問題児たちと無から有を生み出す錬金術師が箱庭にくるそうですよ?   作:神流朝海

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こんにちわ。
今日も息抜きです。
史夜「また、か」
耀「また、だね」

・・・ちょっと待とうか。今あんたら気絶して寝てるよね?なんでここに入ってくるの?
史夜「別にいいじゃん。ハーメルンのギフトゲーム終わるまで出ないんだし」
耀「そうだよ。私は少しでるけど、もうほんと、ひまでひまで・・・・・お腹が空く・・・」

いやそうだけどってちょっと待って!?お腹空くってなに!?
・・・・・
ということで一時史夜と耀お休みです。(次回、耀は少しでるよ)


キャラの容姿紹介
結哉のイメージがまだ定まらないので、次は史夜の母親、神川真夜です。
魔法科高校の劣等生に登場する、藤林響子さんです。
あんな感じですね。性格もあんな感じ?です。

では、どうぞ


月と大河 赤藍と白 鉄と笛

ズガアァン!!

「何!?」

全力の助走から跳躍した十六夜は、瞬きする間もなく男の前に現れ、第三宇宙速度を遥かに凌駕した速度で男を境界壁に叩きつける。

巨大な亀裂と共に嘔吐いた男は、獰猛な視線で十六夜を睨んだ。

「き、貴様ッ!?」

「会いたかったぜ魔王様。俺にも一曲恵んでくれよ」

 

やっと魔王と手合わせできる。俺はそのことに喜び、ヤハハと笑う。

しかしさすが魔王様。傷一つねぇ。

「舐めるな、この糞ガキ!!」

軍服の男が棍のような笛を一振りすると、不気味な風切り音が響く。

すると境界壁の岩壁は生き物のように蠢きだし、境界壁に足をつっこみながら走っていた俺の足を止めた。

その間に距離をとられる。この距離なら1秒もかからずに攻撃できるが、相手になにかまだ能力があるかもしれねぇからな。

まだ、踏み込まない。せっかくの魔王との手合わせだ。力を全部出し切る前に終わっちゃ、つまんねぇ。

 

「・・・やってくれるじゃねぇか。まさか先手を取られるとは思わなんだ」

「そりゃどうも。『意外性に富んだ男の子』ってのが通知表の評価でね。良くも悪くも期待を裏切ることには定評があると自負している」

・・・まぁ、通知表は中学そこらしか、まともなのがないけどな。・・・いや、周りから見ればまともかどうかわからんが。

「ハハ、そりゃいい評価だな」

「ヤハハ、ついでに頭もいいぜ?―――1248年 聖ヨハネとパウロの記念日。色とりどりの衣装で着飾った笛吹き男に130人のハーメルン生まれの子供らが誘い出されコッペンの近くの処刑の場所でいなくなった。ハーメルンの伝承には数多の考察がある」

「さすがにそれくらいは知ってるか、糞ガキ」

「当たり前だろ。常識だ常識。まぁ他にももう1人、頭の切れるやつがいてな。そいつと話し合い、推測を出し合った。その推測の中で最も俺とあいつが正解に近いと思っているのが、お前らがハーメルンに出てきた数多の考察の内のどれか、130人の子供たちを殺した殺し方が霊格化しているのではないか?という推測だ」

軍服の男の顔が驚愕に歪む。

なるほど。図星ってところか。

ならさっきの能力で、ハーメルンのたくさんの考察の中から推察するにたぶん、あいつの名前は、

「ヴェーザー、だろ?」

「!!?」

再び、男の顔が驚愕に歪んだ。

「ハーメルンの伝承にはさっきも言ったが、数多の考察がある。人攫いのような人為的なものから神隠し、黒魔術などetc・・・。その中にはハーメルンの街のすぐ傍を流れているヴェーザー河も含まれている。自然災害などの天災だ。例えば、あんたがこの岩壁を歪ませた力は、土砂崩れや地盤の崩落などを形骸化した霊格だと推測ができる。だから、お前はヴェーザー河の化身ってことになるんだが、どうだ?お前の正体についてはほぼ一〇〇点だろ?」

