問題児たちと無から有を生み出す錬金術師が箱庭にくるそうですよ? 作:神流朝海
今回はガルドとのギフトゲームです。
この作品では主に史夜からの視点で書いてますので、本編にあった十六夜とジンの会話や飛鳥と黒ウサギの会話は抜けているところがあります。
本編を読んでいる方は分かると思いますが読んでない人は少し分かりにくいかもです。
では、どうぞ
そのあとも少ししゃべったり、ご飯を食べたりした。
俺はこんないい友達を持ててよかった。
友達っていいな。と思いながら俺はその時間を過ごした。
そして突然、俺たちの前の空間が歪み始める。
耀、飛鳥、十六夜がそろってこっちを見る。(さらに息ぴったりだ。どうしてこんなに息が合うのだろう?)
「俺はなんもしてねーよ。さ、ジンからお呼びがかかった。行くぞ」
俺はそう3人に言って、その歪んだ空間に入っていった。
「わかってるよ」
「史夜・・・ほんとすごいな」
「ほんとなんでもありよね」
その他感想を述べながら歪んだ空間に入ってくる友達。
「じゃ、行きますか」
俺たちが引きずり出された場所は今朝、ご飯を食べた食堂だった。
「す・・・すごいですね」
声をあげたのはジンだ。何を言ってるんだ?ジンが俺たちを呼び出したくせに。
まぁ、説明してないからな。
「準備は万端だ。いつでも行けるぞ」
「はい!では、行きましょう」
俺たちはガルド・・・もとい“フォレス=ガロ”とのギフトゲームを行うために“ノーネーム”本拠を出た。
行く途中に昨日俺たちがよった喫茶店の前を通るとその店の店員から
「あー!昨日のお客さん!もしかして、これから決闘ですか?」
ウェイトレス姿の猫娘が近寄ってきて、俺たちに一礼する。
「ボスからもエールを頼まれました!ウチのコミュニティも連中の悪行にはアッタマきてたところです!二一〇五三八〇外門の自由区画・居住区画・舞台区画すべてでアイツラやりたい放題でしたもの!二度と不義理な真似ができないようにしてやってください!」
それに飛鳥が苦笑しながらも強く頷いて返す。
「ええ、そのつもりよ」
「おお!心強い御返事だ!!」
満面の笑みで返す猫娘。だが、突然声を潜めてヒソヒソ言う。
「実は皆さんにお話があります。“フォレス=ガロ”の連中、領地の舞台区画ではなく居住区画でゲームを行うらしいんですよ」
「居住区画で、ですか?」
答えたのは黒ウサギだ。初めて聞く言葉に俺たちは首をかしげる。
「黒ウサギ。舞台区画とはなんだ?」
俺は黒ウサギに聞く。別に視てもいいがあれはちょっと疲れるからな。
「舞台区画とは、ギフトゲームを行うための専用区画でございますよ」
舞台区画とは、コミュニティが所有するギフトゲームを行う為の土地だ。
白夜叉みたいにゲーム盤を作る。なんてことをできる者たちは少なく、下層ならなおさらだ。
他にも商業や娯楽施設を置く自由区画。
寝食や菜園・飼育などをする居住区画など、1つの外門に莫大な数の区画があるそうだ。
「しかも、傘下のコミュニティや同士を全員ほっぽりだして、ですよ!」
「・・・それは確かにおかしな話ね」
飛鳥たちは顔を見合わせ、首をかしげる。
「そうだわ。史夜君、ガルドの考えていることを「視る」ことはできるかしら?」
「え~~俺はやりたくない。あれは少し疲れるし、それにゲームがおもしろくなくなる」
「まあ、とにかく気をつけてくださいね!」
猫娘から熱烈なエールを受け、俺たちは“フォレス=ガロ”の居住区画を目指す。
「あ、みなさん!見えてきました・・・けど」
黒ウサギは一瞬目を疑った。もちろん俺たちもだ。
それというのも、居住区が森のように豹変していたからだ。
ほんとにここ、居住区か?・・・・・さすが獣のコミュニティ・・・・・。
「いや、それはさすがにないだろ」
十六夜からつっこまれる。あれ?また心の声が漏れてた?
ツタの絡む門をさすり、鬱蒼と生い茂る木々たちを見ながら耀が言う。
「・・・ジャングル?」
「いや、だから違うだろ。耀も史夜と同じようなことを言うなよ」
十六夜がすかさずつっこみを入れる。十六夜ってつっこみキャラだったっけ?
