「……え?」
彼女から聞こえた言葉が耳に届き、脳に伝わる_____が、それがアルファからの言葉からだとは到底思えずに、聞き返してしまった。
「もし...........本当に私が綺麗だと思うなら... っ...いや、そうじゃ無いわね、貴方が.....シャドウが私を好ましいほど美人だと思うなら」
一度は言葉を途切れながら、そう___呟きながらも彼女は私の目を通して、率直に伝えようとする。
「うんうん...ん?いや!待て!そこまでは僕は言って無いけど!?」
話が急に台風が通ったと錯覚を起こすほどに急転換した事に焦った僕は、アルファに突っ込む。
「お願いだから私に......貴方の中に、そこまでは無理でも、私に生きる意味をくれないかしら?」
だが、今のアルファには冷静沈着のれの文字が見えず、今の、この瞬間だけがまるで生か死かの境目の如くかのように声を出す。
「話聞けよ..........」
当然彼女は僕の言葉など耳に入るはずもなかったのであった。
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「ちょ!ちょ!ちょ!チョットだけ!……そうチョットだけ待って「少しだけよ?」……う……うん」
(なんか......話が明後日の方向に行きすぎじゃない?僕はただ....そう!ただ誤解を解きたいだけなのだ!決して陰の実力者は本質を見誤る事などない...はず?)
チラッ
考えるふりをしつつ彼女の様子を伺う、如何やらアルファはこの問答がどんな結果になるか、喉を張り詰めるほど気になるのかこちらをかたづなにジッと見つめている。
(うんでも.アルファの様子見ても、最早さっきの話なんて如何にも終わったと言う雰囲気を出している)
(今更、はいこの話おーわり!なんて言ってしまった日には........)
『はい!この話はおーわり!じゃそう言うことで』
『シドォ......やっぱり........私じゃ...っ!私じゃダメなの!?』
(とかなりそうで怖いから言えないんだょねぇ....)
もしかしたら、5%の確率で冗談と言われるかもしれない。はたまた10%の確率でそうならないかもしれないが..........
「何か..................何か良い方法は....必ず.....ある.....はず....だ!」
「シャドウ?どうしたのかしら?」
僕が悩む様子に目を向けた、アルファは笑顔を見せつつ顔を傾ける。
「いやいや!なんでも....そう!何でも無いよ?アルファは気にしなくて良いからね?」
「そう?....そ.....なら、お言葉に甘えてそうするわ」
(どうする?どうしようか?どうすれば回避出来るのか!?唸れ陰の実力者の灰色の脳みそよ!)
右に左に目が猛烈に泳ぐ、まさかジョン・スミスの時の様に誤魔化せないか試してみる。
「それで.....どう..かしら?ダメ....?私じゃ」
たどたどしく言葉を紡ぎながらも、こちらに顔を上げて上目遣いで僕を見つめる。
金髪碧眼の綺麗な彼女からそれをされると、例えモブの僕でも意識してしまう。
(かくなる上は........そうだ!アレだよ!アレ?うん、アレがあるじゃないか?)
「......どうしたの?」
不安な様子のアルファ。よく見ればアルファの口が震えている、僕がなかなか返答をしないからもしかしたらと彼女は想像を働かせてしまう。
(そう!アレだ!名付けて褒めて褒めて誉め殺して何の事だっけ?大作戦!)
名案が思い付き、安心から力がぬける。これなら回避出来るはずだ!と僕は考えた。
「それも良いけどさ....僕になんかじゃ、勿体ないと思う「それじゃ問題ないのね!」んだよね......」
(話を....話を聞いてくれない、まずいなコレ.....悠長に時間稼ぎなんかやってたら焦れたアルファが強硬手段でかねなんぞ...)
だが、珍しくも興奮している様子の彼女からは、僕の言葉がOKと言っているように聞こえたようだ。
(ならば.....)
「だからさ、アルファに感謝の意を伝えたくてね?」
「感謝の....意を伝える?.....貴方が?」
顔を見開き、驚くアルファ。どうやら今日のアルファはいつになく感情豊かだ。
「嬉しい..............嬉しいわ..........いつもだと軽く二言くらいで、良くやったなとかで余り話さないシャドウが.....そんなことを言ってくれる何て」
余程嬉しかったのか、まるで満開の桜が咲いたかのように笑顔を見せる。
「でも、そんな事気にせずとも良いのに、寧ろ幾らでもシャドウの言葉は聞いて見たいわ」
(なんか、想像よりも大分興奮してるけど.....ええい!ままよ!)