俺の推測を黙って聞いていたヴェーザーが口を開いた。

 

「チッ。只の糞ガキかと思ったら・・・随分と頭が回るじゃねぇか。もう1人の頭の切れる奴もな」

「そうかな?」

「ああ。・・・まっ、ルールがルールだからな。見どころもあるし、一応聞いておくが、」

「断る」

「早ええなオイ!」

「わかりきっている問答に付き合う趣味はねぇからな。つーか幻滅させないでくれよ魔王様。ゲーム開始早々に降伏なんて求められたら、興ざめするだろ?此方は魔王会いたさに異世界からやってきたんだぜ?」

偽りのない言葉を言う。故郷の世界を捨て、箱庭に訪れてからの一ヶ月―――魔王のゲームに参加することが夢の一つだった。

「・・・ほお?それは失礼したな坊主」

ヴェーザーは獰猛に笑い棍の様な笛を大きく振り回す。

甲高い音が一帯に響き渡ると、岩壁は大きく変動してその場に平面の足場を作り出した。

「坊主の期待に応える意味で、一つ誤りを正す。―――俺は魔王じゃねぇ。只の木っ端悪魔さ。俺らの魔王閣下は、向こうで街を破壊している2人のどちらかだ」

俺は促されるまま街のほうを見る。

巨大な白い化け物は結哉とサンドラが、白い斑模様のワンピースを着た少女はレティシアが、布の少ない白装束を纏う女は飛鳥が今交戦中だ。

レティシアは少し押されているのか。・・・?

くそ。魔王は向こうにいたのか。俺、あっちに行けばよかった。

という思いを舌打ちに乗せ、外へ出す。

「そうかい。じゃあ前座をさっさと済ませねぇと、魔王様に失礼って話だ」

「馬鹿を言え。前座はゲームを盛り上げるのが仕事だ。いいクライマックスはいい前座がいるからこそ映えんだよ。―――ま、坊主じゃ役者不足かもしれんがな」

「ヤハハ、言ってくれるじゃねぇか」

 

俺が構えると同時に奴も構え、同時に走り出す。

激突の衝撃に耐えられないのか、境界壁の壁に亀裂が入り、岩塊が落ちてくる。

俺の山河を砕く拳を、あいつは笛で受けきった。大きく後退したが、四肢は踏みとどまっている。

俺の拳を正面から受けることができたのは、“ペルセウス”の元魔王・アルゴール以来のことだ。

・・・結哉を除けば、だが。

「ハッ、確かにいい前座になりそうだ・・・!」

「チッ、それはこっちの台詞だ糞ガキ―――!」

 

怒号一閃、棍術のような巧みさで巨大な笛を薙ぐ。

上空千メートル地点、月と大河の激闘が始まった。

 

 

一方そのころ、黒ウサギに2人を任せて外へ出た海晴とジンは、白夜叉のもとへ向かっていた。もちろん術式で空を飛んで。

「場所は・・・たぶん運営本陣営にいると思います」

「じゃあ、そこへ向かって行く・・・かな?」

とりあえず白夜叉にナニがおきているのか聞かないと・・・え?

「黒い・・・「契約書類」」

「・・・魔王が!?急いで白夜叉様に報告を―――」

「いや、ジン君、報告しなくていいよ。白夜叉は知ってたから。だから君たち“ノーネーム”を呼んだんだけど」

「・・・!じゃあ、ここへ来るとき白夜叉様が話そうとしていたことは」

「そうだよ。君たちに魔王を倒してもらえないかな、と依頼をしようとしてたところなんだ」

「そうなんですか・・・あ、見えてきました!」

 

