ラタが駆け抜ける物語   作:ルスト

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初めて?の契約

「お、魔物が居るな」

「チュートリアル用の強制契約モンスターですね」

 

 確か二匹用意していました。

 ウルフはともかく、インプは一周に付き一匹だけなので貴重なモンスターですよ。

 

「……と言いたかったんだが、アレは魔物か?」

「?」

 

 ラタトスク様の不思議そうな声が気になり、私もラタトスク様の視線の先を見てみることに。

 そこには――――

 

 

 

 

 

「な、何とか逃げおおせましたぁ……あの鬼畜大佐、今度見つかったら何されるか……」

「さすがにぼろ儲けにも限度があるって事よね……。ちょっと調子に乗りすぎたわ」

 

 腕にドリルをつけた二つの巨大なぬいぐるみのような何かが、会話をしながら洞窟の壁の中を掘り進んでいく光景でした。

 ……あの声って……。

 

「まさか、カトレット・タトリン商会か?」

「そのようですね。何やってるんでしょうか?」

 

 とりあえず、声でもかけてみます?

 

「……いや、放っておいていいんじゃないか? 見たところ逃亡中だし、商品も取り扱ってないだろう」

「まあ、そうでしょうね」

 

 そもそも、どうして逃げることになったんでしょうか?

 まあ、そこまで興味はないですけど。

 

 

 

「それにしても、肌の質から中身まで完全再現したヒロインロボット達は高く売れたわね! 何に使うのかは知ったことじゃないけど、ガルドさえ入れば文句なしよ!」

「ですよね~! あたしも懐にガルドが入って幸せですぅ! ……その直後に大佐に追いかけられることになりましたけど」

「やっぱり、ヒロインと偽ってコングマンをいくつか売りさばいたのは不味かったかしら? それとも、着せ替え用衣装を全部数万ガルドで売りつけたことが……」

「ガルドさえ入れば詐欺でもお布施でも儲けものなんですけどね~。現実はなかなか……」

 

 

 

 ……との事ですけど。

 そんな会話をしながら人形が壁の入り口を埋めてしまったので、後は追えなくなりました。

 

「どう考えてもただの詐欺だな。そんなことやってたらそりゃ狙われるな」

「自業自得ですよね」

 

 というか、ヒロインロボットって何ですか一体。

 もしかして、恋愛型思考のマルタさまが発注できたりするんでしょうか?

 

「どう考えてもそう言う目的での購入だろ……。それにコングマンなんか出荷したらそりゃ狙われる。どこの男に需要があるんだ」

「そう言う物ですか」

 

 私には分かりませんが。

 

「ま、知らなくていいことだって世の中にはあるな」

「そうですね」

 

 同じ展開を繰り返しているだけだって気づいてしまう事とか。

 

「全くだ。まあいい。先に進むぞ」

「ええ。先を急ぎましょう」

 

 何があるのか分かりませんしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(~~~♪)

「インプがいたな」

「ええ」

「……異常にでかくないか?」

「明らかに巨大ですよね」

 

 カトレット・タトリン商会を見送った我々の前に現れたのはナイフを持った紫色の小さな悪魔。

 間違いなくインプです。

 ……その体格がスキロポリオンよりも更に巨大な事を除けば、ですけど。

 ギガインプとでも名付けましょう。

 

「まさか、これと契約しろと?」

「そうなんじゃないですか? 向かってきましたし」

(~~~♪)

 

 しかし、その割に戦意を感じないような。

 単にじゃれついてくるだけでしょうか?

 とはいえ――――

 

(遊ぶの! 遊ぶの!)

「ぐぼっ!?」

 

 アルブム・アートルムやジャスコニアスすら凌駕するほどの巨体で飛びついてこられれば、エミル姿のラタトスク様などひとたまりもありません。

 壁まで叩きつけられてしまいました。

 

(遊ぶの~! 戦闘ごっこして遊ぶの~!)

「ちょっ……冗談抜きでヤバいぞこいつ!」

 

 ギガインプの方は単に遊びたいだけらしいですが、怪獣のようなその巨体で飛びつかれたり叩かれればただではすみません。

 ラタトスク様は必死に攻撃をかいくぐります。

 単にじゃれついてきてるだけなのが恐ろしい。悪意のない暴力ってやつですね。

 

(む~! 全然当たらないの~! 避けるななの~!)

