その日の午後のこと。
怪獣カードについての情報と、もう一つ。先日渡しそびれたネオバトルナイザーを渡すため。丈は星と白夜と、また話し合いをしていた。
然たちは星の断りで、話し合いのために借りた部屋には入れないようになっている。のだが、どうせ隠れて聞いているのだろうな、と丈は思いながら。星にネオバトルナイザーを差し出した。
「こいつは……俺の家にあった、父さんの」
「形見……でもなんで、丈さんが?」
「蓮くんと一緒に探しに行ってな。その時に見つけたんだ。蓮くんが大切なものだと言っていたので、いずれ渡そうと思っていたんだが」
その口ぶりから察するに、どうやら時間がなかったらしい。だから今、ようやく渡してくれたようだ。星はそれを受け取り、まじまじと見る。だがどこか、それは違うもののように感じられた。こちらをジロリと見る、何者かからの感覚がしないのだ。
「……これ、レプリカ?」
「いや。その中には本来、ガンQが入っていたのだろう。それをバルタンが暴走させ、そしてガンQは今、君の手の中に」
「カードになってるよね。でもなんで、ガンQがこれに……というか、怪獣が入ってるって、これなんなんですか?」
やはりその問いが来るだろうというのは、わかっていた。おそらく彼らは、怪獣使いのことは知らない。だからそこから解説すべきだろう。
だがそれよりも前に、彼らの父がわざわざ離した、怪獣使いやウルトラマンにまつわる事柄に、これ以上二人を近づけて良いものかとも思ってしまった。だが、これからのことを考えるなら、やはり話すべきなのだろう。
「これはネオバトルナイザー。怪獣を操るための道具だ。これを介せば、怪獣の召喚が可能になる」
「召喚、こないだアースブレスレットでやったよーに、ってことで?」
「あぁ、そういうことだ。父の形見ということだが。これは君の父親が、使っていたものということで間違いないのか?」
「多分……うちの姉さんが言ってた通りなら。んでも、なんで父さんが怪獣を操るアイテムなんか」
星の父は、彼が二歳の頃に亡くなっている。その父が怪獣を操ることができた、というのはどういうことなのか。しかもそれを姉にも伝えず、隠していたのは。
「……わからないが、少なくともこれは君のものだ。持っておきなさい」
丈は彼の考えるのをやめさせ、星のネオバトルナイザーをグッと押し渡した。
「使い方は、私にもわからない。私は怪獣使いではないからな。だからそれの使い方は、君が見つけるんだ」
丈のその言葉に、星は困惑しつつも。一度バトルナイザーを見てから、こくんとうなづいた。
「……やってみます」
「なんか、無茶苦茶だなぁ」
二人のやりとりを見て、白夜はそう小さくぼやいた。丈は何かを知っているようだし、それを話そうとしてくれない。明らかに何かがありそうなのだが、白夜にはそれを知る手立てはない。だから無視することにするのだが。
「……また、一波乱ありそうだよね」
白夜はまた、そうとだけ呟くのだった。