運営本陣営が見えてきた。ふと周りを見渡すと、赤いドレスを着ている人物が白装束の女と戦っているのが見えた。

それに、影の翼らしきものが黒い霧と闘っているのも。

そして赤い炎と碧い文字が、白い巨兵を壊してまわっている。

その人物は、飛鳥に、レティシアに、サンドラに、・・・あと1人は初めて見たけど、

「あの人たちなら大丈夫でしょ」

「え?」

 

隣にいるジンには聞こえたのか、ジンが声を上げる。

私はその声に反応せず、白夜叉の下へ飛んだ。

 

 

「サンドラ、大丈夫か?」

「大丈夫です。まだまだ行けます!」

「そうか。じゃあ・・・レティシアの助けに入ってくれ」

「え?だってまだたくさん―――」

「こんな雑魚如き、俺1人でも大丈夫だよ」

もう数十体は倒して、俺らには少し余裕があった。

見る限りレティシアが苦戦してそうだ。魔王はあれだな。

飛鳥の方も、まだ大丈夫だろう。さっき向こうの広場に走っていくのを見た。

それに飛鳥には「ディーン」があるし―――

 

「DeeeeeenN!!」

 

・・・大丈夫そうだな。

「わかりました。結哉さんもお気をつけて」

「はは、サンドラが一番気をつけるところだぞ?“階層支配者”なんだからな」

「そうですね。では、残りをお願いします!」

「おう、まかせとけ」

サンドラがレティシアの助けに向かった。これで少しはレティシアも楽になるだろう。

「BRUUUUUUUUUM!!」

「はいはい。わかってるよ。お前らなんかすぐに消してやるよ」

『求めるは縛死>>>・水藍花』

 

突然地面から水で出来た花が飛び出し、白い巨兵を束縛する。

「締め上げろ」

俺の一言で、束縛した水の花が、白い巨兵を締め上げる。

やがて、ピキィィィィという音と共に、白い巨兵が砕ける。

「・・・やっぱ惨いな。こういう魔法を公開してこなくてよかった」

捨ててきた世界のことを心配しながら、俺は白い巨兵と砕き続けた。

 

 

「あなた、思ったよりかわいいわね」

「あら、それはどうも。でも、かわいさなら耀さんに負けるわ」

「あら、それだったら、その人を連れてきてくれない?」

「残念だけど、今ここにはいないわ」

「それは本当に残念。じゃあ、あなたを私の玩具にしてあげる」

「私はそんなにあまくなくてよ?」

白装束の女が笛を吹き始める。

近くを逃げ回っていた火蜥蜴がその音につられ、操られる。

「ディーン、出番よ!」

「DEEeeeeeeeeeN!!」

「え・・・なによ、それ?」

「ふふっ、“ラッテンフェンガー”が私に預けてくれたディーンよ」

「・・・あの偽者が!!」

「さぁ、始めましょう。私が優勢のようだけど。ディーン、敵を倒しながらあの女を捕まえなさい!」

「DeeeeN!!」

 

尚も白装束の女は笛を吹き続ける。

とてもきれいで、とても聞いていて気持ちいい。

けど、私はもう操られない。ただ操られるだけの人形になるのは、もう嫌だ。

「ああ、まずいです!マスター!」

「まったく、しょうがないわね」

「え?」

そのマスターと白装束の女に呼ばれた斑模様のワンピースの少女は、レティシアと交戦中だったはずだ。

どうしてここに?

「あの吸血鬼なら向こうにいるわよ。ラッテンを失うのはもったいないから、少し足止めしてきた」

「マスターがそんなことを言ってくれるなんて・・・」

「あのレティシアが!?・・・」

レティシアが足止めされた?この少女に?

