問題児たちと無から有を生み出す錬金術師が箱庭にくるそうですよ? 作:神流朝海
今回の分で溜めておいた分がなくなったので、次は学校が始まってからか、始まる前に上がると思います。
今回、しゃべる部分が多くなっています。
では、どうぞ
それを見ていた十六夜と飛鳥と俺は、
「「いい雰囲気じゃねぇか(じゃない)」」
「お前らなぁ・・・」
二人は楽しそうに、俺はため息をつきながら呟いた。
一時間後。
いつもなら数十秒で登れる山の頂上についた。
毎回思うが、ここから見える景色はとても綺麗だ。
「・・・あの時はごめんな。あんなこと言って」
「・・・?あ、ううん。私のほうこそごめん」
あの時、というのはこの山にピクニックに来た時のことだ。
耀はあの時、という単語だけで思い出してくれたらしい。
だが、話すことはそんなことじゃない。
「「あのさ」」
「「え?」」
俺と耀の声がかぶった。
「よ、耀のほうからでいいぞ」
「し、史夜のほうからでいいよ」
「・・・・・俺さ、あの時、式を使ってこれで耀は安全だと思ったんだ。あいつの力を見ただろ?俺も・・・まだまだ力が及ばないってことは、少し思ってた」
「・・・なら、言ってくれればよかったのに」
耀が少し拗ねながら言う。
その様子は見ていてとてもかわいいと思う。
「私ね、悔しかった。自分がまだまだ弱いことに、とても悔しかった。あの時、一緒に戦ってくれって言ってもらえなかった理由は、わかってる。でも、やっぱり何か言ってほしい。私が戻ってこなかったら危なかったでしょ?」
「ああ。あの時は本当に危なかった。助けてくれてありがとな」
「ううん。史夜はたまに一人でつっこんで行っちゃうから。それを止めたり、一緒に戦ったりするのが私だから」
「はは、耀には頭が上がらないな」
「ふふっ、それはお互い様だよ?私も結構助けられてるから」
二人して笑いあう。
その光景を見ていた十六夜と飛鳥は、
「・・・一向に告らねぇな」
「そうね。いい雰囲気なのに・・・」
ここに来るまでに、気づいたことが、一つある。
一時間くらい前からこの様な会話がなされている訳だが、十六夜は飛鳥を、飛鳥は十六夜をちらちらと見ているのだ。
十六夜も知ってのとおり、ハーメルンのギフトゲームの時に十六夜が起きるまでずっと傍にいたのは飛鳥なのだ。
よって、食堂で飛鳥と十六夜が話していたことに当てはめると、飛鳥も十六夜に気がある、ということになる。
そんなラブコメみたいな展開に若干ニヤニヤしていたら、
「お、どうした結哉。ついに興味がわいたか?」
「ああ、かなり、ね」
「あら、なにが結哉君を突き動かしたのかしら」
あんたらだよ、とは答えずに、「ちょっと、ね」と言って誤魔化す。
ここで事を起こしては史夜が可哀想だと思い、黙って続きを聞くことにした。
「・・・なあ耀。これからもずっと俺を守ってくれるか?」
「うん。もちろん。史夜も私を守ってくれるでしょ?」
「ああもちろんだ。だから・・・・・これからずっと、俺の傍にいてくれないか?」
耀の目を見て、言う。
いつからだろう?
好き、という感情が理解できるようになったのは。
ただ、一緒に過ごしていて楽しかった。
それが始まりだったのだろうか?
一緒にクレープを食べたとき、一緒にゲームをしたとき、一緒に買出しに出たとき・・・
そして、友達だよと言ってくれたとき、危ないところを助けてもらったとき、危ないところを助けようとしたとき・・・
いつからか、耀の姿を探すようになっていた気がする。
「・・・うん。これからずっと、私は史夜の傍にい続けるよ。史夜も、私の傍にいてくれる?」
史夜の目を見て、言う。
いつからだろう?
