ラタが駆け抜ける物語   作:ルスト

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湖底の洞窟の中

 マルタさまを引きずり、強引にラタトスク様が湖底の洞窟へと侵入します。

 その寸前で槍を構えた煩い連中が出てきたような気がしましたが、全員ラタトスク様に首をコキャられて倒されました。

 マルタさまは慌てて雑魚の治療を始めたので放置です。

 

「やれやれ、ようやく洞窟の中だな」

「さっさと回収しましょうか」

 

 そんな事を喋りながら洞窟の奥へと進もうとしたとき、何者かが洞窟の入り口からここまで全力で駆け込んできました。

 振り返ると、そこには説教魔人の姿が。

 

「誰が説教魔人だ! ……それはそうと、勝手な事ばかりやりやがって! またモブの首をへし折っただろ!」

「リヒターか。呼んでないから帰っていいぞ」

「炎纏って出直してきてください」

「人の話を聞け!」

 

 誰もラスボスの話なんて聞かないです。

 

「堂々とネタバレするな! ……って、そんなことはどうでもいい! とにかく、話が滅茶苦茶になるから一度戻……ぬおおおおおおおおおおおおおお!?」

 

 煩く説教してくるリヒターの足元に突如大穴が出現し、リヒターを吸い込んでしまいました。

 ……そういえばこの洞窟、余りに温い難易度だったので改造されたんでしたっけ?

 

「俺らが祭壇に仕掛けたトラップ以外に何かあるのか? そんな話は聞いてないが……」

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 

 ラタトスク様がそう聞き返してきた直後、洞窟の奥からカーンカーンと言う規則的な音が響き渡り、同時に誰かの悲鳴が聞こえてきます。

 多分ロイドですね。

 

「セレスティア産宝箱に誰か引っかかったみたいだな。俺は優しいから、宝箱にパナシーアボトルも使ってやったぞ」

「狙い通りの成果が出ましたね。行ってみましょうか」

 

 罠の置いてある場所に向かいます。

 するとそこには……。

 

 

 

 

 

「カタカタカタカタ!(ディストーション!)」

「ぐわっ! く、くそ、次こそh」

「カタカタカタカタ!(ディストーション!)」

「ぎゃあああ!? ちょ、誰かこれ、止め、止めてくれ! 永久お手玉から逃げられ……逃げられねえよ!」

 

 箱に怪しげな攻撃を使われ、空中で異空間に吸い込まれながら延々とお手玉をされているロイドの姿が。

 このまま放っておいたらロイドは倒され、第一部は無事に終わりですね。

 

「いやー、苦しい戦いだったなー。けど、これでもうパルマコスタのみんなの仇はとったも同然だな」

「そもそも誰も知り合いじゃないんですけどね」

 

 そして、復讐を終えた人のような表情をしながらそんな事を言い、料理を始めるラタトスク様。

 もちろん、セレスティア産宝箱にロイドがお手玉されている光景を見ながらです。 

 

 

「ハア……ハア……やっと、追い付いた! って、何この光景!? 回復記憶陣の上に乗った妙な宝箱にロイドが永久コンボされてるんだけど!?」

「良いところに来たな。せっかくだからロイドのお手玉を見ながらマーボーカレーでも食っていくか?」

「そしてエミルは、どうして平然とそんな光景見ながら料理してられるの!?」

 

 至って普通の光景ですよね?

 (操ってるから)時々洞窟内の魔物が宝箱にオレンジグミをあげてますし、むしろ微笑ましい光景ですよ?

 

「だよな? むしろ、これから観光名所になっても良いくらいの光景だぞ?」

「こんな観光名所嫌だよ!」

 

 世界再生の英雄、セレスティア産宝箱の手で永久お手玉中、なんて触れこみで看板立てれば沢山人がやってきそうですけどね。

 

「来ないよ!? というか、そんなところに好き好んでやってくる人って絶対相当歪んでるよね!?」

「おいおい。俺やテネブラエは至って普通の善良な市民だぞ?」

「どこが!? 人外とかセンチュリオンとかそう言う事以前に、この光景を見ながら平然と料理ができるエミルと、時々魔物を動かしてあろうことか宝箱の方にオレンジグミ投げてるテネブラエのどこが普通なのか教えて!?」

 

 だって宝箱さんもいつか燃料切れ起こしそうですしねえ。

 あ、メンタルシンボル(10秒ごとTP3%回復)差し上げますんで使ってください。

 

