ウルトラマンアース   作:アカイタマ

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第二章 世界の影
その名はムーン


 白夜と一緒に学校から帰って。まだまだ家は直らないので、拠点とした霊島家の中で。星と白夜は揃って、居間で丈と話していた。

 丈としては聞きたいことが色々あるのだが。この数日、戦闘で受けたダメージを回復させるため療養しており、星たちと話すことはできていなかった。その間ニュースなどで、白い女性戦士が生まれたことは知っていた。それがまさか、まさか。

 

「白夜ちゃんがウルトラウーマンになるとはな」

「ウーマンつーか、ガールだけどな」

 

 まあ確かに、大人の女性と言えるほどの体躯でもない。ならガール、少女とするのが適切だろうな。

 

「むぅ、ウーマンで良いのに……」

 

 白夜はそうぼやくのだが、結局二人がガールと呼ぶようになったので、それに従うことにした。長い物には巻かれろだし、それになんだか、ガールの方がしっくりくる気もした。

 

「んでも、なんで変身できたんだろな?」

「……わかんない。極夜ちゃんがくれたミサンガが、これ……そだね、ムーンって言ってたかな。ムーンランサーに変化したんだよ」

 

 極夜の名を聞いて、丈は少し言葉に詰まった。極夜は地球防衛隊側の人間、彼女が何かしら、白夜に渡したミサンガに、細工をしたことも考えられた。だが、彼女の性格を見る限り、白夜にわざわざそのようなことをするかと思うが。

 それに、ウルトラガールという存在に変身させるようなアイテムが、この世界に存在するとも思えない。丈は一応、この世界の特徴をある程度知見しているが、それでも、誰でもウルトラ戦士になれるというアイテムがないことは知っていた。この世界のウルトラ戦士とは女神のこと、星一つに一人存在する頂上の存在のことだ。

 ということは、ウルトラガールもまた、別の世界からやってきた光の巨人で、彼女が秋空白夜の体内に宿っているということか? いや、蓮の言葉を考えるに、過去地球に飛来したウルトラマンはアース一人であるからして。

 

「……だが、確認されていないだけでありえないわけではないはず。ならばやはりもう一度確認を取るべきか? いや、だが」

 

 丈は考え込んでしまっていた。星と白夜はお互い目を合わせて、そんな彼を見て、首をこてんと傾げる。丈とは話せそうもないので、居間に置いてあった煎餅を食べながら、二人は二人で会話を続けた。

 

「までも、あんま変身すんなよ白夜」

「えっ、どうして?」

「そりゃあ……あんま怪我とかしてほしくねえしさ」

「……しない、とは言えないね」

 

 星はつい先日の戦いで、全身を焼かれる苦痛を味わった。今も火傷が残っているので、両腕には包帯を巻いて隠している状態だ。白夜はあの時何事もなかったが、今後そうならないとは、限らない。

 だが白夜にとっては、兄がこれ以上一人で戦い続けることの方がイヤだった。

 

「でも無理しない程度に頑張るよ。私だって、兄さんの役に立ちたいから」

「そっか。じゃあ頼むぜ。……丈さんはあんま当てにならないしなー」

 

 ニヤニヤ笑いながら星はそんなことを言う。丈はそれを聞いていたのか、星の方を見て。狼狽えるでもなく、ただただ頭を下げて「すまない」と星に謝った。

 ちょっと思っていた反応と違う。からかったつもりだったのだが、そこまでガチトーンで謝られてはこっちが申し訳なくなる。是非ともやめて欲しいところなのだが、それらは丈が堅物なのをわかっていない星のミスでもあるのだった。

 

「ま、まあ! 丈さんが何かしら解決させてたのも知ってますし! 良いっすよ別に!」

「そんなことより、私の変身した後の名前とか決めましょ!」

 

 白夜が無理クリ話を切って持っていく。ナイスだと心の中で言いつつ、星は丈に「ほら、考えましょ!」と急かした。丈は言われ、顎に手を当て考える。星もまた、頭を捻って考えた。

 しばし時間を置いて、彼らはいくつか案を挙げた。

 

「では、ルナはどうだ」

「アルテミスとかは?」

「……な、悩むね、その二つ」

 

 どちらも良い名前に見える。白夜は悩むそぶりを見せるが、そんな彼女に畳み掛けるが如く、二人は考えた名前を雪崩のように投げかけた。

 

「まだ案あるぜ? そーだな、ゲッカとか……」

「……リュヌ、ルーナ、ブラン、ルア。どれも外国の言葉で月を表す言葉だ」

「ちょっと待って! そんなにいっぺんに言われても迷っちゃうよ! ……というか、私シンプルな名前がいいかなって。わかりやすい感じのやつ、とか」

 

 わかりやすい感じのやつ、か。丈のはだいぶシンプルだったし、その線で。そう考えると、そういえば。白夜のムーンランサーは、《ムーンライズ》と言う音声を鳴らしていた。ならそれに則って。

 

「ムーンは、どうだ? ウルトラガールムーン。響きも結構良さげじゃないか?」

「ムーン……かぁ」

 

 いい名前じゃ、ないかな。そう白夜ははにかんで笑った。兄のネーミングセンスを考えると、結構上出来な名前の気もする。兄はありがちなものを並べ立てるだけだから、あんまり面白くない名前の付け方をするし。

 

「うん、気に入った。ムーン、ウルトラガールムーンって名乗るよ、これからは」

「……決まりだな」

 

 こうして。その小さな会話から、ウルトラガールムーンが誕生した。ムーンランサーがムーンと名を告げたのは、これを見越してのことだったのかも、知れない。

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