「こんな攻撃まともに食らったら即死するだろうが!」

 

 ギガインプの方は攻撃を避けまくるラタトスク様になかなか当てられないからか、左腕をぐるぐる回して渾身の一撃を放ってきます。

 ラタトスク様が避けたところに叩き込まれたわけですが、地面が粉砕され、小さなクレーターが出現しました。、

 ……一体何ですかこの魔物は。誰が連れて来たんです?

 

「知るか! いずれにしろ、なんとかしないとこっちの首が飛ぶ! 魔物を!」

「承知しました。出番ですよ、メテオスウォーム連射部隊!」

 

 私の声に応えるように虚空からグリフォンとベルウィルリングが4体ずつ出現し、一斉にメテオスウォームを詠唱します。

 さあ、あの魔物をゴミのように処分するのです!

 

((ヒャッハー! 敵の魔物は消毒だー! メテオスウォーム! メテオスウォーム! メテオスウォーム!))

 

 世紀末な詠唱と共にメテオスウォームを連射するグリフォンとベルウィルリング。

 瞬く間に湖底の洞窟の天井がぶっ壊され、崩落する天井と共に何百発もの爆発する赤い巨石が降ってきました。

 ラタトスク様を粉砕しそうなギガインプもこれで……

 

(数の暴力に負けるかなの~! メテオスウォームなの~!)

「何だと!?」

 

 ……終わりません。

 メテオスウォーム返しとばかりに一瞬で放ってきます。

 湖底の洞窟は互いのメテオスウォームが飛び交い、四方八方から爆発する岩が降り注ぐ危険地帯と化してしまいました。

 そしてその一発が私のメテオスウォーム部隊へ……。

 

((ぎょえーーーーっ!))

 

 光の教団の教祖のような叫び声と共に吹っ飛んだメテオスウォーム部隊は一瞬で全滅。

 何と言う事でしょう。やはりブルーセージをケチるべきではありませんでした。

 圧倒的にHPが足りていません。

 

「メテオ砲台が!?」

(そこなのー! 頭突きなのー!)

 

 援護用のメテオ砲台を一瞬で壊滅させられてラタトスク様の足が止まります。

 その隙を突かれ、ギガインプのヘッドバットが……。

 

 

 

 

 

(ふぎゅっ!? う、動けないの!? れ、連続で当たるととさすがに痛いの! 止めてなの~!)

 

 炸裂しませんでした。

 屍となったメテオ砲台の怨念か、適当に降っていたメテオが集中砲火のようにギガインプを狙い始めます。

 数発連続で叩き込まれ、怯んで吹き飛んだところに更にメテオが降って来て直撃し、お手玉のように持ち上げられていきます。

 

「し、死ぬかと思ったな。だが、これで終わるか?」

 

 上空に持ち上げられてメテオでお手玉されるギガインプの様子を見て、何処となく安堵したようなラタトスク様。

 まあ、こんな化け物と戦わされたわけですしねえ。

 

(もう、動けないの~……)

 

 

 

 そして、降って来たギガインプは謎の宝珠を吐き出し、普通のインプの大きさになって戦闘不能に。

 まさか私のメテオスウォーム部隊がやられるとは。

 

「一瞬でメテオスウォームを使ってくるとは、とんでもない化け物だったな。……当然即契約だ」

「まあ、これならたとえ巨大化が消えても役に立つでしょう」

 

 というか、何ですかこの宝珠。

 得体のしれないアイテムですけど。

 

「とりあえず、持っていろ。決して外に出すな」

「了解しました」

 

 ラタトスク様が契約を行っている間に宝珠を丸飲みして封印してしまいます。

 任意で巨大化できれば強そうですが、なんとなく門外不出にした方がよさそうなんですよねえ。

 

「……さて、小さくなっても使えるか?」

(頑張るの~)

 

 私が宝珠を丸飲みした間に無事に契約できたらしく、元の大きさまで小さくなったインプがラタトスク様の頭に後ろからくっついて張り切っています。

 ……何だったんでしょうね、あの宝珠。

 

(あれ? 段ボールに入った変な人が「これを飲めばお前はもっと強くなる。私の出番の増加のために、一軍どもを墓場に送るのだ!」とか言って、突然くれたの)

「……」

「……」

 

 何でしょう。嫌な予感しかしてきませんが……。

 

「同感だ。さっさとルーメンを回収しよう」

 

 

 

 

 

 そこで会話を切り上げ、洞窟の奥へと進む我々。

 ちなみに、この後戦ったウルフは何故か据え置きだったのであっさりと捕獲できました。

 ……何でしょうかこの落差。

 

 

 

 

 

「……化け物が来るかと思ったら据え置きの雑魚だった、なんてされたら、気が抜ける……」

「ですよねえ」

 

 とはいえ、安全なのはいい事です。

 無事に最深部手前までやってきました。

 ……おや?