「あろうことかTP自動回復アクセサリー!? もうやめて! とっくにロイドのHPは0だよ! もう勝負はついてるんだよ!?」

「大丈夫だ。仕様のおかげで空に居たら死体殴りのターゲットだからな」

「誰もそう言う話してないよ!」

 

 そんな会話をしながらマーボーカレーを食べ続けるラタトスク様。

 いやあ、自由に料理が食べられる世界って良いですよね。

 

「だろ? こいつは食べる気無さそうだが。こんなに美味いんだがな」

「こんな光景見ながら平然とマーボーカレー食べられる方がおかしいよ!」

 

 私やラタトスク様の精神は半年間の修業でミスリルの硬度を越えていますからね。

 こんな小さなこと気にしませんよ。

 

「全然小さくないよね!? ……というか、止めないと」

「………………きぃぃぃぃさあああああああまああああああああああ! よくも私のロイドをををを!!!!」

「って思ったけど、また変な人が!?」

 

 突風のごとき勢いで駆け込んできたのはもちろん親バカ・アウリオン。

 阿修羅のごとき表情を浮かべ、その手には何故かエターナルソードが握られています。

 

「ああ~、来てしまったか。興ざめだな」

「ですね。お手玉ショーは終わりのようですし、行きましょうか」

「そんなこと言ってる場合なの!?」

「カタカタカタカタ!」

「よくもロイドを!貴様だけは生かして帰さん! ジャッジメント!」

 

 そして、引き上げて先に進もうとする我々の前で、親バカと宝箱さんの戦闘が始まりました。

 ……親バカの強さは馬鹿になりませんし、宝箱さんにホーリーシンボルもあげましょう!

 

「ますます強化しちゃった!? しかもよく見たらこの宝箱毒が消えてる!? これじゃよっぽどのことが無いと倒せないよ!」

「貴様は生かして帰さん! ロイドの痛み、倍返しにしてくれる!」

「カタカタ! カタカタカタ!!!(警報、警報! 敵発見、全員集合!)」

 

 そして、宝箱さんが箱の蓋を鳴らすと、奥の方から宝箱さんの仲間が9個出現しました。

 

「一匹でも滅茶苦茶なのに!?」

「仲間を呼んだか! ならばこちらも増援を呼ぶまでだ!」

 

 まあ、彼らの事は放っておいて進みましょうか。

 

「ああ、時間の無駄だ」

「生きてるのか死んでるのか分からないロイドも後方の激戦も全部放置して行っちゃったよこの人達!」

 

 そんなこと言われても知りませんよ。

 親バカがルインのロイド教信者と共に宝箱さんと戦ってる場面なんて興味ないですし。

 大体、ホーリーシンボルつけた宝箱さんがあんなモブの集まりに負けるわけないでしょう?

 

「だな。安心して行ける」

「この人たち最低だよ! ……というか、このままじゃロイド確実に死んじゃうよね!?」

 

 そして後方のロイドの方に走り出したマルタさま。

 

「また余計な事をするのか、この丸太は」

「まあ、言っても無駄でしょうね」

 

 言って止まるなら扱いやすいんですけど。

 

「当たり前だよ! ていうか、誰が丸太って!? 気にしてるのに!」

「さーて、先に進むぞ」

 

 いやー、邪魔が入りましたけどなかなか楽しかったですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おい、ヴォーテックスは?」

「隅でガタガタ震えてますね」

 

 楽しい見世物を見た後はやっぱり戦闘。

 という事で奥に進んだのですが、アクアが居ませんね。

 代わりにヴォーテックスが壁の傍でガタガタ震えています。

 

「何やってんだ、こいつ?」

「……」

 

 ラタトスク様に気づいたヴォーテックスがつぶらな瞳で訴えてきたようですね。

 ……ふむふむ。

 

(毎回ここで撲殺されるのはもういやです。痛いのや苦しいのはもういやです。救われたいです。手紙出そうにも水で濡れて出せないですし逃げようにもアクアには首に鎖巻きつけられて連れてこられますし、戦いから逃げようにも魔王からは逃げられないと出て逃げられないですしサンドバッグならぬアクアバッグ(笑)とか言われて同僚にも虐められますしもうこんな生活は……)

「……苦労してるんですねえ……」

 

 完全に撲殺の対象ですしね。

 しかも逃げられないボス扱い、かつ勝たないといけない仕様がある。

 ……というかラタトスク様無敵状態で負けようがないんですよね。

 

「……あー、別にアクア居ないし、帰っていいぞ? よく考えたら毎回一方的に撲殺しているわけだし、さすがに可哀想になってきた」

「良いんですか?」

 

 まあ、今更倒したって経験値にもならないですけど。

 

「まあ、せっかくだし強引に契約すると言うのも……」

(何でもするんで助けてください! もうこんな生活は嫌なんです!)

