ラタが駆け抜ける物語   作:ルスト

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ハイマその2

Side テネブラエ

 

 やれやれ。まさかロイドさんがホモだったとは思いませんでした。

 次に出会うまでにその道の達人のいい男を探してぶつけなければ、ラタトスク様が酷い目に遭うかもしれませんねえ。

 

「……山頂に来たわけだが、何で誰も居ないんだ?」

「ホントだよね……魔物は?」

 

 ラタトスク様とマルタさまが山頂に何も居ないことを不思議がっていますね。

 ……スキロポリオンはどこでしょうか?

 

「ねえワンちゃん、様子が変だよ?」

「ワンちゃんでは……はて? 様子が変、とは?」

 

 スキロポリオンが居ない事とどう関係が?

 

「……本当に何もありませんねえ」

 

 私もハイマの山頂を調べますが、何もありません。

 ……どうしてでしょうか?

 

「まさかエミル、シナリオと一緒にその他の物まで変に弄ってスキロポリオンを存在ごと抹消したんじゃないよね……?」

「そんなわけあるか! 少なくともそんなことやってたら覚えてるはずだ!」

 

 マルタさまの言うようなミスは起こりえない、と断言できますよ。

 見てましたし。

 そうだとすると、何が原因なんでしょうね?

 

「アハハハハハハハハハハハ……」

「何だ……?」

「笑い声?」

 

 突然聞こえてくる笑い声に困惑する我々。

 この声は一体どこから聞こえてくるんでしょうか?

 

「……おい、見ろ。崖の下……」

「え? ……あっ……」

「……アレはどちら様でしょうか?」

 

 ラタトスク様の指さす先、つまりハイマの崖の下を見ると、そこには――――

 

「アハハハハハハハハ!! そうだ、力だ! 僕に足りないモノは力だったんだ!!! 力さえあったら、僕は! 僕はプレセアにアハハハハハハハハ!!!!」

 

 全身に返り血を浴びながら破壊の鉄球と言っても良いようなけん玉を振り回し、スキロポリオンを撲殺する元天才の姿がありました。

 目を真っ赤に光らせ、時折暴星モンスターのような鳴き声を上げてバリアを張りながらスキロポリオンを鉄球で撲殺する姿はもはや魔術師には見えません。

 

「えーと……一体どうしてああなっちゃったの!? なんかすごく他人のふりをしたい気分だよ!」

「マルタ。俺も今回ばかりはお前と同意見だ」

「ジーニアス……ロイドのせいで苦しんでるんだね……」

 

 全く、酷い話です。

 ロイドとか言うホモのせいでこんなことに……。

 

「ロイドの奴は男に興奮するとか言い出してたな……」

「この状態になるまでジーニアスを追い込んだことの方がある意味凄いよ……」

 

 眼下ではジーニアスがスキロポリオンを一方的に撲殺しています。

 どうしてこうなってしまったんでしょうね。

 

「そんなに男に興奮するんだったら、あのジーニアスの前に差し出してやろうか……?」

「ロイド、喜ぶかな? 大好きな男だけど」

「アハハハハハハハハハ、アハハハハハハハハハ!!! 僕は! 僕が! ロイドより上なんだアハハハハ!!」

 

 もはや正気ではありませんね……。

 なりきりプレセアがあったら魔物になりきらせて差し出しても良いです……。

 アレは……見ていられません……。

 

「ロイドを許してはいけないな。あんな狂人を作り上げた罪は重いぞ」

「……ああ、うん。さすがにこれは……」

「ジーニアス……」

「アハハハ……さあ、無に帰れ! アイン・ソフ……じゃなかった……。……インディグネイション!」

 

 顔は笑っているかもしれないですけど、どう見ても壊れていますね……。

 

「……ねえ、エミル。私、あのジーニアスと一緒に旅したくない……」

「ああ……。シナリオ様もさすがに許してくれる、はずだな……」

 

 もうどうしようもないですね……。

 それもこれもロイドのせいですよ。

 

「許せない相手だという事だけは分かっただろ、マルタ? 奴を放っておいたら、ジーニアスのような奴が量産されることになるんだ」

「ちょっと待ってよ! あんな狂人が溢れかえったら本当に世界が滅ぶよ!?」

 

 世界中であのような不気味な高笑いがこだまするんですね、分かります。

 

「そんな物騒な世界嫌だよ! 町の人皆あのジーニアスみたいになっちゃってるって事でしょ!?」

「宿の店主が「アハハ! アハハハハハ!!!」とか笑いながら狂った目で出迎えてくれるのか……」

「……どうやって救えばいいのかな?」

 

 放っておくしかないでしょうねえ。

 関わりたくなくても勝手に加入することになるんでしょうけど。

 

「なんか……ヒロイン続けられる気がしなくなってきたよ……」

「第二のマルタ呼ぶか? 色々な意味で壊れてるから問題ないだろ」

「色々な意味で壊れてるってどういう事なの……?」

 

 第二のマルタさま……ああ、アレですね。

 確か……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エ・ミ・ルゥ~♡」

 

 今そこに居るマルタさまでは絶対に出せないような恋愛脳全開の甘えた声と共に金属製のドアをぶち破って突撃してきた第二のマルタさま。

 彼女はエミル(緑目)を見つけるや否や飛びつき、ベッドに押し倒そうとしましたね。

 更にちゃんとした服があるにもかかわらずどこでも水着か下着同然の姿でうろついてましたし、口を開けば自主規制物の言葉がマシンガンのように飛び出していました。

 その姿はまるで発情した動物のようでし「ちょっと待ってええええぇぇぇぇ!!!」

 

