問題児たちと無から有を生み出す錬金術師が箱庭にくるそうですよ?   作:神流朝海

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こんにちわ。

前回、次回でおまけ編最後とか言ってましたが、すみません。
問題児達の交流会は史夜が目覚めて、落ち着いてからにしたいと思います。
本当にすみませんでした。

では、どうぞ



南の祭りと元・ノーネーム
 禁忌の術の反動


ペストのゲームから一週間後。“ノーネーム”農園跡地。

境界壁から帰ってきた俺たちは、早速農園跡地に向かい、メルンに土地の修復を頼んだ。

 

この一週間はとても長かった。

まず、“造物主達の決闘”については、史夜が起きなかったため、史夜が棄権。

耀は決勝まで駒を進めたが、“ウィル・オ・ウィスプ”のジャックとアーシャに負けた。

で、その後に魔王を倒した・・・退けた俺らに白夜叉が礼をくれた。

 

ただ、

 

「なぁ黒ウサギ。なんで史夜のやつが一番お礼されてんだ?」

「それは―――――・・・・・ということがあったからなのです」

「まじか!いや~俺そいつとやりたかったぜ」

「やめてください!いくら十六夜さんでも死にますよ!?」

「あ~はいはい。・・・で、耀は?今も史夜のところか?」

「・・はい。帰ってきてからもずっと史夜さんの傍にいます。たぶん、目覚めるまで傍を離れないと思います」

「そうか。そっちはどうだ?飛鳥」

「・・・無理みたい。即答されたわ。此処までハッキリとした態度を取っているから、よほどの霊格を持ってないとダメみたい」

「そうだな・・・極チビ」

「ごくちび?」

 

零からではなく、なにか、

 

「そ。“極めて小さいメルン”だから略して極チビ。それでもしもだが、・・・土壌の肥やしになるものがあったら、それを分解して土地を復活させることは出来るか?本拠のまわりの林とかを肥やしにして」

「あ、それ俺も考えた。で、どうだメルン。やれそうか?」

 

結哉も賛成の意見だ。

これはいけると思うんだが・・・

 

「・・・できる!」

「「本当か!?」」

「かも!」

 

ガクッと右肩下がりに力が抜ける。

しかし、試す価値はあるらしい。

ふと悩む態勢から顔をあげると、飛鳥がこちらを見ていた。

目だけで合図をし、飛鳥はギフトカードを取り出してディーンを召喚して命令をだす。

 

「ディーン、すぐに取り掛かるわよ!結哉君も年長組みの子達も手伝って!」

「もちろん、了解」

「「「「「分かりました!」」」」」

「DeN」

 

短く無骨な返事のディーンと、待ってました感のある結哉。そして元気な年長組みの子供たち。

俺と飛鳥はそれを見送り、彼らが帰ってくるのを待つ。

黒ウサギも彼らについていった。

地精として独立出来るだけの霊格を得たメルンははしゃぎながら飛鳥に飛びついた。

そんな仲の良さそうな二人を少しからかってみたりする。

 

「なんだ飛鳥。そういうのを愛でる趣味があったのか?」

「さあ、どうかしら。でも箱庭に来るまでは知らなかったのだけど、子供を可愛がるのは楽しいわ。・・・それに、」

 

ふっと飛鳥のめが遠くなる。

箱庭の、遥か彼方を映すような瞳でポツリと、

 

「・・・私、本当は姉妹が居る予定だったの。だからかもしれないわ」

「・・・そうか」

 

静かに、相槌を打った。

“だった”。

そう、姉妹が居る予定“だった”。けど、そうはならなかった。

なら、この話はここで終わるべきなのだろう。

それ以上は言及しなかった。

そんな暗い雰囲気を脱すべく、俺は今後の目標について話すことにした。

 

「この土地が復活して、たくさん収穫できるようになったら、いつかここで、俺たちのハロウィンをやろうな」

「・・ええ。さあ忙しくなるわよメルン!早く土地を復活させて、みんなでハロウィンをするのだもの。貴女には人一倍頑張ってもらうわ」

「はい♪」

 

飛鳥の期待に、元気よく返すメルン。

まだまだ先になるだろうが、何時かこのコミュニティでハロウィンをする日が来るだろう。

飛鳥が故郷に残してきた、小さな未練。

 

“Trick or Treat!”か。

 

この長らく聞いていなかった。単語を聞けるのは、何時になるだろうか?

飛鳥が笑顔でそう言ってくる日が楽しみだ。

 

「あぁ、お取り込み中悪いんだが」

「リーダー。コミュニティの運営のことなんですが」

 

話しかけてきたのはヴェーザーとラッテン。

飛鳥が“グリムグリモワール”のリーダーになったことで、今は飛鳥の、俺たちの仲間だ。

 

「私たちにまかせていただけないでしょうか?」

「え、ええ。でもどうして?」

「まだリーダーは箱庭に来たばかりで運営というものがわかっていないでしょう?私たち“グリムグリモワール”と“ノーネーム”は現在同盟関係・・・とうかほとんど“ノーネーム”の傘下に入っているので、運営については私と黒ウサギさんたちと話し合って決めようと思ったんですよ。あ、ヴェーザーが入ってないのはヴェーザーが脳みそ筋肉だからですよ」

「おいラッテン、誰が脳みそ筋肉だって?」

「はいはい、そう簡単に怒らない。モテないわよ?」

「大きなお世話だ。まぁ、なんだ。あんたの役目は的確なときに的確な判断をして的確に俺たちを動かす行使する者だ。雑務は俺たちに任せろって話さ」

「・・ほんとにいいの?」

「「ああ(ええ)」」

「・・じゃ、お願いするわ。よろしくね。二人とも」

 

その後、二人はまだやることがあるらしく、“ノーネーム”の本拠に戻っていった。

 

「・・・そういえば、ヴェーザーも地精だったよな?」

「あ、それもそうだったわね。でも、ヴェーザーにはやることがあるから」

「ヤハハ、それもそうだ」

「・・・まだ史夜君は起きないのかしらね」

「・・・そうだな・・・・・まああいつのことだ。もうすぐ起きるさ」

 

そう言って、ぶらぶらと歩き出す。

部屋で眠っている、友達を心配しながら。

 

 

 

 

 

―――翌日・・・

 

・・・・・・・

 

「いつまで寝てるつもり?史夜」

 

・・・母さん?

