デュエル回です。難産でした。何が面倒って、敵キャラのデッキ作るのに無駄に時間かかった。しかも時間かけた割にはデュエル内容がしょっぼいです。
「先攻貰うぞ!俺のターン!」
デュエル開始と共にそう宣言する。フードの男は抗議するでもなくただそこに佇んでいるだけ......余裕ってか?
ディスクが示すフェイズ移行を確認し、メインフェイズへ。手札は......悪くは無い!
「俺は手札から、『魔導戦士ブレイカー』召喚!」
俺の場に現れたのは、赤銅色の魔法剣士。その手に持った剣と盾に魔力が集まり、オーラを纏っていく。
「ブレイカーは召喚成功時、魔力カウンターを1つ置くことが出来る!コイツの攻撃力は、置いてある魔力カウンター1つにつき300アップする!」
ブレイカーはこれで強化され、攻撃力が1900となる。この数値なら、下級アタッカーで超えるのが難しいレベルだ。魔力カウンターとは、デュエルモンスターズの要素の1つ、『カウンター』の一種だ。魔力カウンター以外にも〇〇カウンターというものは沢山あり、これを乗せたり外したりすることで効果を発動するカードもある。
「続いてカードを1枚セット!俺はさらにフィールド魔法、『魔法都市エンディミオン』を発動する!」
デュエルディスクが作動し、周囲の風景が変わる。閑静な住宅街を塗り替えるように広がるのは、神秘的な魔導都市。周囲を魔導陣と結界に囲まれた街並みに、フードの男は周囲を静かに見渡しているようだ。
「こいつがある限り、互いが魔法カードを使う度に魔力カウンターがエンディミオンに置かれる!俺はこれでターンエンドだ!」
周囲を見渡していた男は、俺のエンド宣言を受けてこちらへと向き直る。そしてデッキに手をかけ、静かにカードを引いた。
「俺のターン、ドロー。......なるほど、魔法カードを多用する魔法使い族デッキか」
そう呟いてから、男はそっと手札からカードをディスクへセットした。
「俺は手札より、『インヴェルズの魔細胞』を特殊召喚。俺の場にモンスターがいない場合に限り、こいつは特殊召喚できる」
男のフィールドに、黒い虫のようなモンスターが現れる。ギチギチと気色悪い鳴き声を上げるそのモンスターは、召喚されたと同時にリリースエフェクトに呑まれ悲鳴をあげた。
「魔細胞をリリース。現れろ、『インヴェルズ・モース』」
現れたのは、人型の、しかし禍々しい別生物のような悪魔だった。......あの触角に羽、蛾か?
「インヴェルズ・モースの効果。アドバンス召喚成功時、俺のライフ1000を糧としお前のカード2枚までを手札へ戻す。対象はフィールド魔法と、伏せカードだ」
「ああっ!」
フードの男LP4000→3000
男のモンスターが巻き起こした風によって、伏せカードとフィールド魔法が強制的に手札へと戻される。そして、守る術を失ったブレイカーへとそのまま飛びかかった。
「バトル。インヴェルズ・モースで魔導戦士ブレイカーを攻撃」
「ハァッ」
「シャァッ」
インヴェルズ・モースの突進を盾で受け止め、苦しみながらも剣を突き刺そうとするブレイカー。だがその健闘も虚しく剣はモースの腕によって軌道をそらされ、首元へと噛み付かれたブレイカーから急速に力が抜けていき最後には砕けるように爆散した。
「くっ、ブレイカー......!」
遊笑LP4000→3500
モースが自身のフィールドへと戻ってくると、フードの男はまたしても静かにカードをディスクへセットする。
「カードを2枚セットし、ターンエンド」
「っく、俺のターン!ドロー!」
ターンの移行を知らせるデュエルディスクから、宣言と共にカードを引く。
先程の相手の攻撃の後あたりから感じる疲労感や痛み......ありえない、ソリッド・ヴィジョンに当たり判定なんて無いはずだ。
「感じるか?闇のデュエルの痛みを」
「闇の、デュエル......?」
男が呟いた言葉に戸惑いつつ尋ねる。するとフードの奥で微かに笑みを浮かべながら、こちらへスっと指を向けてくる。
「貴様が手にしたカード......それに宿った精霊が、お前を闇のデュエルへと誘っているのさ。精霊たちがかかわるデュエルでは、痛みは避けて通れんぞ」
「......精霊とか、闇のデュエルとか、そんな訳わかんねぇ話で俺が勝負を投げるかよ!俺は手札から『魔導獣ケルベロス』を召喚!そして再び魔法都市エンディミオンを発動!」
フードの男の言葉を遮り、新たなモンスターを場に展開する。呼び出したのは魔導獣ケルベロス。魔法を使う度強化される効果を持つモンスターだ。
ケルベロスの特殊能力を使うため、即座に魔法都市エンディミオンを貼り直す。これでまた、フィールドは俺の領分だ。
「ケルベロスの効果!魔法カードの発動により、ケルベロスに魔力カウンターが乗る!こいつもブレイカーと同じ、魔力カウンターでパワーアップする能力をもつ!」
俺の宣言を受けて、ケルベロスへと魔力カウンターが乗り、遠吠えと共に攻撃力を上昇させていく。だが、これだけだとまだインヴェルズ・モースには届かない......!