 

 

 

 

 

(テネちゃん、どうしたの?)

「誰がテネちゃんですか。テネブラエです」

 

 まあそれはともかく、ルーメンの祭壇の方から禍々しい何かが……。

 

「セレスティア産宝箱か?」

(無いの。全部出ていっちゃったの)

 

 ラタトスク様の言葉を否定するインプ。

 ……じゃあ、一体何が……。

 

(身体に7つの傷がついたオタオタが血走った眼で怪しげなオーラを纏ってるのを)

「ぎょえええええええええええええええええええ!!?」

 

 インプが喋っている最中に、ルーメンの間の方から何かの悲鳴が聞こえてきました。

 ……何でしょうか?

 

(また「アレ」にやられた被害者が出たの……)

「アレって何だ……嫌な予感しかしないが」

(さっき言ったオタオタなの……この洞窟最強の生物なの)

 

 オタオタが最強とはどういう事でしょうか。

 というか、このインプの時点で十分危険だった気がしますが。

 

「もっと強烈な化け物が居るって事だろ。行くぞ」

「まあ、行くしかないんですけどね」

 

 ルーメンの間に居たら倒すしかないです。

 インプの時点で既に化け物でしたが、一体どんなのが出てくるのか。

 我々はルーメンの間へと足を踏み入れます。




巨大なぬいぐるみ…キモ可愛いという言葉がぴったり? な特殊人形。音素振動数に反応して巨大化して動くらしい。
ユニゾナントではこれを模した装備が出た、が、結局最強装備に勝てるわけがないのだった。

コングマン…エクシリア2でなりきりさせてはいけない。色々壊してくれます。
ちなみに、オリDとリメDで全然印象が違うキャラ。

インプ…一匹ずつしか手に入らない地味なレアモンスター。
シンクロ厳選は注意が必要。レベル200属の周回モンスターなので能力だけは桁外れに強い。

ギガインプ…ただのインプや大群では芸が無いため、普通のインプを宝珠で新生配合したのだ。
というか、本当に何も思いつかなかったのだ……。結果的にレギュラー化しそうなのだが。

グリフォン…ベルウィルリングの下位種。動きは全く一緒。要するにコンパチ。レベル50上限で作戦が少ない、高燃費を支える優秀なTP回復攻撃技が無い、とレベル以外は全部劣化ベルウィルリング。大人しく後方でメテオ撃たせよう。

ベルウィルリング…スピードスペル3を習得する最強の術モンスター候補。しかし、行動の制御が難しく、更にドーピングも必須と、やり込み派以外には使うのが難しい。
今回メテオ一撃で粉砕されたが、特化モンスターはドーピング無しだと本当に耐久力が低く、すぐ落ちます。テネブラエはドーピングをケチったのだ。
ちなみに耐久力をドーピングしたとしても行動の制御が難しく、勝手に前線に突撃することは日常茶飯事。誰にでも安定して使いやすいレヴォナスやライラと比べると、圧倒的に玄人向けモンスター。
無論扱いきれると、技のダークスフィアで減ったTPを自発的に回復しながら超威力の術を連射する驚異の戦闘能力を発揮する。その詠唱速度はマルタよりほんのわずかに遅いくらいで、レヴォナスやライラより圧倒的に早いのだ。グリモアの凡庸魔術しかないのが本当に残念。

メテオスウォーム…流星を落として攻撃するフィールド攻撃。火属性。全モンスターが使えます。
これを連発するのが基本になってくると、如何にして詠唱時間を確保するのかが重要になる。

ブルーセージ…HPを20上げるアイテム。レベル100上限、50上限モンスターや、無理やり一軍に入れようとしたSキャラには必須。
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