問題児たちと無から有を生み出す錬金術師が箱庭にくるそうですよ?   作:神流朝海

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こんにちわ

飛鳥の強引さ・・・やっぱちょっと強引すぎるかも
飛鳥の謎能力についてはまたいつか書こうと思います。

今まで伸ばしたのにあっさり終わったなって感じしょうか?


では、どうぞ


ギフトゲームの終了

「で、どうかしら?」

「・・・・・」

 

ほんとは十六夜君を傷つけたやつらとは仲良くなりたくないのだが、これが一番早く、誰も傷つかないやり方だと、私は思う。

 

「ほら、ついてらっしゃい」

「え、あ、ちょ」

「あ、飛鳥殿」

「ほら、レティシアも行くわよ。まずは十六夜君のところへ」

 

2人の手を強引に引っ張り、十六夜君のところへ向かった。

 

 

「で、そうなったわけか」

「そうよ。どうかしら?十六夜君もこんな人と毎日手合わせできたら暇が少しはなくなるでしょう?」

「・・・それもそうだな。よし、お前ら。俺らのコミュニティに来い」

「・・・ラッテン。いったいどうしてこんなことになっちまったんだ?」

「私が知りたいわよ」

「ほら行くぞ2人とも。飛鳥、ディーンに乗ってもいいか?」

「ええ、いいわよ」

「お か し い だ ろ う!?な、なんでこれで収まるのだ!?」

 

レティシアが驚愕の声を上げている。

それもそうだ。“魔王”と和解しようというのだ。

今までそんなことは考えもしなかった。

いや、“魔王”と和解しようなど、考えるはずがないのだ。

なぜだろう?飛鳥殿は主殿が倒れたときから、とても強くなった気がする。

 

「ほら、レティシアも行くぞ」

「・・・あ、ああ」

 

そんなこんなで、十六夜とヴェーザーを回収した飛鳥は、ペストたちのところへ向かった。

 

 

「おい、ちょっと聞いてもいいか?飛鳥」

「え?なにかしら、結哉君」

「なにかしら、じゃねぇええ!!?なんでこいつらと和解してんだよ!?つーかどうしたんだよ!?」

「ちょ、ちょ、確かに黒ウサギはリーダーの素質があると申しましたけど!なんで今ここでそうなるんですか!?」

「なんでって言われても・・・ね、十六夜君」

「ふーん。そうだな。成り行きってやつだ」

「十六夜さん!てきとうすぎです!」

「・・・え?一体、どうなってるの?」

 

1人、サンドラが困惑している。

いや、俺ももちろん困惑している。

だって、ヴェーザーとラッテンが敵対してない。

このゲーム、どうなるんだ?

 

『どう思う?ルフレ』

『・・・僕もすごい驚いているんだけど』

『だよな。よし、ここは和解でもするか』

『それが一番早いと思うよ』

 

ということで和解をしよう。

よし、決定。

 

「ん~、なんだ。なぁ、ペスト。和解しないか?」

「・・・ふざけてるの?」

「いや、ふざけてるもなにも―――」

「ペストさん、私たちのコミュニティに入らない?」

「「・・・は?」」

「聞こえなかった?私たちのコミュニティに入らないか?と聞いているのよ」

「本気で言ってるの?たとえ私がそんな風に勧誘を受けても、“ノーネーム”に入るわけ―――」

「違うわ。私のコミュニティは“グリム・グリモワール”よ」

「「「な!?」」」

 

声をあげたのはペストと俺と黒ウサギ。

・・・まじで?

やばい。読み合いのゲームなら、飛鳥に負けるかも・・・

 

「な、なにを言ってるんですか飛鳥さん!!?」

「黒ウサギは少し静かにしておいて。私はペストに話しかけてるの」

「・・・で?そのあなたのコミュニティに入れ、と?」

「そうよ。どうかしら?私は、“グリム・グリモワール”を楽しい、みんなで笑っていられるような、そういうコミュニティにしたいと思ってるわ」

「・・・・・・」

「入らないのであれば、それでもいいと、私は思うわ。怠惰な太陽に復讐する。そのためにこうやってゲームで人材を集める。でも、その時、あなたが負けたら、どうするの?亡くなっていった8000万の人々の思いを、そこで切るの?」

 

その私の言葉に、ペストの表情が少し歪むのが、わかる。

 

