問題児たちと無から有を生み出す錬金術師が箱庭にくるそうですよ? 作:神流朝海
お久しぶりです。もうすぐ一週間になりそうでした。
他の作品もまったく進んでないです。
春休みって結構やることあるんですね・・・
では、どうぞ
黙々と全員が朝食を食べる。
・・・なんか微妙な空気だな。
「・・・そうだ、耀。俺、朝食を食べ終わったら行きたいところがあるんだけど、連れて行ってくれるかな?」
「え?うん。いいよ」
「ん?どっか行くのか?」
「ああ、遠くまで行くわけじゃないから、十六夜たちはいいぞ」
「おう、わかった」
「ええ。わかったわ」
「そうか。じゃあ、俺と十六夜と飛鳥はここでなんかやっとく」
お、以外に十六夜が突っかかってこなかった。
何か言ってくると思ったんだが。
そして朝食を食べ終わり、耀に車椅子を押されて、食堂を出た。
史夜と耀が食堂を出てから数十秒後。
「なぁ結哉。あいつらどこに行くと思う?」
「さぁ?でもどうしてだ?そんなこと別にどうでもよくないか?十六夜」
「あら、気にならないの?結哉君は」
ちなみに黒ウサギたちは年長組みの子供たちとなにかあるようで、今はもう食堂にはいない。
だから食堂にいるのは、俺と十六夜と飛鳥なわけなのだが、
「ん?何が気になるんだ?」
「あの二人に決まってんだろ」
「そうよ。耀さん、ずっと史夜君の傍にいたのよ?」
「いや、それは耀自身が責任を感じて―――」
「わかってねぇなあ。それもあるだろうが、第一に心配だったからだろ」
「私もそう思うわ」
「いや、だから友達が倒れたときは誰だって心配するだろ」
「じゃあ、結哉は俺が倒れても心配すんのか?」
「いや、心配しない」
「おいおい、今さっきのお前の発言どこ行ったよ?」
「ん~それは、まぁ」
「でしょ?私たちが倒れてもあまり心配しないでしょ?」
「つまり、何が言いたいんだよ?」
「「・・・はぁ~~」」
「え、なにそのため息」
その呆れはてたものを見るような目は、なに?
すっごい気になるんだけど。
俺、なんかおかしいのか?俺がおかしいのか?
「耀が史夜に気があるんじゃねぇかってことだよ」
「ここまで言わないとわかんないなんて・・・」
「ああ、なるほど。理解した。で、なんでそれが気になるんだ?」
「「・・・はぁ~~」」
再びため息。
・・・俺は悪くないよな!?
あ、でも気があるって言えば、
「あ、でもい十六―――」
「ん?あ、でも、なんだ?」
・・・危なかった。
十六夜がニコニコ笑顔で聞いてくる。
その顔には確実に、「飛鳥の前でいったらぶっ殺す。飛鳥の前でなくともぶっ殺す」と書いてある。
なぜ俺の言おうとしていることがわかった・・・?
さすが俺並みに頭いいやつ・・・恐ろしい。
「もう十六夜君。そんなことはどうでもいいわ。それより、早く二人の後をつけないと、見失っちゃうわ」
「ん、それもそうだな」
「・・・じゃ、俺は部屋に戻っ―――」
「「何言ってんだよ(言ってるのよ)?結哉(君)も行くだろ(行くでしょう)?」
・・・恐い。・・・主にニコニコ笑ってる顔が。
「わ、わかった。俺も行くよ・・・」
「そうこなくっちゃな」
「ほら、行くわよ。耀さんに気づかれないようにね」
「はぁ~・・・じゃあ隠蔽の魔法と存消の魔法、消臭の魔法etcかけっから、あんま動くなよ」
「お、そりゃいい。耀の五感も騙せるしな」
「そうと決まったら、すぐに行きましょう」
「おう。見失っちまうからな」
「・・・これでほんとによかったのか?」
うきうきしている二人を他所に、俺は一人呟いた。
俺は昔から大方一人で生活していた。
学校でも、特に集団に混じって騒ぐ、などという方ではなかった。
昔から本を読むのが好きで、それをきっかけに、アニメや小説、伝承や神話に至るまで、たくさんのことを学んだ。
まぁ、いわゆるオタク、というやつなのだろう。
別にまわりの意見なんか気にしちゃいなかった。
人と関わる、ということがあまり多くなかったので、こういう恋愛話は小説や物語の中でしかあまり興味がない。
だから、あまり気が進まない。
それに人の恋路に踏み入るってどうなのよ?
とまぁ、そんなこんなでそういう感情を持ったことがないのだが・・・
十六夜はどんな気持ちなんだろうか?
