うちの嫁は龍神様   作:荒北龍

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苦労人

 

 

 

『もしもあの娘が冒険者達の手に渡るような事があれば、宮島軍曹が殺せ』

『分かりました。しかし何故わざわざ彼女と友好関係を?』

『あの娘の神の加護は恐ろしく驚異的だ。しかし、だからこそ我々もあの力が欲しい。そのための保険だよ』

『···············なぜ私なのですか』

『ん?この部隊で一番面倒見のいいのがママだからだよ』

『··········そうですか』

 

 

 

§§§

 

 

 

 

「宮島さん?」

「···············口の周りにクリームが着いていますよ」

 

そう言ってハンカチでシャウラの口の周りを拭いてあげると、シャウラは「むぐぐっ」と少し苦しそうにしながらも、拭き終わると、「ありがとうごいます!」と笑顔で返した。

そして再びケーキを頬張る。きっとケーキに夢中で自分がこの家になにしにきたのかわすれてしまっているのだろう。だが、そんなケーキに夢中になる姿は、神の加護を持った子供とは到底思えなかった。

 

『宮島軍曹が殺せ』

「····················」

 

自分はこんな子供を果たして殺せるだろうか。

 

「そう言えば」

「どうかしましたか?」

竜胆(たつどう)という人と友達になったんです!」

「···············それは鬼崇組(きしゅうぐみ)のあの、竜胆か?」

 

竜胆。

180cm以上の巨漢で、半グレグループ【鬼崇組】のリーダーをしている。何度も暴行事件や強盗事件、器物破損などの犯罪行為を起こしており、街の一部を制圧して鬼崇組のアジトにしている。

宮島も何度も竜胆を見たことはあるが、実力は自分より上か、それとも同じか。

軍で訓練を受ければ優秀な軍人になることだろう。是非ともうちの部隊に引き入れたい。柳中尉もあのような強者は犯罪者問わず自分の部隊に引き入れようとする。

この前も鬼崇組のアジトに単独で向かって竜胆をうちの部隊にスカウトしに行ったくらいだ。あの人半グレグループのアジトに単独で行くとかやっぱ頭おかしいわ。

 

そんなことを考えていると、電話が鳴る

 

「失礼します」

「おめぇの上司からか?」

「いえ、部下からです」

「ふーん」

 

そう言ってカムイは部屋を出る宮島の背中を眺めながらケーキを頬張った。

 

 

 

§§§

 

 

 

「何の用だ」

『この街にスパイがいる』

「···············見当は?」

『さぁな。だが冒険者に紛れているらしい』

「目的は···············シャウラか」

 

うちの部隊には様々な問題児が集まり、そしてどの部隊よりも腕利きが集まる。

俺が今話しているのは狙撃と暗殺を得意とする藤井寺(ふじい)二等兵。上官である俺の言うことを一切聞かず、柳中尉の命令を何度も無視しているものの、腕と判断に間違いはない男だ。

しかし、こいつの判断はいつも「殺すか、拷問してから殺すか」その二択だ。

 

おそらくあいつは今もどこかで俺の事を監視しているのだろう。俺とシャウラはあいつにとって餌というわけだ。

あの男の狙撃の腕は本物だ。未だ俺は藤井寺が弾を外したところは見た事がない。この前酒に酔いながら、あいつの好きな酒のつまみである焼き鳥がきれたと言う事で、街中で上空を飛ぶ鳥を1発の弾で3匹撃ち落とし、店員に料理させていた。

なんよ鳥かは知らんが美味かった。

 

(しかし、よりにもよって冒険者···············手が出しずらい)

 

冒険者と軍は犬猿の仲。しかも冒険者ギルドの受け入れに敵国も自国も関係ない。多種多様の種族、様々な村、国、都市のもの達が集まる場所。たとえそれがスパイがギルドにいると分かっていても、手出しはできない。

 

だからギルドは嫌なんだ。あれのせいで、この国が亡びてしまっても、あいつらは国への愛も忠義もない、ただの傭兵なのだ。

冷戦中でも平気で相手の国の兵士やスパイをノコノコ入れやがって。

 

俺はふつふつと抑えきれない怒りに拳を強く握りながら、シャウラの元に戻った

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