「なら届くようにすればいい!魔法発動、『魔導加速』!デッキの上からカードを2枚墓地へ!そしてケルベロスへ魔力カウンターを2個追加する!ケルベロス自身の効果も合わせてカウンターは3つ追加だ!」
これでケルベロスには合計4つのカウンター、攻撃力は3400!インヴェルズ・モースを上回った!
「エンディミオンの効果で、こいつにも魔力カウンターを置く。......バトルだ!ケルベロスで、インヴェルズ・モースを攻撃!」
宣言を受け、ケルベロスが魔力の高まった爪を突き立てんと飛びかかる。
「ガァッ」
「シャァァ」
抵抗しようとしたインヴェルズ・モースだが、先程のブレイカーと同じ末路を辿り爆散する。
......フードの男はそれを無感動に眺めるだけで、動揺は見られない。説明通りなら、あいつも俺と同じで実際にダメージを感じているはずなのに......!
フードの男LP3000→2000
「メインフェイズ2!バトルフェイズが終了したことで、ケルベロスの効果でこいつ自身の魔力カウンターは全て取り除かれる!
俺は永続魔法『魔法都市の実験施設』を発動!魔法都市エンディミオンとケルベロスにカウンターを追加するぜ!」
これでケルベロスに再度カウンターが置かれ、攻撃力が1900に上昇した。エンディミオンにもカウンターが2つ溜まったし、これなら上手く行けば切り札を出すこともできる!
「ターンエンド!」
「俺のターン。ドロー」
フードの男がカードをドローする。先程まであった不気味さは少しだけ弱まったように思う、ライフポイントで勝っているからだろうか。
「少しは考えられたデッキを使っているようだな。これなら俺の本来のデッキを使うべきだった、か」
「へっ、今更そんなこと言ったって負け惜しみにはならねぇぞ!」
「そのつもりは無い。もとよりこのデッキでも負けることは無いからな」
「!」
フードの男はそう言って伏せカードへと手をかざす。
「リバースカードオープン、『デーモンの呼び声』」
「っ、なんだ!?」
フードの男が伏せカードを発動したと同時に、召喚エフェクトに照らされながら地面を裂くように先程倒したはずの『インヴェルズ・モース』が姿を現した。
「この永続罠の効果により、俺の手札から『インヴェルズの斥候』を捨てレベル5以上の悪魔族モンスター......インヴェルズ・モースを墓地から特殊召喚する」
再び現れたインヴェルズ・モースは、先程はよくもやってくれたな、と言うように不気味な触角を揺らしながら口を鳴らす。
まずい、今のケルベロスの攻撃力だとモースを相手にできない......!
「俺の場のインヴェルズモンスターを一体リリースすることで、こいつはアドバンス召喚する事ができる。さぁ、貴様を絶望に堕とすのはこいつだ。現れろ、『インヴェルズ・ギラファ』!」
フードの男が呼び出した新たなインヴェルズ、インヴェルズ・ギラファ。片手が銃のようになったその悪魔は、インヴェルズ・モースよりさらに大きなその体を軽く身じろぎし、ケルベロスへと咆哮した。
「ボアァァァァァァ!!!」
「な、くそ!」
「さぁ、終わらせてやろう。インヴェルズ・ギラファの効果。インヴェルズをリリースして召喚された時、貴様のカードを1枚墓地へ送る。対象は、そこの哀れなモンスターだ!」
「ケルベロス!うわっ」
インヴェルズ・ギラファがその腕につけられた砲門をケルベロスへと向け、黒い光線を放つ。
一瞬だけ耐えようとしたケルベロスだが、あっという間にその姿を塵に変えられてしまった。
「そして俺はライフを1000回復する」
フードの男LP2000→3000
「終わりだな。バトルフェイズ、インヴェルズ・ギラファでダイレクトアタック!」
「うわああああああ!」
がら空きとなってしまったフィールドへ、インヴェルズ・ギラファが容赦なく光線を打ち込んでくる。先程はブレイカーの戦闘の余波を食らっただけで済んでいたのだが、今回は直接攻撃、先程とは比べ物にならない衝撃に吹き飛ばされてしまった。
遊笑LP3500→900
「......ターンエンド。もう諦めろ、お前にはもうサレンダー以外の道は無い」
足にうまく力が入らない、なにかフードの男が言っているようだがそれも耳に入らないほどに「痛い」という考えだけが頭の中を覆い尽くしてしまっていた。
(くそ、いってぇ......!なんで、なんでデュエルするだけでこんな目に遭わないといけないんだよ!)