「何、いつもは忙しいそうにしているからな、迷惑にならないようにしてるのだ、我が言葉を紡げば皆は手を止めてしまうだろう?」
陰の実力者モードでシドは呟く、実際に何か僕が言葉をいうたびに彼女達は大げさに反応する。
「うふふ.....それもそうね、貴方はどれだけ先の未来だろうと見通すほど鮮明で、明快で、私達のはるか先を言っている、例えそれが遠くにあれども追いつきたいと思っているわ」
「陰の叡智、御伽噺と勇者、魔神ディアボロスの秘密、悪魔付きと教団、それに貴方の何もかもこなせる才能もそう....」
(心臓の音がこんなにも高鳴るなんて.....いつ以来かしら)
アルファは頭の中で過去の記憶を思い出す、肉塊から救われて以来アルファはシドからここまで感情を高ぶらせる事は余りなかった。
「私が悪魔付きになるまでは、世界は平和で、悪魔付きも教団も関係無いし、興味なんて全くなかったわ」
目を下に向けてそう彼女は語る、濁った瞳で地面を見つめながら。
「でも私は結局無関心ではいられなかった.....ある日突然、体に黒いアザが出来た、そして村を追い出されて、体中が腐敗して、痛みと意識が朦朧となってここが何処かもわからない」
(フフ.....こうして語っているとあの時の事を思い出す)
そうしてアルファは語った。
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体から黒い痣が出てすぐに私は村から追い出された。その時までは村で一番頭も、運動も、魔力だって上なのに。_____悪魔付きになってしまったら、皆は態度を変えた。
家族が死んでからは、私にとって村人がいた。しかし悪魔付きになれば追い出される。
追い出すがままに私は、あてもなく彷徨う。
「これからどうなるのかしら……どうすれば……母さん……」
黒い痣がは胸まで広がっている。それがズキズキと痛んだ。
「私には最早何もない、悪魔付きに、未来なんて.,..」
足が棒のようで一歩も歩けなかった。そんな時に、街道から複数の声が聞こえた。
「おお?何だ...アレ?おい、野郎が1人でこんな森の中ほっつき歩いているぜ!」
「!?」
(盗賊がこんな時に.....いやこんな時だから現れたのは天が見放したのかも知れないわね)
「もう......疲れた.....」
彼女は冷たい空に白い息を吐いた。空から雪が降って来た。冷たい地面に座り込み、顔を伏せる。
「あぁ......一度でいいから......恋をしたかったなぁ...」
アルファは涙が頬を叩い地面にシミとなった。
後悔と悲しみの感情が頭の中で混ざり合い、生きる力が亡くなったまま顔を下に向けて諦観を募らせる。
「それからの事は覚えてないわ........体中何処もかしこも、悪寒、グチャグチャに体をあばれ回る痛みと、神経が折れ曲がる激痛、皮膚は腐敗したかのようになって、尊厳何てものなんかないわ....当然周りに気を配る事も出来ない」
いわゆるレイプ目と呼べるほど、自信なさげに弱々しく語るアルファ。
「私の命はあそこで終わり....そう思っていたわ...」
(あの時拾った背景はそんな事が過去にあったのか……)
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「ヒャッハーーーー!!!逃げる盗賊は訓練されてない盗賊!逃げる盗賊は訓練された盗賊!この世は無常だぜ!」
盗賊を地面に倒し、命を刈る。興奮したシドは何も考えてなどなかった。
「盗賊ってボーナスステージだよね!」
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(くらいにしか思って無かったのに)
僕はただ盗賊を資金稼ぎに潰してただけなんだけどね。
確かあの時は.....
「魔力はすごい。人間の限界を軽く超えた動きが出来る」
「岩とか余裕で持てるし馬の倍速で走れるし家より高く跳べるし。」
「ただしまだ核は無理。魔力で強化すれば防御力は上がるけど、地球兵器の火力は偉大だ」
(とか考えてたっけなぁ)
そう俯瞰して見ると、アルファが僕に囁く。
「だから貴方に身も心も捧げる、貴方が好きなのよ」
「...................................」
「でも、まだ目標にはほど遠い。私が....私達が目指した先はまだまだ先にあるわ。だから、だから一度でいいの!私に貴方の温もりが欲しいの!」
迫真の様子で話すアルファ。それを見て僕は心の中で叫んだ。
(なんでラブコメ主人公ルート入ってんだよおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!)