史夜の姿をよく探すようになっていたのは。
史夜といると、なぜかいつも楽しかった。
クレープを一緒に食べに行ったときや、ゲームをしたとき、一緒に買出しにいったとき・・・
どれもこれも楽しい時間だ。
海晴が史夜と一緒にいるとき、海晴が史夜と話しているとき胸がもやもやしたのは、きっと、史夜のことが好きだったからだと、思う。
「・・・ああ」
と、耀は答えてくれた。
と、史夜は答えてくれた。
だから、
「「これからも、守り続けるよ」」
そう言って、ゆっくりとキスを交わした。
「・・・あの、十六夜、飛鳥?顔が今までにないくらいニヤけてるけど?」
「ヤハハ、だってあれ、告白とかそういうレベルじゃないだろ?」
「ふふっ、ああいう言葉ってプロポーズのときに使いそうなものよ」
「さて、新婚さんを祝いにいくか」
「そうね。祝いの言葉の一つでも言ってあげなくちゃね」
「あ、ちょ―――」
俺が静止の声を上げる間もなく、十六夜と飛鳥は立ち上がる。
同時に一歩踏み出す。
結界で止めようとするが、十六夜に踏み潰される。
結界が潰されたことによって、隠蔽系のすべての魔法が、崩れる。
「あ~、全部潰れたじゃん」
魔法が全部消えたことによって、史夜の式に見つかる。
「・・!誰だ!?」
「「俺だ(私よ)」」
「は!?なんでここに!?式を放っておいたのに!?」
「あ、それ、ごめん史夜。十六夜と飛鳥に脅されてさ」
「いやいや、俺は脅してないぞ?」
「私が脅すわけないでしょう?」
「まぁ、そんな細かいことは置いといて、」
「そうね。先に言うことがあるわ」
十六夜と飛鳥はそう言うと、声を合わせて言った。
もちろん、そうとうなニヤけ顔で。
「「ご結婚おめでとう!!」」
「「・・・・・え?」」
「ん?聞いてなかったか?」
「じゃあもう一度」
「「ご結婚おめでとう!!」」
「「・・・・はぁあああ!?(えぇえええ!?)」
「なあ、耀。これからもずっと俺を守ってくれるのか?」
「うん。もちろん。史夜も私を守ってくれるでしょ?」
十六夜と飛鳥が先ほどの二人を演じだす。
二人ともなかなかの演技派だ。
顔が真剣に見える。
そのまま告っちゃえばいいのにとか思ってしまう。
「ああ、もちろんだ。だから・・・・・これからずっと、俺の傍にいてくれないか?」
十六夜が飛鳥の目を見て言う。
よくもまぁ自分の好きな人にこんなことを言えたもんだ。
「うん。これからもずっと私は史夜の傍にいる。史夜も、私の傍にいてくれる?」
飛鳥も十六夜の目を見て言う。
十六夜にも思ったが、よくもまぁこんなことを好きな人とやれたもんだ。
「・・・ああ」
「「これからもずっと、守り続けるよ」」
一通り演じきった十六夜と飛鳥にやりきった感があるのは気のせいだろうか?
しかしさすがにキスまではしなかったか・・・
史夜と耀の顔がみるみるうちに赤くなっていく。
その様子は見ているだけでおもしろい。
だが、天才様を怒らせるとなにがあるかわからないので、俺はいじらないでおこう。
「で、どうするんだ?いつ結婚式だ?」
「そうね。コミュニティを挙げて祝福しなくちゃね」
「い・・・十六夜、お前ぇえ!!!」
「あ・・・飛鳥のバカァアア!!!」
史夜は式を解き放ち、耀はカマイタチのギフト?を使い、十六夜と飛鳥と俺を狙う。
・・・・ちょっと待て。
「おいちょっと待て史夜!耀!俺のほうにも攻撃が―――」
「結哉、お前も同罪だ!!」
耀のカマイタチと史夜の式が宙を舞う。
それを魔法で弾いたり打ち消したりしながら、後退する。
十六夜はというと、
「ヤハハ!!」
「ふふふ」
飛鳥をお姫様抱っこした状態で史夜と耀の攻撃を避けていた。
・・・あれ?・・・俺ってなんでここいるんだっけ?
「くっ・・・さすが十六夜、あの状態で避けきるか・・・!」
「うっ・・・飛鳥も“威光”で大気操って防いでる・・・!」
思いの他苦戦するな・・・
『ただの照れ隠しだろ?』
『悪いか!?』
『あ、開き直った』
『うるさい!ちょっと黙ってろクリス!』
『恐いなぁ』
一度クリスを思考から追い出す。
クリスはアリティアという国の王子様の近衛兼軍師だったのだが、俺がアリティアからもとの世界に帰る時についてきてしまったのだ。
・・・今はお前の紹介なんてどうでもいいんだよ!
『なんだよ~。冷たいなぁ』
無視する。
今は多少集中してんだよ。
右手で式を操作しているから、式を放っているのは左手だ。
その左手を突然掴まれてびっくりした。
「!?耀、どうした?」
「その式に私のギフト乗せれる?」
「その手があったか。いけるぞ。強度は大丈夫だ。なんでもこい!」
「わかった!」
耀が数多のギフトを顕現する。
そのギフトを耀が式に与え、その式を俺が解き放つ。
グリフォン、ペガサス、ゾウ、トラ、チーター、・・・数々の幻獣・獣たちを乗せたいくつもの式が舞い上がる。
「ヤハハ、初めての共同作業ってか?」
「ふふっ、初々しいわね」
「「うるさぁああい!!」」
史夜と耀は顔を真っ赤にしながら叫んだ。
史夜が式を操作し、十六夜と飛鳥を狙う。
うわ、あれ恐い。
なにあの式・・・
「ヤハハ、たまにはこういうのも楽しい・・・な!?」
「そう・・・ね!?」
「・・・あれは十六夜でも避けきれないだろ・・・」
史夜と耀が放った数多の式には二人のギフトが宿っている。
何色もの式が十六夜たちの周りを舞っている。
獣の式に幻獣の式・・・・・
あれ軍事国家に売ったら一体○○○○兆円で買ってもらえるぞ・・・?
