問題児たちと無から有を生み出す錬金術師が箱庭にくるそうですよ?   作:神流朝海

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こんにちわ。
そしてお久しぶりです。
無事高校合格できました。
これから更新スピードは上がる・・・?かと思います。

今回時間はペルセウスのギフトゲームが終わった辺りまで戻ります。

では、どうぞ。


歓迎会と流れ星

レティシアの受難はむしろそれからだった。

所有権が“ノーネーム”に移ったまでは、本当によかったのだ。

“ペルセウス”に勝利した6人は、レティシアを広間に運び、石化を解いた途端、問題児3人(4人?)は口を揃えて、

 

「「「「じゃあ、これからよろしく」メイドさん」」」

 

「え?」

「え?」

「は?」

「・・・え?」

「え?じゃないわよ。だって今回のゲームで活躍したのってジン君と私たちだけじゃない?貴女はホントにくっついてきただけだったもの」

「うん。私も史夜もがんばって透化のギフト手に入れたし」

「つーか挑戦権持ってきたの俺だろ。所有権は俺たちで当分、俺、飛鳥、史夜、耀の順で3:3:2:2でもう話はついてんだ。ジンはこの前の水樹の件でチャラな」

「なにを言っちゃってんでございますかこの人たち!?」

「・・そんな話俺は聞いてないんだけど」

「あ、ごめん。私がOKしといた」

 

どうやら勝手にOKされていたらしい。

もはやツッコミが追いつかないなんてもんじゃない。

黒ウサギは完全に混乱していた。

ついでにいえばジンも混乱していた。

唯一、当事者であるレティシアだけが冷静だった。

・・・なんでそんなに冷静なんだよ?

 

「ん。・・・ふ、む。そうだな。今回の件で皆に恩義を感じている。コミュニティに帰れたことに、この上なく感動している。だが親しき仲にも礼儀あり。コミュニティの同士にもそれを忘れてはならない。君達が家政婦をしろというのなら、喜んでやろうじゃないか」

「レ、レティシア様!?」

「俺はそんなこと言ってないぞ。っていうか本気なのか?」

「うむ。本気だ。それで、あなたは見たことがないのだが・・・」

「あぁ、俺は神川史夜。これからよろしくな」

「うむ。よろしく頼む」

 

そんなやりとり・・・自己紹介をしているうちに、飛鳥がなにやら服を準備し始めた。

メイド、というものは俺にはよくわからないのだが・・・。

 

「私、ずっと金髪の使用人に憧れていたのよ。私の家の使用人ったらみんな華も可愛げも無い人たちばっかりだったもの。これからよろしくレティシア」

「よろしく・・・いや、主従なのだから『よろしくお願いします』のほうがいいかな?」

「使い勝手がいいのを使えばいいのよ」

「そ、そうか・・・いや、そうですか?んん、そうでございますか?」

「黒ウサギの真似はやめとけ」

「そうだぞ。っていうか俺にはそんな風に接しなくていいからな」

 

ヤハハと笑う十六夜。

変な言葉を使われても困るので、一応こういっておく。

俺はそんな風に接されるのはあんま好きじゃないからな。

ふと黒ウサギのほうを見ると、黒ウサギは力なく肩を落としていた。

黒ウサギには苦労をかけるな。

がんばれ、苦労サギ・・・(誤字じゃないよ)

 

 

 

―――“ペルセウス”との決闘から三日後の夜。

子供達を含めた“ノーネーム”一同は水樹の貯水池付近に集まっていた。

その数一二七+一匹。数字だけ見ればそこそこ力のあるコミュニティと呼べるだろう。

 

「えーそれでは!新たな同士を迎えた“ノーネーム”の歓迎会を始めようと思います!」

 

ワッと子供達の歓声が上がる。

周囲には運んできた長机の上にそこそこ豪華な料理が並んでいる。

本当に子供だらけの歓迎会だったが、それでも悪い気はしてこなかった。

 

「だけどどうして屋外なのかしら?」

「うん。私もそう思った」

「黒ウサギなりに精一杯のサプライズってところじゃねぇか?」

「そうかもな。それに料理もうまいしな」

「へ?もう食べたの!?私も食べにいこ」

 

すたすたと耀が料理に向かって走っていく。

料理もうまかったし、結構手間がかかってそうだ。

だが実をいえば、“ノーネーム”の財政は想像以上に悪かった。

あと数日で金蔵が底をつくぐらいに。

もちろん、俺が金塊をつくればいいんだが、そんなこと十六夜が許さないだろう。

俺たちが本格的に活動を開始しても、百人を超える子供たちを支えるのは少し厳しいかもしれない。

ましてやその中で、魔王との戦いや仲間達の救出を行わなければならないのだ。

・・・お、あれって・・・あぁ、なるほど。

よし、じゃあ術式を組み上げるか。

俺は術式を組むために、少しみんなから離れた。

 

 

あれ?史夜なにしにいくんだろ?