 おや、回想中に何ですか、全く……。

 

「何その酷い回想シーン!? ホントにそんなことやらかしてたの第二の私!?」

「ああ、知らないのか? 第二のマルタはな、宿に泊まる度にエミルのベッドに潜り込もうと考えたり全裸で天井に張り付いてエミルが部屋に入るのを待ってから襲いかかったり、またある時はエミルが寝静まるまでベッドの下で下着姿で潜んでたり」

「どう考えてもそれヒロインじゃなくてただの変態じゃない!」

 

 何言ってるんですか。

 恋愛のタグにふさわしいヒロインでしたよええ。

 やりすぎて年齢制限が上がりすぎましたが。

 

「危なすぎてそんな奴に任せられないよ!」

「任せていいんだぞ? エミルはそれでも守り通したからな」

 

 まあ、ラタトスク様の場合は割と適当ですし、もしかしたらそっち側に走ってしまうかもしれませんがね。

 

「……余計に目を離せなくなったよ」

「そうですか? まあ別にどちらでも構いませんが」

 

 第二のマルタさまだと色々と危ないですが、少なくともこの世界を見ても驚くことは無いでしょうね。

 あのマルタさま自体が既に問題の塊ですし。

 

「そんな物連れてこないでね……?」

「俺は呼ぶつもりはないがな。ただでさえ姑に纏わりつかれてるのにアレを対処するとなったら……」

「我々の苦労がかなり増えてしまいますからねえ」

 

 まあ、その辺はこの姑の方がマシですけどね。

 煩いだけで連日夜襲や奇襲を仕掛けてくるわけではありませんし。

 突然ベッドの下から現れたり天井から降って来たりといった行動を起こさないので夜も安心して眠れます。

 

「皆が非常識なだけだってば……。いつもの事だけどさ」

 

 ……と、脱線してしまいましたね。

 スキロポリオンと狂人はどうなりました?

 

「……居ないな。どこかに行ったのか?」

「マルタが喋ってる間に戦い終わっちゃったのかな?」

「全く、これだからマルタは……」

「今のは明らかに私のせいじゃないでしょ!?」

 

 いつもの事ですね。

 これが我々の日常です。

 

「なんでこんなのが日常なの……?」

「お前がいちいち細かいことに口出しするからだ」

「当たり前のことを言ってるだけのような気がするんだけど!?」

「だからその当たり前はお前の中だけの常識だとあれほど……」

 

 騒いでいるマルタさまは放っておいて、飛竜を探しましょうか。

 ほら、スキロポリオンは居なくなったんですし、早く来てくださ

 

「!! 皆伏せて!」

「へ?」

 

 突然コレットさんの叫び声が聞こえ、我々はすぐに身をかがめます。

 その直後――――上空から突然弾幕が降ってきました。

 我々は仮にも主人公だというのに、一体誰がこんなことを……。

 

「ちっ、仕留めそこなったか! やはりレザレノの兵器などあてにはならん! まあいい! 私が直接ロイドの仇を取ってくれよう!」

 

 聞き覚えのある声と共に、我々の前に一人の男が降ってきました。

 背中には天使の羽、手にはフランベルジュ。

 例の親バカです。

 

「まだ居たのクラトスさん!?」

「貴様等……生かして帰さん!」

 

 親バカは我々を見るや否や剣を抜いて突っ込んできます。

 マルタさまが呑気に驚いていますが、そんなことしてたら殺されてしまいますね。

 

「親バカは帰れ!」

「ロイドを苦しめた貴様等に死を与える!」

 

 一方、ラタトスク様はちゃんと反応できたようです。

 ところでコレットさんは……そんなところで地面に埋まって何をやってるんですか?

 スコップで防陣を作るのは貴方の仕事じゃないですよ?

 

「ねえワンちゃん。これ……何だと思う?」

「……これは……」

 

 コレットさんが見せてきたのは見るからに怪しい何かのスイッチ。

 どうしてこんな所に埋まっているのかは知りませんが……。

 

「押してしまって良いでしょう」

「だね♪」

 

 こんなところに埋まっているスイッチなんて、押してくださいと言っているような物でしょう。

 それを押さないなんてとんでもない。

 そしてコレットさんがスイッチを押した――――次の瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 突然ハイマの中腹が吹き飛び、ハイマの山全体が崩れ始めました。

 どうやらハイマを爆破するためのスイッチだったようですね。

 魔物の町ハイマは土砂の中に消えました。

 

「キャアアアアア!!! ちょ、ちょっと! 何やってるのコレット!? ハイマが崩れ……」

「レアバード! レアバードは……無い! くそっ! あの二軍!」

「おのれ貴様等! ロイドの次は町を破壊するとは!」

 

 何我々の責任にしているんですかこの親バカは!

 こんな物山の中に埋めたレザレノが全て悪いんですよ!

 

「貴様等あああああぁぁぁぁぁ……!!!」

 

 崩壊に巻き込まれた親バカは崖の下へと消えていきましたね。

 さて、飛行魔物にラタトスク様とマルタさまを救出させて、我々も急いで逃げましょう。




スランプって怖いね。ネタも何も出てこない。
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