遊戯王 存在しないモンスターズ   作:コジマ汚染患者

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どうも、TS野郎回です。
残念なことにデュエルに入る前の段階で文字数が長ったらしくなったのでデュエル回と分けました。こういう所が無計画過ぎるんだよなぁ。

2025/2/25、挿絵を追加。機械万歳(仕事着)


Q.伝説って?

どうも、記憶喪失系TS美少女の機械万歳です。

時間がめちゃくちゃ飛んで、現在この世界に来て3年が経ちました。時間の経過が早い早い。

 

さて、3年も過ごしていれば当然この世界の常識についても詳しくなるってもんで。今の俺はよっぽどの事じゃなければ一般常識も問題なく身につけたスーパー普遍的一般人なのである。ブイ。

今では商店街を1人でブラつきつつ挨拶をされればお辞儀で返せるくらいには社交性も取り戻している。......いるったらいる。

 

リョウさんにプロデュエリストの道を進められたあの日から月日がかなり進んだ訳だが。あの日、俺の出した結論は「プロは目指さない」である。

理由は色々あるんだが、まぁ......俺の身分についてだ。

記憶喪失かつ、まともな生活に必要な身分すら怪しい事になっていた俺だ、最悪プロになる為の道の途中で変な言いがかりつけられたり、嫌がらせを受けたりとかも考えられる。

というか、実際謎のデュエリストって感じで売り出した人が特定厨に酷い目に合わされた事件を見つけた。プライバシーをなんだと思っているのやら。

俺にだけその被害が来るならまだ良い。気にしなければ良いだけだ。

だが俺だけではなくリョウさんへ......更には恩人であるアキさんに対して迷惑がかかる。それだけは絶対ダメだ。俺が嫌だ。

 

そんな訳でバイトとしてこの世界で3年間生活してきた訳だが、もはや常識に関しては無問題。

ということで、現在残る問題はあとひとつ。実はこれまで、時間の合間を縫ってこの体の―――少女の戸籍情報や身分について探していた。そこで判明したのがだいぶ面倒な事実である。

 

えー、なんとワタクシ、戸籍無かったとです。

いやー、童三乃坂市の市役所でこの事実を伝えられた時は思わず冷や汗が止まらなかったわ。

......まぁ、リョウさんに何とかしてもらって新しい戸籍取ったけど。

 

ひでぇ事に氏名も未登録だったって事で、完全に偽名を決めて登録する羽目になった。

仕方ないので、リョウさんとおばあさん―――アキさんの苗字をお借りて、名前は自分の前世の名前を捩って使用した。

アキさんの苗字について色々嫌な予感はしたけど、まぁ多分別人でしょう、うん。性格も経歴もあのキャラとはまるで違うし。

 

さて、身の上話はここまでとして、プロを目指すのを拒否った理由の続きだが。身分をどうにかしたところで俺的にはプロは目指さないつもりだったので結局この3年間リョウさんの店でのバイトとしてずっと働いている。

 

プロになる。それだけであれば、確かにリョウさんという先達の力添えがあれば可能性はある。だが俺は、俺を助けてくれたアキさんと俺を見捨てないでここまで世話をしてくれたリョウさん、2人のそばで助けていきたい。

そういった考えがあって、プロになる事はせず生きているわけだ。これが一応プロを目指さなかった表向きの理由である。

 

 

 

......表があるなら裏もある、って訳で。

裏向きの理由もあるんだなこれが。

ただそれは酷く自分勝手な理由なので、言いたくは無い。

あの時は本題に関係なかったし口を挟まなかったのだが、リョウさんとの話の中でふと思った。思ってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

プロより、カード・プロフェッサーの方が面白そうじゃね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こん、にちは」

 

「うむ、待っていたよ。君が『機械万歳』か。早速だが座ってくれたまえ」

 

今日はカードショップは休業日。バイトである俺も必然的におやすみである。リョウさんは休日は何かいつもどっか出掛けてるので不在だし、アキさんはアキさんで老人会的な集まりに出てしまっている。なので俺もこうして自由に出歩けるわけだ。

 

とある筋で連絡を受けやってきた喫茶店。朝の通勤時間はもう過ぎており、かと言ってお昼時にもまだ早い。そんな辛うじて閑散とした時間帯なこともあって、指定された店内はかなり静かだ。

 