 

 必死にこちらに対し頭を下げるヴォーテックス。

 ……というか、アクアは本当に何考えてるんでしょうねえ。

 こんな子をサンドバッグにするなんて。あんまりですよ。

 まあ、とりあえず強引に契約して引き入れますか。

 もう大丈夫ですよ。

 

 

 

 

 

「やれやれ、アクアも酷い奴だな」

「全くです。さて、先に進みましょうか」

 

 とにかく、洞窟の一番奥に進んでルーメンを回収しないといけませんね。

 さあ、奥の通路へ……。

 

「テネブラエ、止まれ!」

「!?」

 

 ラタトスク様がそう叫ぶと同時に、洞窟の天井から無数のグーングニルが降って来て我々の進路を塞ぎます。

 下手に進んでいたら串刺しになっていたでしょう。

 

「油断大敵だ。とりあえず横道を進むぞ」

「了解です」

 

 ……それにしても、誰が改造したんでしょうねえ?

 

 

 

 

 

「……くそ! 私のトラップは通用しなかったか! だが、見ているがいい。いずれ必ず、私の出番と活躍の機会を勝ち取ってみせよう! 今回こそ、私は一軍になって活躍するのだ!」

 

 そんな声が聞こえた気がしましたが、何処を見ても誰も居なかったので気のせいでしょう。

 岩の隙間に段ボールらしきものが見えたような気がしますが……。

 

 

 

 

 

「……な、何で槍が通路を塞いでるの!?」

「い、一体この洞窟はどうなってるんだよ~……。死ぬかと、というか、本当に死んだかと思ったぜ……」

「とにかく、急いで奥に行かないと不味くない?」

「そ、そうだ! 行かないと! って、何で敵同士で一緒に歩いてるんだ?」

「……普通ならそうなんだろうけど、そんなこと言える状況じゃないでしょ!? 後ろの光景を見てまだそんなこと言えるの!?」

「……い、言えねえよ! もうお手玉は勘弁だ!」




湖底の洞窟…最初のダンジョン。ここまでカオスなはずありません。
大量のフェイクが配置され、謎の落とし穴やグーングニルを降らせるトラップがある物騒なダンジョンが初期ダンジョンとかただの無理ゲーです。

リヒター…加入して戦闘も出来るラスボス。しかしレベル固定。術技引継ぎを使うと解放される技があるが、どうやっても味方時には秘奥義が無く、ユニゾン・アタックもしてくれない。

セレスティア産宝箱…エターニアのモンスターで、正式名称フェイク。ディストーションなる凶悪な攻撃を使う最強の箱。本小説のようにお手玉される可能性もある超危険生物。
ちなみに物理含め全属性に98%か99%の超耐性を持ち、常時毒になる特性が無ければまず勝てないほどの強さである。
その怪物の毒を消し、更にホーリーシンボルとメンタルシンボルを与えたらどうなるかは想像に難くない。
ただ、ラタでは攻撃9999とか可能なので、防御0のこれは物理で削り殺せそうなのだが。

ディストーション…回避不能の固定ダメージ5000を与える恐怖の攻撃。カーンカーンカーンカーンカーン…
フェイク1匹でもお手玉してくるので、これを10匹にやられたら地獄絵図になるだろう。

ロイド…前作主人公の赤い人。ラタではレベル上限と装備固定の謎仕様のせいで基本的に永久二軍の椅子に座る宿命を持つ。
薬草をつぎ込めば使えるはず。愛があったら使えます。ただし引継ぎ不可能。

クラトス…宇宙に行ったはずの人。このラタでは何故か居る上に親バカが深刻になっている。ロイドのためなら世界の理なぞ捻じ曲げてやってきます。

ヴォーテックス…哀れなサンドバッグ。この戦闘と強制契約戦ではラタ様は無敵(HPが減らない)のため、絶対に負けない。
トーチソング(=ファーストエイド)とグリッドの回復で必死に耐える姿は涙を誘う。

グーングニル…グングニルとも。最強クラスの槍の一つで、オーディーンの槍。

謎の段ボールと中の人…一体どこの永久二軍なんだ…。
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