ウルトラマンアース   作:アカイタマ

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アース誕生④

「星。実戦だ」

 

 出現した怪獣二体を見て、そう丈は言った。彼は赤縁メガネを取り出すや、それを顔にかけ変身する。

 

《バーンアップ》

 

《ウルトラマンラルバ》

 

 既に変身している星は、こくりとうなづいた。

 

「丈さんが片方を、俺がもう片方をやればいいんすよね」

「その通りだ、星。俺はあの、金色の方をやる。君は黒い方を足止めするんだ。教えた技を使ってな」

「うっし、わかりました!」

「……では」

 

 二人はそれぞれ自らの体に念じた。彼らの体はそれによって、巨大なものに変わっていく。光を放ちながら変化する彼らは、赤い巨人と、カラフルな色の巨人に、それぞれ変わった。

 怪獣、レッドキングとブラックキングは、星たちの方を見る。現れた彼らを見て、虚な表情を崩さず、怪獣達は吠えた。

 

「行くぞ」

「はい!」

 

 それぞれが怪獣に向けて、駆け出す。星の変身したウルトラマン、アースは、黒い怪獣ブラックキングに向けて突進した。

 

「グルッ……ゴオァッ!」

 

 ブラックキングは口に火を溜めそれを解き放つ。地面を抉るその一撃を掻い潜り、チョップを一撃、首に叩き込む。ブラックキングは怯み、唸った。

 

「おらっ!」

「グゴっ⁉︎」

 

 その隙に回し蹴りで敵の腹を弾き、後退させ。間髪入れず、技を叩き込む。

 

「ホーンサンダァー!」

 

 技とは即ち、ウルトラマンという存在の体内に眠るエネルギーを用いた、光線のこと。様々種類のあるそれらを、ウルトラマンアースはあらゆる属性に沿って固め、放つことができるのだ。

 角から放たれるその一撃は、黄金に閃く天の雷霆“ホーンサンダー”である。ブラックキングに生える金色の大角にそれは命中し、敵を痺れさせた。

 

「グガッ……ガグガァ……」

「よっしゃ!」

 

 喜ぶ彼を横目に、ウルトラマンラルバもまた、レッドキングを相手に攻撃を繰り出す。レッドキングはラルバの腕を掴み、ねじ伏せようとしてくるが。だが、パワーではラルバの方が上のようである。

 

「ぬぅ……おおぉ!」

「ピシャッ⁉︎」

 

 敵の腕を掴み返し、その場で投げる。転倒したレッドキングは、地面に叩きつけられ隙を晒した。一気に畳み掛けるべく、ラルバはレッドキングに馬乗りになり、チョップの連打。

 レッドキングはそれを受けて身悶えるが、口から岩の弾丸を放ってラルバを吹き飛ばした。が、そのラルバは空中で体勢を立て直し、地面に着地する。

 

「悪いが一気に決めさせてもらう」

 

 そう告げるや、頭部の宇宙ブーメランに手を触れ、それを取り外す。バーンスラッガーと呼ばれるそのブーメランは、名の通りと言うべきか炎を生み出す力を持つ。それを、腕力にモノを言わせ投げ飛ばす。

 バーンスラッガーは空中で弧を描き、レッドキングに向かい。そしてその体を、木っ端微塵に切り裂いた。バラバラになったレッドキングの体は光となり、一枚のカードとなってどこかへ飛んでいった。

 

「っ、今のは⁉︎」

 

 消えた怪獣のその様子に、ラルバは見覚えがあった。あれは確か、怪獣使いによって怪獣が操られ、それが倒された時に起こる現象だ。どこかに怪獣使いが、ラルバが追ってきたバルタン星人がいるのか? そう考えるラルバだが、確証は得られない。

 ドン、と、その考察を破る破砕音がなる。鳴らしたのはブラックキングであり、彼は角を振りかぶって、ウルトラマンアースを吹き飛ばしていた。

 

「あぐっ……くそ!」

「星、あまり無闇に攻撃をするんじゃないぞ!」

「わかってますよぉ!」

 

 叫ぶ星は、ブラックキングが掴みかかってくるのを避け、その顔面に膝蹴りをくれてやった。

 

「ピギュア⁉︎」

 

 怯むブラックキングを前に立ち、星は息を大きく吐く。気合いは十分、後は覚えた技を解き放つだけだ。

 両手を天で重ね、そして腰に据える。武道家のようなそのポーズから、両手をT字の形に組み。ウルトラマンアースは、必殺の光線を撃ち放った。虹色のその一撃は、ブラックキングの体を突き破り、一気に爆裂して粉砕する。これこそがウルトラマンアースの必殺技、“ストリウムシュート”であった。

 

「……よっしゃあ!」

「やったな、星」

「はい! 俺が、俺が怪獣倒して……町を守ったっすよ!」

 

 そう嬉しくなって、笑う星。ふと、胸の宝石が青から赤に変わった。ピコンピコンと音を立て、点滅を開始する。

 

「んっ……丈さん、こいつ鳴り始めたんすけど……」

「エネルギーが少ないことを示しているんだ。変身を解こう」

「は、はい!」

 

 二人は変身を解き、人間の姿に戻った。被害が出る前に怪獣を倒せた結果、町はいつものまま、火の手も見えない。

 

「……ウルトラマンの力なら、町を守れるんだな」

「そうだな。常に迅速な判断が必要だが。今日のように、怪獣に直ぐな対処できたなら、こうして被害は出ないだろうな」

「……丈さん、それなら俺、もっと色々強くなりたいっす」

 

 星は丈にそう告げた。きっとそう言ってくるだろうとは丈と思っていた。

 星はまっすぐな眼差しで丈を見ている。それを受けて、丈は首を縦に振った。

 

「また明日から、君に技を教えよう、星。まだアースの技の全てを、教えることができたわけではないからな」

「っ……! ありがとうございます、丈さん!」

 

 そうして、二人はシェルターへと戻った。もちろん外に出ていたことがバレないよう、こっそり隠れながら。

 彼らが戻るまでの間、残された一人の少女が、動揺を見せていたことなど、二人は知らない。

 

 

 

 

 

〜○○○〜

 

 

 

 

 

「にい……さん?」

 

 テレビに映った巨人は、ウルトラマンアース。それに変身できるのは、白夜は一人しか知らない。だから自ずと答えが出た。

 

「どしたの白夜ちゃん」

「……いや、なんでも、ないよ……」

 

 白夜はそう言うが、極夜の目には、彼女が狼狽えているのが分かりやすく映っていた。白夜の目線はテレビに映る、角の生えた巨人の方に向けられている。それが気になるのだろうか。

 極夜はそれとなく、白夜に聞いてみた。

 

「ねえ白夜ちゃん。あの角の人、知ってるの?」

「し、知らないよ……あんなの、あんな人のことなんて……」

「ふぅん……それなら、いいんだけどさ」

 

 白夜の様子はおかしかった。あの巨人がその状態に関わっているのは、間違いないだろう。なぜここまで狼狽しているのかは、わからないところでもあるが。

 どうしたのかと心配になり、極夜は彼女をじっと見る。ふと、白夜の口から、小さく声が漏れるのを、極夜は聞いた。

 

「……兄さん、なんで……」

 

 それが答えだろう。極夜は今聞いたことを、ひとまず心の中に、しまっておくことにするのだった。

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