テクテクと奥まった座席へと向かえば、ぴっちりとスーツを着こなした強面の男性が待っていた。

挨拶をすれば柔和な表情で、それでいて迫力を感じる声で促され席へと座る。

そっとやってきた店員さんへコーヒーを頼めば、対面に座った男性も同様に注文をする。

注文を聞き終えた店員さんが伝票を手に去っていけば、いよいよお話しの時間である。

 

「さて、早速だが本題に入ろう。構わないな?」

 

「うん。よろしく、です」

 

「では......。本日20:00より、我がクレスト社とライバル企業......イヅモマテリアルとの企業間代表デュエルが行われる。君にはそのデュエルで我が社の代表として出てもらいたい」

 

「......詳細、は?」

 

「ここに。対戦相手は、君と同じくつい最近この業界へ入ってきたデュエリストだ。あまり情報は無いが、ないよりマシだろう」

 

机の上置かれたファイルを受け取り、中を確認する。やり取りから大体察するかもしれないが......そう、俺は現在、こっそりと『カード・プロフェッサー』としての活動を開始したのである。

 

事の発端は3年前。リョウさんからのプロの話を蹴ってからの事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ......リョウさんには、悪いこと、しちゃったなぁ」

 

話を終えた後、俺とリョウさんは互いに無言のまま店舗の片付けを済ませ帰宅した。無言の時間はちょっと、いやかなりキツかったが帰ってくればどうとでも出来るだろう。

今は俺が先にお風呂を頂くことになり湯船の中だ。巻くようにしてまとめた髪をお団子にしているため頭は少々重いが、暖かい湯船に浸かって居るのはやはり居心地が良い。

 

「うぅん、でも今の俺にプロ目指す動機無いしなぁ......いやまぁ強いデュエリストと戦うってのは魅力的だけども」

 

リョウさんはあの後、「そうか」と静かに頷いてから特に何も言ってきていない。

が、どこか寂しそうな表情をしていたのは確かだ。

 

「う、んぅ。っはぁ〜......そういえば、プロ以外の道も色々言っていたなリョウさん」

 

大きく伸びをしながら風呂の縁へと顎を載せていると、先程の店での話を思い出す。プロデュエリストと、あともうひとつ......カード・プロフェッサーだったか。

 

「あー......でもまぁアングラなもんらしいし、そう簡単には概要なんて出ないだろねぇ~。はぁ〜」

 

興味はあるが、表立った活動はしないデュエリストらしいし、と風呂でまったりとしながらそっと息を吐いた。

 

 

 

 

「いやめっっっちゃ出るじゃん」

 

入浴を終え、リョウさんへと声をかけて自室―――リョウさんの部屋の向かい側の物置部屋を借りた―――にてスマホで検索をかける。すると予想に反し、出るわ出るわカード・プロフェッサー。アングラとは一体何だったのか。

 

「ほぇー、聞いてた通り名乗ればいいだけのお手軽なもんか。あ、でもやっぱ仕事は売り込みかけないと無理か」

 

タプタプとスマホをタップしたりスクロールしながら調べるが、どうやらリョウさんが教えてくれた情報と同じ程度しか出ない様だ。

少しだけガッカリしつつも検索エンジンを閉じる。

 

「あー、ちょっと気になってたんだけどなぁ。やっぱりそれなりの伝手がないとダメかぁ」

 

敷布団の上ではしたなく大の字になって天井を見上げる。まぁ今の俺、身分無いからカード・プロフェッサー以前に不審者状態を脱しないと不味いんだけどな。

 

「っと、そうだ。社会勉強に色々この町について調べときゃいいじゃん!」

 

ハッとして飛び起き、再びスマホへとかじりつく。常識知らずのままは流石にどうかと思っていたところだ、この辺の地理とか有名な人物とかしっかり調べとこう。

 

「ふむふむふむ......俺の知ってる企業とか有名人はやっぱ居ないか」

 

調べれば調べるほど、前世との差が浮き彫りになっていく。しかしまぁ、見た事ある名前から少しだけ変わった程度のものも多いし少しは慣れやすいかな?......スーパー・ナチュルの森はなんか、野菜に虫が入ってそうでやだな......。

 

「......お?」

 

色々と調べていく中、ふと気になる名前を見かけた。......GCC?なんの略だろうか。企業の公式サイトに飛んでみれば、どうやら大企業、それもカードの販売市場を寡占している所らしい。

 

「ふーん、この世界で流通するカードはだいたいここが販売してるのか......あ、パックの販売と収録について書いてある。うっわ、まじでほぼ全種ぶち込んでんのかよ、闇鍋パックじゃねぇんだぞ......」

 

あー、こりゃえっぐいな。改めてパックの収録の闇深さを確認し、何となく企業の正式名称を見て......おぁ??