相手の場には高攻撃力の大型モンスターが立っており、永続罠もある。手札を捨てることで墓地から悪魔族を復活させるあれがある以上、中途半端にギラファを突破しても無意味に終わるだろう。
それに加えて伏せカードも残ってしまっている。あれがこちらの動きを妨害するカードであればそれで詰み、かと言って手札もフィールドのカードも今の状況では全く有効な効果を持たない。
「ちくしょう......負ける、のかよ......!」
悔しさから手札を持っていない方の手を握りしめる。俺のデッキに、もうこの状況を解決出来るカードなんて......
その時だった。
『......見てられないね』
「?な、なんだ?誰だ?」
「......?」
『もう諦めるのか?所詮その程度、見込み違いのただのお子様だったわけだ』
「誰だよ、それに何言ってるんだ!?」
「......敗北を目前に、錯乱でもしたか?」
頭の中に響くように、声が聞こえた。少し低めの、女の声。周囲を見渡すがどこにもその姿は見えない。俺を見るフードの男はその声には反応していない。俺にだけ聞こえている......?
先程吹っ飛ばされた衝撃で強く打った頭にズキリと痛みが走る。思わず顔を顰めて頭に手をやっていると、デュエルディスクが―――正確には俺のデッキの1番上が光っているのに気がついた。
「こ、れは......?」
『さっさと引きな。流石にあっちの男の手に渡るのは避けたいし、手を貸してやる』
「何を、言って」
『ッチ、ウダウダ迷ってるんじゃない!アンタはどうする!このデュエル、どうしたいんだい!』
「!」
どうやら声は、俺のデッキからしている様だ。そこから響くように聞こえてくる問いに、ハッとする。
よく分からない、全く知らない男から仕掛けられたデュエル。まったく目的もなく、ただ巻き込まれるようにして。いや、実際巻き込まれているが。そうして惰性の様に始まったものではあるが、それでも俺は......!
「勝ちたい......俺はこのデュエル、勝ちたい!」
『......よく言った。さ、始めるよ』
「おう!」
気づけばもう、体の痛みは嘘のように消えていた。グッと膝に力を入れ、立ち上がる。
キッとフードの男を見据えると、男はこちらを観察するようにまじまじと見つめたあと、息をのんだ、ように見える。
「まさか、こんな短時間で......?」
「俺のターン!」
「!......チッ」
デッキへと手をかける。デッキトップで光を放つそのカードは、触れるとどこか暖かく感じた。そこから流れ込むようによく分からない力が俺の体を包み込み、あっという間に全能感が俺を満たした。
「ドロー!!」
ドローカードを引き抜けば、光が尾を引いて綺麗な半円の軌跡を描く。そうしてドローしたカードは、先程拾ったカード。俺はそれを見て笑みを深めそして召喚を宣言した。
「行くぜ!俺の場の魔法都市の実験施設を墓地へ送り、手札から特殊召喚!」
俺の場の永続魔法が破壊され、不気味な黒い魔法陣がフィールドへ現れる。黒く粘性の高い謎の液体が滴るその魔法陣は不気味だが、何故か俺には安心感を与えてくれる。
魔法陣は完成したと同時に光を灯し、その中心から静かにモンスターが姿を現した。
身につけているのは、目の前の男と同じ黒いフードの着いた外套。ただ違うのは、足元に垂れそうになるくらい下が長いこととノースリーブである点。フードの奥からはライムグリーンに近い色の光を宿した赤い仮面が僅かに見え、手に持っているのは大振りでこれまた真っ黒なダガー。首元を守るように両肩を覆う爪のような装飾やコートの下部分から生えている爪はかすかに蠢いており、それが生きたナニカである事を分からせる。
静かにフードの男を睨むその眼には、獲物を前にした狩人のような冷たさが感じられた。
「漆黒の罪宝纏いし魔女よ!数多の宝を解放し、我が敵へと滅びを齎せ!―――特殊召喚!『黒魔女ディアベルスター』!」
「......フン」
現れたディアベルスターは、他のモンスターとは何処か違う、本当に生きているかのような仕草でダガーをクルリと回す。
そんな様子を見たフードの男は、先程出会ってから初めて驚愕の雰囲気をまとった。
「!馬鹿な、このパワー......!?」
なにかに気づいた様子でたじろぐフードの男、だが知らん!俺は勝つ、話なんてそれからだ!