「十六夜さんの言うとおりです。“フォレス=ガロ”の本拠地は普通の区画だったはず・・・それにこの木はまさか」
ジンはそっと木々に手を触れる。
「やっぱり“鬼化”している?いや、まさか」
「ジン君、ここに“契約書類”が貼ってあるわよ」
飛鳥が声を上げる。門柱に貼られた羊皮紙には、今回のギフトゲームの内容が書かれていた。
「ギフトゲーム名“ハンティング”
・プレイヤー一覧 久遠 飛鳥
春日部 耀
神川 史夜
ジン=ラッセル
・クリア条件 ホストの本拠地内に潜むガルド=ガスパーを討伐。
・クリア方法 ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は“契約”によってガルド=ガスパーを傷つけるのは不可能。
・敗北条件 降参か、上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
・指定武具 ゲームテリトリー内に設置。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。
“フォレス=ガロ”印」
「ガルドの身をクリア条件に・・・指定武具で打倒!?」
「こ、これはまずいです!」
ジンと黒ウサギが悲鳴のような声を上げる。
「このゲームはそんなに危険なの?」
飛鳥が聞く。
「いえ、このゲームそのものは単純です。問題はこのルールです。このルールで飛鳥さんのギフトで彼を操ることも、耀さんと史夜さんのギフトで傷つけることもできないことになります・・・!」
飛鳥が険しい顔で黒ウサギに問う。
「それはどういうこと?」
「“ギフト”ではなく“契約”によってその身を守っているのです。これでは神格でも手を出せません!
彼は自分の命を条件に取り込むことで御三人方のギフトを克服したのです!」
・・・・・は?
「黒ウサギ、それは俺たちはガルド相手に一切のギフトを使えない。使っても意味がない。ということになるのか?」
「はい。そうでございます・・・」
何それ!?超つまんね!!!
「じゃあ、どうすんだ?俺はもともと体力少ないし、飛鳥もそんな動けなさそうだけど・・・」
「私がやる。飛鳥と史夜はバックアップよろしく」
「ん、りょ~かい」
「わかったわ。春日部さん」
とりあえず俺たちの配置を考える。
耀はアタッカーだ。そして俺と飛鳥がバックアップ。それにジンも加わる。
ジンは何があっても守り抜かなければならない。それは必須だ。
これは飛鳥に頼もう。俺より適役だ。
問題は指定武具だ。俺はその指定武具を見たことがないし、なんなのかも知らない。
例えば、剣かもしれないし銃かもしれないし弓かもしれないのだ。
とにかく探索からだな。
「じゃ、十六夜、黒ウサギ、行ってくるわ」
「おう、怪我すんなよ」
「がんばってください!」
「じゃ、行くか」
「うん」
「もちろんよ」
「はい。行きましょう」
俺たちは門をくぐり、ゲームを始めた。
「・・・・・耀。ガルドの居場所分かるか?」
とりあえずまっすぐ進んできたが今更の質問だ。
「うん。というかこのまままっすぐ」
「ん、りょーかい」
俺たちはそのまま警戒しつつ、進んだ。
彼にとっては一世一代の大勝負だ。隠し玉を持っていても不思議はない。
だが俺たちはあっけなくガルドのいる館まで来た。
その間も侵入を阻むように絡み合っている木々にけっこう躓いた。
・・・・・俺だけだけど・・・・・
(これだけの量を鬼化させるなんて・・・やっぱり彼女が?)
ジンには1人だけ心当たりがあった。しかし、すぐにそれを振り払う。
彼女がここにいるはずないのだ。
「見て、館まで呑み込まれているわよ」
飛鳥の言うとおり、ひどいことになっている。
塗装ははがれ、窓ガラスや扉は砕け、壊れている。
「なかに入っても大丈夫か、耀?」
「うん。大丈夫。ガルドは2階にいるから」
俺たちは館の中に入った。
中もひどい有様だ。
それを見て、俺は疑問を口にする。
「・・・なあ?これ、ほんとにガルドが用意したものなのか?」
「・・・わかりません。“主催者”側の人間はガルドだけに縛られていますが、舞台を作るのは代理を頼めますから」
「代理を頼むにしても今まで1つの罠もなかったぞ?」
その疑問に耀が答える。
「森は虎のテリトリー。有利な舞台を用意したのは奇襲のため・・・でもなかった。
それに、それが理由なら本拠に隠れる意味がない。ううん。そもそも本拠を破壊する必要なんてない」
確かにそうだ。この豪華な本拠はガルドの自己顕示のために作られたはずだった。
彼の野望の象徴とも言えるだろう。その本拠を意味もなくこんな姿にするだろうか?