 

「え、な、何でこの企業......えぇ?」

 

G.C.C

(グローバル・コーテックス・コーポレーション)

 

「まじかよ」

 

思わず呟く。え、なんでこんな企業あんの?ってちょっと待て、嫌な予感がする。

スマホを操作し、慌てて思いつく限りのやばい企業名を調べていく。............全企業、存在しとる。

 

「うっそだろお前。この世界どうなってんだよ」

 

まじかよ、俺が前世で好きだったゲームに出てくる企業の名前大体あったぞ。しかもどの企業も大体デュエル・モンスターズにかかわりが深いし、GCCに至っては製造元かよ!企業ロゴすら一緒とか狙いすぎでは?

 

「あー、気づいちゃ行けないことに気づいた気がする......まぁいいか、変に絡む必要もないだろうし」

 

ちょっとした驚き要素はあったが、まぁ気にするほどの事でもない。カード・プロフェッサーには憧れるけど、なぁ。そんな簡単に企業と渡りをつけてくれるような機関なんてそうそう......

 

「いやあるやんけ。アングラどころかあっさいじゃねぇかカード・プロフェッサー」

 

調べたら出てきた。フリーのカード・プロフェッサーと仕事を頼みたい企業を繋げる情報コミュニティ、サイト名『CPN』。正式名称は『カード・プロフェッサー・ネスト』。

......まーたなんかマンマな名前だなぁオイ。

 

「ふむふむ、住所とかは不要、仕事を受ける電話の番号とDネームの登録が必要、か」

 

手続きはこれといって難しい感じは無く、必要な書類郵送等も無い。やろうと思えば、今からでも登録は可能であった。......やれる、のか?

 

「いやでも、リョウさんに相談......いやプロ蹴っておいてその日のうちにコレやりたいは流石にキレそう......でもなぁ、いやぁ。やりてぇなぁ......!」

 

登録用フォームに飛んでから、スマホを手に布団の上をゴロゴロと転がる。

あ〜〜〜不義理はなぁ、でもやりてぇなぁ〜〜〜〜〜〜。......よし。

 

「登録、と......」

 

やってしまった。登録ボタンを押すと、『登録完了。貴方の参加を歓迎します』と出てきた。そのまま少し待てば、CPNのホーム画面へと戻り新たに俺のマイページ欄が用意されていた。

 

「いやね?別に騙してるわけでもないし?自由にできるお金が増えれば借りてるカードを返せるし、アキさんやリョウさんにお礼に良い物食べさせてあげる事だってできるし、うん。副業、あくまで副業だ、うん」

 

そんな誰に対してかも分からない言い訳を呟きながらも、こうして俺はカード・プロフェッサー、『機械万歳』となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話は今に戻る。

あってないような対戦相手の書類を流し見して、クライアントに返す。登録を済ませたのは3年前だが、あの後さぁすぐ仕事だ仕事、とはならなかった。

まだデッキも万全ではなかったし、リョウさんにバレないよう気を使って活動は一切やらなかった。幸いにも、登録後は何もしていなくても退会させられるとかも無い感じだったので心置きなく放置安定である。

更に言うと、実績のない俺には選り好みできる程出来る仕事無かったってのもあるし、準備期間はどれだけとっても無駄じゃないだろう。

 

まぁ、つまり今日がカード・プロフェッサーとしての初仕事である。

 

「ん、ありがとう。で、場所は?」

 

「我が社の支部が相手企業の本部に近い。そこの4階で行われる予定だ。遅れることの無いよう頼むぞ」

 

「ん」

 

この依頼は実績を問わないばら撒き依頼だ。「誰でも良いから、とにかくやって欲しい」という依頼。報酬も相場よりずっと安いらしい。調べた。

 

こうした依頼は、CPNを見る限りかなり多いみたいだ。まぁ、理由は幾つかあるだろう。

在野に存在するまだ大成していないカード・プロフェッサーが、企業との顔合わせをする為とか、逆に企業側が実力あるカード・プロフェッサーを見つける為とか。

 