「黒魔女ディアベルスターの効果!デッキから『罪宝』魔法・罠カードをフィールドへセットする!俺はデッキから、『裏切りの罪宝―シルウィア』をセット!」
デッキが先程と同じく光を放ち、オートサーチが反応してデッキトップへとカードを運ぶ。
俺はそれを引き抜き、フィールドへとセットした。
「手札から装備魔法『ワンダー・ワンド』をディアベルスターへ装備!エンディミオンへとカウンターを置く。
更にワンドの効果!ディアベルスターとワンダー・ワンドを墓地へ送ってカードを2枚ドローする!」
ディアベルスターが緑色の宝玉がついた杖を手にし、そして直ぐに墓地へと送られる。それを確認した後デッキからカードをドローした。
フードの男はそれを怪訝な表情で睨む。
「一体何を......自ら強力なモンスターを捨てるとは」
「誰も捨ててなんかいねぇ!ディアベルスターはフィールドから墓地へ送られた場合、フィールドか手札のカードを墓地へ送って特殊召喚できる!」
「!」
「俺は手札のカードを墓地へ送りディアベルスターを復活!」
カードが捨てられたと同時に、先程現れた時と同じ魔法陣が出現しそこから飛び出るようにしてディアベルスターが帰還する。
「手札から魔法カード『魔力統轄』を発動!デッキからエンディミオンカード、『神聖魔導王エンディミオン』を手札に加える!魔法カードの発動でフィールド魔法へ魔力カウンターを追加!」
デッキからキーカードを回収し、準備を済ませる。更に発動した魔力統轄が持つ追加が発動し、魔法都市が鳴動を始めた。
「ダメ押しだ!魔力統轄の効果で、追加の魔力カウンターをフィールド・墓地の魔力統轄と『魔力掌握』の数だけ置く!この効果で、追加の魔力カウンターを『2個』置く!」
「なに?」
(やつのフィールドにあるのは魔力統轄1枚のみ。ここまで魔力統轄や魔力掌握なんてカードは1枚も使用していない......いや!)
「『魔導加速』......!コストでデッキから送ったカードに混じっていたのか!」
「その通り!墓地には魔力掌握が1枚落ちていたぜ!これで魔法都市に置かれた魔力カウンターは6つ!」
フィールドの魔法都市から魔力が解き放たれ、都市の中央に建てられた塔の頂点から魔導の王がフィールドへ降り立った。
「フィールド魔法から魔力カウンターを6つ取り除き、手札から『神聖魔導王エンディミオン』を特殊召喚!」
ディアベルスターとはまた違った、装飾過多な黒衣を纏った魔導王がフィールドへゆっくりと着地し、フードの男を睥睨し手に持った杖をフィールドへ突き立てる。
「エンディミオンの効果!こいつの効果で特殊召喚に成功したことで、墓地の魔法カードを手札に加える!手札へ加えるのは、速攻魔法『死の罪宝―ルシエラ』!」
エンディミオンの効果を受け、墓地が光を放ちカードが1枚舞い戻る。先程ワンダー・ワンドでドローしディアベルスターの復活のコストとしたカード。これも名前からして、ディアベルスターに関連するカードなのだろう。
「こいつが俺の、デッキの切り札だ!」
「......くるか」
フードの男がデュエルディスクを構える。相手のフィールドのモンスターはインヴェルズ・ギラファのみ、だがあの永続罠、デーモンの呼び声がある限り後続に攻撃を阻まれてしまう。
「......いや、ここは臆せず攻める!バトルフェイズ!エンディミオンで、インヴェルズ・ギラファを攻撃!」
俺の宣言を受け、エンディミオンの持つ杖が強力な魔力を蓄え始める。やがて限界点まで溜まった魔力が、紫の電撃のような軌跡を描きながらインヴェルズ・ギラファへと襲いかかった。
「ギエエエエエエ!」
「っ、デーモンの呼び声の効果発動。手札の『インヴェルズの歩哨』を捨て、再びインヴェルズ・ギラファは蘇る」
フードの男は手札を捨て、再び永続罠の効果を使用。フィールドへと再び舞い戻ったギラファはディアベルスターをどこか嬉々とした様子で睨めつける。
「......これで終わりだ。確かに強力なモンスターだが、そいつでサーチした伏せカードは伏せたターン発動できるものでは無い。攻撃力も、ギラファの方が上だ」
(そして、仮にあの手札に加えたカード。あれが攻撃力を上昇させるものだったとしても、こちらの伏せカード『パワーフレーム』を使用すれば問題ない。次のターン、攻撃力を上げたギラファでトドメを刺すことが出来る)
フードの男に、耐えきったという確信をした雰囲気が流れる......だが、それは無駄だ!
