神VS夢 最終闘争シミュレーション   作:架空柿

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 のーこめ


戯たる乱数

 戦場は綺麗さっぱり元通りとなり、二戦振りの通常ステージとなっていた。ヘイムダルは告げる。

「迎えるラグナロク第六回戦、人類への引導を渡す、次なる神側闘士。それは……」

 でかでかと「神側」と書かれた扉の前に一つの大きな円卓が現れた。五つある空席には、それらの主を指し示す紋様が描かれている。

「遥か昔、概念も存在しない時代からそいつだけは存在していた。全く予想だにできないそれは正しく転がる六面体のよう。戦争、飢饉、災害、感染症等が発生すれば『混乱』は必ず生じ、その混乱を自信に宿すこの少女だ!」

 巨大な扉は自動で開き、中から一人の少女が現れた。側を赤色の子ネズミが走り回り、彼女の手の上ではサイコロが上向きに投げられている。

「少女は『カオス』の権化にして世界の、いや宇宙全てを統治し、秩序を保つ組織『Council』の議長となった! そしてそれまで行われていた『時間』と『空間』による争いに終止符を打ち、今もなお安定した世界の維持を行っている! カオスこそが最高、カオスこそ志高! カオスに生まれ、カオスに生きるその少女は、史上最狂の統治者! 人間どもは畏れと愛玩をもってこう呼ぶ。ハコスウゥ! ベエェルズウゥ!」

 カオスの権化、ベールズは用意された席に座る前にサイコロを一つ振った。そしてダイスの結果を眺めると、満面の笑みを浮かべてその席を蹴り飛ばし、そのまま人類側へと歩いていく。

「……いやぁ、流石にあれ再現されちゃ少し躊躇したけどさ……ま、しょうがないよね」

 神々からの笑い声を背に、ヘイムダルの追跡を待つ。そうしてヘイムダルが近くに来たのと同時にそのメガホン(ギャラルホルン)を奪取し、神々に向けて叫び出した。

「僕、実は裏切り者てええす!」

 怒声がベールズに浴びせられる。誹謗中傷未満の言葉だったため何のダメージもなかった。

 

遡ること三分前、こよりは一人に指をさしていた。指の先には一対の赤色のネズミ耳が存在しており、その持ち主は大いに喜んでいた。

「本当!? 本当に僕で良いの!?」

「はい! 神に最も近いと言って良いと思うので!」

 ベールズはスキップしながら機械の前へと向かう。足取りは物凄く軽いようで、本物のネズミのように速かった。

 しかし機械の近くに来たのはベールズのみで、他、特にPromiseも誰も行こうとしていない。

「え、皆さん良いんですか?」

 それでも動かない四人にこよりは心配したが、ベールズは小さく呟いた。

「じゃ、また後で」

 そしてベールズは機械の中へと入った。

 

 ベールズはヘイムダルからの強い抗議に猛反発し、ゼウスからの指示を熱く受け入れた。そのためベールズは出場を許可された。

 そして問題となる神側だが、それは直ぐに解決された。空から降りてくる、宝船によって。

「あお、あれが七福神ってヤツ?」

 ありがたそうな音楽と共に降りてきたその船には、ベールズの言うように七福神と呼ばれる七柱の神々が立ち、ベールズの前に立ち塞がった。

「え~……こほん……第六回戦神側出場者は、毘沙門天!」

 ヘイムダルが七福神ではなく毘沙門天を呼ぶが、それでも他六柱が退こうとはしない。ヘイムダルは毘沙門天以外を何とかして退けようとするも、上手く行かない。そんな中、毘沙門天は静かに口を開いた。

「我らは七神に非ず。もとより一つ」

 その瞬間、毘沙門天を除く六柱が距離をとり、毘沙門天が深呼吸のみで鎧を粉砕した。

「七難即滅!」

 毘沙門天が叫ぶと同時に恵比寿が走り寄り飛び込むと、恵比須は毘沙門天の中へと吸収されていった。それに続くようにして布袋尊、弁財天も自ら吸収されていき、やがて全員が吸収されると、毘沙門天は卵の殻のようなものに包まれた。直ぐにその卵には亀裂が走り、中からは到底「福」を感じられることはできない様態をした、おぞましい神が生まれ直された。その存在は生まれた直後、ベールズに向けて言葉を吐き捨てる。

「あ~……反吐が出る…………殺戮してえ!」

「……へえ……合体ねえ……」

 存在、またの名を「零福」は凝りを解すように体を様々に動かす。そんな光景を眺めながら、ベールズもまた口を開いた。

「ならこちらは…………"議会を開く"」

 瞬間、蹴り飛ばした円卓の椅子が崩壊し、人の形へと再構築されてゆく。その形には、ある者は時計盤のようなオブジェクトが、ある者には麒麟の角が、またある者には梟の羽、更にある者は異様に巨大な体格と、一般人と比べ異質な部位が存在していた。

「……ようやく出番か」

 そのうちの一人がそう呟くと同時に、自身の持つ“時の槍”でベールズを貫いた。ベールズは自身を貫いたその槍を抜き取り、自分の左腕を切り落とした。すると直ぐに、典獄の腕がそこから生えてきた。

 そうして守護者が見てきた中で至高の剣、番人による黒曜石の包丁、代弁者の殴打を受け、各々の権能を受けとる。それは正しく独裁政治における権力の集中が形作られていた。そこには独裁のカオスが存在していた。言うならば、一人議会だろう。

 世界の維持者達は各々の役目を終えると、観客席へと戻っていった。

「合体だ」

「お前は……神か。まあいい、関係ない」

 零福は自身の背中から生えてくる得物を握ると、不気味に微笑み、呟く。

「挽き肉にしてやるよ……消し炭? 粉々? 処刑? 殺戮?」

 得物を背中から引きちぎり、更に零福は不気味に笑う。それに加え、自己肯定を行う。

「やっぱ、殺戮だよなあ!」




 一人Councilの完成です

胸板が薄いメンバーの胸盛りはありかなしか(暫く後に控えた登場者の演出のためのアンケートです。第四回戦ではありません)

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