そんな小さな依頼の1つを、今回俺は請け負うことにした。幸いにも休みの日と日程が合っていたのでいい感じに行けそうだ。

 

「では、また今夜。良いデュエルを見せてくれるよう期待しておこう」

 

「ん、よろしく」

 

必要なことは伝え終わった、という事だろう。スーツの男性はコーヒーを飲み終え、席を立つ。

俺はそれを見送ってから、自分の分のコーヒーへと口をつけた。

 

(あー、やーっちゃった、やっちゃった。さぁて、もう依頼受けちゃったからなぁ。無様なデュエルは出来ないぞぉ。ああもう、なんか変な緊張してきた)

 

この3年間、デッキの完成を目指し給料をやりくりしながらカードを集めてきたが、んまぁ〜これが中々難しい。かつての愛用デッキから考えると、完成度は現在50%。うわっ、俺のデッキ弱すぎ......!?

 

とはいえそれは前世のと比べての話。最初のデッキでもリョウさん曰くその辺の野良大会でアマチュア相手にいい勝負、素人なら圧勝出来ると言われていたデッキだ、そこからチューンアップを繰り返した為デッキのポテンシャルは上がっている。......まぁ相変わらず欲しいカードは高すぎるが。

 

「後は野となれ山となれ、でもまぁ帰ったら最後の調整は怠らない様にするかな」

 

コーヒーを飲み干しながら、俺はそっと呟いた。

 

 

あ、お会計済んでる。こういうところ、企業の人っぽい配慮だnってたっっっっっっか!?

......奢ってもらっててよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は回り、20:00。とあるビルの中、物々しい雰囲気のスーツ姿の男が数名対峙していた。

 

「では、今日はよろしくお願いします」

 

「ええ、良いデュエルとなる事を期待しましょう」

 

3名の付き人らしき者を連れた老人と、同じ様に2人の部下を背後に控えさせた男が握手を交わす。

 

表面上はにこやかに行われている会談だが、握手する2人の纏うオーラは決して穏やかでは無い。

対立する企業、その代表者同士の顔合わせが終わると、互いに少しだけ距離の離れたソファへと座り、付き人たちは揃ってその背後へと移動する。

 

2人の目の前には、壁を全てぶち抜いてはめ込まれたような巨大な窓ガラスがあり、その向こうはかつて機械万歳がリョウとデュエルをしたカードショップの様に、デュエルフィールドが広がっていた。

 

まさに見世物。その舞台として用意された無機質なフィールドを見ながら、代表2人はデュエルの開始を待つ。

 

「いやはや、クレスト様が用意したカード・プロフェッサーが、まさか実績の無い新人とは。調べてから少々驚かされましたよ」

 

「そう言うイヅモマテリアルさんも、どうやら今日はお抱えのデュエリストでは無いご様子。何か、事故でもあったのですかねぇ?......例えば、予定していたデュエリストが怪我をしてしまったとか」

 

「......ご心配なく。このような些事に出すほどのことも無かった、というだけですよ」

 

待っている間も談笑......という名の煽り合いは止まらない。どんどんと空気が悪くなる中、デュエルフィールドへと1人、先に男が現れる。

自信満々の表情の好青年、といった出で立ちのその男はデュエルフィールドへと躊躇なく上がり企業の代表たちがいるガラスの向こうへと手を振る。

 

「ほう、あれが......」

 

「ええ、我が社が雇ったカード・プロフェッサー『アップルボーイ』です。つい最近CPNへ登録を済ませたばかりですが、初仕事で優秀な成績を収めた事で今回依頼したのですよ」

 

「ほほう、それはそれは......」

 

「クレストさんの方は、どのようなカード・プロフェッサーを?まぁ、事前に受けとったDネームに聞き覚えはありませんでしたがね」

 

「こちらは登録してから3年といった所のカード・プロフェッサーですね。経験を積んでいれば中堅所でしょう」

 

「......経験を積んでいれば、というのは?」

 

「今回我々が用意したカード・プロフェッサー、登録後の戦績が一切不明なもので」

 

「ほう!それはまた何とも」

 