料理をパクリと食べながらそんなことを思う。

史夜の言うとおりこの料理結構おいしい。

さらにおいしいのを見つけたから史夜にも食べてもらおうとを思ったんだけど・・・

 

「ふふ、無理しなくていいって言ったのに・・・馬鹿ね」

「そうだね。こんなにおいしい料理もたくさん作ってくれて」

「これは・・・」

「え?十六夜、どうかしたの?」

 

十六夜がなにか呟いた。

十六夜は上を見上げているので私も上を、空を見上げようとすると、黒ウサギが声を上げた。

 

「それでは本日の大イベントが始まります!みなさん、箱庭の天幕に注目してください!」

 

その声に、コミュニティの全員が箱庭の天幕に注目する。

その夜も満点の星空だった。空に輝く星々は今日も燦然と輝きを放っている。

異変が起きたのは、注目してからすぐのことだった。

 

「・・・・あっ」

 

星を見上げているコミュニティの誰かが、声を上げた。

それから連続して星が流れた。

すぐに全員が流星群だと気づき、次々に歓声を上げる。

黒ウサギは私たちや子供たちに聞かせるような口調で語る。

 

「この流星群を起こしたのは他でもありません。我々の新たな同士、異世界からの四人がこの流星群のきっかけをつくったのです」

「え?」

 

子供たちの歓声に疑問の声が混じる。

黒ウサギは構わず話を続ける。

 

「箱庭の世界は天動説のように、すべてのルールが此処、箱庭の都市を中心に回っております。先日、同士が倒した“ペルセウス”のコミュニティは、敗北の為に“サウザンドアイズ”を追放されたのです。そして彼らは、あの星々からも旗を降ろすこととなりました」

「・・え?ちょっと待って。まさか空からペルセウス座が消えるの?」

「そうでございます。空にある星座はすべて箱庭の世界を盛り上げる為に作られているのです」

 

刹那、一際大きな光が星空を満たした。

そこにあったはずのペルセウス座は、消えていた。

変わりに黒ウサギの顔の形を象る星々があった。

 

・・・・・・・え?

 

「あれって・・・・黒ウサギ座?」

 

「「「「へ?(は?)」」」」

 

少しの静寂が訪れ、その静寂はすぐに過ぎ去った。

 

「ヤ、ヤハハハハハ!!」

「ふ、ふふふふふ」

「あ、あはははは」

「・・・・・」

 

私たちの中で笑わない人が一人だけいた。

もちろん史夜。

これができるのは史夜ぐらいしかいない。

 

「・・・くっ、やば、もう無理」

 

史夜が息を切らせて崩れながら言った。

 

「ふふ、おつかれ。あれってそんなにきついの?」

「きついもなにも、箱庭の力に逆らってんだから、結構疲れる、んだよ」

「ヤハハハ、おもしろいことやってくれてありがとよ」

「ふふふ、ありがと、史夜君」

「なにやっちゃってくれてんですかお馬鹿様ぁああ!!」

 

パシィィイイ!と黒ウサギのハリセンが史夜に直撃する・・・前に受け止める。

 

「お、さんきゅ、耀」

「ううん。おもしろいことやってくれたし」

「止めないでください!」

「やだ。それより大丈夫?」

「ん、あぁ、もう大丈夫だ。」

 

私が手を差し出すと、掴んでくれた。そのまま引き上げる。

・・・・むっ。

 

「・・?どうかしたか?耀」

「・・・軽い」

「あ、ああ、術使って体軽くしたんだ」

「そんなに私が信用できないですか」

「は?いや、そういうことじゃないけど」

 

 

は?なに夫婦漫才やってんだよお前ら。

しょうがないな。飛鳥をつれていじるか。

飛鳥とアイコンタクトで会話し、しゃべる。

 

「おいおいどうした?夫婦漫才なら俺たちの前でやれ」

「そうよ。おもしろくないじゃない」

「「いや―――」」

 

史夜と耀がなにか言おうとしたとき、黒ウサギが言った。

 

「え~コホン。では気を取り直して、今夜の流星群は“サウザンドアイズ”から“ノーネーム”へのコミュニティ再出発に対する祝福も兼ねております。星に願いをかけるもよし。星を眺めるもよし。今日はみんなで楽しみましょう!」

 

ワァアア!と子供たちから歓声があがる。

とりあえず黒ウサギのやろうを一発殴っとくか。

飛鳥を見るとどうやら同意見のようだ。

だが、まずは

 

「で?なんで夫婦漫才なんかしてんだ?」

「は?なにを見てそう思った?」

「だって、耀さんが少しむっとしてるじゃない」

「むっ、そんなことはない」

「いや、ぜってぇしてるだろ、それ」

「耀、俺なんかまずったのか?」

「うん。少しまずった」

「え、えと、どの辺が?」

「・・・わからない?」

「・・・あの・・わかりません」

 

ヤハハ、こりゃ見物だ。

なんか初めて?見る気がするぜ。

史夜の困ってる顔。

そのまますこすこと耀は歩いて行ってしまった。

その後についていく史夜。

 

「いやぁ、あれは少しおもしろいよな」

「そうね。あれは結構おもしろいわ」

「「ヤハハハ(ふふふふ)」」

 

俺と飛鳥はお互いに笑った。

 

 

えっと、俺、なんかまずったのか?

とりあえずは、耀の後をついているが・・・

 

「ねぇ、史夜」

「あ、え、なに?」

「私たちもあの空に、星を飾れるかな?」

「・・・当たり前だろ?俺たちなら絶対できる。っていうか、できなかったらおかしい」

「・・・ふふっ。そうだね。じゃあ、あの空に私たちの星を飾ることが出来たら、許してあげる」

「いまいちなにに耀がむっとしてるのかよくわかんないけど、許してくれるなら、いや、許してくれなくても星は飾るさ」

「うん。その時が楽しみだね」

 

耀が笑顔で笑いかけてくる。

よかった。どうやらこの件は大丈夫のようだ。

しかし・・・・ほんとになんなのだろうか?

だが、そんなことはもういいだろう。

別に耀が笑っていれば、十六夜が楽しんでいれば、飛鳥が元気でいれば、黒ウサギが、ジンが、千流が楽しくすごすことが出来ていれば、それでいいと思う。

だから願いは、みんなの日常が続きますように。

 

万もの術を使える俺が星に願い事、というのもどうかと思うが、それはそれでいいと思う。

 

その夜の流れ星は、今まで見たどの流れ星よりも綺麗に見えた。





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