まさかの王女告白以来である、一応陰の実力者を目指す僕にとって恋愛は不要なもの。
(そう思ってたけど……)
「ダメかしら...?」
「ハァ....良いよ。他ならぬアルファの為だもの。僕が仮にアルファとキスした所でモブに変わらないんだし、まぁその方が陰の実力者らしいか.....」
「シャドウ!」
「ぐぇ!」
感極まったアルファが物凄い力で僕を抱きしめる。辞めてくれ僕はまだ死にたくないのだ。
「じゃあ……早速、キ……キスするわ……」
彼女の顔がこちらに近づいてくる。金髪に青い瞳のエルフで眉目秀麗文武両道の完璧超人。そんな美人が僕の唇にキスをする。
淡い柔らかい気持ちが湧き出てくる、ポカポカとした暖かな感情が心を震わせる。
(意外とキスっていいもんだね……)
「ふふ……初めて貴方とキスが出来たわ」
恥ずかしそうに顔を背けるアルファ、思わず僕はドキッとする。
「こんなに喜んでもられるなら、もう一度.....する?」
「勿論よ……シャドウ……次はもっと長くやりましょ」
「ハイハイ……」
どうやら僕はアルファにキスをされまくるのは確定してしまったようだ。
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その後
大商会連合の崩壊は一瞬だった。
紙幣の換金に訪れた大量の民衆に応えるだけの金貨を彼らは持っておらず、店を締めて夜逃げする商会も現れた。最終的には騎士団が介入し、強制的に金庫を開けさせたがその中身は流通している紙幣に比べればほんの僅かしかなかったという。
商人たちは捕らえられ、今後厳しい罰が与えられる。
そして大商会連合の崩壊を目の当たりにした民衆が、次に向かうのはミツゴシ銀行だった。
大商会連合崩壊の翌朝、彼らはミツゴシ銀行の王都支店の前に押しかけた。
王都の大通りを埋め尽くすほどの人数だったという。
朝の開店と同時に、彼らは紙幣を握りしめて入店しそして驚愕した。
吹き抜けの大きなホール一杯に眩いばかりの大量の金貨が積み上げられていたのだ。
銀行員も民衆に笑顔で対応し、彼女たちには余裕が満ち溢れていた。
続々と換金に応じていくミツゴシ銀行に、一人、また一人と民衆は踵を返していった。
そして、その日の昼過ぎにはミツゴシ銀行の前に並ぶ民衆はほとんどいなくなっていた。
実際に換金した人間は、その日並んだ民衆の三割程度だった。
ミツゴシ銀行の対応を見て、民衆は安心したのだ。
積み上げられた大量の金貨、笑顔で丁寧な銀行員、そして今まで築き上げてきたミツゴシグループとしての信頼。
その証拠に、すぐに紙幣の貸し出しを希望する顧客も現れた。
ミツゴシ銀行、そしてミツゴシ商会は、大商会連合の崩壊により更なる地位と信頼を築き上げたのだ。
その力はもう、国ですら手出しできないほどだった。
今ミツゴシ商会が撤退すれば、王国の経済は崩壊する。
王国は今回の騒動で信用創造を危険視することになった。しかし、ミツゴシグループと彼らがもたらした信用創造が王都に空前の好景気をもたらしたのもまた事実だ。
王国はミツゴシグループとミツゴシ銀行の代表と話し合い、信用創造にかかわるいくつかの取り決めを交わすこととなった。
こうして、一連の騒動は終結した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「これから共に歩みましょ、シド……私の旦那様……」
何処かで悪魔付きから救われたエルフと地方貴族の息子がくっついたとかなかったとか。
真相は陰のみ知る。
一応、この話はここで終わります。あくまでも Bルートみたいなものなのでマルチエンドシーンが作ってみたかったので書きました。
まさか意外と反応されるとは思わなかったのでビックリしました。
この話はここで終わりますが、別キャラのルートとかみたい人っていたりしますか?もしかしたら反応良ければまた書くかもしれません。
但しその場合は新規連載でやるかも
アレクシアか、クレアもしくはベータルートですね。
良ければ評価お願いします
追記
新しく新規で投稿しました 陰の実力者 タイトルはABCルート編
気になる方は作者欄から飛んで見に行ってください