問題児たちと無から有を生み出す錬金術師が箱庭にくるそうですよ?   作:神流朝海

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ここ数話はアンダーウッドの話に入る前の話です。

今ちょっとやる気に満ち溢れていたりしています。
なんとコラボ企画に参加しませんかというお誘いを受けました!
タジャドル・隼さんからです!
ということでテンションあがったけど、進行速度はそのままという・・・
まあでもゆっくり読んでいただけると嬉しいです。

では、どうぞ


サウザンドアイズ支店で

あれから約一時間。

俺と耀は“ノーネーム”本拠に帰っていた。

 

 

「・・・ということで、そうなったから。一応リーダーと黒ウサギには伝えておこうと思って」

「うん。私たちのリーダーだし、黒ウサギは友達だし」

「え、えと、あの、その、おめでとうございます・・・?」

「あ、あわわわ!ご、ご結―――!!」

「・・・ん?どうした黒ウサギ?」

 

突然黒ウサギの時間が止まる。

ピタッと、顔も笑顔のまま、一瞬だけ止まる。

その目は史夜の手を凝視していた。

正確には、その史夜の手に乗っている(正しくは浮いている)マ○オの○ックンみたいな植物を笑顔で、無言のまま一瞬だけ見た。

 

「いやいやいやいや!史夜さんが手に出しているその謎の植物こそなんですか!!?」

「黒ウサギ知らないのか?これは『ブラック・ラビットイーター』っていう―――」

「そんな黒ウサギだけに狙いを絞った植物があるわけないでしょう!?」

「お、『ブラック・ラビットイーター』まじであったのか。よし史夜。そいつを俺によこせ」

「あ、いつもの山の中腹あたりに生えてたぞ、結哉」

「まじか。よし、ちょっくら行って取って―――」

「こなくていいです!!」

「きます」

「あ、こら結哉さん!お待ちを!!」

 

魔法を使い、光の如く走る結哉に髪を緋色にした黒ウサギが後を追っていく。

 

「・・・え~と、あはは、なんか平和ですね」

「平和、か。そうだな」

「うん。平和だね」

「・・・あれ?そういえば十六夜さんと飛鳥さんは―――」

 

ズドォォオオオオン!!!!

 

「「うわ!!?」」

「あ、ようやく帰ってきたか」

「あ、そういえばどこに飛ばしたの?」

「ああ、ちょっとしたゲーム盤に―――」

「えええ!!?史夜さんいつの間にゲーム盤なんて持ってたんですか!?」

「そこまで驚くことないだろ、ジン。俺の元のギフトは“超能力の創造者”だ。まぁここからは専門的な知識になるんだが・・・ようは空間を操る術式とそれを保つ術式、他にもプログラムの様な術式とかその他もろもろの術式を組み合わせてチェス盤を作ってみたんだ」

「は・・・はぁ」

「そのチェスの駒一つ一つに意思、つまりは心が宿ってる。あれ作るのに苦労したんだよな」

「え?それって捨て駒ができないってことじゃないの?史夜」

「耀がなかなか頭がキレるようになってきたな・・・耀の言うとおり、捨て駒は出来ない。だからかなり時間がかかるかなと思ったんだけど」

「オイオイ嘘だろ?俺そんな過小評価されてたのかよ?」

「私たちってそんなに弱いと思われてたの?」

「いや、過小評価とかしてな・・・なんで飛鳥は失神とかしてないんだよ!?高度一万メートルからの落下だぞ!?」

 

俺はあのチェスのゲームをクリアした瞬間に高度一万メートルに放り出すように術式を組んだはずなんだが・・・?

それに実際に空から降ってきたし。

十六夜はともかく、飛鳥は失神とかしてるだろ・・・

 

「あら、十六夜君が頑張ってくれたのよ?」

「おうよ。俺も一万メートルからダイブなんて体験したことなかったからな。多少やる気出してやった」

「あぁ、一応聞いておくけどチェスは?」

 

そこそこ難易度を高く設定しておいたはずなんだが・・・

そもそも多少やるきをだしたら一万メートルからの落下を体への負担を軽減して落ちることができるのか・・・

普通の人間は15メートルくらいの高さから落ちたら死ぬとか、どっかの誰かが言ってた気がするが・・・。

 

「ああ、あれな、お前、決定的なミスがあったぞ」

「ん?俺なんかミスしたか?ちゃんと術式を組んだんだけど」

「いや、プログラム自体に問題はなかった。それになかなかおもしろかったしな。だが、お前はCPU側の調整を間違ってる。俺にぶつけるときは世界大会一位くらいのやつじゃねぇと」

「あぁ~、それは悪かった。そんなこと考えもしなかった」

「次はよろしく頼むぜ」

「はいはい、ギフトが戻ったらな」

「ギフトといえば、お前にもらった鈴と呪符あっただろ?」

「ああ、『鈴音師の鈴』と『怪盗の抜け道』だっけ?」

「そうそれだ。あれいつの間にかギフトカードからなくなってたんだが、あれは時間制限でもあんのか?」

「は?いや、そんなことはないと思うが・・・」

 

あのアイテムは俺が異世界から持ってきた物を、ギフトで再現してみたもので、持ち主が死ぬまで半永久的にその持ち主に効果が付与されるはずだ。

そういえば、この前白夜叉がこんなこと言ってたっけ。

 

 

「あやつの存在は矛盾しておる。奇跡を起こす力を持ちながら、その奇跡を破壊する。別にギフトを無効化する、というギフトはさほど珍しくはないのだ。だがそのほとんど全てが、鎧、剣、兜などの装備品や、アクセサリなどの装飾品についておる。あやつは奇跡を起こし、奇跡を破壊することができる。なかなかおもしろそうなやつじゃの」

 

と。

若干どこか違う気もするが、大体こんな感じのことを言っていた気がする。

ということは、あのギフトは十六夜の“正体不明”によって消された、と考えるのが妥当だろうか?