 

「そうだぞ。俺がかけた暴走を回避する術式ももう消えたぞ」

 

・・・父さん?

 

「ほら、友達が待っているわよ」

 

「お前が守った友達も、な」

 

・・そうだ。・・・耀は?

 

 

「・・・・・?」

 

目を開けると、天井が見えた。

どうやら建物の中らしい。

 

・・・右手が暖かい。

 

「・・・耀?」

 

右を見ると、椅子に座った耀が、俺の右手を握ったまま寝ていた。

 

「よかった・・・大丈夫だったのか」

「・・・ぅん?」

「あ、ごめん。起こしたか?」

「・・・史夜?よかったぁ!!!」

 

耀がすごい勢いで抱きついてくる・・・え?

 

「え?ちょ」

「よかった・・・本当によかった・・・」

 

いまいち状況を理解できない・・・

 

「耀?俺ってどれくらい気絶・・・というか眠ってたの?」

「・・・丸二週間と一日」

「うわ、そんな眠ってたのか」

「うん・・・それと・・・」

 

耀が近くに置いてあった俺のギフトカードを持って、言う。

そうか。ギフトまで変わったのか。

 

「そうか・・・何になった?」

 

あれほどの術を使って、反動が少ないわけがない。

寝たきりになったかもしれないのだ。

こうやって上半身動けてるだけでもありがたい。

まだベットの上だから下半身はわからんが。

 

「“七色の始術”と・・・“ノーフォーマー”」

「・・・そうか」

 

とりあえずパチン、と一回指を鳴らす。

 

「・・・無理、か」

 

お茶は生成されなかった。

どうやら、今は無から有を生み出せないみたいだ。

 

「耀も持ってるけど、“ノーフォーマー”ってなんなんだ?」

「・・・私はこの木彫りをもらうまで、歩くこともできなかった」

「そうなのか・・・じゃあ車椅子がいるな」

 

俺がそう呟いたとき、ベッドの左横に、車椅子が錬成されていった。

その車椅子には、手紙が一枚、乗っている。

 

「ごめん、耀。その手紙取ってくれないか?」

「うん。わかった」

 

『大体術の反動はわかった。

 これは親からの贈り物ね。

 反動に負けんなよ?    智史 真夜』

 

「父さんと母さんが作ってくれたみたいだ。まぁ、車椅子はこれでできたからよかった」

 

・・・ん?ちょっと待て。

 

「・・・なんで自分じゃ押せないようになってんだ?」

「え?どういうこと?」

「術式が張ってある。他の術がかからないように。それにこの車椅子、十六夜が蹴っても壊れないように防護術式が・・・数え切れないほど張ってある」

「あ、じゃあ私が押そうか?十六夜が蹴っても壊れないって・・・すごい」

「ああ、頼めるなら」

「うん。わかった」

「しかし“七色の術式”か。七つ術式は使えそうだな」

「錬金術、陰陽術、祓魔術、白魔術、黒魔術、赤魔術、青魔術が使えるらしいぞ?って手紙の裏に書いてあるよ?」

「あ、ほんとだ。・・・ん?」

 

術的防護されてるから一般人には見えないが、続きがあった。こう、書かれていた。

 

『あ、後その車椅子、自分じゃ押せないから、耀にでも押してもらえ』

意味わかんねぇぇええ!!!

そしてなぜ名指し!

母さんもいたならこの文、どうにかしてくれればよかったのに・・・

 

「ま、とりあえず黒ウサギたちに会いに行くか」

「うん。史夜が起きたこと伝えないと」

 

俺は車椅子にどうにかこうにかして乗り、耀に押してもらって、部屋を出た。

ここは“ノーネーム”本拠だったようだ。

俺の部屋が一階でよかった。

そして、食堂に入る。

 

「おはよ、黒ウサギ、レティシア、ジン、十六夜、飛鳥・・・と誰?」

「お、おはようございます!史夜さん!」

「史夜殿、もう大丈夫なのか?」

「もう、大丈夫なのですか?史夜さん」

「おう、史夜。大丈夫だったか?」

「おはよう史夜君。大丈夫?」

「あ、そうか。初めまして、なのか。俺は霧下結哉。よろしくな」

「ああ、もう大丈夫だ。車椅子がいるけどな。俺は神川史夜。よろしくな」

「おう、まさか天才と仲良くなれるなんて思ってなかったぜ」

「天才?もしかして同じ世界から来たのか?」

「そうらしいぜ。結哉も史夜みたいな魔法使ってるし」

 

十六夜が答える。

俺が車椅子に乗っていることに誰も驚かないのは、耀から“ノーフォーマー”について聞いていたからだろう。

みんなは朝食の準備を終えたところのようだった。

きちんと俺の分まで準備してある。

耀がそこまで車椅子を押してくれた。耀も席に着き、みんなが手を合わせる。

久しぶりの食事だ。

声を揃え、みんなで言う。

 

「「「「「「「「いただきます!」」」」」」」」




史夜復活でございます。
まぁ、これからどうなるか、待っていてください。

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