男の発言に、老人は驚愕の声をあげる。

カード・プロフェッサーは様々な理由はあれど何奴も此奴も目立つ事を求める。プロ・デュエリストとは違い、彼らにとって目立つことは仕事を得るための必要条件だからだ。

中には今現在こちらへ手を振るカード・プロフェッサーのように、企業へのアピールを欠かさない者がいる程に名声は重視される。

カード・プロフェッサーに必要なのは1番が実力であるなら2番は名声、とまで言われている。

 

話を戻すと。3年間登録はあっても戦績が不明というのは......全くない訳では無いが、珍しいと言える。何せそれをするメリットが見当たらない。

働いてない→実力が分からない→仕事を依頼する者はいない→実力が知れ渡らない。

以下無限ループである。

そんな所を、今回やってくる者はどうか。3年間の実績なしの実力不明。普通であれば、明らかな「捨て試合」である。

 

「そのような者に任せて大丈夫ですかな?こちらも新人とはいえ、それなりに力を示した者ですが」

 

既に老人は勝利を確信し、建前的に男へと心配の声をかける。当然、内心は勝利を皮算用しほくそ笑んでいるのだが。

 

「さて、どうなるかはこれから次第でしょう......ほら、出てきましたよ」

 

「ん......ほほぅ!これはまたインパクトがありますな」

 

デュエルフィールドで待機するカード・プロフェッサー「アップルボーイ」とは反対の入口から、対戦相手がやってくる。それに気づいたアップルボーイが目を向け、その対戦相手の格好を見て思わず顎が外れたかのごとくぽかんと口を開ける。

 

「ちょ、あの!?何ですかその格好!?」

 

「......ん、またせた。ごめん」

 

「あ、いえそんなに待っては......じゃなくて!?」

 

やってきた対戦相手―――「機械万歳」は、言うまでもなく女性である。アップルボーイ的には、想像していた年齢よりずっと若いとは思ったがそこは気にする程のことでは無かった。......そう、『性別は』問題ではない。

オーバーサイズの灰色のパーカーを着て、前に着いているチャックを全開に。それだけならまだだいぶ攻めたファッションと言えたが、問題はその中に着ているモノだった。

 

「な、なんで水着なんですか!?!?」

 

「......涼しい、から?」

 

「いやいやいや!?」

 

そう、水着である。それも何故それをチョイスしたと、思わず問いただしたくなるくらい本気のチョイス、紫のビキニスタイルだ。オーバーサイズのパーカーで上半身だけでなく下半身も隠れているとはいえ、その白く輝く足は全力全開である。よくよく見ると、履きものはサンダルだ。言い訳の余地なく、海にでも行くかのようなファッション。

整理すると......機械万歳、本日のコーデ。

 

紫ビキニinクソデカパーカーである。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「変態ですか!?」

 

「デュエル、始めましょう」

 

「え、えぇ......!?」

 

混乱から先程までの余裕が消し去られたアップルボーイのもっともな質問は無視される。

戸惑っている間にも、機械万歳はしれっと準備を進めており手を出すのすら大変そうな萌え袖から必死に手を伸ばしデュエルディスクを装着する。

なお、このデュエルディスクは先行投資としてなけなしのバイト代で購入したものだ。現在着ている謎コーデもバイト代から。もしこのデュエルで負ければ、機械万歳は次のバイト代が入るまで極貧生活待ったナシである。

 

「ふむ、何はともあれ準備は整いましたな」

 

「ええ、では始めるとしましょう」

 

「ふむ。磯野、開始しなさい」

 

「はっ」

 

アップルボーイは非常に狼狽えているが、そんなもの見ているだけの企業側には全く関係ない。格好がどうであれ、両社の代表は出揃った。

老人の指示を受け、そばに控えていた付き人―――磯野がマイクを手に持つ。

 

『ではこれより、クレスト社vsイヅモマテリアル、企業間代表デュエルを行います』

 

放送で流れたその声に、ハッと意識を切りかえたアップルボーイがデュエルディスクを構える。機械万歳とアップルボーイ、両者が構えたことでデュエルディスクが起動し、周囲の機材が唸りをあげる。

 

『では―――デュエル開始ぃぃ!』

 

「「デュエル!」」

 

 

 

アップルボーイ

vs

機械万歳

 

機械万歳の、カード・プロフェッサーとしての初のデュエルが今始まった。




自力で企業名とかカード・プロフェッサーの名前考えるとクッソサムい名前ばっかだったので色んな所から引っ張ってます。

筆がノッたので明日も更新されます。
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