ウルトラマンアース   作:アカイタマ

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アース誕生②

 怪獣ガンQを葬り去った赤き巨人。そのことでテレビも新聞も話題は持ちきり。謎の巨人、ウルトラマンは人類の味方か否か。かねてより噂されていた宇宙人ではないのかと、そんな噂が噂を呼ぶ。

 その中で、多くの人々に叫ばれているものがあった。ウルトラマンは、女神の使い、眷属なのではないかと。

 

「女神とはなんだ、星」

 

 変身し、光線を頭から撃つ練習を、誰もいない山でしている最中。そんなことを突然、丈は聞いてきた。

 

 ガンQの被害から避難してから、既に数日が経っていた。星はその間に特訓を始め、今は腕から“ストリウムシュート”と呼ばれる技を放てるまでに至っていた。星の中のアースが、得意としていた技らしい。

 今は頭部から放つ雷光、“ホーンサンダー”を習得しようと特訓中だった。その最中に唐突に問われ、技が暴発。溜めていた電撃が星の全身を這い回り爆発した。

 

「あばばばばばばば⁉︎」

 

 目を白黒させてしまう星。ようやく爆発が終わった頃に変身が解除され、星はどしゃりと音を立てて地面に倒れた。目を回した彼に、丈は駆け寄る。

 

「……大丈夫か?」

「んなわけないでしょ……」

 

 黒焦げのままなんとか立ち上がって、星は丈をじっと睨んだ。

 

「丈さん! やってる時に話しかけないでくださいよ!」

「すまない」

 

 たく、と悪態を吐きつつ、星は自分の体の焦げを払い、丈の先ほどの問いに答えるのだった。

 

「女神様……つっても、俺は見たことないんですけどね。俺と同世代は多分、聞き齧ったくらいの人っすよ」

「ふむ。なら、どんな存在だったか、聞いたことを教えてくれないか?」

「ふーん……女神様って言うのは、ウルトラマンみたいなもんなんすよ」

 

 抽象的な説明から、星は入り始めていた。

 

「ウルトラヘカーテって呼ばれてまして。巨人って言うくらい大きくて、まあ他んとこも色々大きいらしくて。すごく強いんですって。いろんな怪獣を倒して、いろんな人を助けて、防衛隊もすごく助かってたみたいっす。十七年前になんかの戦いで負けた後に、姿は見えなくなったとか、で……俺らはほんとに、聞き齧ったりネットで調べたりして知ってるだけなんすよね」

 

 言いつつ、星は取り出した携帯で検索をかけ。そこに映った画像を、丈に見せた。画面の中には、金髪をたなびかせ、海を背に立つ、美しい乙女の姿があった。抜群のプロポーションを持つその乙女の胸の谷には、三角形の青い宝石が瞬いている。

 

「……これは」

「かっこいいつーより、結構いけてる感じでしょ? 男はやっぱり好きだと思うんすよね、女神様」

 

 なんて言う星は、なぜか笑いながら携帯を操作した。本人は電源を切ったつもりだったのだろう。だが、押す前に携帯の画面が操作され、写真のアプリが開かれた。

 そこに“何故か”分けられた女神様と名の付くファイルを、丈は見た。丈はそれをトンと押す。

 結論から言えば、それはかなりいかがわしいファイルだったのだ。この場では言えないような画像を大変多く内包している、まさに男の夢が詰まっているような。

 

「何してんすか丈さん?」

「いや、星。君は女神が好きなのだな、と思ってな」

 

 丈は苦笑していた。星は自分の携帯を見る。開いていた画面を見て凍りついた。

 

「………………あの、その、えと、見なかったことにしてください……」

「すまないが、既に目に焼き付けてしまってな。忘れることはできそうにない」

「ちっきしょう! あーもう、実際女神様エ……じゃない、可愛いじゃないっすか。だからその、やっぱり好きになっちゃうんすよね……」

「なるほどな」

 

 星は再び変身するためか、人形(スパークドールズという)を取り出して、言った。そんな彼を見つつ、丈は呟く。

 

「性愛はあるも、その本質は敬愛か。……この星の女神は、それほどまでに人を惹きつけているのか」

 

 丈は女神のことを、知っている。先ほどの問いは“女神そのもの”ではなく、“この星の女神はなんというのか”について聞いたつもりだった。星は少々間違った受け取り方をしたが、目当ての答えは得られたので、結果オーライといったところか。

 

「……てか、そういえば俺も聞きたいことあるんすけど」

「どうした?」

 

 星は、そういえばと丈に、思い出した問いを投げかけた。

 

「丈さんは何をしにこの町に来たんすか?」

「友人の非行を止めるためだ。君に出会ったのは、正直に言えば偶然だ」

「いや、偶然って……まあそれは良いっすけど。その友人って、なんなんです?」

「一言で言うなら宇宙人だな」

 

 宇宙人まで出てきた。なんかもう、そんなことでは驚かなくなっている自分がいる。

 

「……ひとまず、そいつが怪獣を呼び出してるとかで良いんすよね?」

「どうだろうな。彼にはそこまでの力はないからな」

「……なら、あんまり考えなくて良さそうっすね」

 

 星はそれだけ言うと、「ありがとうございました」と告げて、特訓に戻った。

 

「あまり伝えなくても良いことだが……しかし十七年前から行方知れず……一体どうしたのだ……?」

 

 そう、女神の現在について考える丈をよそに。星はアースに変身し、技の特訓を開始していた。丈の立てた避雷針に、ホーンサンダーを命中させている。

 少しずつ様になってきている、と、丈はそちらに目線を移すのだった。

 

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