でここにいるんだよ!」

「い、いや、ロイド、これには深い訳が……」

 

 さて、そんな会話は放っておいて逃走あるのみ、ですね。

 パルマコスタが燃えていますが、まあ放っておいても問題ないでしょう。

 ご都合主義で勝手に火は消えます。

 今は親バカ・アウリオンから逃げるのが優先です。

 

 

 

「わ、わけが分からないよ……。何でここにコアがあるのにエミルが居るの? というか、どうして願ったのにコアが光らないの……ん? コアの紋章の所に小さい文字で何か書いてある……」

 

 置き去りにされたマルタさまが遠くで何か言っています。

 今頃になってコアに書いてある文字に気づいたみたいですね。

 

「……1/1スケールラタトスクコアレプリカ。本物と同様の輝きを持ち、一見しただけでは誰も偽物とは気づきません。しかし祈っても光りませんし、魔導砲に放り込んでも使い物になりません……正真正銘の偽物じゃない!? というか、残念、玩具のコアでしたー! って何これ! 酷いよ!」

 

 

 まさか玩具を持って逃げていたとは夢にも思わなかったでしょうね。

 

「ば、馬鹿な……玩具だと……」

「あの輝きは間違いなく本物だった……と言うの、に……」

「今度も……失敗、報告、か……」

 

 玩具を本物と勘違いして大の大人が追いかけっこをする光景は中々に楽しかったですよ。

 命があるだけ感謝していただかなくては。

 

「テネブラエの馬鹿~! これが本物だって言ってたじゃない! 玩具を渡すなんてドッキリだとしてもあんまりだよ!」

 

 だってラタトスク様が助けるって分かっていますしねえ。それに……。

 

「たまには玩具にすり替えても良いだろうと思ってやった。後悔はしていない。と敢えて言わせていただきます」

 

 せっかく面白い玩具があるんですから。

 楽しまなければ損ですからね♪

 

「そうだ。楽しまなければやっていられない。と言うわけで、ルインに向かうぞ」

「ええ。丁度空き家が一件ありましたので買い取っておきました」

「人を化け物呼ばわりする豚が居る家に入るのは苦痛だしな。良くやった」

 

 さて、ひとまずルインで次の話のための準備をしますかね。

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