「あなたは1人じゃない。みんながいる。そのうち大切な人もできると思うわ。だから、いつか怠惰な太陽に復讐できるくらいに強くなったら、そうすればいい。でも、それは“黒死斑の魔王”としてゲームを挑むのではなく、“グリム・グリモワール”として、ゲームをしましょう」

「・・・・・わかったわ・・・・ありがとう」

 

ペストがにこやかな顔で、言った。

 

 

 

それから、ゲームは参加者側の勝利で終了。

ペストにかかっていた。人たちも、元気になった。

場所は、境界壁・舞台区画。“火龍誕生祭”運営本陣営。

ゲーム開始より数時間後、ハーメルンの街は崩壊し、もとの街並みにもどっていた。

 

運営本陣営に集まった人たちに、白夜叉があいさつをしていた。

 

「皆、よく戦ってくれたの。東のフロアマスターから礼と・・・お詫びを告げねばならんの。偉そうにふんぞり返っておきながら、私は終始封印されたままであった。いや、まったくもって申し訳なかったのぅ」

恥じ入る白夜叉に、批難の声はない。

最強の“階層支配者”である彼女の信頼は、その程度で揺らぐモノではなのだろう。

白夜叉の謝礼が終わると、サンドラが前に出て、両手を広げる。

 

「―――魔王のゲームは終わりました!我々の勝利です!」

ワァッと歓声が上がった。

マスター達の言葉を聞いてようやく勝利を実感できたのだろう。

呪いから開放されたもの。

同士の命が救われて涙するもの。

魔王の脅威が去ったことで安堵するもの。

それらを温かく見回した白夜叉は、参加者に号令を出す。

 

「傷ついたものはすぐに手当てを。無事なものはそれに手を貸すのだ。それが終わったら・・・魔王を倒した功績の授与と、祝勝会を兼ねた誕生再の続きだ。覚えのあるものはドキドキワクワクソワソワして待っておるがいいぞ♪」

白夜叉の期待させるような号令に、一層大きな歓声が上がる。

各コミュニティは一斉に活動を始め、ゲームの後始末を始めるのであった。

 

 

―――境界壁・舞台区画・暁の麓。美術展、出展会場。

参加者達が祝勝会の準備を進めている最中、私はヴェーザーとラッテンとペストと共に、大空洞まで来ていた。

大空洞の中心。ディーンが展示されていた場所まで来た私たちは、最奥の岸壁の隠し扉を開けて進む。

境界壁の中だというのに、太陽の光りが差し込んでいた最奥。

そこまで来た私は、ふっと呟く。

 

「・・・ごめんね。ハーメルンは、“グリム・グリモワール”は私が統べることになっちゃったわ」

「いいえ。あなたが統べてくれるなら、私たちは安心して元の事時代に帰れます」

 

数多の声が空洞内に響く。

 

「私もごめんね。あなたたちを殺そうとして」

「・・・兄弟に殺されるなら、まだよかったですよ」

「・・兄弟?」

「それってどういう意味だ?」

「あなたがた、ラッテンとヴェーザーは同じ伝承から生まれた悪魔。伝承を作った私達と兄弟なのです」

「・・そうだったの?なら、あなたたちも一緒のコミュニティに入らない?」

「「「―――・・・」」」

 

群体精霊たちの雰囲気が変わる。

敵意があるわけではない。困惑している、という感じだ。

 

「・・・飛鳥。貴女の誘いはとても嬉しい。その言葉だけで、長かった旅が報われた」

「それでも我々は戻らねばなりません。後の時代を紡ぐために」

「そんな優しい貴女だから、どうか最後に聞いてほしい。死者も神隠しも存在しない―――もう一つの、“ハーメルンの笛吹き”の可能性を」

 

群体精霊たちは大空洞を輝きで満たし、ハーメルンの笛吹きの可能性を掲示する。

 

―――一二八四年 聖ヨハネとパウロの記念日 六月二十六日

   あらゆる色で着飾った笛吹き男に一三〇人のハーメルン生まれの子供らが誘い出され、

   丘の近くの処刑場で姿をけした―――

 

