問題児たちと無から有を生み出す錬金術師が箱庭にくるそうですよ?   作:神流朝海

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今回は耀が活躍します。

まぁ、ほぼ原作どうりになるかもです。

ギフト鑑定で史夜のギフトが分かります



では、どうぞ


白夜叉のゲームとギフト鑑定

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は“白き夜の魔王”―――太陽と白夜の星霊・白夜叉。

おんしらが望むのは、試練への“挑戦”か?それとも対等な“決闘”か?」

 

俺たちはその少女の笑みとは思えぬ凄みに、再度息をのんだ。

 

少しの静寂のあと、十六夜が笑いながら挙手した。

 

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」

 

「ふむ。それは決闘ではなく試練を受けるということかの?」

 

「ああ。これだけのゲーム盤を用意できるんだ。あんたには資格がある。いいぜ。今回は黙って“試されてやるよ”、魔王様」

 

苦笑と共に吐き捨てるような物言いに白夜叉がこらえきれず笑い飛ばした。

 

「くく、く・・・して他の童達も同じか?」

 

「・・・ええ。私も試されてあげてもいいわ」

 

「・・・右に同じ」

 

「俺はやりたかったけど十六夜の意見に従うさ」

 

苦虫を噛み潰したような顔で言う2人に対し、こんなことを言う俺。

 

「ほう。おぬしは他人の意見に同意するのか?」

 

「俺は1人だけ抜け駆けなんていやだからな」

 

満足そうに声を上げる白夜叉。

 

「も、もう!お互いにもう少し相手を選んでください!それに白夜叉様が魔王だったのは何千年も前のことじゃないですか!!?」

 

その黒ウサギの言葉に十六夜が、

 

「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」

 

「はてさてどうだったかな?」

 

ケラケラ笑う白夜叉。十六夜と白夜叉って笑い方似てるな。

 

そのとき、彼方にある山脈から鳥のような、獣のような叫び声が聞こえてきた。

 

「なんだ?いまの?」

 

「これは・・・もしかして!!」

 

耀が山脈の方をじっと見る。

 

「ふむ。あやつか。そなたらを試すにはちょうどいいかもしれんな」

 

湖畔を挟んだ向こう岸にある山脈に白夜叉が手招きをする。

 

すると体調が5メートルぐらいある大きな動物が風のごとく俺たちの前に現れた。

 

「やっぱり!!!グリフォンなんだ!!」

 

耀が歓喜に満ちた声を上げている。

 

「フフン。いかにも。あやつこそ鳥の王にして獣の王“力”“知恵”“勇気”をのすべてを備えた、ギフトゲームを代表する獣だ」

 

白夜叉が手招きする。グリフォンは白夜叉の元にたち、深々と頭を下げる。

 

「さて、肝心の試練だがの。このグリフォンと“力”“知恵”“勇気”の何れかを比べあい、背にまたがって湖畔を舞うことができればクリア、ということにしようか」

 

すると空中に輝く羊皮紙が現れる。白夜叉は白い指を奔らせて羊皮紙に記述する。

 

『ギフトゲーム名“鷲獅子の手綱”

 

・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

        久遠 飛鳥

        春日部 耀

        神川 史夜

 

・クリア条件 グリフォンの背にまたがり、湖畔を舞う。

・クリア方法 “力”“知恵”“勇気”の何れかでグリフォンに認められる。

 

・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の条件を満たせなくなった場合。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

                            “サウザンドアイズ”印』

 

「私がやる」

 

読み終わるや否やピシッ!と指先まで綺麗に挙手したのは耀だった。

 

彼女の瞳はグリフォンを羨望のまなざしで見つめている。

 

比較的おとなしい耀にしてはめずらしく熱い視線だ。

 

『お、お嬢・・・・大丈夫か?なんや獅子の旦那よりはるかに怖そうやしデカイけど』

 

「大丈夫、問題ない」

 

「ふむ。自身があるようだが、これは結構な難物だぞ?失敗すれば大怪我ではすまんが」

 

「大丈夫、問題ない」

 

耀の瞳はまっすぐにグリフォンに向かっている。キラキラと光その目は、探し続けていた宝物を見つけた子供のようだった。隣で十六夜と飛鳥が苦笑いをする。

 

「OK。先手は譲ってやる。失敗すんなよ?」

 

「気をつけてね。春日部さん」

 

「怪我しても俺が治すから心配すんな」

 

「うん。がんばる。あと、史夜、それは必要ない」

 

「ん?どうしてだ?」

 

「怪我はしないから」

 

耀が俺に笑いかける。

 

「・・・そうだな。行ってこい」

 

「うん」

 

耀はそううなずいてグリフォンの元へ向かった。

 

耀は数メートル離れたところからグリフォンを観察する。

 

(すごい・・・ほんとに上半身が鷲で下半身が獅子なんだ)

