互いに睨みあい、変化というものが訪れない。しかし、強く握られているかなたの拳からは微かに白い煙があがり、霧散していく。不意にかなたが地面の土を手のひら一杯に掴むと、それを全力で握る。すると拳から更に多くの白煙、それも温度を持ったものがあがり、体積が減っていく。そして唐突に野球の投球ホームを取ったかと思えば、その手の中のものをシヴァに投げつけた。土球は自身の運動で崩れんとする程の速度で宙を飛び、シヴァのもとへと向かうが、シヴァは当然の如く球を一つの腕で粉砕した。しかし、シヴァは一つの違和感を覚えた。
「……かってえ……これただの土だよな?」
「わっかんない。他物質に変わってるかもね」
「ほう?」
会話の最中も、かなたは握りこぶしを閉じては開いていた。その度に煙が発生し、ほんの僅かに空間も歪む。まるで異常に強化された握力を表しているかのように。
ある程度拳の開閉を行うと、かなたは自身の羽を動かし、低空高速移動を行って一気にシヴァとの距離をつめる。そしてかなたの至近距離に現れた薄紫色をした腕を掴むと、手にかけられる力をほぼ全てかける。何かが軋む音と共にシヴァの唸る声がかなたの耳に届くが、鳩尾を二つの腕で殴られたことで腕が離させられた。上空を舞うかなただったが、途中で勢いを殺し、空中にホバリングを始めた。
「腕一本もってけたと思ったのに」
「そっちこそ案外丈夫なんだな。面白い」
シヴァの腕に響いた痛みがこだまし、確かにダメージとして残った。これまでシヴァが戦ってきた者にこれ程のダメージを与えたものは数える程にしかおらず、シヴァは少しずつ興奮を溢れさせてきた。
しかし、かなたの鳩尾に与えられた刺激の方が強く、しつこい。現に翼を動かすことさえ辛かった。
「いいねいいねいいね~! 死ぬまで踊り明かそうぜ!」
「ダンスなら僕の得意分野だよ?」
未だに痛む鳩尾を、かなたは自身の手で握る。すると相応の痛みと熱が鳩尾を走るが、比例するようにしてシヴァからの痛みが消えていった。かなたが「痛み」という概念を擬似的に握り潰した瞬間だ。
「んー……どうしようかねえ……」
空中に止まりながら、かなたは脳内を整える。これまでにない、異例なスロースピードな試合である。
そんなスローを破壊するように、シヴァが地上から跳ね上がり、かなたの頭をその手の中に収め、地上へと落とした。
「空中戦なんて卑怯、もうしてくれんなよ?」
「……はは、確かに。すまないね!」
頭を下げる素振りをした瞬間、かなたはシヴァの頭を掴み、地面へと叩きつけた。
鳩尾を掴むと痛みが引く理論……まあ神話的強化受けた握力持ってないのでなんとも言えないのですが。
胸板が薄いメンバーの胸盛りはありかなしか(暫く後に控えた登場者の演出のためのアンケートです。第四回戦ではありません)
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あり
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なし