「......それはどうかな!」
「なに?」
「速攻魔法!『死の罪宝―ルシエラ』を発動!フィールドのエンディミオンを対象に発動、エンディミオンの攻撃力の数値分、相手のモンスターの攻撃力をダウンさせる!この効果で攻撃力が0になったモンスターは破壊される!」
「!ばかな!?」
エンディミオンの魔力がオーラとなり、ディアベルスターへと流れ込む。十分に魔力を受け取ったディアベルスターの外套の一部が変形を始め、それはゴリゴリと姿を変え大鎌と成った。
「いっけぇディアベルスター!」
『っはぁぁぁ!』
大鎌をディアベルスターが大きく振りかぶり、そして横に薙ぐ。衝撃波が緑色の閃光となってフィールドへ拡散し、それを受けたギラファは動きを止めた。
驚愕の表情をうかべたまま固まったギラファは、そのままゆっくりと胴体の部分で真っ二つとなり爆散することなくゆっくりと消えていった。
「くっ、これは......!」
(パワーフレームは俺のモンスターに装備しつつ攻撃を無効にするカード......これでは発動できん!)
「いっっっけぇぇぇ!ディアベルスターで、ダイレクトアタック!」
フードの男へと、ディアベルスターが突っ込んでいく。手に持ったダガーが、すれ違いざまに男の胴を切り裂き、ディアベルスターはそのまま通り過ぎたところで勢いを殺す様にしばらく滑走し、止まったところでダガーを軽く振るって不敵に笑みを浮かべた。
フードの男LP3000→500
「ターンエンドだ!」
(まさか、ここまで追い込まれるとはな......潮時か)
先程までの悔しげな表情とはうってかわり、年相応の笑みを浮かべた少年を睨みつつ、ダイレクトアタックによる衝撃で痺れた体の回復を待つ。少年が手に入れた精霊―――ディアベルスター、と言ったか。彼の精霊は、どうやら少年へと力を貸しているらしい。先程まで痛みで動く事の出来なかった少年がピンピンしているところを見るに、何かしらの手段で回復させているらしい。
「......時期を見る必要がありそうだ。今しばらく、そのカードは預けておく事にしよう」
「?何を......あ!?」
『逃げる気か』
デュエルディスクについているスイッチを押し、サレンダーとしてデュエルを強制終了する。驚き、固まっている少年が気を取り直す前に飛び上がり、住宅の屋根を伝って離れる。デュエルディスクは少年に渡したままとなってしまったが、数分後には自壊プログラムが作動する、問題は無いだろう。
背後を振り返れば、こちらを追いかけ走ってくる少年。デュエルは終了しソリッド・ヴィジョンシステムが停止したため先程の精霊は姿が見えないが、おそらくそのまま少年に着いてくる形で追いかけているだろう。
だが少年とこちらでは、身体能力に大きく差がある。追いかけて来た所で問題なく屋根の向こうへ回り込んだり飛び越えたりすることで行方をくらませ、無事撒く事が出来た。
「......あの精霊、何としても手に入れなければ。あの力があれば、我々の計画の成就はまた1歩近づく」
人気のない路地裏へと降り立ち、フードをより深く被り直す。先程のデュエル、あのまま進めば間違いなく自分が負けていた。使っていたデッキが初めて使ったデッキであった、そんな事を言い訳にする気は無い。
「......次に出会った時が、決着のときだ。少年」
名前も知らぬ、精霊に選ばれた少年へと再戦を近い、夜の闇の中へと歩く。
今夜の屈辱、それを忘れぬよう己へと言い聞かせながら。
というわけで、存在しない原作の主人公の相棒はディアベルスターでした。採用理由はおっぱゲフンゲフン、効果強いしステータスがブラマジで主人公っぽい気がするからです。決して太ももとか、ダウナー気味な顔とか、見た目だけで選んだわけでは無いのです、ええ。
次回、第2話。......の前にTS野郎の話を挟みます。
存在しないモンスターズとTS野郎を交互に挟む形で物語を書いていく予定です。興味なかったら存在しないモンスターズだけでも問題なく見れるようにします。頑張る。