この碑文の、最期の解釈。

それは即ち―――一三〇人の子供が新たな土地で、自分達の街を造ろうとしたというもの。

親元を離れ、ヴェーザー河を下り、笛を吹きつつ、歌いながら未踏の地を目指した子供達。

他の誰でもない、自分達で一から造り上げた街という名のコミュニティ。

つまり笛吹き男とは、新たに造られた街のリーダー的存在だったのだという伝承。

 

「飛鳥。我々にも帰らねばならないコミュニティがあるのです」

「一二八四年のあの日に」

「我々が旗揚げした、第二の故郷へ」

「・・・・・、」

 

そう、と私は小さく呟いた。

彼らは私と違い、全てを捨てて箱庭に来たわけではない。

むしろ箱庭という場所に無理やりつれてこられて捕らわれていたのだろう。

 

「なら仕方ないわ。貴方たちの街造りがうまく行くように、箱庭から願ってます」

「・・・ありがとう、飛鳥」

「そんな貴女だからこそ託せます」

「紅い鋼の巨兵・ディーンと―――一三一人目の同士を!」

 

え?という言葉は、激しい風と共に掻き消された。

開放された群体精霊の霊格は、徐々に一つの人型を形成し始める。

光りの中から現れたのは、とんがり帽子の精霊。飛鳥に懐いていた、あの幼い少女だった。

消えた群体の声が反響する。

 

『―――我々が後の世に授かる開拓の功績をその子に授けました。私達が箱庭に残せる、最後の生きた証。貴女に託します―――』

 

それっきり、大空洞から群体の気配は消えた。

残されたのは、私の手の平に残る、とんがり帽子の精霊だけだった。

眠たそうに目をこすった幼い精霊は、ゆっくりと体を起こし、

 

「・・・あすかー?」

「・・・。ええ。おはよう、メルン」

「めるん?」

「そう。貴女は“ハーメルンの笛吹き”の正当な功績を継いだ地精そして今から―――私たちの同士よ」

 

私の言葉に、んー・・・と小首を傾げるメルン。

周囲を見回し、ゆらゆらと頭を左右にゆらして考えた後、

 

「―――はい!」

 

満面の笑みで、元気よく返事をした。

 

 

 

ゲーム終幕より四十八時間後。

俺は、今、執務室にいた。

 

「で、マンドラ。聞きたいことがあるっていうのはわかってるよな?」

「・・・ああ」

「じゃあ、聞くぞ。なんで魔王を祭りに招き入れた?」

「俺もそれは聞きたいぜ」

 

屋根裏から十六夜が降りてくる。

なんでそんなとこにいるんだよ。

 

「・・・・・」

「答えないのか。じゃあ、質問を変える。このゲームで参加者、あるいは“サラマンドラ”の連中が死んでたら、どうするつもりだったんだ?」

「・・・参加者はなにがあっても助けるよう、最初に同士に言っておいた」

「答えになってねぇぞ。“サラマンドラ”の連中はどうする気だったんだよ」

「・・・同士は、サンドラ以外このことについて知っていた」

「へぇ?俺らがいなかったらつんでたぞ。このゲーム。死ぬ可能性があるのに、わざわざ魔王を呼び込んだのか?」

「いや、もう答えなくていいぞ。マンドラ」

「は?おい結哉」

「そこはもういいや。結果的に誰も死ななかった。もし死んでたらサラマンドラ潰してたけどな。そろそろ帰るか。あ、そうだ」

 

そう冷たく言い放ち、そしてすぐ普段の口調に戻り、執務室から出ようとして、止まる。

 

「俺らのコミュニティ、“ノーネーム”だろ?これからも魔王と戦っていく方針なんだそうなんだが、その時、もしも俺らになんかあった際、一番に駆けつけろ。それで、今回のことはなかったことにしてやるよ」

「まったく。お前とは仲良くやっていけそうだな。まったく同じこと考えてやがる」

 

少し納得がいかない様子で十六夜が言う。

俺と十六夜はそのまま執務室から出る。

最後に、マンドラの言葉を聞きながら。

 

「―――御旗に誓おう。その時こそ、“サラマンドラ”は秩序の守護者として駆けつけると」




ということで二巻終了です!!
長い!長すぎる!二巻まで終わるのに31ページ!?
次はおまけ、といいますか、書いてなかった部分を書こうと思ってます。

読んでくれてありがとうございました。
問題とかありましたら感想までお願いします。
感想書いてくれたらうれしいです!
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