 

鷲と獅子。猛禽類の王と肉食獣の王。数多の動物と心を通わせてきた耀だが、それはあくまで地球上に生息している相手に限る。

 

「え、えーと。はじめまして。春日部耀です」

 

『!?』

 

ビクンッとグリフォンの肢体が跳ねた。

 

「ほう。あやつ、グリフォンと言葉を交わすか」

 

白夜叉は感心したように扇を広げる。

 

ふぅ~~と耀が深呼吸する。

 

「私をあなたの背に乗せ・・・誇りをかけて勝負しませんか?」

 

『・・・何・・・!?』

 

気高い彼らにとって『誇りをかけろ』とは、最も有効的な挑発だ。それに耀は返事を待たず、交渉を続ける。

 

「あなたは強靭な翼と四肢で空を駆け抜け、あの山脈を一周し、この湖畔に戻ってくるまでに私を振り落とせばあなたの勝ち。私が背に乗っていられたら私の勝ち・・・どうかな?」

 

耀は小首をかしげる。

 

確かに、これなら力と勇気の双方を試す事ができる。

 

『娘よ。お前は私に“誇りをかけろ”と言った。お前の述べるとうり、娘一人振るい落とせないならば私の名誉は失墜するだろう。―――だがな娘。お前は誇りの対価になにを賭す?』

 

「命を賭けます」

 

「「え?」」

 

即答だった。

 

黒ウサギと飛鳥が驚いている。十六夜は普通だ。俺もだけど。

 

「だ、だめです!!」

 

「か、春日部さん!本気なの!?」

 

と黒ウサギと飛鳥が聞くが耀は無視して続ける。

 

「あなたは誇りを賭ける代わりに私は命を賭ける。もし転落して生きていても、私はあなたの晩御飯になる」

 

『・・・ふむ・・・』

 

「え!?ちょ、ちょっと!」

 

「春日部さん!!?」

 

耀の提案にますます慌てる黒ウサギと飛鳥。

 

それを白夜叉と十六夜が厳しい声で制す。

 

「双方、下がらんか!これはあの娘から切り出した試練だぞ!」

 

「ああ。無粋なことはやめとけ」

 

黒ウサギがそれになにか反論しようとするが、

 

「大丈夫だよ」

 

耀の言葉がそれを遮る。

 

そう言い、耀はグリフォンに跨り、グリフォンは空へ駆けていった。

 

「なぁ?十六夜?」

 

「ん?どうした?」

 

「春日部のギフトって・・・」

 

「ああ、そうだな」

 

やっぱり。十六夜はなにか分かっている。

 

「まぁ、すぐに分かるさ。もうすぐ耀が帰ってくるからな」

 

俺は山脈の方を見た。するとグリフォンが現れた。

 

耀は・・・失神しかけている。

 

十六夜が言う。

 

「あの山脈から吹き降りてくる風。そしてあのスピード。耀の体感温度は今、マイナス数十度ってところか?」

 

「・・・・・よくまぁそれで失神とかしないね」

 

「ああ。あいつも俺と同じくらい強いギフトを持ってるからな」

 

ん?と十六夜のほうを見るが、

 

「見て!春日部さんよ!」

 

飛鳥の声で俺は湖畔のほうを見る。

 

グリフォンがこちらに来るまであと数秒。

 

そして、グリフォンが空中でとまった。

 

なにやら耀に話しかけたような気がしたが・・・

 

次の瞬間、耀の体がグリフォンから落ちた。

 

「春日部さん!!」

 

「耀さん!!っ離してください!十六夜さん!!」

 

「まだだ!まだおわっていない」

 

十六夜が声を上げる。

 

俺は少し心配だった。

 

そしたら・・・

 

 

 

 

 

耀が空中で一回転して“大気を踏みしめるように”空中を歩き、俺たちのところへ降りてきた。

 

一番最初に耀に近寄ったのは十六夜だった。

 

「やっぱり、お前のギフトって他の生き物の特性を手に入れる類だったんだな」

 

「違う。これは友達になった証。・・・でもいつから知ってたの?」

 

「ん?ただの推測だ」

 

ケラケラ笑う十六夜。

 

そこに三毛猫がおろおろしながら言った。

 

『お嬢!!怪我はないか!?』

 

「うん大丈夫。指がジンジンするのと服がパキパキになったくらい」

 

耀は三毛猫をなでながら言った。

 

その奥でパチパチと拍手する白夜叉。そして感嘆のまなざしで耀を見るグリフォン。

 

『見事。お前が得たギフトは私に勝利した証として使ってほしい』

 

「うん。だいじにする」

 

うなずく耀。

 

そこで白夜叉が尋ねる。

 

「・・・おぬしのギフトは先天性か?」

 

「違う。これはお父さんにもらった木彫りのおかげ」

 