いや、そんなものは証明もできないし、確証も無い。

十六夜がなにかをやってギフトが解除されたのなら、それはそれで納得がいくが、そもそもあのギフトは解除方法なんて存在しないと思う。俺の知る限りでは。

 

「とりあえず、今日これからどうするの?」

「ああ、まずは白夜叉に会いに行こうと思ってる。あと海晴にも。起きたことを伝えないと。あと我が儘を言ってもいいならウィル・オ・ウィスプのジャックとアーシャとも。途中で試合放り投げてたからな」

「うん、わかった。じゃあ行ってくるね、3人とも。飛鳥と十六夜は農園の開拓よろしくね」

「ん、おう任せとけ」

「任せとけって、ほとんどディーンがやってるでしょう?」

「お、お気をつけて」

 

それからまずは白夜叉のいるサウザンドアイズ支店に向かった。

店の前にはいつもの女性店員がいて、いつものように店前を掃除していた。

 

「白夜叉に用があるんだけど、いいかな?」

「―――・・!」

 

俺の声にその女性店員が振り向くと、驚きの表情を見せた。

それもそうだ。

数週間前に普通に歩いてきた客が、今は車椅子に乗っているのだ。

 

「・・・どうぞ」

「ありがと。通してくれて」

 

いつもなら

「“ノーネームはお断りです”」

とか絶対言うが、今日は通してくれた。

まぁ十六夜がいたら通してくれたかどうかはわからないが。

 

そして案内されて白夜叉のいる部屋まで来た。

そこでふと、

 

「・・・ちょっと待って、耀」

「ん?なに?史夜」

「和室に車椅子で入るのか・・・?」

「あ・・・」

「よいよい、そのまま入ってこい」

 

ふと出た疑問に白夜叉が答えてくれた。

白夜叉がOKしたからいいのだろう。

襖を開け、耀に押してもらって中に入る。

 

「久しいな。して、お主の具合はどうなのじゃ?・・・足が悪くなったのか?」

「まぁ、そんなところだろう。そのうち治るから心配しなくていいぞ」

「無論、心配などしとらんさ。智史と真夜がついておるのだからの」

「・・父さんと母さん、箱庭で何してたんだよ・・・」

「白夜叉にかなり信頼されるようなことをしたんじゃないかな・・・?」

「お主はなんにも聞いておらんのか?智史と孝明と晴明は今はアンダーウッドからの依頼を受けて向こうにいっておるのだが・・・」

「私の父さんも・・・!?」

「で、なんの依頼で?」

「え~と、なんじゃったかのぅ・・・確か五桁の魔王の封印だったかの?」

「「魔王の封印!?」」

 

耀と同時に驚く。

そもそも魔王って封印するものなのか?

ていうかそんな依頼が父さんたちにはくるのか・・・?

少しの間驚いていると、後ろの襖が突然勢いよく開いた。

 

「やっほー白夜叉!ちょっと話が―――あれ!お客さんいたの!?ごめんなさい!・・・」

 

それだけ言うと、その襖を開けた本人はピシャリと襖を閉めた。

突然のことに驚いていると、

 

「あれ、もしかして耀と史夜君・・・?」

 

襖の奥から声が聞こえてきた。

もちろん、その人物は海晴だ。

 

「え、うん。そうだけど」

「久しぶり、なのか。海晴」

「史・・夜・君?よかったよかったぁ!!」

 

襖がガラッと勢いよく開き、海晴が飛び出してくる。

そしてそのまま俺に飛びついてくる。

 

「ちょ、ま―――」

「よかった・・・あんな術式使ったのにこんなに元気なんて、ほんとによかった・・・」

 

今ものすごくデジャヴを感じる・・・。

ん?デジャヴってなんだっけ。

 

「わかったわかったから。ほら千流、白夜叉に話があるんだろ?」

「あ、うん。白夜叉!」

「なんじゃ?」

「私、“ノーネーム”に入りたい」

「「え?」」

「・・・ふむ。よかろう。ただし、」

「「「ただし・・・?」」」

「黒ウサギを定期的にここへ連れてくるのじゃ!!」

 

・・・・・・

(((そんなことだろうと思った。)))

 

心の中で三人の声がかぶる。

黒ウサギがここにいたのなら、確実にハリセンで叩かれていたことだろう。

 

「・・・海晴、いつまで史夜にくっついてるの」

「・・ふぇ?あ、あ、えっと」

「いや、耀、別に―――」

「くっついていいのは私だけ」

「「「・・・へ?(ほう?)」」」

 

耀が少し顔を赤らめながら言った。




読んでくれてありがとうございました。
あと何話こんな感じの話が続くかもしれませんが、あと少しでアンダーウッドに入るので、もう少し待っていてください!

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