「ははは・・・ご愁傷様」
俺には、十六夜たちにかける言葉がこれしかなかった。
「「さあ、行け!!」」
史夜と耀の声で式が動く。
「あ、やべ、これ無理かも」
「・・・私も無理」
その言葉を最後に、十六夜と飛鳥は強制転移によってこの山の山頂から消えた。
「うわ、恐すぎ。どんな術式だよ・・・」
強制転移、というのはそもそもできないのだ。
転移術式は相手が(転移される側)が嫌だと少しでも思ったら発動しないのだ。
史夜と耀は二人揃って俺にVサインを向けてきた。
・・・史夜の性格、耀の性格に引っ張られてるよな。
他にも頭の中に複数の疑問が浮かんできたが、声にはださなかった。
「気は済んだか?そろそろ帰るか?」
「そうだな。言いたいことは言えたし、耀もOKしてくれたしな」
「そうだね。史夜もOKしてくれたし」
耀が握っていた手を離し、車椅子の後ろにつく。
・・・あれ?なんかどっかでこの画見たことがあるような・・・・・
「あああ!!!!」
「「うわっ!?どうした(なに)?」」
「あ、いや、この画、どっかで見たことあると思ったら、SAOの15巻の挿絵にそっくりじゃん!!」
「「・・・・・?」」
「・・・あれ?知らない?」
「「知らない」」
「あ、そうですか」
SAOを知らないって・・・。
今俺が見ている光景は15巻の挿絵のアリスとキリトみたいなんだ。
「まぁ、とりあえず帰るか」
「そうだね」
「・・・そうだな。じゃ、俺は一人で帰るからお二人でごゆっくり」
「あ、おい―――」
「ちょっと―――」
「じゃあ、向こうで」
結哉は光に包まれ、消えた。
そんな結哉にやれやれとため息をつきながら、俺は言う。
「帰るか?」
「ふふっ、そうだね」
「まぁまぁそう焦るなよ史夜、耀」
「そうやで?ボクらにもおめでとうくらい言わせてぇな」
「まさか智史の血と私の血が混じることになるとはな」
「「え、ちょ、父さん!!?」」
「え~、ボクは無視かいな」
「あ、この前はありがとうございました」
「いやいや、そげんなこと気にせんでええで」
「父さん、この人誰?」
「あぁ、そういえば面識なかったな。こいつは安倍晴明だ」
「智史くん、こいつっていうとはどうかと思うんやけど?」
「あ、そうなんだ。よろしくお願い・・・は?安倍晴明!?」
「ボクん名は安倍晴明や。よろしゅうな」
「・・・さすが箱庭」
「まぁ、今日は晴明の紹介をしにきたわけじゃないんだが」
「そうだな。今日はおめでとうと言いにきたんだからな」
「「・・・え?」」
「「「婚約、おめでとう(な)!!」」」
「「・・・えええ!!!!?」」
「あ、俺と真夜はOKしてるから」
「無論、私もだ」
「よかったなぁ二人とも。親の公認やでぇ?そげん顔赤うせんでもええとになぁ。・・・しかし、二人の遺伝子が交わるとか、想像できへんくらい強か子が産まれそうやなぁ」
「「こ・・子供!!?」」
「ははは、晴明確かに気になるがそうからかうなよ。二人ともさらに顔が赤くなってるじゃないか」
「そうだな。耀も今までにないくらい顔を赤くしてるではないか」
「「うぅ・・・用はそれだけ!?」」
「いやいや、結構重要なことやでぇ?それって言わんといてな」
「そうだな。自分の子供の将来が決まったんだからな」
「・・・智史、お前もからかうなよ」
「ははは、じゃあ俺たちは用があるから戻る。二人ともまたな」
「二人とも仲良うな」
「二人とも元気でな」
それだけを言って、三人は姿を消した。
「・・・今度こそ帰るか?」
「・・そうだね。帰ろうか」
未だに顔が赤い二人が、共に頷き笑いあう。
登り始めた太陽は、それを祝うかの様な、暖かな光を放っていた。
読んでくれてありがとうございました。
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