俺たちは瓦礫を掘り返してなにかヒントとかないか探した。
が、なにも見つからなかった。
もしかしたら1本の針かもしれないし、大きな鉄の塊かもしれない。
そんな不利な条件でゲームに挑んでいるのだ。
慎重にしてもマイナスにはならない。
「これから2階に上がるけど、飛鳥とジンはここで退路を確保しといてくれ」
「なにを言ってるの?私も行くわ」
「僕もギフトは持っています」
「いいや、ここから先はなにがあるかわからない。だからもし、逃げる必要があるとき、ここが使えなかったら・・・と考えるとやっぱりここは確保しておいてもらいたい」
「私たちはゲームのヒントを探してくるから少し待っててくれる?」
「・・・わかったわ。ジン君、ここは残っておきましょう」
「・・・わかりました」
飛鳥とジンはしぶしぶここで待つことにした。
俺と耀は根に阻まれた階段を音をたてずにスラスラ歩く。階段を上った先にあった最後の扉の両脇に立って俺と耀は機会を窺う。意を決した2人が中へ飛ぶ込むと、
「ギ・・・・・」
「―――・・・GEEEEEYAAAaaaa!!!
言葉を失った虎の怪物が銀色に輝く十字剣を背に守って立ちふさがった。
場所は変わって門の前。
門前で待っていた黒ウサギと十六夜の前に獣の咆哮が届く。
森に忍び込んだ野鳥たちは一斉に飛び立ち、一目散に逃げていった。
「い、今の凶暴な叫びは・・・?」
「ああ、間違いない。虎のギフトを使った耀だな」
ああ、俺久しぶりにボケたな。
「あ、なるほど。ってそんなわけないでしょう!?幾ら何でも今のは失礼でございますよ!?」
ウサ耳を逆立てて怒るウサギ。
もちろん俺も本気で言ったわけじゃない(ほんとだったらおもしろそうだが)
俺は肩をすくませ、訂正した。
「じゃあ、ジン坊っちゃんだな」
「ボケ倒すのもいい加減にしなさい!」
黒ウサギが専用のハリセンでツッコミをいれてくる。そうとう暇をもてあましていたのだろう。
まあ、俺もだが。
それよりも、
「おもしろそうなゲームだよな。なあ?俺も審判のお付きってことで見に行けなのか?」
「だからだめなのですよ。ウサギの素敵耳はここからでも大体の情報が分かってしまいます。
状況が把握できないような隔絶空間などでなければ進入は許されていません」
俺は門に絡まっている木をへし折ってそれを引き裂きながら言う。
「はぁ~・・・貴種のウサギさん、マジ使えね」
「せめて聞こえないように言ってください!!本気でへこみますから!!」
ぺしぺしとたたく黒ウサギ。
だが、状況が分かってしまう黒ウサギは内心、ハラハラしながら4人の無事を祈っていた。
(この鬼化植物・・・必ず彼女がかかわっているはず。ならゲームは公平なルールで掲示されているはずです。4人とも、どうかご無事で)
「―――・・・GEEEEEYAAAaaaa!!!」
場所は戻って館の2階。
今俺たちの前にいるのは昨日見たような黄色い虎ではなく、白い虎だった。
目が赤い。・・・なにかに寄生されたか?いや、違うな。これは自らの意思で取り込んだな。
「耀、どうする?」
「私があの剣をとりに行く。その間虎をお願いできる?」
「ああ、余裕だ」
「じゃあ、お願い・・・行くよ!」
耀は剣に向かって、俺は虎にむかって走り出した。
確かガルドは俺のギフトじゃ“傷つけること”ができなかったんだよな。
ならば傷つけなければいいだけの話!!
俺は馴染みの錬金術を使う。そして結界と氷を構築していく。
その間にも白い虎はこちらに向かって突っ込んでくる。
俺は結界を発動させ、ガルドを止めようとする。
が・・・・・
「なに!!!?」
俺の結界がいとも簡単に食い破られた。
結界を崩されたことで次に用意していた氷の錬金術も消えてしまった。
!?まずい!避けなければ!だがやつの牙がすぐそこにせまる・・・
やばいやばいやばい!!首を噛み付かれたら意識がとんで治療できなくなる!!
俺は急いで緊急転移魔法を展開しようとした。
だが、その必要はなかった。
耀がものすごいスピードで戻ってきて俺を引っ張って部屋から連れ出したのだ。
「・・・なんつーか、ありがと。耀」
「ううん。友達だから。友達を助けるのは当たり前でしょ?」
それに俺は小さく笑って、
「・・・ん、そうだな。ありがと耀。次は俺が守る」
「じゃあ、そのときはお願いね・・・と飛鳥のところへ戻ろうか」
「そうだな」
今回はここで終わりです。
ガルドとのギフトゲームやっぱり2話になりそうです。
ガルドとのギフトゲームは主に史夜と耀ががんばります。
飛鳥やジン?もがんばらせま~す
なにか問題とかありましたら感想までお願いします。
問題とかなくても感想お願いします