「あなた、おもしろそうね」

「・・・そうかしら?」

 

 

「っ、ジン君、やっぱりちょっと予定変更。白夜叉の下へは1人で行って」

「え?ど、どこに行くんですか?」

「飛鳥が少しまずいことになってそう。レティシアが相手のギフトに足止めされて、飛鳥が一対ニの状態になってる」

「ま、まずいじゃないですか!?」

「だからジン君、1人で行けるよね?あ、ちゃんと術式と防護術式かけとくから」

「は、はぁ。ありがとうございます」

「もしもの時は自分でどうにかしてね。じゃあ」

「は、はい。気をつけて」

ジンを白夜叉の下へ向かわせ、私は飛鳥のところへ急ぐ。

「シュヴァル、お願い。飛鳥を守って」

「・・・わかった」

「ありがとう」

召喚術でシュヴァルを召喚し、飛鳥の護衛にあたらせる。これで確実に私が行くまでは持つ。・・・私が行かなくても結界もちそうだけど。

 

 

「・・・なに!?」

「え?なに、これ?・・・誰?」

私の周りに薄い水色の膜が現れる。同時に私の隣に人らしき生物も。

「・・・私はシュヴァル。主の命により、飛鳥、あなたを守護する」

「主の命・・?」

「シ、シュヴァルだと!?」

「マスター!?どうしたんですか?」

斑模様のワンピースの少女が顔を歪める。

「・・・“黒死病”ではないか。あのとき以来か」

「「え?なに?知り合いなの?」」

私の声とラッテンと呼ばれた白装束の女の声が、完全にかぶった。

 

 

「レティシアさん!大丈夫ですか!今結界を解きます!」

「ああ、すまない。サンドラ」

結哉にレティシアの助けに入れ、といわれてレティシアのもとへと来ると、タイミングがいいのか悪いのか、あの魔王がもう1人の仲間のところへ飛び立った後だった。

「私としたことが・・・こんな結界すら解けないとは」

「いいえ、あの結界は内側にいる者の力を一時的に下げる、という結界でしたから、内から破るのは」

「そうか。しかし助かった。すぐに追わねば」

「私も手伝います」

「ん?シュトロムの方は、結哉1人でいいのか?」

「シュトロム・・・?あの白い巨兵のことですか?それなら、結哉さんが俺にまかせとけ、と」

「そうなら、大丈夫だろう。行くぞ」

「はい!」

 

 

「知り合い・・・というか、天敵みたいなやつよ」

「・・・お互いにとってな」

「あの、“黒死病”っていうのは?」

「・・・十四世紀後半に大流行した病気だ。だいたいは“ペスト”と呼ばれる」

「なんで、お前がここに・・・?」

「私が呼んだからだよ?」

「「「!?」」」

ペストと呼ばれた少女、ラッテンと呼ばれた女、そして飛鳥が一斉に声がしたほうを振り向く。

「大丈夫だった?飛鳥」

「え、ええ。大丈夫よ」

「じゃ、まぁとりあえず、シュヴァル」

「・・・・・」

シュヴァルが結界の範囲を広げる。ペストやラッテンにもあたるように。

「シュヴァルがでてきたなら、出し惜しみしてる場合じゃないわ。ラッテン、赤い子をよろしく」

「了解です!マスター!」

「飛鳥、ラッテンって呼ばれてる人よろしく」

「わかったわ」

 

2人が離れていく。私たちは、ペストと向かい合い、戦闘態勢をとる。

「頼むよ。シュヴァル」

「・・・わかった」

シュヴァルが結界を広げようとした瞬間、激しい雷鳴が轟いた。

その雷鳴を幾度も放っていたのは、黒ウサギの持つ“擬似神格・金剛杵”だった。

黒ウサギは輝く三叉の金剛杵を掲げ、高らかに宣言した。

 

「“審判権限”の発動が受理されました!これよりギフトゲーム“THE PIDE PIPER of HAMELIN”を一時中断し、審議決議を執り行います!プレイヤー側、ホスト側は共に交戦を中止し、速やかに交渉テーブルの準備に移行してください!繰り返します―――」

 




サブタイトルのわりに戦闘あまりしてない・・・
十六夜もがんばれてない・・・
いろいろやることがあって、ストーリーが進まないですね。すみません。
「シュヴァル」のことなどについては、後々、書きたいと思います。

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