誰かを好き、と思えるのは、ほんとに羨ましいと思う。
『誰かを好き、ねぇ』
『なんだよ、ルフレ』
『いや、カタリナが言ってたよ?誰かを好きになるのは大事だって。まぁ、カタリナはまだ覚醒していないクリスのことが好きなんだろうけど』
『あ、そういえば、クリスどこ行った?』
『彼も僕たちと同じように外の世界にいるよ。僕の予想では君の友達の史夜の中』
『だよな。そんな気が少ししたんだよ』
『まぁ、とりあえず誰かを好きになれば、その人のためならって力を発揮できるんだって』
『できるんだってって、結婚してる分際で何言ってやがる』
『あぁ、リズ心配してるのかな』
『いやいやいや、そこで悩むなよ』
とまぁ、ありえない出会いをして小説みたいに付き合いを始めて結婚まで至った大先輩がいるから、いざそういうことになったら大丈夫だろう。
ま、もちろんそんな時などこないのだが。
そうこうルフレとしゃべっているうちに魔法を展開し終わる。
ゆっくりと静かに(そんなことをしなくても魔法が存在すらも消しているのだが)俺らは食堂を出た。
「『サン・シラ・エン』」
「・・・史夜?なんで式を飛ばしているの?」
「あれ?式とか教えたっけ?まぁ、十六夜たちがつけてきてないか探ってるんだ」
「追いかけてきてるなら私、わかると思うけど」
「いや、十六夜と飛鳥は式を飛ばさなくても大丈夫なんだ。問題は結哉。あいつのギフト名は“閉じられた空間手術”だろ?それに十六夜は「史夜みたいに魔法みたいなものを使ってた」って言ってたし」
「・・?史夜だって魔法を使ってるんじゃないの?」
「俺のは魔法じゃなくて魔術。術式なんだよな」
「・・・?」
「ああ、ごめん。また今度説明するよ」
今俺と耀が向かっているのは、あのいつもの山だった。
そしてもうこの会話をしているうちにその麓まで着いたのだが・・・
「そういえば、どうやって上まで登るの?」
「・・・そこは今考え中」
「ふふ、史夜らしいね」
「はは、俺らしい、か」
「うお!?あぶねぇ・・・式に触れるところだった」
「おお!史夜の式神ってやつか」
「私たちがついてきてるの、バレたのかしら?」
「いや、それはない。俺の魔法は式ごときじゃ解けきれないからな。あ、でも式が俺たちをを探知できるようなことや直接触れるようなことはするなよ。バレるから」
「了解だぜ、結哉」
「わかったわ。結哉君」
仲良さげに話している二人の後を追う仲良さげな二人と一人。
・・・俺ら、いったいなにしてんだろ?
「・・・さて、どうするか」
「・・・どうするの?」
いまいち考えが浮かんでこない。
術式使ったら車椅子は置いていくことになるし・・・あ、でも耀に持ってもらえばいいのか?
いや、でもそれはさすがに負担だろ。
なにか、ないのか?
「私がギフトを使って飛んでいく?」
ギフト・・・!
その一言に、あることを思いつく。
「あ、耀。俺の銀の十字剣、今どこにある?」
「あ、私も忘れてた。私が預かってるよ」
耀がそう言ってギフトカードを取り出し、そしてそのギフトカードから銀の十字剣を取り出す。
耀の手に現れたのは、綺麗な装飾が施された、輝く銀の十字剣・・・あれ、こんな感じだったっけ?
「・・・なんか少し変わってるよな?すごく銀が綺麗なんだけど」
「・・・私もそう思う。名前も変わってるし」
「ほんとだ」
俺は耀から受け取った十字剣をギフトカードに直し、名前を確認した。
“妖精銀の聖十字剣”
それが、この剣の名前だった。
あれ、そういえば、“正体無き指輪”どこにいったんだっけ?
・・・・あ、思い出した。あの時剣に合成させたんだっけ。
それでこの剣も変わったのか。なるほど。
それにしても、
「妖精銀・・・えらく高価なものになったな」
「妖精銀って高価なの?」
「ああ。高位妖精がある儀式を行って作り出される銀だ。その銀には破魔の力と魔法をすべて跳ね返す力が備わっている。そうだな・・・この剣をサウザンドアイズにでも売れば、“ノーネーム”三年くらい遊んで暮らせるな」
「それって相当高価なんだね」
「で、さらにこの剣は魔法を乗せることが出来るんだ。魔法を跳ね返す剣なのに、矛盾している。なんでそれが成り立つのか証明してみたいけど、それはまた今度にしよう」
ギフトカードから剣を取り出し、一薙ぎする。
今この剣には、ある世界で手に入れた魔法を乗せている。
名前はウインドという、キルガとギフトゲームやったときに使ったやつだ。
予想が正しければ、それで道ができるのだと思うのだが、
「「うわぁお」」
想像以上だった。
斬撃が風に乗って飛び、山の大地を抉る。
その斬撃を乗せた風が過ぎ去ると、そこには緩やかなスロープができていた。
これなら、車椅子でも登れる。
「これを使って登っていくか」
「そうだね。緩やかだから私も車椅子押していけるし」
「なんかごめんな、耀。つき合わせちゃって」
「ううん。そんなことないよ?」
耀が押してくれて、俺たちはゆっくりと山を登り始めた。
最後の史夜の台詞。
その後に、「話したいことがあるんだ」
と小さく呟いた史夜に、耀は気づかなかったようだった。
今回少し短かったですね。
でももう少し書くと長くなりそうなので、ここで切らせてもらいました。
読んでくれてありがとうございました。
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