耀はペンダントにしていた木彫りをみんなに見せる。

 

それに白夜叉は驚く。

 

「こ、これは・・・おぬしの親は作ったものか?」

 

「うん。そうだよ」

 

「ならばおぬしの父親は天才だ!!これほどのものをつくり、ギフトとしてしまうとは・・・」

 

「?」

 

首をかしげる耀。

 

「これは系統樹の一種だ。円形なのは生命の理を示しておると思う。いやはや、まさに『生命の目録』と称してもいいくらいの代物だ!!」

 

「で、どういう力を持ったギフトなんだ?」

 

十六夜が聞く。

 

「私も細かいところまでは分からんが・・・今わかっているのが、いろいろな種と会話ができる。友になった種から特有のギフトをもらえる。ということだけだ。さすがに私でもこれ以上は・・・店の鑑定士にたのまねば・・・」

 

「え?白夜叉様でも鑑定できないのですか?鑑定をしてもらおうと来たのですが」

 

その言葉にゲッという顔になる。

 

「よ、よりによってギフトの鑑定か。もろに専門外なのじゃが・・・」

 

そこまで言って、何かを思い出した顔になる。

 

「そうじゃ!これを持っていけ!復興の前祝いじゃ!」

 

パンパンと白夜叉が手をたたく。

 

すると俺たちの前にそれぞれカードが現れる。

 

それを俺たちがとるとそれぞれ自分の名前とギフトネームが刻まれる。

 

逆廻 十六夜 ギフトネーム “正体不明”

 

久遠 飛鳥 ギフトネーム “威光”

 

春日部 耀 ギフトネーム “生命の目録” “ノーフォーマー”

 

神川 史夜 ギフトネーム “超能力の創造者”

 

これが各自が持ったカードにかかれたものだ。

 

それにしても俺の“超能力の創造者”ってなによ?

 

それに十六夜の“正体不明”って?

 

黒ウサギは驚いた声で言う。

 

「ギフトカード!!」

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「いや待てお前ら・・・」

 

もちろんわかってると思うが、上から十六夜、飛鳥、耀、俺だ。

 

「ち、違います!!このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードなのですよ!」

 

「つまりレアアイテムってことでいいか?」

 

「だからなんでそう適当に流すんですか!?あーもうそうです!超レアアイテムなんです!!」

 

そんなどうでもいい口論がこのあと、少しつづいた。

 

 

 

 

その後、俺たちは白夜叉から忠告を受け、店をあとにした。

 

そして俺たちは黒ウサギにつれられ、コミュニティの居住区画の門前にいた。

 

「このなかがわれわれのコミュニティです。ここから入って、今すんでいるところには少し歩かねばなりません。この辺には戦いの名残がまだ残っていますから」

 

「それは魔王との戦いのことだろ?」

 

「はい、そうです」

 

「魔王がどのような天災なのか見てあげるわ」

 

「俺も見てみたいね」

 

黒ウサギがためらいつつも門を開ける。そこには・・・・・

 

見渡すかぎりの廃墟が広がっていた。

 

飛鳥と耀が唖然としている中、十六夜と俺はその辺の建物へ近寄り、

 

「なぁ?黒ウサギ?魔王との戦いがあったのは何百年前だ?」

 

と十六夜が黒ウサギに聞いている。

 

「・・・僅か3年前です・・・」

 

「ハッ、そりゃおもしろいな。この状態には少なく見積もっても300年ぐらいたってるんだけどな」

 

俺は錬金術を使ってみる。

 

もちろん、普通の錬金術だ。

 

指をパチンとならす。

 

練成陣が広がる。そして本来ならばこの建物を直すはずなのだが・・・

 

「なおらない・・・か」

 

「錬金術でもなおらなかったか?」

 

「ああ、普通の錬金術じゃむりだ」

 

「と、いうわけで、黒ウサギ。錬金術でなおすのは無理そうだ」

 

「なぜなのですか?空間転移とかはできるじゃないですか?」

 

「あれは原子があるものを分解して移動させているだけだ。逆に言うと“原子がないもの”には錬金術は働かないってことだ」

 

そう、この建物、もとい廃墟の建物はすべて原子がなくなっている。形を保っているのは奇跡だ。俺の世界じゃありえない。

 

俺の世界での常識で、だが・・・

 

そんなとき十六夜が不適に笑ってつぶやいた。

 

 

「魔王―――か。ハッ、いいぜいいぜいいなオイ!想像以上に面白そうじゃねぇか・・・・!」

 

 




次回はコミュニティの中でのお話です。

ちなみに史夜が黒ウサギに
「普通の錬金術じゃなおせない」

といったのは裏を返すと普通じゃない錬金術ならなおせるということです。

黒ウサギはなにもないところから金塊を作ったことを知らないのでそれで納得します。



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